最初に押さえたいのは、通勤時間の「1時間半」が片道なのか、往復なのかという点です。この違いによって、生活への影響は大きく変わります。
片道1時間半なら、一般的な平均と比べても長時間通勤です。一方、往復1時間半なら、都市部で働く人にとって必ずしも珍しい条件ではありません。
ただし、通勤時間の長さだけで生活の良し悪しは決まりません。座って移動できるか、乗り換えが多いか、残業があるかによっても負担は変わります。
- 片道30分:比較的短い通勤。
- 片道45分:都市部でも見られる通勤時間。
- 片道60分:往復2時間となり、生活時間への影響が大きくなる。
- 片道90分:往復3時間。長期的には見直しを検討したい水準。
- 往復90分:片道45分相当で、片道90分とは負担がまったく異なる。
ここで大切なのは、片道90分という数字だけで「会社を辞めるべき」と判断しないことです。仕事の満足度、給与、勤務日数、移動中の快適さまで含めて評価する必要があります。
【2026年最新情報】全国の通勤時間の平均と都道府県別ランキング

通勤時間の客観的な比較に使える代表的な公的資料が、総務省統計局の「社会生活基本調査」です。
2026年10月現在、2021年の調査結果が最新の公表済み基礎データです。2026年10月20日現在で新しい社会生活基本調査が実施されており、結果は2027年9月から順次公表される予定です。
つまり、2026年の最新ニュースとして重要なのは、新しい調査が始まっている一方、通勤時間の全国的な比較にはまだ2021年の公表値を使う必要があるという点です。
都道府県別の通勤・通学時間
総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、平日に通勤・通学をした人の1日当たりの平均時間は全国で1時間19分でした。
都道府県別では、神奈川県が最長の1時間40分。東京都と千葉県も1時間35分で、首都圏の通勤・通学時間が長い傾向を示しています。
出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」。平日の通勤・通学行動者平均時間。
注意したいのは、これらの数字が片道ではなく、通勤・通学に費やした1日の合計時間であることです。また、通勤者だけでなく通学者も含む10歳以上の行動者平均です。
そのため、全国平均の1時間19分を「会社まで片道1時間19分」と解釈するのは誤りです。単純に半分にすれば約39分30秒ですが、実際の片道時間を直接集計した数字とは異なります。
2024年の民間調査から見える首都圏の実態
民間調査にも興味深いデータがあります。シチズン時計が2024年6月に公表した「50年間の変化で見るビジネスパーソンの生活時間」では、片道の平均通勤時間について調査しています。
同調査では、首都圏在住者166人のうち、片道1時間以上通勤する人は48.8%でした。内訳は60分が24.7%、61分以上が24.1%です。
一方、全国在住者400人では、片道30分が24.3%で最多、60分が21.3%でした。調査対象者数や調査方法が異なるため、総務省の統計と単純に比較することはできませんが、首都圏では長時間通勤が一定の割合で存在することが分かります。
【時間を数字で検証】片道90分の通勤で年間どれだけ損をする?
通勤時間1時間半の負担を理解するには、1日単位ではなく、1週間・1か月・1年間で考えることが効果的です。
片道90分の場合
平日5日間勤務し、年間240日出勤すると仮定します。
- 片道:90分
- 往復:180分(3時間)
- 1週間:15時間
- 1か月:約60時間(20日勤務の場合)
- 1年間:720時間
年間720時間は、8時間勤務に換算すると90日分です。つまり、1年間で約4か月半の勤務日数に相当する時間を、移動に費やす計算になります。
もちろん、通勤時間がすべて無駄になるわけではありません。読書、音楽、学習などに使える時間でもあります。しかし、自由に使える時間と同じではありません。電車の混雑や乗り換え、遅延による拘束も考慮する必要があります。
往復90分の場合はどうなる?
同じ条件で往復90分なら、年間の通勤時間は360時間です。
片道90分の場合と比較すると、年間で360時間もの差が生まれます。通勤時間の議論で片道と往復を混同すると、負担を大きく見誤る理由がここにあります。
通勤時間を時給換算して考える方法
通勤時間そのものは通常、給与が発生する労働時間とは別に扱われます。しかし、生活設計では時間にも価値があります。
例えば、自分の自由時間に1時間当たり1,500円の価値を置くと仮定した場合、片道90分の年間720時間は108万円相当の時間になります。
これは実際に108万円を失うという意味ではありません。転居費用や家賃の増加、転職による収入の変化と比較するための仮想的な評価です。
【健康・生活への影響】通勤時間が長いと何が変わる?
片道1時間半の通勤で特に注意したいのは、睡眠、家事、運動、家族との時間が圧迫されることです。
1. 睡眠時間を確保しにくくなる
例えば、朝8時30分に始業する人が片道90分かけて通勤する場合、乗り換えや駅までの移動を考慮すると、朝の出発時刻はさらに早くなります。
帰宅が遅くなれば、夕食、入浴、家事などの時間も後ろ倒しになります。結果として、睡眠時間を削って帳尻を合わせる生活に陥る可能性があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、個人差を踏まえながらも6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを推奨しています。
長距離通勤そのものが特定の病気を引き起こすと断定することはできませんが、通勤によって睡眠時間が不足する状態が続くなら、生活習慣を見直す必要があります。
2. 自由時間と家族との時間が減る
往復3時間の通勤は、仕事以外に使える時間を大きく圧迫します。
特に影響を受けやすいのが、育児や介護を担う人です。保育園の送迎、子どもの食事、家族の通院付き添いなど、時間を自由に調整しにくい事情がある場合、長時間通勤はさらに負担になります。
独身か既婚かにかかわらず、自分のために使える時間が減ることは共通の問題です。趣味、運動、資格取得、友人との交流などを諦めることが増えていないか振り返る必要があります。
3. 通勤そのものが精神的な負担になる
同じ90分でも、座って移動できる電車と、満員電車を何度も乗り換える通勤では疲労感が違います。
特に次のような条件が重なると、時間以上の負担を感じやすくなります。
- 朝夕の混雑が激しい。
- 乗り換え回数が多い。
- 遅延や運休が頻繁にある。
- 駅から自宅・職場までの徒歩時間が長い。
- 帰宅後も仕事の連絡に対応しなければならない。
通勤中にスマートフォンを使って仕事の連絡を確認する習慣がある場合は、移動時間まで仕事に占有されていないかも確認したいところです。
4. 運動不足や生活リズムの乱れ
電車や自動車で長時間移動する人は、通勤以外の時間に身体を動かす機会が少なくなることがあります。
厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023では、成人に対して、歩行または同等以上の身体活動を1日60分以上行うことなどが推奨されています。
ただし、通勤で歩く時間も身体活動に含まれます。通勤時間が長いからといって運動不足とは限らず、実際に歩いている時間や座っている時間を分けて考えることが大切です。
【通勤を続けるべき?】引っ越し・転職・在宅勤務の判断基準
片道1時間半の通勤を改善する方法は、転職だけではありません。現在の会社に残りながら通勤負担を減らせる可能性もあります。
1. 引っ越しを検討する
職場の近くに住めば、通勤時間を短縮できる可能性があります。
ただし、会社の近くは家賃が高いことも多く、単純に移動時間だけで決めると生活費が増える場合があります。
比較したいのは、次の項目です。
- 現在の家賃と引っ越し先の家賃。
- 敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用。
- 通勤定期代や交通費の自己負担。
- 家族の通学・通勤への影響。
- 通勤時間が短くなることで確保できる自由時間。
例えば、引っ越しによって片道90分が30分になれば、往復で毎日2時間短縮できます。年間240日出勤なら480時間の余裕が生まれます。
引っ越し費用を何か月で回収できるか、家賃の増加分を含めて計算すると判断しやすくなります。
2. 在宅勤務・リモートワークを相談する
2026年の働き方に関する重要な動きとして、国土交通省が2026年3月24日に公表した令和7年度テレワーク人口実態調査があります。
同調査では、直近1年間にテレワークを実施した雇用型就業者の割合は16.8%でした。また、これまでにテレワークを経験したことがある雇用型就業者の割合は25.2%です。
コロナ禍後に減少していたテレワーク実施率が、令和7年度調査では増加に転じました。完全在宅勤務が難しくても、週1~2日の在宅勤務や時差出勤を相談する余地があります。
片道90分の場合、週2日の在宅勤務が認められれば、単純計算で週6時間、年間48週なら288時間の通勤時間を削減できます。
3. 転職して通勤時間を短縮する
仕事内容や給与に不満がなくても、通勤時間が原因で生活が崩れているなら、転職も選択肢になります。
ただし、通勤時間だけで判断するのは危険です。給与が下がる、残業が増える、職場環境が悪化するなど、別の問題が発生する可能性があります。
転職先を比較するときは、求人票の勤務地だけでなく、自宅から職場までのドア・ツー・ドアの所要時間を調べましょう。
また、フレックスタイム制度、在宅勤務の実績、転勤の可能性、残業時間も確認しておきたい項目です。
4. 時差出勤や通勤ルートを変更する
転職や引っ越しが難しい場合は、通勤環境そのものを改善する方法もあります。
- 始業時刻を30分~1時間ずらす。
- 混雑の少ない路線に変更する。
- 乗り換え回数が少ないルートを選ぶ。
- 自転車やバスを組み合わせる。
- 座席指定列車などを利用する。
交通費が増える場合もありますが、毎日の疲労が軽くなるなら検討する価値があります。
片道1時間半の通勤に向いている人・向いていない人
以下は生活設計上の判断基準であり、医学的な適性判定ではありません。
長時間通勤でも生活を維持しやすい人
- 移動中に座れることが多い。
- 乗り換えが少なく、遅延も比較的少ない。
- 給与や仕事内容に十分な満足感がある。
- 睡眠時間を確保できている。
- 在宅勤務や時差出勤を利用できる。
通勤環境を変えることを検討したい人
- 睡眠時間が慢性的に6時間を下回る。
- 満員電車で毎日強い疲労を感じる。
- 家族や自分のための時間がほとんどない。
- 通勤後に家事や育児をする余力がない。
- 遅延や残業によって帰宅時間が安定しない。
判断の要点は、90分という数字だけでなく、通勤によって何を失っているかです。仕事に満足していても、健康や生活が犠牲になっているなら、改善を優先する価値があります。
【ネットの反応・炎上・噂の真相】通勤時間1時間半をめぐる議論
通勤時間が1時間半というテーマでは、「それくらい普通」「長すぎる」「職場の近くに住めばいい」といった異なる価値観がぶつかりやすい傾向があります。
ただし、2026年10月時点で、このテーマについて特定のSNS投稿が大規模な炎上を起こしたと裏付けられる公的資料はありません。個別の投稿や掲示板の書き込みを、世論全体の代表として扱うことはできません。
「片道1時間半は普通」という噂の真相
首都圏では片道1時間以上の通勤者が一定数いることは、シチズン時計の2024年調査からも分かります。
しかし、首都圏で長時間通勤者が存在することと、片道90分が標準的であることは別の話です。同調査でも、首都圏在住者のうち61分以上は24.1%でした。
したがって、片道90分を「誰もが当たり前に受け入れている」とする見方には注意が必要です。
「通勤時間が長い会社はブラック企業」という噂
通勤時間が長いという理由だけで、ブラック企業と断定することはできません。
自宅と職場の距離は、住む場所や交通事情によっても変わります。会社が遠距離通勤を強制しているのか、本人が希望してその勤務地を選んでいるのかによっても事情は異なります。
一方、長時間通勤に加えて、過度な残業、休日出勤、休暇取得の妨害などがある場合は、職場環境を総合的に確認する必要があります。
「通勤時間は労働時間に含まれる?」という疑問
一般的な自宅と職場の往復は、通常の通勤として扱われ、労働時間には含まれないのが原則です。
ただし、会社の指示による業務上の移動や、移動中に業務を義務づけられている場合などは、実態によって判断が異なります。
厚生労働省の労働時間適正把握ガイドラインでは、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間かどうかを基準として判断すると説明しています。移動時間という名称だけで一律に決まるわけではありません。
つまり、通勤時間が長いことと、会社が労働基準法に違反していることは、直接結びつくものではありません。
【よくある質問】通勤時間が1時間半の場合のFAQ
Q1:片道1時間半の通勤は長すぎますか?
A1:一般的には長い部類です。片道90分なら往復3時間となり、週5日勤務で週15時間を通勤に費やします。睡眠や自由時間が不足している場合は、通勤方法や勤務条件の見直しをおすすめします。
Q2:通勤時間1時間半は全国平均より長いですか?
A2:片道1時間半なら、全国平均を大きく上回ります。総務省の2021年社会生活基本調査では、通勤・通学の全国平均は往復に相当する1日合計で1時間19分でした。
Q3:往復1時間半なら普通ですか?
A3:往復1時間半なら片道平均45分相当です。全国平均より少し長い水準ですが、都市部では十分に考えられる通勤時間です。
Q4:片道1時間半の通勤を何年間も続けても大丈夫ですか?
A4:一律に何年間まで大丈夫という医学的な基準はありません。睡眠、疲労、運動習慣、仕事への満足度などを定期的に確認することが大切です。
Q5:通勤時間1時間半なら引っ越しと転職のどちらがおすすめですか?
A5:現在の仕事に満足しているなら、まず引っ越しや在宅勤務、時差出勤を検討する方法があります。仕事自体にも不満がある場合は、勤務地や勤務制度を含めて転職先を比較するとよいでしょう。
Q6:通勤時間1時間半でも電車で座れるなら問題ありませんか?
A6:座れることで身体的な負担を軽減できる可能性はあります。ただし、移動時間そのものは変わりません。睡眠や自由時間が不足していないかも確認してください。
Q7:2026年の最新の全国通勤時間データはありますか?
A7:2026年10月現在、総務省統計局の2021年社会生活基本調査が最新の公表済み基礎データです。2026年調査は実施されており、新しい結果は2027年9月から順次公表予定です。
まとめ:通勤時間1時間半を続けるかどうかは生活の質で判断する
通勤時間が片道1時間半という生活は、決して短くありません。往復3時間、週15時間、年間720時間という計算からも、長期的な生活への影響を考える必要があります。
2026年10月現在の公的統計では、全国の通勤・通学時間は1日1時間19分、神奈川県は1時間40分です。首都圏には長時間通勤をしている人もいますが、片道90分が全国的な標準というわけではありません。
今後の判断で大切なのは、次の3点です。
1. 健康を守れているか: 睡眠時間や疲労、日中の集中力に問題がないか。
2. 時間に見合うメリットがあるか: 給与、仕事内容、福利厚生、キャリア形成に納得できているか。
3. 改善できる余地があるか: 引っ越し、在宅勤務、時差出勤、転職などを比較したか。
通勤時間は、単なる移動時間ではありません。毎日の生活の中で、自分や家族のために使える時間を左右する大きな要素です。
片道1時間半を続けること自体が悪いわけではありません。しかし、通勤のために睡眠や健康、人生の楽しみを犠牲にしているなら、今の働き方を見直すタイミング可能性があります。
2027年9月以降に予定されている令和8年社会生活基本調査の結果も、今後の通勤事情を把握するうえで注目されます。自分にとって無理のない通勤時間を見極め、仕事と生活のバランスを整えていきたいところです。