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かしわとは何の肉?黄鶏の語源・由来から関西と九州の地域差まで徹底解説【2026年版】

御影 遼 御影 遼 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
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「かしわ」とは、鶏肉を意味する日本語の呼び名です。関西や九州を中心に、愛知県などでも使われており、スーパーの精肉売り場や飲食店、郷土料理の名前で目にすることがあります。一方、東日本では「かしわ」と聞いて柏餅の葉や植物の柏を思い浮かべる人も少なくありません。

実は、かしわの語源には、茶褐色の羽毛を持つ鶏を「黄鶏(かしわ)」と呼び、その色が柏の葉に似ていたという説があります。加えて、福岡の郷土料理「かしわめし」や北九州・鳥栖の「かしわうどん」、愛知の「かしわのひきずり」など、地域の食文化とも深く結び付いています。2026年現在も受け継がれる言葉の意味、歴史、地域差を辞典・農林水産省・自治体などの資料から読み解きます。

【基本知識】かしわとは?意味と「黄鶏」の読み方を解説

かしわとは

かしわとは鶏肉のこと

かしわとは、一般的にニワトリの肉、つまり鶏肉を指す言葉です。「かしわ肉」と呼ぶこともあります。

現代の一般的な用法では、鶏のもも肉、むね肉、ささみなど、特定の部位に限定されません。牛肉や豚肉と区別するための呼称というよりも、「鶏肉」を別の言葉で表現したものです。

小学館の『日本大百科全書(ニッポニカ)』でも、かしわは鶏肉の別名として説明されています。もともとは羽毛が黄褐色のニワトリを指し、そこから食用の鶏肉全般を表す言葉へと意味が広がりました。

そのため、関西の飲食店で「かしわを使った料理」と書かれていた場合、基本的には鶏肉料理と理解して問題ありません。

「黄鶏」は何と読む?かしわとの関係

かしわには、漢字で「黄鶏」という表記があります。読み方は「かしわ」です。

これは、黄色というよりも、黄褐色から茶褐色に近い羽毛を持った鶏を表す言葉です。現在の一般的な鶏肉の品種分類や商品規格を示す名称ではありません。

漢字の意味を整理すると、次のようになります。

  • 黄:黄色や黄褐色を表す漢字。
  • 鶏:ニワトリを意味する漢字。
  • 黄鶏:茶褐色の羽毛を持つ鶏と、その肉を指す古い呼び名。

つまり、かしわという言葉の出発点には、鶏の羽の色という視覚的な特徴があったのです。

【語源・由来】なぜ鶏肉をかしわと呼ぶ?柏の葉との意外な関係

有力なのは茶褐色の羽毛と柏の葉に由来する説

かしわの語源として広く紹介されているのが、鶏の羽毛と柏の葉の色に着目した説です。

昔、中国から伝わったとされる黄褐色の羽毛を持つ鶏は、日本で「黄鶏」と書いて「かしわ」と呼ばれていました。その羽毛の色が、秋から冬にかけて茶色く変化した柏の葉に似ていたことから、この名前が付いたという説明です。

福岡県立図書館が公開するレファレンス協同データベースの調査事例でも、『日本大百科全書』『日本国語大辞典』『日本語源広辞典』『たべもの起源事典』などを参照し、柏の葉の色と黄鶏の羽色を結び付ける説が紹介されています。

特に注目したいのは、もともとの「かしわ」が鶏の肉そのものではなく、羽毛の色を特徴とする鶏を指していた点です。鳥の名前が、その肉を指す呼び名へと広がったわけです。

「膳に載せる肉」が由来という別説もある

語源については、もう一つの説明も存在します。

『日本語源広辞典』に関する福岡県立図書館の調査記録では、「カシワ(膳)に乗せる肉」が由来となったという説も紹介されています。食膳に供される上等な鶏肉という意味合いから生まれたとする考え方です。

ただし、一般的な辞典の説明で中心となっているのは、黄鶏の羽毛と柏の葉の色を結び付ける説です。語源を説明するときは、この説を基本として理解するとよいでしょう。

かしわという言葉はいつから使われていた?

かしわの歴史を考えるうえでは、鶏そのものを指す言葉と、鶏肉を指す言葉を分ける必要があります。

古い日本語には「かしわ鳥」という表現があり、精選版『日本国語大辞典』にも15世紀以前の文献における用例が掲載されています。一方、食肉の呼称としてのかしわは、もともとの黄鶏の肉から、次第に鶏肉全般へと意味が広がりました。

福岡県立図書館の調査資料が引用する『日本大百科全書』によれば、関西では黄鶏が多く飼育されていたことから、鶏肉の一般名称として「かしわ」が定着したと説明されています。また、第二次世界大戦前まで、一部地域ではニワトリの上等な肉をかしわと呼んでいた記録もあります。

言葉の歴史をたどると、単なる方言というより、鶏の飼育と食文化の広がりによって意味が変化した食の言葉だと分かります。

【地域差を比較】かしわは関西だけ?九州や愛知でも使われる理由

関西では鶏肉の一般的な呼び名として定着

関西では、鶏肉をかしわと呼ぶ習慣が広く知られています。

大阪や京都、兵庫、奈良などでは、家庭料理や飲食店のメニューに「かしわ」という言葉が登場します。例えば、かしわのすき焼きや、かしわを使った煮物などです。

農林水産省の「うちの郷土料理」に掲載されている奈良県の「かしわのすき焼き」も、その代表例です。鶏肉、白菜、しらたき、焼き豆腐、ねぎなどを使った料理で、祝い事やおもてなしの席でも食べられてきました。

関西では、かしわという呼び方が食材の名称だけでなく、地域の家庭料理を表す言葉としても残っています。

九州では鶏肉文化とともに定着

九州でも、鶏肉をかしわと呼ぶ地域が多くあります。特に福岡県では、かしわめしをはじめとする鶏肉料理が地域の食文化を代表しています。

農林水産省の郷土料理資料は、九州地方では鶏肉をかしわと呼び、炊いたご飯に鶏肉や野菜などの具材を混ぜた料理を「かしわめし」と説明しています。

また、福岡市の食育関連資料では、福岡の鶏食文化について、江戸時代に福岡藩が養鶏を奨励し、卵を産まなくなった親鶏を食べるようになったことが、その背景の一つとして紹介されています。

鶏を育て、卵を利用し、役目を終えた鶏も食材として活用する。こうした生活と結び付いた食文化が、かしわという呼び名を地域に根付かせたと考えられます。

愛知県や中部地方でも「かしわ」が使われる

かしわは関西と九州だけの言葉ではありません。愛知県でも鶏肉をかしわと呼び、郷土料理にその名称が残っています。

愛知県の食育ネットあいちや農林水産省の郷土料理資料によると、愛知県では江戸時代後期から養鶏が始まり、明治初期には名古屋コーチンが誕生しました。

鶏肉を使った料理が発達した地域であり、尾張・奥三河地方では「かしわのひきずり」と呼ばれる鶏肉のすき焼きが伝承されています。

東日本では使われない?実際には例外もある

東日本では、鶏肉をかしわと呼ぶ習慣が比較的なじみの薄い地域が多くあります。しかし、全国を東西で完全に二分できるわけではありません。

大学紀要に掲載された食生活の地域差に関する研究では、『聞き書・日本の食生活全集』に記録された全国296地点の資料を分析しています。その結果、かしわという呼称は西日本に大きく偏る一方、北陸地方や北海道の松前地区にも確認されました。

この研究は、1930年前後の食生活について1990年前後に聞き取り記録された資料などを分析したもので、2026年の現役世代の使用率を測った調査ではありません。それでも、かしわの呼称が西日本を中心に広がりながら、地域ごとに異なる分布を持っていたことを示す資料です。

加えて、地域によっては「かしわ」と「鶏肉」を使い分けていた可能性も指摘されています。方言は単純な使用・不使用だけでは捉えきれないのです。

【地域別・関係性一覧】かしわの呼び方と郷土料理を比較

かしわという言葉は、地域によって呼び方の定着度や料理との結び付きが異なります。主な地域と関連する言葉を整理すると、次のようになります。

地域・関連語 意味・呼び方 代表的な料理・特徴
関西地方 鶏肉の一般的な別名 かしわのすき焼き、鶏肉の煮物
九州地方 鶏肉を指す呼び名 福岡のかしわめし、かしわ料理
愛知県 鶏肉の地域的な呼称 かしわのひきずり、かしわ鍋
奈良県 食用鶏肉の呼び名 かしわのすき焼き
北九州・鳥栖 鶏肉を使った麺料理の名称 かしわうどん、駅の立ち食いうどん
黄鶏(かしわ) 茶褐色の羽毛を持つ鶏とその肉 現在の鶏肉という意味の語源に関係
柏(カシワ) ブナ科コナラ属の落葉高木 柏餅の葉として知られる植物

この比較から分かるのは、かしわが一つの地域だけで使われる特殊な方言ではないということです。関西・九州・中部地方を中心に、地域の食文化や料理名と結び付きながら受け継がれてきました。

また、柏という植物の名前と鶏肉の呼び名は、同じ「かしわ」という音を持ちながら、意味の上では異なります。語源には関係があるものの、現在の言葉としては区別して理解する必要があります。

【郷土料理】かしわめし・かしわうどん・かしわ鍋の魅力

福岡の郷土料理「かしわめし」

かしわを使った料理の中でも、特に有名なのが福岡県のかしわめしです。

農林水産省の「うちの郷土料理」によると、福岡県内全域で伝承されている家庭料理で、主な材料は米、鶏肉、ごぼう、人参です。

基本的な作り方は、鶏肉や野菜を甘辛く煮詰め、その具材をご飯に混ぜ合わせるというものです。地域や家庭によって味付けや具材の組み合わせが異なり、炊き込みご飯として作る場合もあります。

日常の食事だけでなく、祭りや運動会、祝い事などでも食べられてきました。冷めてもおいしく、おにぎりにもできることから、駅弁としても親しまれています。

また、福岡県の地鶏「はかた地どり」が使われることもあります。筋肉質で歯切れがよく、噛むほどにうま味が増す肉質が特徴です。

北九州・鳥栖で親しまれる「かしわうどん」

かしわうどんは、九州の駅グルメを代表する鶏肉入りのうどんです。

北九州市の観光情報サイトでは、小倉駅ホームの立ち食いうどんを北九州の名物として紹介しています。かつおと昆布をベースにしただしに、鶏もも肉から取ったうま味を加え、甘辛く炊いたかしわ肉をトッピングするのが特徴です。

佐賀県鳥栖市にも、駅の立ち食いうどんと結び付いたかしわうどんの文化があります。JR九州の駅弁紹介コラムによれば、九州で初めて駅ホームに立ち食いうどんが登場したのは1956年(昭和31年)の鳥栖駅です。

柔らかな麺とだし、甘辛い鶏肉の組み合わせは、忙しい駅利用者にも親しまれてきました。駅で食べる一杯からも、九州に根付く鶏肉文化を感じられます。

愛知の「かしわ鍋」と「かしわのひきずり」

愛知県では、かしわを使った鍋料理も伝承されています。

「かしわのひきずり」は、鶏肉を使ったすき焼きの一種です。尾張・奥三河地方を中心に伝わり、鶏肉やねぎ、焼き豆腐などを砂糖としょうゆ、またはたまりで味付けして煮ます。溶き卵を付けて食べるのも特徴です。

農林水産省の資料では、昔は鶏を飼育している家庭が多く、来客時に鶏をしめて料理を作り、もてなしていたと紹介されています。現在も大晦日の料理として食べる家庭があります。

また、鶏ガラから取っただしで鶏もも肉やレバー、白菜、豆腐などを煮る「かしわ鍋」もあります。愛知のかしわ鍋では、レバーを加えることが特色の一つです。

奈良県のかしわのすき焼きも含め、地域によって調理法や味付けが異なる点は興味深いところです。同じかしわという言葉でも、土地ごとに異なる料理文化が育っています。

【違いを検証】かしわ肉と鶏肉は違う?柏の木や柏餅との関係

かしわ肉と鶏肉に違いはある?

現在の一般的な意味では、かしわ肉と鶏肉に本質的な違いはありません。

かしわは鶏肉の別名であり、牛肉のように特定の動物の肉を指す別カテゴリーでも、もも肉やむね肉のような部位名でもありません。

例えば、関西のスーパーで「かしわ」と表示された商品があれば、基本的には鶏肉として理解できます。ただし、商品によっては品種、産地、部位、飼育方法などが異なるため、食材としての特徴を知りたい場合は個別の表示を確認する必要があります。

なお、歴史的には一部地域で上等な鶏肉をかしわと呼んでいた時期もあります。現在の一般的な用法と、昔の地域限定の用法を混同しないことが大切です。

鶏肉のかしわと植物の柏は同じもの?

鶏肉のかしわと植物の柏は、同じ読み方ですが、指している対象は異なります。

植物のカシワは、ブナ科コナラ属に分類される落葉高木で、学名は「Quercus dentata」です。大阪府立環境農林水産総合研究所の樹木図鑑でも、柏餅の葉として利用される植物として紹介されています。

大きな葉には波状のギザギザがあり、秋に枯れても翌春まで枝に残る特徴があります。春に新芽が出るまで古い葉が残ることから、家系が絶えないという縁起と結び付けられ、柏餅にも使われてきました。

一方、鶏肉のかしわは、黄鶏の羽毛が柏の葉の茶褐色に似ていたという語源説を持つ言葉です。

つまり、植物の柏そのものが鶏肉を意味するわけではありません。両者は別の対象ですが、色を通じた語源上のつながりがあるのです。

かしわは柏手や柏餅が由来という説は正しい?

かしわの語源を調べると、柏手や柏餅との関係を説明する情報も見つかります。

しかし、鶏肉の呼称としてのかしわについては、辞典類で中心的に紹介されているのは、黄鶏の羽色と柏の葉の色を結び付ける説です。

柏手は神社などで手のひらを打ち合わせる所作を指し、柏餅は柏の葉で餅を包んだ和菓子です。どちらも「かしわ」という言葉に関係しますが、鶏肉の名称の直接的な由来と混同しないようにしましょう。

【プロの結論】かしわという言葉から見える日本の食文化

かしわという言葉の面白さは、単なる地域方言にとどまらない点にあります。

もともとは茶褐色の羽毛を持つ黄鶏を指し、そこから鶏肉全般を表す言葉へと意味が広がりました。そして、関西では日常的な食材名として、九州ではかしわめしや駅弁文化の中で、愛知ではひきずりなどの郷土料理の中で受け継がれてきました。

特に重要なのは、呼び方の地域差と食文化の地域差を一緒に捉えることです。言葉だけを見れば単なる鶏肉の別名ですが、その背景には養鶏の歴史、家庭での食材利用、祝い事や来客をもてなす習慣などが重なっています。

かしわという呼び名を理解することは、地域ごとに異なる日本の食生活を知ることにもつながります。

かしわに関するよくある質問(FAQ)

Q1:かしわとは何の肉ですか?
A1:鶏肉のことです。特定の部位や品種を指すのではなく、鶏肉全般を意味する別名として使われています。

Q2:黄鶏は何と読みますか?
A2:「かしわ」と読みます。茶褐色の羽毛を持つ鶏を表す古い呼び名です。

Q3:かしわは関西だけの呼び方ですか?
A3:いいえ。関西だけでなく、九州や愛知県などでも使われています。北陸地方や北海道の松前地区にも歴史的な使用例があります。

Q4:九州でかしわと呼ぶのはなぜですか?
A4:九州では古くから鶏肉を食べる文化が根付いており、鶏肉をかしわと呼ぶ習慣が受け継がれてきたためです。福岡のかしわめしなどが代表例です。

Q5:かしわ肉と鶏肉は別物ですか?
A5:基本的には同じものです。かしわは鶏肉の別名であり、特別な部位や品種を意味するものではありません。

Q6:かしわと柏の木は関係がありますか?
A6:語源上のつながりがあります。茶褐色の羽毛を持つ黄鶏の色が、柏の葉の色に似ていたことから「かしわ」と呼ばれるようになったという説が有力です。

Q7:かしわめしはどこの郷土料理ですか?
A7:特に福岡県で広く親しまれている郷土料理です。鶏肉やごぼう、人参などを煮た具材をご飯に混ぜて作り、家庭料理や駅弁としても知られています。

Q8:かしわうどんはどこの名物ですか?
A8:北九州市の小倉駅や佐賀県の鳥栖駅など、九州の駅で親しまれている名物料理です。甘辛く煮た鶏肉をうどんに載せるのが特徴です。

まとめ:かしわとは鶏肉の別名、地域の歴史を伝える食の言葉

かしわとは、関西や九州、愛知県などで使われている鶏肉の別名です。もともとは茶褐色の羽毛を持つ黄鶏を指し、柏の葉に似た色が語源になったという説が広く知られています。

現在の一般的な意味では、かしわ肉と鶏肉に違いはありません。ただし、地域によって呼び方の定着度や料理との結び付きは異なります。

福岡のかしわめし、北九州や鳥栖のかしわうどん、愛知のかしわ鍋やひきずりなどは、その土地の食文化を象徴する料理です。

また、植物の柏と鶏肉のかしわは別のものですが、語源には葉の色を介したつながりがあります。

スーパーや飲食店で「かしわ」という言葉を見かけたら、鶏肉を意味する地域の呼び名として理解すれば大丈夫です。その背景にある歴史や郷土料理まで知ると、いつもの鶏肉料理も少し違った視点で楽しめます。

主な参照資料: 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』、福岡県立図書館・レファレンス協同データベース、農林水産省「うちの郷土料理」、愛知県「食育ネットあいち」、福岡市、JR九州、北九州市観光情報サイト、大阪府立環境農林水産総合研究所、大学紀要掲載の食生活・方言分布研究。

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