柳井氏が77歳を迎えた2026年、ファーストリテイリングの経営で注目されるテーマが次世代への権限移譲だ。
その中心人物として名前が挙がるのが、ユニクロ代表取締役社長の塚越大介氏である。
塚越大介氏の経歴と現在の役割
塚越大介(つかごし・だいすけ)氏
- 生年月日:1978年11月11日
- 2002年:ファーストリテイリング入社
- 2020年:UNIQLO USA CEO
- 2023年:ユニクロ代表取締役社長
- 2025年:ファーストリテイリングCOO就任
- 2026年:グループ上席執行役員として経営に参加
塚越氏の特徴は、海外事業の現場経験を持っていることだ。
2020年から米国事業のCEOを務め、北米市場の経営にも携わってきた。2025年にはファーストリテイリングのCOOに就任し、グループ経営の執行面でも役割を広げている。
柳井氏と塚越氏の役割分担
現在の経営体制を整理すると、次のようになる。
| 人物 | 主な役職 | 経営上の役割 |
|---|---|---|
| 柳井正氏 | 会長兼社長・グループCEO | グループ全体の経営統括 |
| 塚越大介氏 | ユニクロ社長・グループCOO | 事業運営と執行 |
| 岡﨑健氏 | グループCFO | 財務・資本政策など |
この体制から、柳井氏がグループ全体の経営を担いながら、塚越氏らに執行面の責任を持たせていることが分かる。
ただし、塚越氏が柳井氏の後継者に正式指名されたという意味ではない。ユニクロの社長とグループCOOという重要な役職に就いていることと、グループCEOの後継者に正式決定していることは区別すべきだ。
柳井氏が経営から完全に退く日は決まっている?
2026年11月3日時点で、柳井氏が退任する具体的な日程や、グループCEOの後任を正式決定したという発表は確認できない。
2026年10月の決算説明会でも、柳井氏は代表取締役会長兼社長として経営方針を示している。一方、塚越氏もCOOとして成長戦略を説明している。
今後の注目点は、単なる社長交代ではない。
柳井氏が長年培ってきた商品開発、グローバル展開、組織運営のノウハウを、次の経営陣がどのように引き継ぐかが問われている。
【社会貢献活動】柳井正財団の海外奨学金と教育支援

柳井氏の活動は、アパレル事業だけにとどまらない。
特に注目されるのが、海外大学への進学を目指す日本人学生を支援する柳井正財団の海外奨学金プログラムだ。
海外で学ぶ学生を支援する仕組み
柳井正財団は、高い志や意欲を持つ日本人学生が海外の大学で学ぶことを支援する給付型奨学金プログラムを運営している。
財団の公式発表によると、2017年度入学の第1期生から2025年9月までの実績は次のとおりだ。
奨学生数310名
奨学金支給総額約88億円
2025年9月時点の奨学生数、2017年から2025年8月までの支給総額
奨学生の出身高校は国内231名、海外79名。公立・私立・国立高校など幅広い背景の学生が支援を受けている。
2026年10月29日には、第11期公募制海外大学奨学金(合格型)の応募要項も公開された。
この活動は、柳井氏が経済的な成功だけでなく、次世代の人材育成にも関心を持っていることを示す事例だ。
特に海外で学ぶ機会を提供する点には、ユニクロを国内市場から世界市場へ成長させてきた柳井氏の国際的な視点との共通性が見られる。
ファーストリテイリングの財団活動との違い
ここで混同しやすいのが、柳井正財団とファーストリテイリング財団だ。
ファーストリテイリングの公式プロフィールでは、柳井氏は一般財団法人ファーストリテイリング財団の理事長としても掲載されている。
名称が似ているため、両者を同一の組織と考えないようにしたい。海外奨学金の募集や実績を調べる場合は、柳井正財団の公式プログラムを確認するのが適切だ。
【よくある誤解を検証】柳井正氏について知っておきたい事実
柳井氏については、資産額や後継者問題など、さまざまな情報が検索されている。特に間違えやすいのは、肩書と資産、創業の経緯を混同することだ。
- 「2026年もユニクロの社長なのか」:違う。ユニクロの代表取締役会長は柳井氏、代表取締役社長は塚越氏。
- 「日本一の資産家なのか」:2026年版のForbes JAPANでは国内2位。1位は孫正義氏。
- 「年収は10兆円なのか」:違う。10兆3,000億円は推定資産額であり、年収や役員報酬ではない。
- 「1984年に会社そのものをゼロから創業したのか」:厳密には違う。父親が始めた紳士服店と小郡商事が企業の源流で、1984年に柳井氏がユニクロ1号店を出店した。
- 「塚越氏が正式な後継者に決まったのか」:ユニクロ社長とグループCOOを務めているが、グループCEOの後任として正式指名されたという発表とは異なる。
情報を見極める際は、ファーストリテイリングの公式プロフィール、有価証券報告書、Forbes JAPANの番付、財団の公式発表を使い分けることが大切だ。
【柳井正氏に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:柳井正氏は2026年現在、何歳ですか?
A1:1949年2月7日生まれで、2026年11月現在77歳です。
Q2:柳井正氏の2026年の資産額はいくらですか?
A2:Forbes JAPANの2026年版日本長者番付では、推定10兆3,000億円で国内2位です。資産評価は2026年5月22日の株価と為替レートを基準としています。
Q3:柳井正氏の出身大学はどこですか?
A3:早稲田大学政治経済学部経済学科です。1971年に卒業しています。
Q4:ユニクロの1号店はどこにありますか?
A4:1984年6月、広島市の袋町にユニクロ袋町店としてオープンしました。同店舗は1991年に閉店しています。
Q5:柳井正氏の後継者は誰ですか?
A5:経営の次世代を担う重要人物として塚越大介氏がいます。2026年現在、ユニクロ代表取締役社長とファーストリテイリングのグループCOOを務めています。ただし、グループCEOの正式な後継者としての指名は確認されていません。
Q6:柳井正氏の役員報酬はいくらですか?
A6:確認できる2025年8月期の有価証券報告書では、個人別の報酬等の総額は5億5,000万円です。基本報酬3億3,000万円と短期変動報酬2億2,000万円で構成されています。
Q7:柳井正氏の著書で有名なものは何ですか?
A7:『一勝九敗』『成功は一日で捨て去れ』『経営者になるためのノート』などがあります。特に『一勝九敗』は、失敗を恐れず挑戦する経営姿勢を理解するうえで代表的な著書です。
まとめ:柳井正氏の現在と今後のファーストリテイリング
2026年現在の柳井正氏は、ファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長、グループCEOとして経営の中心に立ち続けている。
1984年に広島でユニクロ1号店を出店してから約42年。山口県の紳士服店を源流とする事業は、世界規模のアパレル企業グループへ成長した。
2026年版の日本長者番付では推定資産10兆3,000億円で2位。2025年8月期の役員報酬は5億5,000万円と開示されている。これらは異なる種類の数字であり、資産と所得を分けて理解する必要がある。
今後の焦点は三つある。
1. 世界市場での成長:海外ユニクロ事業の拡大とLifeWearの浸透。
2. 次世代への経営移譲:塚越大介氏らの経営陣が、柳井氏の経営理念をどこまで継承できるか。
3. 企業としての持続性:創業者個人の能力に依存せず、世界規模で成長を続ける組織を構築できるか。
【プロの結論】
柳井正氏を理解するうえで、10兆円という資産額や日本有数の経営者という肩書だけを見るのでは不十分だ。
本質的な功績は、地方の衣料品販売店を出発点に、商品企画・製造・物流・販売を一体化した独自のビジネスモデルを築き、世界中の消費者に受け入れられるブランドへと成長させた点にある。
一方、創業者の強いリーダーシップが成功した企業ほど、次世代への権限移譲は難しい。柳井氏の経営手腕の最終的な評価は、本人が率いる間の業績だけでなく、次の経営陣がその成長を持続できるかによっても決まる。
2026年は、ユニクロが世界的ブランドとしてさらに飛躍する局面であると同時に、柳井体制の次を考える重要な時期でもある。