両作品の最大の違いは、主人公だけではない。物語のジャンル、世界観、キャラクターの立ち位置、制作体制まで大きく変化している。
特に重要なのは、『DAWN FALL』は2012年版の続編ではなく、同じキャラクターのイメージを別の世界観で再構築した作品だという点だ。
2022年のホビージャパンWeb掲載インタビューで、プロデューサーの篠原宏康とシリーズ構成・脚本の深見真は、前作を尊重しながら世界観を一新するリブートの方向性を説明している。
深見は、2012年版が一作として完結していることを踏まえ、別の解釈による物語に挑戦したと語っている。プロデューサーも、キャラクターたちを異なる世界とコンセプトで活躍させる構想を説明した。
作品ごとの違いを一覧で比較
出典:アニプレックス、フジテレビ、各作品公式サイト、ホビージャパンWebの制作関係者インタビューをもとに整理。
なぜ2022年版では物語が大きく変わったのか
この変更は、単なるキャラクターデザインの刷新ではない。
2012年版は、少女たちの内面を中心に据えた心理ドラマだった。一方、2022年版では、荒廃した地球、人工知能、無人兵器、軌道エレベーターといったSF設定が物語の骨格を形成している。
制作陣が目指したのは、hukeのキャラクターが持つ印象的なビジュアルを、新しい世界で動かすことだった。
ホビージャパンWebのインタビューでは、深見真が人工知能や遺伝子などの設定を資料を読み込んで構築したことにも触れている。
また、プロデューサーはバイクや武器、キャラクターの一体感を重視したと説明している。荒野を走るブラックトライクなどは、こうした企画意図を反映した要素だ。
つまり、2012年版と2022年版は、同じ原点から異なる作品体験を生み出した二つのアプローチとして見ると理解しやすい。
【声優一覧】黒衣マトからエンプレスまで主要キャストを整理

ブラックロックシューターのアニメを比較するとき、声優の変更も見逃せないポイントだ。
特に、2012年版の小鳥遊ヨミと2022年版のデッドマスターは、キャラクター名が共通している一方、担当声優が異なる。
これは単純なキャスト交代ではなく、作品ごとに世界観と人物設定が再構築されているためだ。
2010年OVA・2012年テレビアニメ版の声優
| キャラクター | 声優 |
|---|---|
| 黒衣マト/ブラックロックシューター | 花澤香菜 |
| 小鳥遊ヨミ/デッドマスター | 沢城みゆき |
| 神足ユウ/ストレングス | 阿澄佳奈 |
| 出灰カガリ/チャリオット | 喜多村英梨 |
| 納野サヤ/ゴールドソー | 能登麻美子 |
| 小幡アラタ | 沼倉愛美 |
このうち、黒衣マト、ヨミ、ユウを担当した花澤香菜、沢城みゆき、阿澄佳奈はOVA版にも出演している。
東宝の2012年版DVD-BOX公式商品情報では、現実世界の少女と虚の世界の戦士の対応関係も明記されている。
2022年DAWN FALLの声優一覧
| キャラクター | 声優 |
|---|---|
| エンプレス(ブラックロックシューター) | 石川由依 |
| デッドマスター | 早見沙織 |
| ストレングス | 潘めぐみ |
| 大佐 | 桐本拓哉 |
| モニカ | 朝井彩加 |
| ブラックトライク | 久野美咲 |
| ノリト | 堀籠沙耶 |
| ミヤ | 伊藤あすか |
| ルナティック | 友永朱音 |
| スマイリー | 杉田智和 |
| シャーロット | 大地葉 |
キャスト情報は『DAWN FALL』公式サイトのSTAFF/CASTページに掲載されている。
特に注目したい3人の声優
1. 黒衣マト:花澤香菜
2012年版の主人公・黒衣マトを担当。明るく素直な少女の表情と、その内側に抱える複雑な感情を演じている。マトとブラックロックシューターの対応関係を理解するうえでも重要なキャストだ。
2. 小鳥遊ヨミ:沢城みゆき
2012年版で小鳥遊ヨミを担当。落ち着いた雰囲気の奥にある秘密や、マトとの関係によって揺れ動く感情が物語の重要な部分を担う。
3. エンプレス:石川由依
2022年版の主人公エンプレスを担当。記憶を失った状態で目覚め、自分の過去と使命に向き合うキャラクターを演じている。
この3人の違いは、作品の方向性そのものを象徴している。2012年版は少女同士の関係性、2022年版は過酷な世界で自分の意思を見つける主人公の物語が中心となる。
【見る順番】初めてブラックロックシューターを見るなら?
ブラックロックシューターには複数のアニメ作品があるため、初見の人は視聴順に迷いやすい。
基本的には、次の順番がおすすめだ。
2010年 OVA版
シリーズの初期アニメ表現を知るための作品。2012年版につながる基本的な世界観を楽しめる。
2012年 テレビアニメ版
全8話。OVAの設定をベースに、マトとヨミの関係をさらに掘り下げた作品。
2022年 DAWN FALL
全12話。世界観が一新されているため、過去作を知らなくても視聴を始められる。
2012年版から見るメリット
初めて作品に触れるなら、2012年版から入る方法もある。
黒衣マトと小鳥遊ヨミという二人の少女を中心に話が進むため、キャラクターの関係を理解しやすい。
その後にOVAを見れば、同じ原点を持つ作品がどのようにテレビシリーズへ発展したかを比較できる。
DAWN FALLから見ても問題ない?
問題ない。
制作関係者のインタビューでも、2022年版は新しい世界観とコンセプトによる作品として説明されている。2012年版のストーリーを知らなければ理解できない続編ではない。
むしろ、SFアクションや荒廃した世界を舞台にした物語が好きな人は、『DAWN FALL』から視聴しても十分に楽しめる。
作品ごとにおすすめできる視聴者
| 作品 | おすすめの人 |
|---|---|
| OVA版 | 原点や初期の映像表現を知りたい人 |
| 2012年版 | 少女同士の友情や心理描写が好きな人 |
| DAWN FALL | SF、ポストアポカリプス、メカアクションが好きな人 |
逆に、少女たちの繊細な心理描写を最も重視する人には、SFアクションを主軸にした『DAWN FALL』は2012年版と異なる視聴体験になる。作品名だけで同じ内容を期待しないことが、選び方のポイントだ。
【よくある誤解】ブラックロックシューターのアニメに関する疑問を検証
Q1:2012年版と2022年版は続編の関係?
A:直接の続編ではない。
『DAWN FALL』は、2012年版とは異なる世界観とコンセプトで制作されたリブート作品。キャラクターの名前やデザインのモチーフを共有しているが、物語の舞台や人物設定は異なる。
Q2:黒衣マトとエンプレスは同一人物?
A:同一人物として描かれているわけではない。
2012年版では黒衣マトがブラックロックシューターに対応する。一方、『DAWN FALL』ではエンプレスがブラックロックシューターとして登場する。別々の作品設定における主人公だ。
Q3:ブラックロックシューターのアニメは全部で何話?
A:テレビシリーズは2012年版が全8話、2022年版が全12話。
これに加えて、2010年12月発売のOVA版がある。また、2009年にはPILOT Editionも登場している。
まとめ:ブラックロックシューターは作品ごとに違う魅力を楽しめる
『ブラックロックシューター』は、2007年にhukeが発表したイラストを出発点として、OVA、2012年のテレビアニメ、2022年の『DAWN FALL』へと展開してきた作品だ。
同じキャラクターの名前やビジュアルを受け継ぎながら、作品ごとに物語の方向性を変えている点が大きな特徴となっている。
- OVA版: 2010年に登場した初期アニメ作品。
- 2012年版: 黒衣マトと小鳥遊ヨミの友情、心の葛藤を描く全8話。
- 2022年版: エンプレスが人類の存亡を懸けて戦う全12話のSFアクション。
【プロの結論】選ぶ基準は主人公ではなく、物語のテーマ
作品選びで最も大切なのは、同じキャラクター名が登場するからといって、同じ時間軸や物語を期待しないことだ。
2012年版は人間関係と心理描写、2022年版はSF設定とアクションを軸にしている。どちらが上という話ではなく、原点を共有しながら異なる表現に挑戦した作品として比較する価値がある。
2026年に初めて視聴するなら、作品の歴史を追いたい人はOVAから、少女たちの物語を楽しみたい人は2012年版から、SFアクションを楽しみたい人は『DAWN FALL』から始めるとよい。
一枚のイラストから始まったブラックロックシューターの魅力は、特定のストーリーだけに限定されない。異なる世界で描かれる少女たちの姿を見比べることこそ、このシリーズを長く楽しむ醍醐味である。