2026年10月現在、弘道会は六代目山口組の中核を担う組織として、警察庁や愛知県警の監視・取締りの対象になっている。2025年9月には会長交代が報じられ、野内正博氏を会長とする四代目弘道会体制へ移行した。2026年上半期の愛知県警資料でも、四代目弘道会の勢力が強いことが記されている。
一方、インターネット上で見かける詳細な組織図には、過去の人事情報や報道ベースの情報が混在している。警察庁の公表資料から確認できるのは、六代目山口組との上下関係、弘道会直系組織の存在、幹部の検挙状況、全国・愛知県内の暴力団勢力などであり、全役職者と傘下組織を網羅した現行の公式組織図ではない。
【この記事の重要ポイントまとめ】

- 現在は四代目体制: 2025年9月、野内正博氏が四代目会長に就任したと報じられている。
- 六代目山口組との関係: 警察庁は弘道会を六代目山口組を事実上支配する組織として位置づけている。
- 検挙状況: 2025年の警察庁資料では弘道会直系組長等4人、直系組織幹部13人の検挙が記録されている。
- 勢力動向: 全国の暴力団構成員等は2025年末に約1万7,600人となり、過去最少を更新した。
- 公開情報の限界: 傘下組織の全名称や最新の役職者を網羅する公的な組織図は確認できない。
【1】弘道会の組織図は公開資料からどこまで確認できる?
弘道会の組織構造を理解するうえで、まず押さえたいのが六代目山口組との関係だ。
警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」では、六代目山口組について、弘道会及びその傘下組織に対する集中取締りを実施していると説明している。
加えて、警察庁は弘道会を六代目山口組を事実上支配している組織として記述している。
この公的な位置づけから、弘道会が単なる一傘下組織ではなく、六代目山口組の組織運営に大きな影響を持つ存在として警察に認識されていることが分かる。
公開情報で把握できる基本的な階層関係
公開資料から読み取れる関係は、次のように整理できる。
- 六代目山口組:指定暴力団として指定されている上位団体
- 弘道会:六代目山口組の中核を担う二次団体
- 弘道会直系組織:弘道会の傘下に位置する組織
- 各組織の構成員:組長、幹部、組員など
これは公的資料に記載された関係を整理した概念図であり、現在の全役職者を示す公式名簿ではない。
特に注意したいのは、六代目山口組の直系組織と弘道会の直系組織を同じものとして扱わないことだ。
両者は異なる階層の組織区分であり、警察庁の検挙統計でも別々に集計されている。
なぜ完全な組織図が公開されていないのか
警察庁の年次資料は、暴力団の勢力、検挙状況、指定状況、組織犯罪の動向などを公表するものである。
一方、個々の組織の全役職者、傘下団体の完全な一覧、内部の指揮命令関係を網羅することを目的としていない。
そのため、ネット上の「最新組織図」と、警察庁が公表する客観的な組織犯罪情勢は、情報の性格が異なる。
【2】弘道会と六代目山口組の関係とは?中核組織とされる背景
弘道会と六代目山口組の関係は、歴代会長の人事をたどると理解しやすい。
弘道会の初代会長を務めた司忍氏は、後に六代目山口組の組長に就任した。その後も二代目、三代目の会長経験者が六代目山口組の主要ポストを担ってきた。
この人事の連続性が、弘道会と山口組本体の強い結びつきを示す背景になっている。
2015年の山口組分裂と弘道会
2015年8月末、六代目山口組から離脱した勢力によって神戸山口組が結成された。
この分裂をめぐっては、組織運営や人事をめぐる対立が背景として報じられてきた。
その後、神戸山口組から離脱した勢力による池田組や絆會の結成などもあり、山口組をめぐる対立関係は複雑化した。
警察庁は、六代目山口組と神戸山口組、池田組、絆會との対立抗争を受け、それぞれの関係団体を特定抗争指定暴力団等に指定する措置を実施している。
2025年末時点でも指定の期限延長や警戒区域の見直しが行われていた。
したがって、過去の報道で抗争の終結が取り上げられたとしても、法的な指定状況や警察の警戒態勢とは分けて理解する必要がある。
弘道会が注目される理由
警察庁が弘道会を重点的な取締り対象として扱っていることは、同会の組織的位置づけを理解するうえで重要だ。
単純に構成員の人数だけを見るのではなく、山口組本体との人的なつながりや、直系組織に関する検挙状況も含めて考える必要がある。
【3】弘道会の歴代会長と四代目体制の変遷
弘道会の歴代会長は、初代から四代目までの4人を軸に整理できる。
2025年9月の会長交代は、約12年続いた三代目体制から四代目体制への移行として報じられた。
歴代会長の一覧
初代会長:司忍
弘道会の初代会長として知られる人物。2005年に六代目山口組の組長に就任した。
弘道会と山口組本体の関係を考えるうえで、最も重要な歴史的人物の一人である。
二代目会長:髙山清司
2005年に二代目会長を継承した人物。六代目山口組の若頭などを歴任し、山口組の組織運営に深く関与してきた。
三代目会長:竹内照明
2013年に三代目会長に就任。2025年には六代目山口組の若頭に就任したことが報じられ、同年9月の弘道会会長交代につながった。
四代目会長:野内正博
2025年9月8日に四代目会長に就任したと報じられた人物。三代目体制で弘道会若頭を務めていた。
2026年3月には六代目山口組の幹部に昇格したとの報道もあり、四代目体制への移行後も山口組本体との人事上の関係が続いている。
2026年時点で押さえたい歴代会長の変遷
| 世代・時期 | 会長 | 主な関係・経緯 |
|---|---|---|
| 初代・1984年~2005年 | 司忍 | 弘道会を創設。後に六代目山口組組長に就任 |
| 二代目・2005年~2013年 | 髙山清司 | 六代目山口組の主要ポストを歴任 |
| 三代目・2013年~2025年 | 竹内照明 | 六代目山口組若頭に就任 |
| 四代目・2025年9月~ | 野内正博 | 四代目会長への継承が報じられ、2026年も同体制が確認されている |
この表は歴代会長の交代を整理したものであり、現行の全執行部や傘下団体の名簿ではない。
四代目弘道会への移行で何が変わったのか
2025年9月の交代で注目されたのは、従来の会長が山口組本体の若頭に就任し、弘道会の新会長に後継者が就いた点だ。
これは単純なトップ交代だけでなく、山口組本体と弘道会の人事上の関係にも影響する出来事だった。
ただし、会長交代だけを理由に、傘下組織の数や実際の勢力が増減したと判断することはできない。
組織の実態を把握するには、警察庁や都道府県警の継続的な公表データを併せて見る必要がある。
【4】弘道会の直系組織・傘下組織はどう位置づけられる?
弘道会の組織図を調べる際に混乱しやすいのが、「直系組織」と「傘下組織」という言葉の使い分けだ。
直系組織とは、上位団体と直接的な組織関係を持つ団体を指す。これに対し、傘下組織という表現は、より広い従属関係を表す場合がある。
したがって、弘道会の傘下組織すべてを直系組織と同一視するのは適切ではない。
警察庁の統計における組織区分
警察庁の2025年版資料では、検挙人員を次のように区分している。
- 六代目山口組直系組長等
- 弘道会直系組長等
- 弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く)
この区分から、六代目山口組本体の直系組織と弘道会の直系組織が、警察の統計上も別のカテゴリーとして扱われていることが分かる。
ネット上の組織図を見るときの注意点
検索結果には、過去の人事資料を基にした組織図や、報道関係者が取材したとする役職一覧が掲載されていることがある。
しかし、次のような違いがある。
- 過去の組織図:当時の人事を示す資料
- 報道ベースの組織図:取材時点で把握された情報
- 警察庁の公表資料:検挙や勢力などを示す公的統計
- 現行の内部組織図:組織内部の最新人事を反映する資料
これらを混同すると、すでに交代した人物を現職として掲載したり、異なる時期の傘下組織を同時に存在するものとして扱ったりする誤りにつながる。
【5】警察庁・愛知県警の公表資料で見る2026年の勢力と検挙状況
弘道会の現在を把握するためには、組織図だけでなく、警察が発表している勢力や検挙状況も重要になる。
全国の暴力団勢力は過去最少に
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年末の全国の暴力団構成員等は約1万7,600人だった。
内訳は次のとおり。
- 暴力団構成員:約9,400人
- 準構成員等:約8,200人
前年より約1,200人減少し、暴力団対策法が施行された1992年以降で最少となった。
一方、六代目山口組の構成員は約3,100人で、全国の暴力団構成員の約33%を占める。
全国的な減少傾向が続くなかでも、六代目山口組は依然として大きな勢力を持つ団体として位置づけられている。
2025年の弘道会関係者の検挙状況
警察庁の2025年確定値では、次の検挙人員が公表されている。
- 六代目山口組直系組長等:5人
- 弘道会直系組長等:4人
- 弘道会直系組織幹部:13人
特に注目されるのは、弘道会直系組織幹部の検挙が13人あったことだ。
ただし、これは警察庁が区分した検挙人員であり、弘道会全体の構成員数や、組織の在籍人数を示す数字ではない。
愛知県警が公表した県内の状況
愛知県警によると、2025年末時点の県内暴力団構成員等は約770人だった。
また、2025年中に検挙された暴力団員と準構成員その他の周辺者は295人とされている。
この295人は県内の暴力団全体に関する数字であり、弘道会だけの検挙人数ではない。
2026年上半期の愛知県警資料では、四代目弘道会の勢力が強いとの認識が示されている。
同資料では、六代目山口組傘下組織の組長らによる愛知県暴力団排除条例違反事件など、2026年上半期の取締り実績も紹介されている。
加えて、2026年9月には弘道会の下位組織に所属する人物が傷害容疑で逮捕されたことも報道された。これは個別事件の逮捕報道であり、組織全体の検挙統計とは区別して見る必要がある。
数字から読み取れること
全国の暴力団勢力が減少していることと、弘道会が警察の重点的な取締り対象であることは、矛盾しない。
勢力の減少は構成員等の人数に関する傾向であり、組織の影響力や犯罪への関与を直接測定するものではないからだ。
また、検挙人数が前年より減少したとしても、それだけで組織の活動が弱まったと判断することはできない。
【6】弘道会への集中取締りはなぜ続く?警察の対策と今後の注目点
警察庁が六代目山口組と弘道会を重点的に取り締まっている背景には、組織の人的基盤や資金獲得活動を弱体化させる目的がある。
警察庁が公表した集中取締り
2025年の警察庁資料では、弘道会及びその傘下組織に対する集中取締りの実施が明記されている。
同年には、弘道会直系組長等4人、直系組織幹部13人が検挙された。
また、警察庁は長野県で発生した弘道会直系組織幹部らによる監禁事件についても記載している。
事件では、関係者8人が2025年7月までに監禁罪で逮捕された。
このように、警察の対策は組織のトップだけに限定されず、傘下組織の幹部や犯罪収益に関係する人物にも及んでいる。
愛知県警が重視する3つの取締り分野
愛知県警は暴力団対策について、次の3つを重点項目として示している。
1. 人:組長など主要幹部を中心とする検挙
2. 金:資金獲得犯罪の取締りと犯罪収益の剝奪
3. 物:拳銃などの武器の押収
また、2026年の警察運営方針でも、暴力団と匿名・流動型犯罪グループへの対策を最重要課題の一つに位置づけている。
特に、特殊詐欺や組織的窃盗などの違法な資金獲得活動への対策が重視されている。
2026年以降に注目したいポイント
今後の弘道会の動向を把握する際には、次の点が重要になる。
- 四代目会長を中心とする人事の変化
- 六代目山口組本体との関係
- 警察庁が公表する直系組長等の検挙状況
- 愛知県内の暴力団勢力の推移
- 暴力団対策法や暴力団排除条例の運用状況
特に、2025年9月の会長交代後、2026年にも新体制に関する報道が続いていることから、歴代会長の交代だけでなく、警察の公表資料に現れる組織の動向を継続して確認する必要がある。
【弘道会の組織図】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、弘道会の会長は誰ですか?
2026年10月時点では、2025年9月に四代目会長へ就任したと報じられた野内正博氏が会長として確認されている。愛知県警の2026年上半期資料でも四代目弘道会という名称が使われている。
Q2:弘道会は六代目山口組の直系組織ですか?
弘道会は六代目山口組の傘下に位置する中核的な二次団体として扱われている。警察庁は弘道会を六代目山口組を事実上支配する組織と説明している。
Q3:弘道会の初代会長は誰ですか?
初代会長は司忍氏。後に六代目山口組の組長に就任した人物である。
Q4:弘道会の歴代会長は誰ですか?
初代・司忍氏、二代目・髙山清司氏、三代目・竹内照明氏、四代目・野内正博氏という順番で整理できる。
Q5:弘道会の傘下組織をすべて確認できますか?
警察庁の公開年次資料には、全傘下組織の名称や役職者を網羅した現行組織図は掲載されていない。報道資料や過去の組織図を参照する場合は、掲載時期と情報の出所を確認する必要がある。
Q6:弘道会の勢力は2026年に増えていますか?
2026年10月時点で、弘道会単独の最新構成員数を確定できる公的な統計は確認できない。全国では2025年末の暴力団構成員等が約1万7,600人となり、減少傾向が続いている。弘道会単独の勢力については、全国統計や愛知県全体の数字と区別して判断する必要がある。
まとめ:弘道会の組織図を正しく理解するための判断基準
2026年現在の弘道会は、野内正博氏を会長とする四代目体制に移行している。歴代会長には司忍氏、髙山清司氏、竹内照明氏がおり、いずれも六代目山口組との関係を理解するうえで重要な人物だ。
警察庁は弘道会を六代目山口組の中核的な組織として位置づけ、直系組織や幹部への集中取締りを続けている。2025年の検挙統計や2026年の愛知県警資料からも、その組織的な位置づけと警察の対策が確認できる。
弘道会の組織図を調べる際に重要なのは、次の3点である。
1. 組織の上下関係と役職を区別すること。 六代目山口組本体の直系組織と弘道会の直系組織は別の区分である。
2. 情報の公表時期を確認すること。 三代目体制の組織図を2026年の現行情報として扱わない。
3. 勢力と検挙状況を混同しないこと。 検挙人数は構成員数や組織全体の規模を示す数字ではない。
今後も、警察庁の組織犯罪情勢や愛知県警の暴力団対策資料を基準に、四代目体制の推移、山口組との関係、検挙状況を確認することが、弘道会の現在を正確に理解するための判断材料となる。
参照した主な公的資料・報道
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月公表)
- 愛知県警「令和8年上半期の主な取組」
- 愛知県警「暴力団総合対策」
- 2025年9月の四代目継承に関する報道、2026年3月の人事報道
- 2026年9月の弘道会傘下組織関係者の逮捕報道