「お前はまだ群馬を知らない」は、群馬県独特の文化や風習、食べ物、郷土愛を圧倒的な熱量とユーモアで描いた人気ご当地コメディ作品だ。漫画家・井田ヒロトによる原作漫画を出発点に、2017年には間宮祥太朗主演でテレビドラマ化・映画化、2018年にはテレビアニメ化され、そして2026年には新たなアニメ作品「お前はまだグンマを知らない~令和版~」として復活した。
2026年版は、1月10日に鉄道チャンネルで放送を開始し、3月14日に全12話の放送を終えている。梶原岳人、笠間淳、内田彩、小倉唯らが声優として参加したほか、群馬県との公式連携や山本一太知事の声の出演も実現した。原作のあらすじから歴代の映像化、放送日、配信先、ライトアニメの制作背景まで、2026年10月現在の情報を整理する。
【作品の正体】「お前はまだ群馬を知らない」はどんな作品?

まず押さえておきたいのは、作品の正式タイトルだ。検索では「お前はまだ群馬を知らない」と漢字で入力されることが多いが、原作漫画や映像作品の正式名称は「お前はまだグンマを知らない」。群馬をカタカナの「グンマ」と表現すること自体が、この作品の独特な世界観を象徴している。
群馬に引っ越した高校生が主人公のご当地コメディ
物語の中心人物は、チバ県からグンマ県へ引っ越すことになった高校生・神月紀(かみつき・のり)。引っ越し先へ向かう途中、グンマ在住の親友・轟に連絡すると、彼からグンマに近づくことへの不穏な忠告を受ける。
神月が実際にグンマへ足を踏み入れると、そこには独特の文化、地元への強烈な愛着、他県の人間には理解しにくい習慣が待ち受けていた。
加えて、学校のクラスメイトたちも個性が強烈。グンマを愛する轟や篠岡京らに振り回されながら、神月は次々と地域の常識を学んでいく。
作品の笑いを生み出しているのは、実際の群馬県の特色を極端に誇張する演出だ。北関東のライバル関係、海のない地理的特徴、上毛かるた、郷土料理、温泉文化など、地元に関係する題材が次々に登場する。
単なる群馬県の観光PRではない
本作の魅力は、群馬県の魅力を紹介するだけでなく、地元の人々が共有する価値観や、地域への愛着そのものを笑いに変えているところにある。
県外の人にとっては知らない文化を発見するきっかけになり、群馬県に縁のある人にとっては、自分たちの生活習慣を客観的に眺める面白さがある。
そのため、群馬県を知らなくても楽しめる一方、土地勘や地域文化を知っているほど細かなネタに気づきやすい。ご当地作品でありながら、青春コメディとしても成立している点が長く支持されてきた理由だ。
【原作漫画のあらすじ】井田ヒロトが描くグンマの世界
原作漫画の作者は井田ヒロト。新潮社のウェブコミック配信サイト「くらげバンチ」で連載され、2019年に本編が完結した。
井田ヒロトは神奈川県出身で、群馬県高崎市在住。群馬県で生活する作者自身の視点が、作品に登場する地域ネタの細かさや、地元文化への愛情につながっている。
物語の始まりはチバ県からグンマ県への引っ越し
主人公の神月紀は、親の転勤によってチバ県からグンマ県へ引っ越すことになる。引っ越し先についてインターネットで調べたところ、グンマは普通の人間が簡単に立ち入れないような謎の土地として紹介されていた。
不安を抱えながら現地へ向かった神月を待っていたのは、想像を超える独特な学校生活だった。
特に印象的なのが、グンマの常識を知らない神月と、グンマへの愛情が強すぎる周囲の人間との温度差である。本人に悪意がなくても、何気ない発言が地元の人々の逆鱗に触れてしまう。
さらに篠岡京への恋心や、トチギ県・イバラキ県との対立などが絡み、物語は単なる学校コメディから、北関東を巻き込む大きな騒動へと発展していく。
単行本は全11巻で完結
原作漫画は2013年から2019年にかけて展開され、2019年5月31日公開の第154話で本編が完結。同年9月9日には最終11巻が発売された。
単行本には、群馬県の名所や文化、食べ物などを題材にしたエピソードが多数収録されている。
例えば、第2巻では高崎白衣大観音や富岡製糸場、第3巻では草津温泉の伝統的な入浴文化、第8巻では伊香保温泉の石段街などが題材になっている。
物語の舞台が広がるにつれ、群馬県の観光名所や歴史、地域ごとの特色も作品に取り込まれていく。漫画を読み進めることが、結果的に群馬県の地域文化を知る体験にもなっている。
なお、原作を読むなら最初の1巻からがおすすめだ。神月の視点でグンマの世界を知るという作品の基本構造を理解でき、その後の地域ネタやキャラクター同士の関係も楽しみやすい。
【映像化の歴史】2017年の実写ドラマ・劇場版と2018年アニメを比較
「お前はまだグンマを知らない」は、原作漫画の人気を背景に、2017年から複数の映像作品へと展開してきた。
実写版では間宮祥太朗が主人公・神月紀を演じ、2018年のアニメでは梶原岳人が声を担当。2026年の令和版にも、2018年版から続投する声優がいる。
それぞれの作品は、同じ原作を土台にしながらも、表現方法やキャスト、制作体制が異なる。
| 時期 | 作品・出来事 | 主な出演者・特徴 |
|---|---|---|
| 2013年~2019年 | 原作漫画の連載 | 井田ヒロト。全11巻で完結 |
| 2017年3月 | テレビドラマ | 間宮祥太朗、吉村界人、馬場ふみからが出演。全4話 |
| 2017年7月 | 劇場版 | 間宮祥太朗主演。7月15日群馬先行公開、7月22日全国公開。上映時間89分 |
| 2018年4月 | テレビアニメ | 梶原岳人、笠間淳、内田彩。制作は旭プロダクション |
| 2026年1月~3月 | お前はまだグンマを知らない~令和版~ | 梶原岳人、笠間淳、内田彩、小倉唯、魚建。全12話 |
2017年の実写ドラマは間宮祥太朗主演
2017年3月、日本テレビで関東ローカルの深夜ドラマとして放送された。主人公の神月紀を演じたのは間宮祥太朗。轟一矢役は吉村界人、篠岡京役は馬場ふみかが担当した。
そのほか、入江甚儀、加治将樹、山本博(ロバート)、ほんこん、椿鬼奴らも出演。個性的な登場人物によって、原作のハイテンションな世界観を実写で表現した。
監督は水野格、脚本は樫田正剛。日本テレビの公式作品紹介では、原作をベースにしたオリジナルストーリーとして位置づけられている。
2017年7月には劇場版が全国公開
テレビドラマに続いて制作された劇場版は、2017年7月15日に群馬県内で先行公開され、7月22日から全国公開された。
上映時間は89分。テレビドラマと同じく間宮祥太朗が神月紀を演じ、吉村界人、馬場ふみか、入江甚儀、加治将樹らが出演した。
映画版では、群馬の強烈なからっ風や、海がないことをめぐる騒動などが描かれる。加えて、群馬県にゆかりのあるタレントや芸人も特別出演している。
主題歌とエンディング曲は、群馬県出身のバンドG-FREAK FACTORYが担当した。
2018年のテレビアニメは声優陣による新たな展開
2018年4月には、旭プロダクション制作によるテレビアニメが放送された。
主要キャストは、神月役の梶原岳人、轟役の笠間淳、篠岡京役の内田彩。監督・シリーズ構成はまんきゅうが担当した。
群馬テレビでは2018年4月2日から放送が始まり、GYAO!でも同日から配信。アニマックスでは4月7日から放送された。
この2018年版は、2026年版とは別のアニメ化作品である。令和版は2018年版の単純な続編ではなく、原作を改めて映像化したリメイク作品として理解すると分かりやすい。
【群馬あるあるの正体】上毛かるた・温泉・からっ風が作品を面白くする
本作を語るうえで欠かせないのが、群馬県の地域文化を象徴する「群馬あるある」だ。
作品には、群馬県民なら親しみを感じる題材が数多く登場する。一方、県外の人には初めて聞くような文化もあり、その認識の違いがコメディの面白さを生み出している。
上毛かるたは群馬県民の郷土意識を象徴する存在
上毛かるたは、群馬県の歴史や名所、偉人、特産品などを題材にした郷土かるた。誕生したのは1947年12月で、戦後間もない時期に子どもたちへ希望を届けたいという思いから制作された。
群馬県公式資料によると、読札の題材は公募で集められ、18人の編纂委員によってまとめられた。長年にわたり地域の文化として受け継がれ、世代を超えて共有されてきた。
つまり、上毛かるたは単なる遊び道具ではない。群馬県の歴史や地理を学ぶ教材であり、地域への愛着を育てる文化的な存在でもある。
2026年版アニメのエンディング主題歌が、出口雅之の「上毛かるた~令和版」になったことも象徴的だ。上毛かるたを作品の演出に取り込むことで、地域文化とアニメの結びつきを強めている。
作品で取り上げられる代表的な群馬ネタ
- 上毛かるた:群馬県の歴史や名所を題材にした郷土文化。
- からっ風:冬の群馬を象徴する強い乾燥した風。実写映画でも登校時の騒動として描かれた。
- 焼きまんじゅう:群馬県を代表するご当地グルメの一つ。
- 草津温泉:伝統的な入浴文化や温泉地としての歴史が作品の題材になる。
- 伊香保温泉:石段街など、群馬県を代表する観光地が登場する。
- 富岡製糸場:群馬県の近代産業史を象徴する世界遺産として取り上げられる。
- 北関東のライバル関係:トチギ県やイバラキ県との対立をコミカルに描く。
ここで注意したいのは、作品に登場する設定がすべて現実の群馬県民の行動や考え方を表しているわけではないという点だ。
例えば、群馬県に海がないことは地理的な事実だが、それをめぐる登場人物の反応はコメディとして大きく誇張されている。地域文化の紹介とフィクションとしての演出を区別することで、作品をより楽しめる。
【2026年令和版】放送日・声優・配信先を完全整理
2026年に復活した「お前はまだグンマを知らない~令和版~」は、原作漫画をライトアニメの手法でリメイクした作品だ。
公式サイトは2025年10月28日に公開され、2026年1月10日に鉄道チャンネルで放送がスタートした。
放送日は2026年1月10日、全12話で完結
テレビ放送は鉄道チャンネルで、2026年1月10日(土)21時30分から開始された。
配信では、dアニメストアが1月10日(土)22時から毎週土曜日に最速先行配信。その他の配信サービスでは1月15日(木)から順次配信された。
最終的には全12話の構成となり、2026年3月14日には鉄道チャンネルで第9話から第12話までが放送された。したがって、2026年10月現在は放送開始前の新作ではなく、すでに放送を終えた作品である。
2026年版の声優一覧
- 神月紀:梶原岳人
- 轟二矢:笠間淳
- 篠岡京:内田彩
- 家城瑛南:小倉唯
- ナレーション:魚建
注目したいのは、2018年版から梶原岳人、笠間淳、内田彩の3人が続投していることだ。
同じキャラクターを再び演じることで、以前のアニメを知る視聴者にとっては懐かしさを感じられる。一方、小倉唯が演じる家城瑛南や魚建によるナレーションなど、新たな要素も加わっている。
また、2026年版では第11話に登場する吉田松陰を阿座上洋平が担当したことも、制作側の公式発信で紹介された。
2026年版の配信先一覧
公式サイトが発表した配信プラットフォームは以下のとおり。
- dアニメストア
- Prime Video
- U-NEXT
- AnimeFesta
- DMM TV
- FOD
- HAPPY!動画
- アニメ放題
- ニコニコ
- バンダイチャンネル
最速先行配信はdアニメストアで、その他のサービスは2026年1月15日から順次展開された。
2026年10月時点で視聴を検討する場合は、当初の配信発表と現在の各サービスの作品ページを区別したい。配信ラインアップや見放題・レンタルの区分は変更される可能性があるため、契約前に各サービスで全12話の配信状況を確認するのが確実だ。
エンディング主題歌は出口雅之の「上毛かるた~令和版」
令和版のエンディング主題歌は、出口雅之が歌う「上毛かるた~令和版」。作詞・作曲も出口雅之が担当している。
作品の舞台である群馬県の文化を音楽に取り入れた楽曲で、上毛かるたという地域の象徴をアニメのエンディングに結びつけている。
監督・シリーズ構成を務める畳谷哲也も、群馬県の情報を詰め込んだガイドブック的なアニメーションとして本作を紹介している。ストーリーだけでなく、地域を知るための映像作品としての側面も持っている。
【群馬県との連携とライトアニメ】令和版が新しい理由
2026年版で特に注目すべきなのは、アニメの制作手法と群馬県との公式連携だ。
過去の映像化が原作の人気を背景にしたエンターテインメント展開だったのに対し、令和版では地域の魅力発信という行政の取り組みも加わっている。
群馬県が公式に作品と連携
群馬県は2026年3月12日、メディアプロモーション課を通じて、本作と県事業の連携について報道発表した。
県が公表した主な取り組みは次の4つだ。
- 県民の日カウントダウンPR:群馬県の魅力を発信する広報活動。
- 上毛かるたPR:郷土文化を紹介する取り組みや関連イベントの開催。
- 公式YouTubeとの連携:群馬県公式チャンネル「tsulunos」を活用した情報発信。
- アニメ制作への協力:山本一太群馬県知事が声の出演を担当。
特に話題となったのが、山本一太知事の声の出演だ。群馬県の発表によれば、知事がアニメ作品に声で出演するのは初めての取り組みで、収録の様子も県公式YouTubeチャンネルで公開するとされた。
知事の声は2026年3月14日に配信予定とされた最終回に登場する。行政のトップが地域を題材にしたアニメへ参加するという点で、通常の作品タイアップとは異なる取り組みになった。
制作会社Imagica InfosとDNPが推進するライトアニメ
令和版のアニメーション制作は、Imagica InfosとImageworks Studioが担当している。
ここで重要なのが「ライトアニメ」という制作手法だ。これは大日本印刷(DNP)が開発した映像制作手法で、従来のように大量の新規作画を制作するのではなく、漫画原稿を直接活用して映像へ変換することを特徴としている。
漫画の絵をベースに動きや演出、音声などを加えることで、従来のアニメ制作と比較して制作期間やコストを抑えながら映像作品を生み出す仕組みだ。
DNPは2022年8月にライトアニメ事業の提供を開始。2023年12月にはImagica Infosと覚書を締結し、ライトアニメ事業の推進で協業している。
この事業の取り組みを展開するプロジェクトがAnimationIDである。DNPが映像制作手法とビジネススキームを開発し、Imagica Infosが出版・映像制作の知見を生かして協業する体制になっている。
ライトアニメは通常のテレビアニメと何が違う?
一般的なテレビアニメでは、キャラクターの動きや背景などを新たに作画する工程が大きな割合を占める。ライトアニメでは、既存の漫画原稿を映像制作の素材として活用する点が大きく異なる。
この方式には、次のような特徴がある。
- 原作漫画の絵柄や世界観を生かしやすい。
- 新規作画の工程を抑えられる。
- 制作期間やコストの圧縮につながる。
- これまで映像化が難しかった漫画作品にも展開の機会が生まれる。
一方、従来型のアニメーションとは映像表現の方向性が異なるため、全編が滑らかな新規作画で描かれる作品を期待すると、印象が違う可能性もある。
本作の場合は、井田ヒロトの原作漫画が持つ独特なキャラクター表現やテンポを生かしながら、声優の演技と映像演出によって再構成されている。原作ファンにとっては、漫画の魅力がどのように映像へ置き換えられているかも見どころになる。
【よくある質問】お前はまだ群馬を知らないに関するFAQ
Q1:お前はまだ群馬を知らないの原作漫画は何巻まである?
A1:井田ヒロトによる原作漫画は全11巻。2019年9月9日に最終巻が発売され、本編は完結している。新潮社のバンチコミックスから刊行された。
Q2:2026年の令和版アニメはいつ放送された?
A2:2026年1月10日(土)21時30分から鉄道チャンネルで放送開始。全12話で、3月14日に最終4話の放送が行われた。
Q3:2026年版の声優は誰?
A3:神月紀役が梶原岳人、轟二矢役が笠間淳、篠岡京役が内田彩、家城瑛南役が小倉唯、ナレーションが魚建。第11話の吉田松陰役は阿座上洋平が担当した。
Q4:令和版アニメはどこで見られる?
A4:公式発表の配信先はdアニメストア、Prime Video、U-NEXT、AnimeFesta、DMM TV、FOD、HAPPY!動画、アニメ放題、ニコニコ、バンダイチャンネル。現在の配信状況は各サービスで確認したい。
Q5:2017年の実写版と2026年の令和版は同じ内容?
A5:どちらも井田ヒロトの原作を基にしているが、2017年版は間宮祥太朗主演の実写ドラマ・映画、2026年版はライトアニメによるアニメ作品。映像表現やキャスト、構成が異なる。
Q6:群馬県知事もアニメに出演している?
A6:出演している。群馬県の公式発表によると、山本一太知事が令和版の最終回に声で出演した。県の魅力発信や上毛かるたのPRなど、作品と県事業の連携も行われた。
まとめ:お前はまだ群馬を知らないは原作から令和版まで楽しめるご当地作品
「お前はまだ群馬を知らない」は、井田ヒロトが描く群馬県の文化や郷土愛を題材にしたコメディ漫画を原作とする作品だ。
2017年には間宮祥太朗主演の実写ドラマと劇場版が制作され、2018年には梶原岳人、笠間淳、内田彩らが出演するテレビアニメが登場。そして2026年には、Imagica InfosとImageworks Studioによるライトアニメ作品として令和版が復活した。
令和版は1月10日から3月14日まで展開された全12話の作品で、上毛かるたや温泉、群馬グルメ、からっ風など、地域の特色を幅広く取り上げている。さらに群馬県との公式連携や知事の声の出演など、地域振興とエンターテインメントが結びついた点も特徴的だ。
作品を楽しむなら、次の3つの視点を意識するとよい。
- 原作重視:井田ヒロトの漫画を1巻から読み、キャラクターと群馬ネタの原点を知る。
- 映像作品重視:2017年の実写版、2018年のアニメ、2026年の令和版を見比べる。
- 地域文化重視:上毛かるたや群馬県の観光・食文化を調べながら視聴する。
なお、2026年10月31日時点で、続編や第2期の正式決定は公式発表で確認できない。今後の新展開については、AnimationIDの公式発表や群馬県の報道資料が情報源になる。
グンマを知らない人には新鮮な発見を、群馬県を知っている人には地元ならではの笑いを届ける「おまグン」。その魅力は、地域を大げさに描くユーモアの奥に、群馬という土地への深い愛情が込められているところにある。