「民度が低い」という言葉は、公共の場での迷惑行為や他人への配慮に欠ける言動、SNSでの誹謗中傷などを批判するときに使われる表現です。一方で、特定の地域や国、年齢層、職業などを一括りにして評価する言葉として使われることもあり、その意味は必ずしも一定していません。
そもそも民度とは何を指すのでしょうか。民度が低い人には共通する特徴があるのか、民度が低いと言われる地域や国には客観的な根拠があるのか。2026年現在の公的統計や学術研究、行政資料を踏まえながら、言葉の由来、具体的な行動、SNSや職場での実態、偏見との境界線、トラブルへの対処法まで整理します。
【意味と由来】民度が低いとはどのような状態?本来の意味とネットスラングとしての変化

民度の本来の意味は生活水準や社会的な成熟度
民度は「みんど」と読み、国民や住民の生活程度、経済力、文明の進歩の程度などを表す名詞です。
小学館の『デジタル大辞泉』では、国民や住民の生活程度、経済力、文明の進歩の程度という意味で説明されています。
本来の用法では、個人の性格やマナーだけを指す言葉ではありません。社会全体の生活環境や教育、経済、文化などを含む広い概念として使われてきました。
ところが、現在のインターネットでは意味が変化しています。
例えば、次のような場面で使われます。
- 電車内で大声を出して周囲に迷惑をかける人がいる。
- 飲食店で店員に暴言を吐く客がいる。
- SNSで他人への誹謗中傷が繰り返される。
- 公共の場所にゴミを放置する人がいる。
- オンラインゲームで暴言や妨害行為が頻発する。
こうした場面で「民度が低い」と表現する人は、単にルール違反を指摘しているだけでなく、周囲への配慮や社会的な規範意識が不足しているという評価を含めています。
ただし、これは現代の口語的な用法であり、辞書的な本来の意味とは異なる部分があります。
民度という言葉の由来は明治期にさかのぼる
民度の語源には、興味深い歴史があります。
関西大学の陳贇氏による2012年の研究「『民度』――和製漢語としての可能性」では、この言葉が1888年ごろの新聞に登場したとされ、欧米の思想的影響を受けて日本で形成された漢語である可能性が検討されています。
また、2024年に発表された日韓の用法比較研究では、近代日本における民度が、国民の生活水準や文明化の程度を表す言葉として使用されていたことが論じられています。
特に注目したいのは、当時の植民地統治との関係です。
研究によれば、近代日本では朝鮮や台湾などを対象に、生活水準や文明化の程度を比較する文脈で民度という概念が利用されました。そこには、統治する側が統治される側を一方的に評価する構造がありました。
つまり、民度という言葉には、単なる生活水準の比較だけでなく、誰が誰を評価するのかという権力関係も歴史的に関係していたのです。
現在、国籍や地域を見下す表現として使われる場合に注意が必要なのは、このような歴史的背景とも無関係ではありません。
ネットスラングとしての民度は意味が広がっている
インターネットでは、民度は主に集団の行動や雰囲気を批判する言葉として使われています。
特に、オンラインゲーム、動画配信サービス、SNS、掲示板などでは、特定のコミュニティに対して使われるケースが目立ちます。
例えば、ゲーム内で味方への暴言が頻発すれば「このゲームは民度が低い」、動画のコメント欄が攻撃的な書き込みで埋まれば「コメント欄の民度が低い」と表現されます。
この場合の民度は、実際に参加している全員の人格を意味するものではありません。
一部の利用者の問題行動が目立ち、コミュニティ全体の印象を悪くしている状態を指すこともあります。
言葉の意味を理解するうえでは、辞書的な意味とインターネット上での俗語的な意味を区別することが大切です。
【特徴と行動】民度が低いと言われる人に共通する言動とは?
民度が低いと評価される人には、どのような行動が見られるのでしょうか。
ここで注目したいのは、学歴や収入、外見、職業ではなく、他人との関わり方や実際の行動です。
1. 公共のルールやマナーを守らない
代表的なのは、公共の場所で周囲への配慮を欠く行動です。
具体的には次のようなものがあります。
- 電車やバスで大声で騒ぐ。
- 列に並んでいる人を無視して割り込む。
- 路上や公園にゴミを捨てる。
- 店舗や施設の備品を乱暴に扱う。
- 騒音を出して近隣住民に迷惑をかける。
- 駐車禁止場所や通行の妨げになる場所に車を止める。
これらに共通するのは、自分の都合を優先し、周囲の人が受ける不利益を考慮していない点です。
もちろん、誰でも一度くらいは不注意でマナー違反をしてしまうことがあります。
一度の失敗だけで人間性を判断するのではなく、注意された後の態度や、同じ行動を繰り返すかどうかも見る必要があります。
2. 他人への敬意がなく、攻撃的な言葉を使う
民度が低いと言われる人の特徴として、他人を見下す言動も挙げられます。
例えば、次のような行動です。
- 相手の意見を聞かずに否定する。
- 自分より立場が弱い人に高圧的に接する。
- 店員やサービス業従事者に暴言を吐く。
- 他人の失敗を必要以上に嘲笑する。
- 意見が異なる相手を人格攻撃する。
- 謝罪や説明を求められても威圧的な態度を取る。
特に、相手の立場によって態度を変える行動は、対人関係上の問題が表れやすい部分です。
相手が反論できない状況を利用して攻撃する場合、単なる言葉遣いの問題では済まないこともあります。
3. 自分の非を認めず、責任を他人に押し付ける
トラブルが発生したとき、自分の行動を振り返らず、周囲に責任を転嫁することも問題です。
例えば、次のような言動です。
- 自分のミスを他人のせいにする。
- 注意されると逆ギレする。
- ルール違反を指摘されても正当化する。
- 他人に謝罪を要求する一方、自分は謝らない。
- 都合が悪くなると話をすり替える。
誰にでも自己防衛的な心理が働くことはあります。
しかし、明らかな問題行動を繰り返し、改善する姿勢が見られない場合は、周囲との信頼関係を築きにくくなります。
4. 他人との距離感やプライバシーを尊重しない
人間関係における境界線を理解できない行動も、問題視されやすい特徴です。
例えば、本人の許可なく個人情報を公開する、プライベートな事情を執拗に聞き出す、他人の所有物を勝手に使うといった行為です。
特にSNSでは、他人の写真や個人情報を無断で拡散する行為が、深刻な人権侵害につながる可能性があります。
5. ルールを自分に都合よく解釈する
自分が得をするときにはルールを無視し、不利益を受けるときだけ厳格なルール適用を求める。
こうした二重基準も、周囲から反感を持たれる原因です。
例えば、駐車場の順番や共有スペースの利用、職場での業務分担などで、自分だけが例外扱いされることを当然と考えるケースが挙げられます。
民度が低い人を見分けるときの判断軸
一つの言動だけで相手の人格を決めつけることは適切ではありません。
実際に判断するときは、次の3点を確認するとよいでしょう。
行動の反復性: 同じ迷惑行為や攻撃的な言動を何度も繰り返していないか。
他人への影響: 周囲に具体的な損害や精神的負担を与えていないか。
改善する姿勢: 指摘を受けたときに謝罪し、行動を改めることができるか。
この3点を確認することで、一時的な失敗と継続的な問題行動を区別しやすくなります。
【SNS・地域・職場】民度が低いと言われる理由と実際の問題を比較
民度という言葉は、個人だけでなく、SNSのコミュニティや地域、職場などにも使われます。
しかし、同じ言葉でも評価の対象や背景は異なります。
| 対象 | 民度が低いと言われる主な理由 | 客観的に確認したいこと |
|---|---|---|
| SNS・掲示板 | 誹謗中傷、暴言、集団攻撃 | 投稿内容、反復性、運営の対応 |
| オンラインゲーム | 暴言、妨害行為、迷惑プレイ | 利用規約違反、通報件数、違反行為 |
| 地域・街 | ポイ捨て、騒音、公共施設の破損 | ごみの実態、騒音、犯罪統計、管理状況 |
| 職場 | パワハラ、嫌がらせ、責任転嫁 | 就業規則、相談記録、ハラスメントの実態 |
| 国・都道府県 | マナーや公共意識への評価 | 個別の統計、調査方法、人口構成 |
SNSで民度が低いと言われる理由は匿名性とコミュニケーション環境
SNSでは、現実の対面コミュニケーションとは異なる心理的な環境が生まれます。
心理学者ジョン・スラー氏が2004年に発表した研究「The Online Disinhibition Effect(オンライン脱抑制効果)」では、オンライン環境で人が対面時よりも強く自己開示したり、行動が大胆になったりする現象が分析されています。
研究では、次のような要因が取り上げられています。
- 匿名性によって身元が分かりにくい。
- 相手の表情や反応が見えない。
- 即時の対面反応がない。
- 自分の想像で相手の人物像を作りやすい。
- 現実とオンラインを別の世界として捉える。
- 権威や社会的な制約を感じにくい。
こうした条件が重なると、普段なら口にしないような攻撃的な言葉を書き込む人もいます。
ただし、オンラインで攻撃的になることが、その人の本当の人格をそのまま表しているとは限りません。
また、特定のSNSやゲームの利用者全体が攻撃的だという証明にもなりません。
法務省も、インターネット上の人権侵害として、誹謗中傷やプライバシー侵害、ネットいじめ、特定の民族や国籍を排斥する差別的言動などを挙げています。
SNSの問題は、単なるマナーの悪さではなく、人権や安全に関係する問題として考える必要があります。
民度が低いと言われる地域にはどのような特徴がある?
地域について民度が低いという評価が生まれる背景には、さまざまな要因があります。
例えば、次のような問題が目立つ地域では、住民や訪問者のマナーが悪いという印象を持たれることがあります。
- 路上へのポイ捨てが多い。
- 夜間の騒音や迷惑行為が目立つ。
- 公共施設や共有スペースの管理が行き届いていない。
- 交通ルールを守らない車両や歩行者が多い。
- 観光客の集中によって生活環境に負担が生じている。
- 地域内のルールが十分に周知されていない。
ただし、こうした問題が存在するからといって、住民全体の民度が低いとは限りません。
観光客が集中する場所では、短時間に多くの人が訪れることでゴミや騒音が増えることがあります。人口密度や交通量、公共施設の管理体制によっても、街の状態は変わります。
地域の環境問題を住民一人ひとりの人格に結びつけるのは、原因の分析として不十分です。
職場で民度が低いと言われる人間関係の問題
職場では、仕事上の立場や権限を利用した嫌がらせ、責任転嫁、陰口、仲間外しなどが問題になります。
厚生労働省が示すパワーハラスメントの定義では、次の3要素をすべて満たす言動が対象になります。
1. 優越的な関係を背景とした言動であること。
2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えていること。
3. 労働者の就業環境が害されること。
代表的な6類型には、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害があります。
つまり、職場での問題は「民度」という曖昧な言葉で処理するのではなく、具体的なハラスメント行為や就業環境への影響として捉えることができます。
加えて、2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント対策などがすべての事業主に義務化されました。
顧客だからといって、従業員に暴言や不当な要求を繰り返してよいわけではありません。職場での対人マナーは、個人の意識だけでなく、組織として守るべき労働環境の問題にもなっています。
【ランキングの真相】民度が低い国や県は存在する?公的な評価指標を検証
「民度が低い国ランキング」「民度が低い県ランキング」といった情報は、インターネット上で検索されることがあります。
しかし、こうしたランキングを理解する際には、何を基準に順位を付けているのかを確認しなければなりません。
民度を測る公的な統一指標は存在するのか
2026年11月現在、国民や住民のマナー、道徳観、社会性などを総合的に数値化した、政府公認の統一的な民度指数は確認できません。
国際機関や政府は、社会の状態を測定するためにさまざまな統計を公開しています。
例えば、次のようなものがあります。
- 経済力や所得水準
- 教育水準や識字率
- 犯罪発生率
- 政治や行政に対する信頼
- 汚職に関する認識
- 社会的な幸福度
- 公共サービスの質
- 民主主義や法の支配に関する評価
しかし、これらはそれぞれ異なる社会的要素を測定したものです。
例えば、経済力が高い国でも公共の場でのマナーが必ずしも優れているとは限りません。犯罪発生率が低い地域でも、他人への配慮や社会的な寛容さまで自動的に証明されるわけではありません。
国際IDEAの「Global State of Democracy Indices」も、各国の民主主義に関する複数の指標を提供していますが、単一の民主主義ランキングを提示するものではありません。
複数の社会的指標を、根拠なく一つの民度ランキングにまとめることはできないのです。
民度が低いと言われる国ランキングは信用できる?
結論からいえば、ランキングの名称だけで信頼性を判断することはできません。
特に注意したいのは、次のようなランキングです。
- 旅行者の個人的な体験談だけを集計したもの。
- SNSのアンケートを国全体の評価として扱うもの。
- 一部の事件や動画を根拠に国民全体を評価するもの。
- 調査対象や回答数を明らかにしていないもの。
- 犯罪件数や経済指標だけで道徳観まで順位付けするもの。
国ごとの比較をする場合、法律、文化、生活習慣、統計制度、調査方法などが異なることも考慮しなければなりません。
例えば、ある国では公共の場での会話が活発でも、別の国では静かに過ごすことが好まれる場合があります。
文化的な違いを、単純にマナーの優劣として評価することには無理があります。
民度が低いと言われる都道府県はどこなのか
日本国内でも、特定の都道府県を民度が低いとする情報が見られます。
その根拠として挙げられるのは、交通マナー、犯罪件数、ゴミ問題、騒音、住民同士のトラブルなどです。
しかし、これらを総合して都道府県の民度を順位付けした公的な基準はありません。
例えば、警察庁の2026年版警察白書では、2025年の都道府県別刑法犯の認知件数や検挙件数、人口10万人当たりの主要罪種別犯罪率などが公表されています。
こうしたデータは、地域の安全状況を分析するために役立ちます。
一方で、犯罪率は民度そのものではありません。
人口規模、年齢構成、昼間人口、観光客数、都市化の程度、犯罪の届出状況などによっても数値は変化します。
犯罪率の高い地域に暮らしている人全員がマナーの悪い人だという結論にはなりません。
地域の実態を調べるなら何を比較すべき?
地域を客観的に比較したい場合は、評価対象を具体的に分けることが大切です。
例えば、次のような視点があります。
- 治安を知りたい場合は、人口当たりの犯罪率や犯罪の種類を見る。
- 交通マナーを知りたい場合は、交通事故や違反に関する統計を見る。
- 生活環境を知りたい場合は、騒音やごみ処理、公共空間の管理状況を見る。
- 社会的な信頼を知りたい場合は、調査対象と質問内容が明らかな世論調査を見る。
- 行政サービスを知りたい場合は、公共サービスの提供状況や住民満足度を見る。
内閣府の世論調査でも、社会意識や国民生活についてさまざまな項目が調査されています。
2025年10月調査の「社会意識に関する世論調査」では、現在の世相を暗いイメージで表現する項目として、「ゆとりがない」が44.1%、「自分本位である」が39.0%、「無責任の風潮がつよい」が36.1%でした。
ただし、これも回答者が社会をどのように感じているかを調べたもので、実際の民度を測定した数値ではありません。
数字が公表されていることと、その数字が民度を証明していることは別問題です。
【マナー・モラルとの違い】民度という言葉に潜む偏見と差別の問題
民度という言葉が誤解を招きやすい理由の一つは、マナー、モラル、社会的な規範意識など、複数の概念を一つにまとめてしまう点にあります。
民度・マナー・モラルは何が違う?
それぞれの意味を整理すると、次のようになります。
| 言葉 | 主な意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 民度 | 国民や住民の生活程度、経済力、文明の進歩の程度。現代では社会的な規範意識を指す俗用もある | 地域社会の生活水準や公共意識についての議論 |
| マナー | 他人と気持ちよく過ごすための礼儀や作法 | 挨拶、順番を守る、公共の場で静かにする |
| モラル | 人として守るべき道徳や倫理に関する意識 | 他人を傷つけない、誠実に行動する |
| ルール | 法律や規則など、明文化された決まり | 交通法規、施設利用規約、就業規則 |
| 公共心 | 社会や他人との共存を考える意識 | 公共施設を大切にする、地域活動に協力する |
マナーは、場面に応じた礼儀や作法に重点があります。
モラルは、善悪や倫理的な判断に関わる概念です。
ルールは、社会や組織で定められた具体的な決まりを指します。
一方、民度は本来、個人の行動だけではなく、社会全体の生活水準などを含む広い概念です。
これらを混同すると、単にマナーが悪い人を「民度が低い」と決めつけたり、異なる文化的習慣を道徳的に劣っていると判断したりする危険があります。
民度という言葉はなぜ差別や偏見につながるのか
民度という言葉の問題点は、評価の対象が曖昧なまま、個人から集団へと評価が拡大しやすいことです。
例えば、ある飲食店で一人の客が店員に暴言を吐いたとします。
この場合、問題なのはその客の具体的な行動です。
しかし、その行為を根拠に「この地域の人は民度が低い」「この国の人はマナーが悪い」と一般化すると、無関係な人まで否定的に評価されてしまいます。
これは、個人の行動と集団の属性を混同する考え方です。
特に国籍、民族、出身地などを理由に人を評価することは、差別や排除につながる可能性があります。
法務省も、インターネット上の人権侵害の一つとして、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動を問題として取り上げています。
民度が低いの言い換え・類語は?
誰かの行動に問題があると感じたときは、民度という曖昧な言葉を使うよりも、実際の問題を具体的に表現する方が正確です。
| 言い換え・類語 | 適した場面 |
|---|---|
| マナー違反が目立つ | 公共の場での礼儀や作法に問題がある場合 |
| 配慮に欠ける | 他人の立場や気持ちを考えていない場合 |
| 規範意識が低い | 社会的なルールを軽視する場合 |
| 公共心に乏しい | 公共の利益や共有空間を大切にしない場合 |
| 倫理観に問題がある | 他人を傷つける行為や不誠実な行動がある場合 |
| 迷惑行為が多い | 周囲に具体的な不利益を与えている場合 |
| 攻撃的な言動が目立つ | 暴言や威圧的な発言が繰り返される場合 |
例えば「この地域は民度が低い」と表現するよりも、「駅周辺でのポイ捨てが多く、清掃やごみの管理に課題がある」と表現した方が、問題の所在が明確になります。
批判の対象を具体化すれば、改善策も考えやすくなります。
【実践的な対処法】民度が低い人と関わるときに注意したいこと
マナー違反や攻撃的な言動を繰り返す人と接すると、ストレスを感じることがあります。
しかし、相手に対して「民度が低い」と言い返しても、状況が改善するとは限りません。
大切なのは、相手の人格を変えようとすることより、自分の安全と生活環境を守ることです。
1. 相手の行動と人格を分けて考える
最初に、何が問題なのかを具体的に整理します。
例えば、次のように考えます。
- 「あの人は最低だ」ではなく「順番を守らずに割り込んだ」。
- 「人間性に問題がある」ではなく「店員に暴言を吐いた」。
- 「職場の民度が低い」ではなく「特定の社員による嫌がらせが続いている」。
このように整理すると、感情的な対立を避けながら、必要な対応を考えやすくなります。
2. 不必要な言い争いを避ける
相手が攻撃的な態度を取っている場合、正論をぶつけても解決しないことがあります。
特に、酔っている人や威圧的な態度を取る人に対しては、無理に注意しないことも重要です。
安全な距離を保ち、必要であれば施設のスタッフや管理者に対応を依頼します。
3. SNSでは反応せず、証拠を残す
SNSで暴言や誹謗中傷を受けた場合は、感情的に反論するよりも、証拠を保存することが大切です。
具体的には次のような対応が考えられます。
- 投稿やコメントのスクリーンショットを保存する。
- 投稿日時やアカウント情報を記録する。
- 必要に応じて投稿を通報する。
- 相手をブロックする。
- 個人情報の公開や脅迫がある場合は専門機関に相談する。
警察庁は、インターネット上の誹謗中傷について、掲載されたサイトやSNSの名称、投稿者、投稿日時、内容などを記録するよう案内しています。
内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事責任が問われる可能性もあります。
相談先としては、次の機関があります。
- 違法・有害情報相談センター:削除依頼の方法などについて助言を受けられる。
- 法務省の人権相談:インターネット上の人権侵害について相談できる。
- 誹謗中傷ホットライン:プロバイダなどへの削除対応を促す通知を行う。
- 警察:脅迫や犯罪に該当する可能性がある場合に相談できる。
4. 職場では具体的な記録を残す
職場で嫌がらせや不当な扱いを受けている場合、単に相手の性格が悪いという説明だけでは、問題の実態が伝わりにくくなります。
次の情報を記録しておくと、相談時に役立ちます。
- 発生した日時
- 場所
- 相手の具体的な言動
- その場にいた人
- 業務への影響
- その後の会社側の対応
まずは社内の相談窓口や人事部門、信頼できる上司などに相談します。
会社が適切に対応しない場合は、都道府県労働局や総合労働相談コーナーなどの外部窓口も利用できます。
5. 地域の問題は個人攻撃ではなく環境改善につなげる
地域のポイ捨てや騒音、公共施設の破損などが問題になっている場合、住民全体を批判するよりも、自治体や施設管理者に具体的な改善を求める方が効果的です。
例えば、ゴミ箱の設置場所、清掃体制、騒音対策、利用ルールの周知など、問題に応じた対策が考えられます。
地域の問題を改善するには、個人の意識だけでなく、環境や管理体制を見直すことも必要です。
【プロの結論】民度が低いという評価に惑わされないための判断基準
「民度が低い」という言葉は、マナー違反や社会的な規範意識の不足を指摘する際に便利な表現です。
しかし、その便利さゆえに、異なる問題を一つの言葉でまとめてしまう危険性があります。
特に重要なのは、次の3つの視点です。
第一に、評価する対象を明確にすること。
個人の迷惑行為、SNSの集団的な攻撃、地域の環境問題、職場のハラスメントは、それぞれ異なる問題です。同じ「民度が低い」という言葉でまとめるのではなく、何が起きているのかを具体的に把握する必要があります。
第二に、客観的なデータと印象を区別すること。
犯罪率や世論調査、生活水準などは、それぞれ社会の一側面を測定する指標です。どれか一つの数値だけで、人々の人格や道徳性まで判断することはできません。
第三に、個人の行動を集団全体の評価に置き換えないこと。
一人の人間の問題行動は、その人自身の行為として評価すべきです。出身地や国籍、職業などを理由に、関係のない人まで同じ評価を受けるべきではありません。
本当に改善すべきなのは、曖昧なレッテルではなく、実際に発生している迷惑行為や人権侵害、社会的な問題です。
【民度が低い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:民度が低い人の特徴は何ですか?
A1:公共のルールを守らない、他人に暴言を吐く、自分の非を認めない、他人のプライバシーを侵害するなどの行動が代表例です。ただし、一度の失敗だけで人格を判断するのではなく、行動の反復性や改善する姿勢も確認する必要があります。
Q2:民度が低い国や都道府県のランキングはありますか?
A2:民度を総合的に評価する公的な統一ランキングはありません。犯罪率、教育水準、経済力、社会的信頼などの個別指標は存在しますが、それらをそのまま民度の順位として扱うことはできません。
Q3:民度が低い人と関わらない方がよいですか?
A3:迷惑行為や攻撃的な言動が繰り返される場合は、無理に関係を続ける必要はありません。距離を置き、必要に応じて管理者や相談窓口を利用しましょう。特に暴力や脅迫など安全に関わる問題では、自分だけで解決しようとしないことが大切です。
まとめ:民度という言葉の意味を正しく理解し、決めつけない判断を
「民度が低い」とは、本来の意味では国民や住民の生活水準、経済力、文明の進歩の程度などを表す言葉です。現在のSNSや日常会話では、マナー違反や公共心の不足、攻撃的な言動などを批判する意味でも使われています。
一方、2026年現在、民度を統一的に測定する公的な指数や、信頼できる国別・都道府県別の総合ランキングはありません。
SNSでの誹謗中傷、地域の迷惑行為、職場のハラスメントなどは、それぞれ具体的な行動や統計、制度に基づいて評価する必要があります。
人を判断するときは、国籍や出身地、所属する集団ではなく、実際にどのような行動を取り、周囲にどのような影響を与えているかを見ることが大切です。
「民度が低い」という言葉を安易な悪口として使うのではなく、問題行動を具体的に捉え、改善につなげる視点を持つこと。それが、他人への配慮と健全な社会的コミュニケーションにつながります。
主な根拠資料・参考研究
- 小学館『デジタル大辞泉』「民度」
- 陳贇「『民度』――和製漢語としての可能性」(2012年、関西大学)
- 朴孝慶・白怡姸「『民度』の韓日近現代用法比較」(2024年)
- 警察庁『令和8年警察白書』統計資料
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(2026年更新)
- John Suler, The Online Disinhibition Effect(2004年)
- 法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」