騒動の中心にあったのは、楽曲の歌詞に含まれていた歴史的・地政学的な意味を持つ言葉だった。
「SOLDIER LOVE」は、THE RAMPAGEの初ベストアルバム『16SOUL』のリード曲として制作された楽曲で、2023年12月18日に先行配信が始まった。作詞はTAKANORI(LL BROTHERS)とALLY、作曲はAva1ancheとTOMMSEが担当している。
問題視されたのは、特に次の表現だ。
- 「神風」:日本では元寇の際の伝承に由来する言葉として知られる一方、第二次世界大戦中の神風特別攻撃隊や特攻作戦を想起させる歴史的背景がある。
- 「Far East」:英語で「極東」を意味する表現。欧米側から見た東アジアの地理的呼称であり、戦時下の日本や軍事的な文脈と結び付けて受け取る人もいた。
- 地図を上書きする趣旨の表現:領土や勢力圏の拡大を連想させるという受け止め方が生まれた。
これらの言葉は、それぞれ単独で軍国主義を意味するものではない。しかし、「SOLDIER LOVE」というタイトルや、戦士・武器・戦いを思わせる歌詞と組み合わさることで、戦争を想起させる表現として問題視された。
とりわけ「Far East」と「神風」が同じ文脈で登場したことは、批判を強めた要因の一つだった。単に勇ましい言葉を使ったという問題ではなく、日本の近代史を知る人にとって、歴史的な連想を避けにくい組み合わせだったのである。
実際、ねとらぼの2023年12月25日の報道では、テレビ出演以前から一部ファンの間で歌詞への疑問や批判が出ていたことが伝えられている。つまり、炎上はMステ出演だけで突然発生したものではなかった。
【Mステ SUPER LIVE 2023】振り付けがナチス式敬礼と批判された経緯

騒動を一気に拡大させたのが、2023年12月22日に生放送されたテレビ朝日系『ミュージックステーション SUPER LIVE 2023』でのパフォーマンスだった。
THE RAMPAGEが「SOLDIER LOVE」を披露した際、衣装やステージ演出、メンバーの動作がナチス・ドイツを想起させるとして批判が広がった。
当時、特に問題視されたのは次の3点だ。
1. 全身黒を基調とした衣装
メンバーが着用した黒を基調とする衣装について、ナチスの軍服を連想するという指摘が出た。衣装単体では軍服そのものと断定できないものの、楽曲の戦士をテーマとする世界観と合わさり、批判的な見方を強めた。
2. 黒い旗を使用したステージ演出
パフォーマンスでは黒い旗が使用された。旗を掲げる演出は、軍隊や組織の結束を表現するようにも見えるため、衣装や歌詞との組み合わせが問題視された。
3. ナチス式敬礼に見える振り付け
最も強い批判を集めたのが、一部の動作がナチス式敬礼を連想させるという指摘だった。
ナチス式敬礼は、ナチ党の政治的象徴として使用されたものであり、第二次世界大戦やホロコーストの歴史と深く結び付いている。欧米を中心に、現在でも極めて強い政治的・歴史的意味を持つ表現だ。
そのため、単なるダンスのポーズとして受け取れない視聴者がいた。歌詞の軍事的なイメージに、ナチスを連想させるとされた演出が重なったことで、批判が一段と強まったのである。
ここで区別すべきなのは、ナチスを支持する意図があったと確認されたわけではないという点だ。報道で問題になったのは、あくまで衣装・演出・動作がナチスを想起させるという視聴者側の受け止め方だった。
【騒動の経緯】LDHの謝罪から『16SOUL』発売までの時系列
「SOLDIER LOVE」の騒動は、楽曲の先行配信、テレビ出演、公式謝罪、配信停止、アルバム発売延期という順序で進んだ。
特に重要なのは、LDH JAPANとエイベックスが批判を受けて歌詞・振り付けの変更を決定し、完成品の発売日まで変更したことだ。
当初、『16SOUL』と『16PRAY』は2024年1月25日に2作同時発売する予定だった。しかし、今回の修正作業によって発売が延期され、最終的に2月14日となった。
また、2023年12月27日付のEXILE TRIBE mobileの公式告知では、12月18日に配信開始した「SOLDIER LOVE」について、各音楽配信サービスで配信停止の対応を行っていると説明されている。
この一連の対応からも、騒動が単なるSNS上の批判にとどまらず、楽曲の販売・配信計画にまで影響したことが分かる。
【歌詞変更前後を比較】「神風」「Far East」はどう変わった?
検索ユーザーが特に気になるのが、問題視された歌詞が具体的にどのように変更されたのかという点だ。
現在の歌詞掲載情報と当時の報道を比較すると、批判の中心となった地理的・歴史的な表現が取り除かれ、航海や追い風をイメージさせる表現へと置き換えられている。
変更前:軍事的・地政学的な連想を生む表現
変更前の歌詞では、「上書きする地図」という趣旨の表現に続き、「Far East」と「神風」が登場していた。
この組み合わせは、東アジアという地理的な位置付けと、戦時中の日本を連想させる言葉を結び付けてしまう。楽曲全体に登場する戦士や戦いのイメージも、批判的な解釈を強める要因となった。
変更後:帆と順風を使った前向きな表現
現在、歌ネットやJOYSOUNDなどで掲載されている歌詞では、問題となった箇所が次のような表現になっている。
「帆を張り集うチカラ」
「順風吹き 晴れたなら」
変更後は、帆を張って仲間が集まり、追い風を受けて前へ進むという航海のイメージに変わった。
軍事的な歴史を連想させやすい表現から、夢や目標に向かって進むための比喩へと方向性を修正した形だ。
歌詞の比較で注目したい要点は次のとおり。
- 地理的な表現:「Far East」を含む表現が現在の掲載歌詞では見られない。
- 歴史的な連想:「神風」が「順風」を使った表現に変更されている。
- 世界観:地図の書き換えを想起させる表現から、帆を張って進むイメージへと変化した。
ただし、楽曲全体のテーマが完全に変更されたわけではない。「SOLDIER LOVE」というタイトルや、歌詞に登場する「矛」「盾」といった戦士を象徴する比喩は残されている。
つまり、修正の中心は戦士というコンセプトそのものを消すことではなく、歴史的・政治的な誤解を招きやすい具体的な表現を見直すことにあった。
なお、変更前後の全文を公式が対照表として公開したわけではない。上記は当時の報道と現在の掲載歌詞を照合した主要部分の比較である。
【LDH JAPANの公式謝罪】発表内容と制作側が伝えたかったこと
2023年12月25日、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社と株式会社LDH JAPANは、THE RAMPAGEの公式サイトで謝罪文を発表した。
発表では、歌詞と振り付けに対する意見を受け止め、一部を変更すること、修正後の作品化に時間が必要なためベストアルバムの発売を延期することが説明された。
公式発表の重要な部分は次のとおりだ。
「皆様からいただきましたご指摘、ご意見を真摯に受け止め、歌詞・振り付けの一部を変更することとなりました。」
謝罪文の名義はエイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社と株式会社LDH JAPANの連名だった。
この対応には、単に言葉を変更するだけでなく、ダンスパフォーマンスも修正対象に含めるという意味があった。加えて、修正作業を優先するため、アルバムの発売スケジュールまで見直した。
制作側が掲げていた本来のテーマ
一方、Mステ出演直前には、THE RAMPAGE TEAM一同名義で「SOLDIER LOVE」に込めた想いを説明する声明も発表されていた。
その内容によれば、楽曲制作時のテーマは、愛を持って夢に向かって力強く進み続ける覚悟だった。
THE RAMPAGEの16人を、エンターテインメントの世界で夢を追いかける戦士に見立て、愛の力を信じて困難に立ち向かう姿を表現したという。
また、世界に向けて挑戦し、エンターテインメントの力で多くの人を元気にしたいという意図も説明されていた。
ここに今回の騒動の本質がある。
制作側が表現しようとしたのは、戦争や軍事行動ではなく、夢に向かって挑戦する16人の姿だった。しかし、作品の受け手は、作り手の意図だけでなく、実際に使用された言葉や歴史的な記号から意味を読み取る。
とりわけ世界に向けて活動するアーティストにとって、国や地域によって歴史的な意味が異なる表現を使用する場合、国内向けの感覚だけでは判断できない難しさがある。
【2026年最新】SOLDIER LOVEの現在の歌詞と評判は?
2026年11月現在、「SOLDIER LOVE」は騒動当時のように発売延期が続いているわけではない。2024年2月14日に『16SOUL』が発売され、修正後の楽曲がベストアルバムに収録された。
エイベックスの公式ディスコグラフィーでは、『16SOUL』のリード曲として「SOLDIER LOVE」が掲載されている。THE RAMPAGEのLDH公式アーティストページでも、2023年12月18日発売のデジタルシングルと、2024年2月14日発売の『16SOUL』が作品情報として掲載されている。
また、歌ネットやJOYSOUNDなどの歌詞掲載情報でも、変更後の歌詞を確認できる。
『16SOUL』はどのようなアルバムなのか
『16SOUL』は、THE RAMPAGEにとって初のベストアルバムで、『16PRAY』との2作同時発売だった。
『16SOUL』はアップテンポで力強い楽曲を中心に構成されたUP BESTで、全17曲を収録。ライブ盤、MV盤、CD ONLYなど複数の形態が用意された。
リード曲の「SOLDIER LOVE」のほか、「100degrees」「GO ON THE RAMPAGE」「16BOOSTERZ」「Summer Riot ~熱帯夜~」など、グループの活動を代表する楽曲が収録されている。
つまり、炎上を理由にアルバム自体が発売中止になったという情報は正しくない。実際には発売が延期され、修正後の作品としてリリースされている。
現在の評判をどう見るべきか
騒動後の評価を考える際には、次の3つを分けて捉える必要がある。
1つ目は楽曲そのものの評価。サウンドやダンスパフォーマンス、メンバーの表現力を評価する視点と、歌詞の言葉選びを問題視する視点は必ずしも同じではない。
2つ目は修正への評価。問題となった表現を変更し、アルバムの発売を延期したことを対応として評価する見方がある一方、最初の企画段階で歴史的な配慮ができなかったことを課題とする見方も成り立つ。
3つ目は過去の映像や情報の扱い。現在の歌詞と、2023年12月に披露された当時のパフォーマンスは同一ではない。過去の映像を見て現在の歌詞も変更前のままだと判断したり、変更後の歌詞を見て当時の批判をなかったことにしたりするのは適切ではない。
2026年現在、騒動に関する世論全体の評価を示す統一的な調査データは確認できない。SNS上の個別の意見を、そのまま現在のファン全体や一般視聴者の総意として扱うことは避けたい。
【プロの結論】SOLDIER LOVE炎上の真相と音楽業界が学ぶべき教訓
今回の騒動は、単に歌詞の一部が不適切だったという話だけではない。音楽作品における言葉、振り付け、衣装、舞台演出の相互作用が、どのように受け手の解釈を変えるのかを示した事例だった。
特に重要なのは、制作側が意図した意味と、受け手が実際に感じ取る意味は必ずしも一致しないということだ。
1. 歌詞だけでなく作品全体で判断される
「神風」という言葉だけを切り取れば、歴史的な背景を持つ日本語表現の一つだ。しかし、Far East、戦士、地図、武器を連想させる表現と組み合わされれば、別の歴史的な意味を帯びる。
加えて、黒い旗や敬礼に見える動作が加わることで、作品全体から受ける印象は大きく変わる。
音楽業界では、歌詞の校正だけでなく、映像・衣装・振り付けを含めた総合的な確認が欠かせない。
2. 海外展開を目指すなら歴史的な背景への理解が必要
THE RAMPAGEは公式声明で、世界に向けて挑戦するという目標を説明していた。
海外の視聴者に作品を届ける場合、日本国内では一般的な表現でも、海外では政治的・歴史的な意味を持つことがある。特にナチスや第二次世界大戦に関する象徴は、国や地域を問わず慎重な扱いが求められる。
グローバルな活動を視野に入れるなら、制作段階から複数の文化圏の視点を取り入れることが、作品の信頼性にもつながる。
3. 謝罪だけでなく具体的な修正が行われたことが重要
LDH JAPANとエイベックスは、批判に対して謝罪文を発表しただけではなく、歌詞・振り付けの変更、配信停止、アルバム発売延期という具体的な措置を取った。
その後、2024年2月14日に修正後の作品を収録したアルバムが発売されたことは、騒動の大きな転換点だった。
今回の件から読み取れるのは、作品に対する批判が必ずしも作品そのものを否定することと同義ではないという点だ。表現の意図を尊重しながらも、歴史的な背景や受け手の感じ方を考慮して改善する余地はある。
【よくある質問】SOLDIER LOVEの歌詞炎上に関するFAQ
Q1:THE RAMPAGEのSOLDIER LOVEはなぜ炎上したのですか?
A1:歌詞に登場する「神風」「Far East」などの表現が戦争や軍国主義を連想させると批判されたためです。さらに2023年12月22日のMステでの衣装、黒い旗、ナチス式敬礼に見えると指摘された振り付けが問題となり、批判が拡大しました。
Q2:SOLDIER LOVEの歌詞は変更されたのですか?
A2:はい。2023年12月25日にLDH JAPANとエイベックスが歌詞・振り付けの一部変更を発表しました。現在の歌詞掲載では、問題となった「神風」「Far East」に代わり、帆や順風をイメージさせる表現が使用されています。
Q3:LDH JAPANは公式に謝罪しましたか?
A3:はい。2023年12月25日、LDH JAPANとエイベックス・ミュージック・クリエイティヴの連名で謝罪文を発表しました。批判を受け止め、歌詞・振り付けを変更するとともに、ベストアルバムの発売延期を決定しました。
Q4:16SOULの発売日はいつですか?
A4:2024年2月14日です。当初は2024年1月25日の発売予定でしたが、「SOLDIER LOVE」の修正作業に伴って延期されました。
Q5:2026年現在、SOLDIER LOVEは聴けますか?
A5:修正後の楽曲は2024年発売の『16SOUL』に収録されています。歌詞掲載サービスでも変更後の歌詞が確認できます。なお、各音楽配信サービスの個別の提供状況はサービスごとに確認する必要があります。
Q6:THE RAMPAGEはナチスを支持していたのですか?
A6:そのような意図があったと確認できる公式情報はありません。制作側は16人のメンバーを夢に向かって挑戦する戦士に見立て、愛を持って前進する姿を表現したと説明しています。批判されたのは、その意図とは別に、衣装や振り付けがナチスを連想させると受け取られたことです。
まとめ:SOLDIER LOVE炎上は何を残したのか
THE RAMPAGEの「SOLDIER LOVE」炎上は、2023年12月の歌詞への疑問から始まり、Mステでのパフォーマンスをきっかけに大きく拡大した騒動だった。
問題視されたのは、「神風」「Far East」といった歴史的な連想を生む歌詞と、ナチス式敬礼に見えると指摘された振り付けやステージ演出。これを受け、LDH JAPANとエイベックスは謝罪し、歌詞・振り付けの変更と配信停止、アルバム発売延期を発表した。
その後、2024年2月14日に『16SOUL』が発売され、変更後の「SOLDIER LOVE」が収録された。2026年現在も公式ディスコグラフィーに作品情報が掲載されている。
今回の騒動を理解するうえで大切なのは、制作側の意図と作品が社会に与える印象を切り離して考えることだ。夢や愛を表現するための戦士という比喩であっても、使用する言葉や歴史的な記号によっては、まったく異なる意味として受け取られることがある。
「SOLDIER LOVE」は、音楽作品における表現の自由と歴史への配慮、そしてグローバルな発信に必要な責任について、エンターテインメント業界に大きな課題を残した事例といえる。
歌詞が変更された現在の作品だけでなく、変更に至った経緯まで知ることで、この騒動の本質がより明確になる。