今回の大会で日本国内の放送・配信を支えたのは、NHK、日本テレビ系列、フジテレビ系列、DAZNの4つの主要事業者だ。
放送権の取得・国内展開では電通がFIFAワールドカップ2026の国内放送権を取得し、テレビ放送や動画配信など複数の視聴手段を整えた。地上波だけで全104試合を網羅する方式ではなく、テレビ局が注目カードを分担し、DAZNが全試合をカバーする構造となった。
ここで注意したいのが、NHKの地上波放送数だ。当初の発表・報道では33試合とされていたが、2026年6月8日のNHKによる大会直前の正式発表では、1次リーグ19試合と決勝トーナメント15試合を合わせた34試合に整理されている。
つまり、NHK33試合という数字は初期情報であり、最終的な放送計画を確認する際には34試合を基準にする必要がある。検索結果や過去の記事に33試合と34試合の両方が残っている理由も、この発表時期の違いにある。
【テレビ局別の放送実績】NHK34試合・日テレ15試合・フジ10試合の内訳

各局の役割を整理すると、NHKは開幕戦や決勝、日本代表戦を含む幅広い試合を担当。日本テレビはグループステージと決勝トーナメント、フジテレビは強豪国の対戦や日本代表の決勝トーナメント初戦などを担当した。
NHK総合:開幕戦・決勝を含む34試合
NHK総合は、グループステージ19試合と決勝トーナメント15試合の合計34試合を生中継した。
開幕戦のメキシコ対南アフリカ、日本対オランダ、日本対スウェーデンなどを放送。さらに大会終盤の準決勝や決勝も中継対象となった。
日本代表については、グループステージの3試合を地上波とBSでカバー。第1戦と第3戦をNHK総合、第2戦をNHK BSで放送した。
NHK BS:日本代表戦を補完する衛星放送
NHK BSは、日本代表のグループステージ第2戦となったチュニジア戦を生中継した。また、日本代表が決勝トーナメントに進出した場合のラウンド32もBSで放送する計画だった。
地上波のNHK総合とは別のチャンネルであるため、テレビ番組表を確認するときは「NHK総合」と「NHK BS」を区別する必要がある。
NHK BSプレミアム4K:全104試合を放送
特に注目されたのがNHK BSプレミアム4K(BSP4K)だ。
同チャンネルは大会全104試合を、生中継と録画放送を組み合わせて放送した。NHK総合で生中継する34試合については、BSP4Kでも同時生中継となった。
したがって、BSP4Kなら全104試合の映像を放送で楽しめる一方、すべての試合をリアルタイムで見られるわけではない。全試合のライブ視聴という点ではDAZNとの違いが明確だ。
日本テレビ系列:日本代表戦を含む15試合
日本テレビ系列は、グループステージの日本代表対チュニジアを含む計15試合を生中継した。
内訳はグループステージ9試合、決勝トーナメント6試合。日本テレビがFIFAワールドカップの中継を担当するのは、2018年ロシア大会以来、2大会ぶりとなった。
日本代表の試合だけでなく、ドイツやスペインなど世界の強豪国が登場するカードも編成され、幅広いサッカーファンを意識した構成となった。
フジテレビ系列:7大会連続の中継で10試合
フジテレビ系列は、計10試合を生中継した。内訳はグループステージ5試合、決勝トーナメント5試合だ。
グループステージではフランス対セネガル、ポルトガル対コンゴ民主共和国、スコットランド対モロッコなどを放送した。
また、日本代表がグループステージを突破した場合には、決勝トーナメント1回戦をフジテレビ系列で中継する計画が組まれていた。実際に日本はラウンド32へ進出し、6月30日のブラジル戦が放送された。
フジテレビは2002年日韓大会以降、7大会連続でのワールドカップ中継となった。
【日本代表戦の放送日程】オランダ・チュニジア・スウェーデン戦はどこで見られた?
日本代表のグループFには、オランダ、チュニジア、スウェーデンが入った。グループステージの3試合はすべて日本国内のテレビ放送とDAZNの配信対象となった。
さらに日本は決勝トーナメントへ進出。ラウンド32ではフジテレビとNHK BSが中継を担当した。以下は日本時間で整理した実際の試合日程と放送局だ。
グループステージの3試合
- 6月15日(月)午前5時:日本対オランダ
- テレビ:NHK総合
- ネット:DAZN
- 試合結果:2-2
- 6月21日(日)午後1時:日本対チュニジア
- テレビ:日本テレビ、NHK BS
- ネット:DAZN
- 試合結果:4-0
- 6月26日(金)午前8時:日本対スウェーデン
- テレビ:NHK総合
- ネット:DAZN
- 試合結果:1-1
日本代表のグループステージ3試合は、NHK総合が2試合、日本テレビが1試合を担当し、NHK BSでもチュニジア戦が放送された。DAZNでは3試合すべてがライブ配信された。
決勝トーナメント・ラウンド32
グループステージを突破した日本代表は、6月30日(火)午前2時からブラジルと対戦した。
- 対戦カード:日本対ブラジル
- 放送日時:6月30日(火)午前2時(日本時間)
- テレビ:フジテレビ、NHK BS
- ネット:DAZN
- 結果:日本1-2ブラジル
日本はブラジルに1-2で敗れ、ラウンド32で大会を終えた。この試合は、フジテレビ系列が事前に発表していた日本代表の決勝トーナメント1回戦中継に該当する。
【放送局・配信サービスの関係比較表】何がどこまで見られた?
今回の大会では、同じNHKという名称でもチャンネルによって放送対象が異なり、テレビ放送とインターネット配信にも明確な役割分担があった。
各事業者の関係と担当範囲を一覧にすると、次のようになる。
この比較から分かるのは、NHK BSプレミアム4KとDAZNがともに全104試合を扱っていても、提供形態が異なるという点だ。
NHK BSプレミアム4Kはテレビ放送の枠組みで生中継と録画を組み合わせる。一方、DAZNは全試合をライブ配信し、見逃し配信にも対応する。NHK ONEはNHKの地上波放送をインターネットで補完するサービスであり、全104試合の配信サービスではない。
【DAZNの全104試合配信】視聴プラン・料金・無料配信の仕組み
今回のワールドカップで全104試合をライブ視聴できる配信サービスとして国内の中心的な役割を担ったのがDAZNだ。
地上波では放送されない試合も含めて網羅できることが最大の特徴であり、海外の強豪国同士の対戦や決勝トーナメントを最初から最後まで追いたい人にとって、重要な選択肢となった。
DAZN Standardなら全104試合が対象
DAZNの公式ヘルプによると、Standardプランは全104試合の視聴対象となっており、追加料金なしで大会のライブ配信を利用できた。
一方、DAZN BASEBALLは通常のプランだけではワールドカップ視聴の対象外で、World Cup Add-Onの購入が必要だった。DAZNという同じサービスでも、契約プランによって視聴権が異なる点には注意が必要だ。
DAZNの料金プラン
2026年2月2日以降に適用されたDAZN Standardの公式料金は次のとおりだ。大会期間中の契約を検討する際にも参考になる価格体系だった。
| プラン | 料金(税込) | 契約条件 |
|---|---|---|
| Standard月間プラン | 4,200円/月 | 月単位 |
| Standard年間プラン(一括払い) | 32,000円/年 | 年間契約 |
| Standard年間プラン(月々払い) | 3,200円/月 | 12か月契約 |
| BASEBALL | 2,300円/月相当 | 年間契約の月々払い |
年間月々払いは月額3,200円だが、12か月契約で合計38,400円となる。月間プランと同じ感覚で短期間だけ利用できる契約ではないため、契約期間を確認したい。
また、BASEBALLプランはワールドカップの視聴権が標準で含まれず、別途Add-Onが必要となる。
日本代表戦は無料でライブ配信
DAZNの大きな特徴は、日本代表戦について有料プランへの加入なしでも無料ライブ配信を提供したことだ。
DAZNの大会総括資料では、日本代表戦に加えて準決勝、3位決定戦、決勝も無料配信の対象として紹介されている。つまり、全104試合を有料契約なしで視聴できたわけではないものの、日本代表の試合を中心に楽しむ人には利用しやすい仕組みが設けられていた。
DAZNの見逃し配信・画質・視聴機能
DAZNではライブ配信だけでなく、全104試合のフルリプレイや拡張ハイライトも提供された。
公式案内で確認できる主な機能は次のとおり。
- 全104試合のライブ配信
- フルリプレイによる見逃し視聴
- 拡張ハイライト
- 日本語実況と専門家による解説
- HDR画質
- マルチカメラなどのインタラクティブ機能
ただし、オフライン視聴用の動画ダウンロードには対応していなかった。通信環境がない場所で後から試合を視聴する用途には向かない。
【テレビとネット配信の違い】NHK ONE・BS4K・DAZNはどう使い分ける?
ワールドカップの視聴方法を選ぶ際に重要なのは、試合数だけでなく、視聴する時間帯、録画・見逃しへの対応、テレビ設備の有無だ。
地上波とBSは何が違う?
地上波はNHK総合、日本テレビ系列、フジテレビ系列が担当した試合を通常のテレビ放送で楽しめる方式だ。特別な有料スポーツ配信サービスに加入しなくても、対象カードを視聴できる。
一方、BSは衛星放送であり、BS放送に対応した受信設備が必要になる。NHK BSは日本代表戦などの一部試合を補完する役割を持ち、BSプレミアム4Kは全104試合を生中継と録画で放送する仕組みだった。
特に混同しやすいのが、NHK BSとNHK BSプレミアム4Kだ。名称は似ているが、前者は通常の衛星放送、後者は4K映像を扱う放送チャンネルであり、対応する受信設備も異なる。
NHK ONEは全104試合を配信する?
これは誤解されやすいポイントだ。
NHK ONEが同時配信・見逃し配信したのは、NHK総合で生中継した34試合と大会期間中のハイライト番組だ。NHK BSやBSプレミアム4Kで放送する全試合を、そのままNHK ONEで見られるわけではない。
NHKの公式案内では、NHK ONEの利用には受信契約が必要とされている。すでに世帯でNHK受信契約を結んでいれば、別途の契約や追加負担は不要だ。一方、受信契約のない世帯が対象の配信サービスを利用する場合は、新たな受信契約が必要になる。
また、NHK ONEアカウントと受信料アカウントの登録・連携によって契約情報を確認する仕組みとなっている。
視聴目的別に見るおすすめの選択基準
- 日本代表戦を中心に見たい人: NHK総合、日本テレビ、NHK BSのテレビ中継が便利。DAZNでも日本代表戦は無料配信された。
- 大会の全試合をライブで見たい人: DAZN Standardが適している。
- 大画面で4K映像を楽しみたい人: 4K対応テレビ・受信設備があるならNHK BSプレミアム4Kが選択肢となる。
- 外出先やスマートフォンで見たい人: NHK ONEやDAZNが便利。ただし対象試合の範囲は異なる。
- 深夜・早朝の試合を後から見たい人: DAZNのフルリプレイ、またはNHK ONEの対象試合の見逃し配信が役立つ。
テレビとネット配信は単純な優劣ではなく、視聴範囲と使い勝手の違いで選ぶものだ。特に、全104試合をライブで追うのか、日本代表戦だけを楽しむのかによって、必要なサービスは大きく変わる。
【大会後の視聴データ】DAZNの実績が示したテレビと配信の融合
2026年大会の特徴は、放送権の分担だけではない。実際の視聴データにも、テレビとネット配信が競合するだけではない新しい観戦スタイルが表れている。
DAZNが2026年8月に公表した大会総括レポートによると、大会を通じてDAZN経由で延べ6,700万人が視聴し、総視聴数は4億5,000万を超えた。SNS関連動画の総再生回数も18.4億回に達したという。
さらに注目したいのが、視聴内容と視聴環境のデータだ。
- 日本代表戦以外の視聴が全体の80%を占めた。
- ライブ視聴は54%だった。
- テレビでの視聴は41%を占めた。
- 全国1,000か所以上のパブリックビューイングに20万人以上が参加した。
- 大会をきっかけにDAZNのユニーク視聴者数は大会前の約5倍になった。
これらはDAZNが公表した自社サービスの視聴データであり、日本国内のテレビ視聴者全体を対象にした統計ではない。ただし、配信サービスの視聴がスマートフォンだけに限定されていないことは読み取れる。
特にテレビでの視聴が41%を占めた点は興味深い。ネット配信サービスを契約しながら、実際にはテレビの大画面で観戦する人も多かったことを示している。
また、日本代表の敗退後も決勝トーナメントを中心に視聴が続き、日本戦以外の試合への関心が高かったこともDAZNの報告に表れている。ワールドカップの楽しみ方が、日本代表の結果だけに左右されない方向へ広がったことを示すデータだ。
背景には放送権ビジネスの変化もある。大会規模が大きくなり、全104試合をテレビ局だけでカバーする負担は大きい。放送権料や制作費の問題を抱えるテレビ局にとって、限られた注目カードを地上波で届ける方法と、全試合を配信するプラットフォームを組み合わせる方法には合理性がある。
2026年大会は、地上波が幅広い視聴者に試合を届け、配信が視聴範囲や見逃し機能を補うという、スポーツ中継の新しい分業構造を示した大会だった。
【プロの結論】テレビワールドカップ2026で知っておきたい3つの事実
今回の放送体制を振り返ると、特に押さえておきたい要点は3つある。
第一に、NHKの地上波放送数は最終発表の34試合が基準になること。初期情報の33試合と、開幕直前に発表された34試合を混同しないことが大切だ。
第二に、BSプレミアム4Kの全104試合放送と、DAZNの全104試合ライブ配信は同じ意味ではないこと。前者は録画放送を含み、後者はすべての試合をライブで視聴できる仕組みだった。
第三に、NHK ONEはNHKの放送を補完するサービスであり、全104試合を網羅するサービスではないこと。地上波34試合とハイライト番組が対象で、BS4Kの全試合放送とは別のサービスとして理解する必要がある。
放送局の数や試合数だけを見てサービスを選ぶと、見たい試合が対象外だったり、録画放送だったりする可能性がある。実際に視聴する場合は、放送チャンネル、ライブ・録画の区別、契約プランの3点を確認することが判断の基本となる。
【テレビワールドカップ2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ワールドカップの地上波放送はNHK33試合ですか、34試合ですか?
A1:最終的なNHKの公式放送計画では34試合です。初期発表・報道では33試合とされていましたが、2026年6月8日の大会直前の発表では、グループステージ19試合と決勝トーナメント15試合の合計34試合となりました。
Q2:ワールドカップ2026の全104試合をテレビで見られましたか?
A2:NHK BSプレミアム4Kで全104試合が放送されました。ただし、生中継と録画放送の組み合わせです。全104試合をライブ視聴できる配信サービスはDAZNでした。
Q3:NHK ONEでワールドカップ全104試合を見逃し視聴できましたか?
A3:できません。NHK ONEの対象はNHK総合で生中継された34試合と大会期間中のハイライト番組です。BSやBSプレミアム4Kの全104試合が対象ではありません。
Q4:日本代表戦はどのテレビ局で放送されましたか?
A4:グループステージ第1戦のオランダ戦と第3戦のスウェーデン戦はNHK総合、第2戦のチュニジア戦は日本テレビとNHK BSが中継しました。ラウンド32のブラジル戦はフジテレビとNHK BSで放送されました。
Q5:DAZNでワールドカップ全試合を見るにはいくら必要でしたか?
A5:全104試合が対象となるDAZN Standardの料金は、月間プランが月額4,200円、年間一括払いが32,000円、年間月々払いが月額3,200円でした。日本代表戦は有料プランに加入しなくても無料ライブ配信の対象でした。なお、BASEBALLプランは別途World Cup Add-Onが必要でした。
Q6:NHK BSとNHK BSプレミアム4Kは同じチャンネルですか?
A6:異なるチャンネルです。NHK BSは衛星放送で、日本代表戦などの一部試合を中継しました。NHK BSプレミアム4Kは4K放送に対応し、大会全104試合を生中継・録画で放送しました。
まとめ:テレビワールドカップ2026は地上波・BS・DAZNの使い分けが鍵
2026年のFIFAワールドカップは、テレビとネット配信の役割分担がはっきり表れた大会となった。
地上波ではNHK総合が最終的に34試合、日本テレビ系列が15試合、フジテレビ系列が10試合を生中継。NHK BSが日本代表戦を補完し、NHK BSプレミアム4Kは全104試合を生中継・録画で放送した。
一方、DAZNは全104試合のライブ配信を実現し、日本代表戦の無料配信や見逃し視聴など、テレビとは異なる観戦環境を提供した。NHK ONEも地上波の34試合とハイライト番組を同時・見逃し配信し、視聴機会を広げた。
今回の大会で重要なのは、単純にテレビかネットかを選ぶことではない。日本代表戦だけを楽しむのか、世界各国の試合をすべて追うのか、4K映像で観戦したいのかによって、最適な視聴手段は変わる。
テレビワールドカップ2026が残した大きな変化は、地上波の幅広いリーチと、ネット配信の全試合対応・視聴の自由度が共存する観戦環境だ。今後の国際スポーツ大会でも、このテレビと配信の組み合わせが放送体制を考える重要な基準になっていくだろう。