2026年、漫画を描き始めたい人にとって、最初の悩みは画材選びだ。Gペンや丸ペン、漫画用インク、原稿用紙、スクリーントーンなど、必要な道具は多く、メーカーによってセット内容も大きく異なる。実際、数千円で購入できる入門セットから、プロも使用する画材を24点そろえた本格的なスターターキットまで、選択肢は幅広い。
注目したいのは、マクソン、アイシー、デリーターの3ブランドだ。2026年11月現在、それぞれ異なる方向性の商品を展開しており、価格だけで選ぶと必要な道具が不足することもある。初心者が最初に買うべきセットはどれなのか、中身と価格、使い勝手、追加購入が必要な画材まで比較する。
【まず知っておきたい】漫画家セットの中身は?初心者に必要な道具を解説

漫画家セットとは、手描きによる漫画制作に使う画材をまとめた商品だ。
一般的には、キャラクターの線画を描くペン先、インク、原稿用紙、ベタ塗り用の筆、スクリーントーンなどが含まれる。ただし、商品によってはペンと筆だけの場合もあり、すべての工程に対応しているとは限らない。
漫画制作に必要な基本アイテム
まずは、漫画制作の工程に沿って道具を整理しておこう。
1.Gペン・丸ペン・ペン軸
Gペンは線の太さに強弱をつけやすく、人物の輪郭や主線に向いている。丸ペンは細く繊細な線が得意で、髪の毛や背景、細部の描写に適している。
ペン軸は、ペン先を取り付けて使用する持ち手だ。ペン先は消耗品なので、予備も用意しておくと安心だ。
2.漫画用インク
Gペンや丸ペンに付けて線を描くための黒インク。耐水性タイプなら、乾燥後のにじみを抑えやすく、白インクは修正やハイライトにも使える。
3.漫画原稿用紙
コマ割りや仕上がり範囲を示すガイド線が印刷された専用用紙。一般的なコピー用紙とは異なり、ペン入れや消しゴムの使用を想定して作られている。
4.スクリーントーン
白黒漫画にグレーや模様、陰影を加えるためのシート。カッターで必要な形に切り、原稿に貼り付けて使用する。
5.その他の補助道具
- 雲形定規:曲線や複雑な背景を描く。
- 面相筆:細かなベタ塗りや修正に使う。
- トーンヘラ:スクリーントーンを原稿に圧着する。
- トーンナイフ:トーンの切り抜きや加工に使う。
- 練り消しゴム:下書きの調整や細かな清掃に使う。
- カッティングマット:原稿を傷つけずにトーンを切るための下敷き。
最初からすべてを購入する必要はない。人物の線画を描く段階なら、ペン先・ペン軸・黒インク・原稿用紙があれば始められる。
【2026年最新】マクソン・アイシー・デリーターの漫画家セットを価格比較
2026年に選ぶなら、メーカーの公式販売情報を基準に比較したい。
今回注目するのは、ホルベインが取り扱うマクソン、G-Tooのアイシー、デリーターの3ブランドだ。
主要商品の価格とセット内容一覧
以下は2026年11月時点で確認できるメーカー掲載価格(税込)を基準にした比較だ。販売店による割引や送料は別途変動する。
価格・内容の根拠は、ホルベイン公式オンラインショップ、アイシー公式製品情報、デリーター公式通販の商品掲載情報による。マクソンのPB-1と入門セットは別商品である点にも注意したい。
① マクソン コミックツールセット PB-1
2,365円
メーカー公式掲載価格・税込
マクソンのPB-1は、漫画制作に使うペンと筆をまとめたコンパクトな商品だ。
内容は次のとおり。
- サジペン・Gペン・丸ペン各1本
- ペン軸T-25・1本
- コミックペンNo.1・1本
- コミックペンNo.2・1本
- コミック筆(面相・彩色)各1本
価格は2,365円(税込)。
注目したいのは、3種類のペン先を試せることだ。自分に合った線の描き方を探すには適している。
ただし、PB-1には漫画原稿用紙や漫画用インク、スクリーントーンは含まれない。
つまり、これだけ購入すれば漫画を一冊完成できるという商品ではない。すでに紙やインクを持っている人、ペンの練習を始めたい人に向いている。
② マクソン コミック入門セット ST・DX2
PB-1よりも広い工程をカバーしたいなら、コミック入門セットが候補になる。
ST(6,270円)には、耐水ブラック・ホワイトインク、ペン先3本、ペン軸、コミックペン、面相筆、A4原稿用紙10枚、コミックパターン8種類、入門書などが入っている。
枠線、ペン入れ、ベタ塗り、トーン貼りまで一通り体験できる構成だ。
一方、DX2(9,680円)はSTをさらに充実させた上位セット。
- コミックペンNo.3
- デザインカッター
- ロットリング雲形定規セット
- A4ネームノート
- 製図用ブラシ
などが追加される。
曲線の描写や細かなトーン加工、ネーム作りまで取り組みたい人に向いている。
ホルベイン公式の商品情報では、STが6,270円、DX2が9,680円(税込)。販売店では割引価格で掲載される場合もある。
③ アイシー まんがアトリエBOX PRO
9,680円
メーカー公式掲載価格・税込
今回の比較で特に注目したい商品だ。
アイシーは、株式会社G-Tooが展開する漫画画材ブランド。スクリーントーンや漫画原稿用紙、ペン先、インクなど、アナログ漫画制作に必要な製品を幅広く扱っている。
まんがアトリエBOX PROは、2025年12月6日に発売されたスターターキットで、従来の「アイシーまんが工房PRO」の後継商品にあたる。
主な内容は以下のとおり。
- アイシー漫画原稿用紙110kg・A4(40枚)
- まんがLesson
- お手本セット4枚
- つけペン先2本
- つけペン軸
- アイシープロギアスクリーンツール
- トーンイレイサー
- 練り消しゴム
- ミニデッサン人形
- 雲形定規
- サムネイルノート
- プレミアムブラック(黒インク)
- プレミアムホワイト(白インク)
- 細筆
- アイシーデュアルコアBM
- アイシースクリーンB5サイズ8枚・14柄
メーカーは24点の画材を厳選したセットとして紹介している。
特筆すべきは、画材だけでなく漫画制作の教材やお手本まで付いていること。何から始めればよいか分からない初心者でも、道具の使い方を確認しながら作業できる。
A4原稿用紙が40枚入っている点も魅力だ。練習を重ねたい人にとって、紙の枚数は意外と重要になる。
④ デリーター まんがツールDX
7,370円
メーカー公式掲載価格・税込
デリーターの特徴は、単に画材を詰め合わせるだけでなく、漫画を完成させるまでの流れを学べる構成にあることだ。
公式通販の商品情報によると、主な内容は次のとおり。
- コピー本の作り方小冊子
- 練習用線画原稿4枚
- 練習用線画原稿サンプル
- Jrスクリーン5枚
- トーンヘラ
- トーンナイフ
- ネオピコライン0.05mm
- 漫画原稿用紙A4メモリ付き6枚
- ネオピコ2ブラック
- マンガテクニックVol.5
- お試しペンセット
- ブラックインク
- ホワイトインク
- 面相筆
- A4カッティングマット
特に、練習用線画原稿と完成見本が付いている点が特徴的だ。
トーンをどこに貼るか、どのように切るか、どう仕上げるかを実際に手を動かしながら学べる。
また、コピー本の作り方を紹介する小冊子も付属するため、原稿を描くだけでなく、作品を本にするところまで興味がある人にも適している。
【画材選びの基本】Gペン・丸ペン・インク・原稿用紙・トーンの違い
セットの価格だけで判断すると、購入後に使わない道具が出たり、反対に必要なものが不足したりする。
ここでは、実際の制作に直結する5つのポイントを整理する。
Gペンと丸ペンはどちらを選ぶ?
Gペンと丸ペンは、どちらもつけペンの代表的なペン先だが、得意な表現が違う。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Gペン | 太さの強弱をつけやすい | 人物の輪郭・主線 |
| 丸ペン | 細く繊細な線を描ける | 髪・背景・細部 |
| サジペン | 比較的均一な線が得意 | 安定した線画 |
アイシーの画材解説でも、Gペンは力強い主線、丸ペンは細かな描写に適したペン先として紹介されている。
初めてつけペンを使うなら、Gペンから練習する方法が分かりやすい。
ただし、Gペンだけで漫画を描くこともできる。最初からすべての種類を使いこなそうとする必要はない。
漫画用インクは黒と白の両方が必要?
基本となるのは黒インクだ。
ペン入れやベタ塗りに使用し、耐水性のものを選ぶと、乾燥後の作業でインクがにじみにくい。
白インクは修正やハイライト、光の表現などに使う。
初心者の場合、まず黒インクを用意し、必要に応じて白インクを追加すればよい。セットに両方入っているなら、後から買い足す手間を減らせる。
漫画原稿用紙はA4とB4のどちらがいい?
これは制作目的によって選ぶ。
アイシー公式の案内では、A4は個人制作やB5サイズの同人誌向け、B4は商業誌や出版社への投稿向けとして説明されている。
- A4: 同人誌や個人制作を始めたい人
- B4: 商業誌への投稿やプロ仕様の制作を目指す人
ただし、投稿先によって指定サイズが異なる場合がある。出版社の応募要項を先に確認してから購入するのが確実だ。
紙の厚さにも違いがある。
アイシーの公式情報では、110kgは比較的薄く、筆圧が強い人やトレース作業が多い人に向いている。135kgは厚めで、筆圧が弱い人やスクリーントーンを多く貼る人に適している。
スクリーントーンは最初から必要?
スクリーントーンは、白黒漫画に陰影や質感を加えるための道具だ。
代表的な用途は以下のとおり。
- 肌や服の影
- 空や背景のグラデーション
- 髪の質感
- 集中線や効果表現
- 柄や装飾
貼り方は、必要な範囲にトーンを重ね、カッターで余分な部分を切り、上からこすって定着させるのが基本だ。
集英社の「りぼん」公式漫画講座でも、細かいトーンはよく切れるカッターで処理し、薄い紙を当ててこする方法が紹介されている。
ただし、トーンは必須ではない。まずは人物の線画やコマ割りを練習し、必要になった段階で購入しても遅くない。
【初心者におすすめ】目的別に選ぶ漫画家セット4選
比較した商品は、それぞれ得意分野が違う。購入する人の目的から考えると、選びやすくなる。
1. まずペンの使い方を覚えたい人
2,365円
ペン先3種類とペン軸、筆がそろう。紙やインクを別に用意できる人におすすめ。
2. 初めて漫画の基本工程を体験したい人
6,270円
入門書、インク、原稿用紙、トーンがそろう。価格と内容のバランスを重視する人に向いている。
3. 教材を見ながら本格的に練習したい人
9,680円
原稿用紙40枚と教材、お手本、インク、トーンが充実。長く練習したい人におすすめ。
4. トーン加工やコピー本まで練習したい人
7,370円
練習用原稿やトーン加工用品、コピー本の教材が魅力。完成までの流れを学びたい人向け。
価格だけならマクソン、充実度ならアイシー
2,365円のPB-1は安価だが、紙とインクを別に購入する必要がある。
そのため、初めて画材を一式そろえる人は、単純に最安値だけを見ない方がよい。
最初から漫画制作を一通り体験したいなら、マクソンSTが候補になる。
一方、教材や練習用原稿の充実度を重視するなら、アイシーBOX PROやデリーターDXも検討したい。
プレゼントとして購入する場合も、相手が画材を持っているかどうかが判断の分かれ目になる。 すでに道具を持っている人にはPB-1、初めて漫画に挑戦する人には一式型のセットが選びやすい。
【購入後に後悔しない】漫画家セットに追加したい道具と費用
漫画家セットを購入しても、実際の制作では追加の道具が必要になることがある。
特に、セットによっては鉛筆や消しゴム、長い定規などが含まれていない。
最初に買い足したい基本用品
優先順位を付けるなら次のとおり。
| 道具 | 使用目的 | 優先度 |
|---|---|---|
| 鉛筆・シャープペン | 下書き・ネーム | 必須 |
| 消しゴム | 下書きの修正 | 必須 |
| 30cm程度の定規 | コマ割り・直線 | 高い |
| カッター | トーンの加工 | トーン使用時 |
| カッティングマット | 原稿や机の保護 | トーン使用時 |
| 水入れ | ペン先・筆の洗浄 | 高い |
| 予備ペン先 | 消耗時の交換 | 高い |
特に注意したいのは、ペン先の消耗だ。
つけペンは使い続けると描き心地が変わるため、予備を持っておくと制作を中断しにくい。
また、ペン先を洗う水入れや、作業中に原稿を汚さないための紙も用意しておきたい。
セット購入と単品購入はどちらがお得?
初めて漫画を描く人にはセット購入が便利だが、すでに画材を持っている人は単品購入の方が経済的な場合もある。
例えば、原稿用紙や黒インクをすでに持っている人がPB-1を追加すれば、必要なペンと筆だけを補充できる。
反対に、何も持っていない状態から単品でそろえると、ペン軸やインク、原稿用紙、トーンなどを一つずつ選ぶ手間が発生する。
購入前には、セット内容を確認し、自分がすでに所有している道具と重複しないかチェックしたい。
【プロの結論】漫画家セット選びで本当に重要なのは道具の数ではない
漫画家セットの比較で見落とされがちなのが、収録点数と実際の制作効率は必ずしも一致しないという点だ。
24点入りの商品が、すべての初心者にとって最適とは限らない。逆に、ペン先と筆だけのシンプルなセットでも、必要な画材を別に持っていれば十分に活用できる。
選ぶ際に重視したいのは、次の3点だ。
第一に、どの工程まで対応できるか。
ペン入れだけを練習するならPB-1でもよい。しかし、トーン貼りや原稿の完成まで体験したいなら、STやBOX PRO、デリーターDXのようなセットが適している。
第二に、教材が必要かどうか。
画材を使い慣れている人に教材は必須ではない。一方、初めてつけペンを持つ人には、説明書やお手本があるだけで作業のハードルが下がる。
第三に、今後どのような漫画を描きたいか。
同人誌を作りたいのか、漫画雑誌に投稿したいのか、趣味としてイラストを描きたいのかによって必要な道具は異なる。
原稿用紙のサイズだけでも、個人制作向けのA4と投稿向けのB4で違いがある。最初に制作目的を決めておくと、余計な出費を抑えられる。
また、アナログ漫画制作にこだわらない人は、デジタル作画も選択肢になる。デジタルではペンやインク、物理的なスクリーントーンをすべて購入する必要はない。
ただし、つけペンの筆圧やインクの質感、トーンを切り貼りする作業は、アナログならではの経験だ。
最初の一作を手描きで完成させたい人には、漫画家セットを使う価値がある。
【漫画家セットに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:漫画家セットは初心者でも使えますか?
A1:使える。特にアイシーまんがアトリエBOX PROやマクソンのコミック入門セットには教材や基本画材が含まれており、道具の使い方を覚えながら練習できる。初めてなら、ペン先だけのPB-1よりも一式型の商品が分かりやすい。
Q2:漫画家セットの価格はいくらくらいですか?
A2:今回比較した商品では2,365円から9,680円(税込)。ペンと筆だけなら2,000円台、本格的なスターターキットなら7,000~10,000円程度が目安になる。販売店の割引や送料によって実際の購入金額は変わる。
Q3:漫画家セットにGペンや丸ペンは入っていますか?
A3:商品によって異なる。マクソンPB-1にはGペン・丸ペン・サジペンが含まれる。一方、アイシーBOX PROは公式の商品一覧でつけペン先2本と案内されているため、個別のペン先の種類は購入前に確認したい。
Q4:漫画原稿用紙はA4とB4のどちらが必要ですか?
A4は個人制作や同人誌向け、B4は商業誌や投稿向けが基本。投稿先の応募規定が優先されるため、出版社の指定を確認して選ぶのがよい。
Q5:スクリーントーンが入っていないセットでも漫画は描けますか?
A5:描ける。トーンは陰影や模様を表現するための道具であり、漫画制作の絶対条件ではない。最初は線画やベタ塗りを練習し、必要に応じて追加すればよい。
まとめ:漫画家セット2026年最新情報から選ぶ失敗しない購入方法
2026年の漫画家セットは、価格の安いペン・筆中心の商品から、教材や原稿用紙、スクリーントーンまで含む本格的な商品まで幅広い。
今回の比較を整理すると、次のようになる。
- 安くペンをそろえたい: マクソン コミックツールセット PB-1
- 初めて漫画制作を体験したい: マクソン コミック入門セット ST
- 教材と画材を充実させたい: アイシー まんがアトリエBOX PRO
- トーン加工やコピー本制作を学びたい: デリーター まんがツールDX
- さらに多くの道具をそろえたい: マクソン DX2
最も大切なのは、価格や収録点数だけで決めないことだ。
Gペンや丸ペンを使って線を描く練習から始めるのか、原稿用紙にコマを割って一作品を完成させたいのか。その目的によって、必要なセットは変わってくる。
初めて漫画に挑戦するなら、最初から高価な画材を大量に購入する必要はない。必要な道具を使いこなし、自分の描きたい作品に合わせて少しずつ画材を増やしていく方が、結果的に無駄のない買い物になる。
漫画家セットは、漫画家になるための完成品ではなく、自分の作品を描き始めるためのスタート地点。 2026年の最新商品を比較し、自分の制作スタイルに合う一箱を選びたい。