「カイト」は米津玄師が歌っているのか、それとも嵐が歌っているのか。検索すると、米津玄師と嵐の名前が並んで表示されるため、歌唱担当を混同している人も少なくない。
実際には、作詞・作曲・編曲を米津玄師、歌唱を嵐が担当した楽曲である。2019年12月31日の第70回NHK紅白歌合戦で初披露され、2020年7月29日にCDシングルとして発売された。さらにNHK「みんなのうた」でも放送され、幅広い世代に知られる作品となった。
2026年現在、嵐はグループとしての活動を終了しているが、「カイト」は米津玄師と嵐が共同で生み出した代表的な作品の一つとして残っている。制作に込められた思いや歌詞の意味、坂東祐大によるオーケストラ編曲まで、公式情報と当時の報道をもとに整理する。
【結論】カイトは米津玄師が歌っている?実際の歌唱担当と制作クレジット

最初に押さえておきたいのは、「カイト」は米津玄師のセルフ歌唱曲ではなく、嵐への楽曲提供によって生まれた作品だという点だ。
米津玄師の公式サイト「REISSUE RECORDS」が2020年1月に発表した情報には、NHK2020ソング「カイト」の担当が明確に記載されている。作詞・作曲は米津玄師、歌唱は嵐という組み合わせだ。
加えて、嵐の所属レーベルであるStorm Labelsの公式ディスコグラフィーでは、編曲についても詳細が公開されている。
「カイト」の正式な制作・歌唱担当は次のとおり。
- 作詞:米津玄師
- 作曲:米津玄師
- 編曲:米津玄師
- オーケストラ編曲:坂東祐大
- 歌唱:嵐
ここで注目したいのが、米津玄師と坂東祐大の役割の違いだ。楽曲全体の編曲を米津玄師が担当し、オーケストラ部分の編曲を坂東祐大が担っている。単純に「米津玄師が曲を作り、嵐が歌った」というだけではなく、異なる専門性を持つ音楽家が関わった作品なのである。
なぜ米津玄師が歌っていると誤解されるのか
誤解が生まれやすい理由は、米津玄師自身がシンガー・ソングライターとして知られていることに加え、歌詞とメロディーの両方を本人が制作している点にある。
米津玄師は自身の楽曲を歌うアーティストという印象が強い。しかし、他のアーティストに楽曲を提供する作家としての活動も行っている。「カイト」は、その代表的な事例の一つだ。
また、紅白歌合戦では楽曲の制作風景や米津玄師と嵐の対話が映像で紹介された。米津玄師本人も番組内のVTRに登場したため、歌唱まで担当したと記憶している人がいる可能性もある。
ただし、公式の作品情報に記載されている歌唱担当は一貫して嵐である。米津玄師が制作した楽曲を嵐の5人が歌うという関係を理解すれば、疑問は解消できる。
【コラボの経緯】米津玄師と嵐がカイトを制作した理由とは?
「カイト」の制作が発表されたのは2019年12月17日。東京2020オリンピック・パラリンピックが予定されていた2020年と、その先の未来を見据えたNHK2020ソングとして、米津玄師と嵐のコラボレーションが決定した。
この企画の目的は、アスリートやこれからの時代を担う若い世代を応援することだった。NHKはスポーツ番組だけでなく、さまざまな番組やサービスで「カイト」を使用する方針を発表している。
NHK2020ソングに選ばれた背景
当時の嵐は、NHKの東京2020オリンピック・パラリンピック放送スペシャルナビゲーターを務めていた。一方、米津玄師はNHKの2020応援ソング「パプリカ」の作詞・作曲・プロデュースを手掛けていた。
両者には、すでにNHKの大型プロジェクトとの接点があった。そこに、幅広い世代に支持される嵐の歌唱力と、米津玄師の独自の作詞・作曲能力が組み合わさったのである。
NHKの発表では、2020年という節目に全国各地で生まれる感動や挑戦の場面と楽曲を結び付け、視聴者の心を明るくすることが企画の目的として示されていた。
なお、具体的な起用交渉の詳細や、制作依頼に至った社内の判断過程までは公表されていない。確認できるのは、NHK2020ソングという明確な目的のもと、両者のコラボレーションが正式に発表されたという事実である。
米津玄師が嵐とのコラボを光栄と語った理由
今回のコラボレーションには、嵐の活動時期という面でも特別な意味があった。
米津玄師は公式コメントで、嵐の休止前ラストイヤーに関われることを光栄に感じていると説明した。そして、「カイトは長く残る曲になってほしい」と願いながら制作したことを明かしている。
このコメントから読み取れるのは、単なる大型テレビ番組向けのタイアップ曲ではなく、2020年という時代を越えて聴き続けてもらえる作品を目指していたことだ。
嵐の相葉雅紀も、米津玄師とのコラボレーションについて光栄だとコメント。楽曲には、頑張っている人が救われるような優しさがあると評価していた。
両者のコメントを合わせて考えると、制作側は未来への希望を託し、歌い手側はそのメッセージを聴き手に届けるという役割を担っていたことが分かる。
【時系列で整理】カイトの紅白初披露・発売日・みんなのうたの放送履歴
「カイト」は、CD発売よりも先にテレビで初披露された楽曲だ。2019年末に発表され、2020年にNHKの各種番組で使用されるという展開だった。
特に重要なのは、紅白での初披露からCD発売まで約7か月の期間があったこと。そして、発売前後に「みんなのうた」でも放送されたことだ。
カイトの主要な出来事・公式情報一覧
| 年月日・時期 | 出来事 | 内容・確認できる事実 |
|---|---|---|
| 2019年12月17日 | コラボ発表 | NHK2020ソングとして米津玄師と嵐のコラボが決定。 |
| 2019年12月31日 | 紅白歌合戦で初披露 | 第70回NHK紅白歌合戦で嵐が歌唱。新国立競技場で収録された映像が放送された。 |
| 2020年1月14日 | みんなのうたへの採用発表 | NHK「みんなのうた」の2〜3月放送曲に決定。 |
| 2020年2〜3月 | みんなのうたで放送 | NHK総合、Eテレ、ラジオなどで放送。 |
| 2020年7月29日 | CDシングル発売 | 嵐の通算58枚目のシングルとしてリリース。 |
| 2024年 | 公式ミュージックビデオ | ARASHI公式YouTubeチャンネルで公式ミュージックビデオを公開。 |
| 2026年5月31日 | 嵐のグループ活動終了 | 東京ドームでのツアーファイナルをもってグループ活動を終了。 |
第70回NHK紅白歌合戦での初披露はどのような演出だった?
「カイト」が初めて披露されたのは、2019年12月31日の第70回NHK紅白歌合戦だった。
ただし、ここには一つ要点がある。嵐がNHKホールのステージで生歌唱したのではなく、完成したばかりの新国立競技場で収録した歌唱映像が放送されたのである。
日刊スポーツなどの当時の報道によると、歌唱映像の前には楽曲の制作風景を紹介するVTRが流れ、米津玄師と嵐のメンバーが対話する様子も紹介された。
米津玄師が楽曲制作に込めた考えを語る場面もあり、単なる新曲のお披露目ではなく、作品が完成するまでの背景を伝える特別な演出だった。
発売日は2020年7月29日!嵐の58枚目のシングル
CDシングル「カイト」の発売日は2020年7月29日。嵐にとって通算58枚目のCDシングルにあたる。
Storm Labelsの公式作品情報によると、初回限定盤DVD、初回限定盤Blu-ray、通常盤が用意された。
初回限定盤には「カイト」のビデオクリップとメイキング映像が収録され、16ページの特大歌詞ブックレットも付属。LPサイズのスペシャルジャケットが採用された。
通常盤には「カイト」のほか、「Journey to Harmony」「Sounds of Joy」「僕らの日々」も収録されている。
また、各仕様のジャケットには嵐のメンバーだった大野智が描き下ろした絵画が使用された。楽曲だけでなく、作品パッケージにもグループの個性が反映されていた。
【歌詞の意味を考察】カイトが描く夢・家族・人とのつながりとは?
「カイト」の歌詞を理解するうえで重要なのは、タイトルにもなっている凧と、それをつなぎ留める糸のイメージだ。
凧は空高く舞い上がる存在であり、夢や未来への憧れを連想させる。一方、凧の糸は地上とのつながりを保つ役割を持つ。自由に飛び立つことと、誰かとのつながりを失わないこと。この二つが楽曲全体を貫く重要なモチーフになっている。
1. 幼少期の憧れと未来への希望
歌詞の冒頭では、幼い頃に見た凧の姿が描かれる。
そこにあるのは、まだ見たことのない未来への憧れだ。遠くにあるものを見つめ、いつか自分もそこへたどり着きたいと願う気持ちが表現されている。
しかし、単純に夢を追いかけるだけの歌ではない。未来への期待と同時に、過去から現在に至るまで、自分が何を受け取りながら生きてきたのかという視点も含まれている。
2. 母や父、友人など身近な人々の存在
歌詞には、母や父、友人など、人生のさまざまな段階で関わる人々が登場する。
それぞれの言葉や行動は、主人公の生き方に影響を与えている。特に印象的なのは、励ますだけでなく、悲しみを受け止めたり、時には逃げることを認めたりする言葉も描かれている点だ。
ここには、人生を支えるものは必ずしも成功への後押しだけではないという考え方がある。
失敗したときに受け止めてくれる人、迷ったときに別の道を示してくれる人、何気ない日常の中でそばにいてくれる人。そうした存在が、少しずつ現在の自分を形作っている。
3. 米津玄師が語った「誰かに生かされてきた」という制作の核心
歌詞の解釈を深めるうえで、最も重要な資料が2019年の紅白歌合戦で米津玄師本人が語った制作意図だ。
米津玄師は、自身が今ここに存在しているのは、身近な人々や遠くから影響を与えてくれた人々に支えられてきたからだと説明した。
「今の自分は誰かに生かされてきた」
この言葉は、楽曲のテーマを理解するための大きな手掛かりになる。
夢をかなえるのは自分自身の努力だけではない。自分の知らないところで支えてくれた人々や、過去に受け取った優しさがあって、今の自分が存在しているという認識だ。
米津玄師は加えて、そうしたことを忘れないように自分を戒める気持ちで制作したと語っている。
つまり「カイト」は、未来に向かって飛び立つ人への応援歌であると同時に、これまで自分を支えてくれた人々への感謝を描いた歌でもある。
4. 最後に描かれる帰る場所と糸の意味
終盤では、嵐の中を進む凧と、糸がつながっている先へ帰るというイメージが描かれる。
ここでいう帰る場所は、単純に物理的な家だけを意味するとは限らない。自分を受け入れてくれる人、安心できる関係、過去から続いてきた記憶など、精神的な拠り所としても読み取れる。
相葉雅紀も当時、歌詞の中の帰ることを示す表現に強く心を動かされたと語っていた。頑張って前へ進んでも、つながっている糸があるから戻ってこられる。その解釈に救われるという趣旨のコメントを残している。
この視点を踏まえると、凧が象徴するのは自由な挑戦だけではない。どれだけ遠くへ進んでも、自分を支えるつながりは消えないという安心感も表現されている。
5. なぜ「カイト」は一般的な応援歌とは違うのか
音楽メディアReal Soundの2020年のレビューでは、この楽曲の特徴として、直接的に「頑張れ」「諦めるな」と呼び掛けるタイプの応援歌ではない点が指摘されている。
激しいビートや強い鼓舞の言葉によって聴き手を奮い立たせるのではなく、人生の記憶や人とのつながりを静かに描く。そのため、聴く人の年齢や経験によって受け止め方が変わる余地がある。
子どもの頃に聴けば夢を追う歌として、大人になって聴けば家族や友人への感謝を思い出す歌として響く。そうした多層的な解釈が、時代を越えて聴き継がれる理由の一つになっている。
【編曲・公式MV・2026年最新情報】坂東祐大の役割と嵐の現在
「カイト」の魅力は、歌詞やメロディーだけではない。楽曲のスケール感を支えているのが、坂東祐大によるオーケストラ編曲と、嵐の5人による歌唱だ。
坂東祐大はどの部分を担当した?
坂東祐大は作曲家・音楽家として活動する人物で、オーケストラ作品から映像音楽、サウンドデザインまで幅広い分野を手掛けている。
日本コロムビアの公式プロフィールでも、嵐の「カイト」のオーケストラアレンジメントを担当したことが紹介されている。
「カイト」の公式クレジットでは、米津玄師が作詞・作曲・編曲を担当し、坂東祐大がオーケストラ編曲を担当している。
この役割分担は、楽曲の基本的な構成や音楽的な方向性と、オーケストラ部分の編成・響きを整理する作業が異なる専門領域であることを示している。
大きく広がる空を連想させる壮大なサウンドは、作品のテーマともよく結び付いている。個人の夢を描きながらも、より多くの人々へメッセージを届けるNHK2020ソングとしての性格を、音楽面から支えた存在が坂東祐大だ。
カイトの公式ミュージックビデオはどこで見られる?
「カイト」の公式ミュージックビデオは、嵐の公式YouTubeチャンネル「ARASHI」で公開されている。
ここで区別しておきたいのが、紅白歌合戦で披露されたスペシャルムービーと、公式ミュージックビデオだ。
紅白のスペシャルムービーは、新国立競技場で収録された歌唱映像や制作風景を紹介する特別な映像だった。一方、公式ミュージックビデオは、嵐の公式アーティストチャンネルで公開されている作品として確認できる。
CD初回限定盤にもビデオクリップとメイキング映像が収録されているため、楽曲だけでなく映像作品として楽しめる点も特徴だ。
2026年、嵐はグループ活動を終了
2026年時点で押さえておきたい大きな動きが、嵐のグループ活動終了である。
嵐は2025年5月6日、2026年春頃に予定するコンサートツアーをもってグループ活動を終了すると発表した。その後、2026年3月から5月にかけてラストツアー「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」を開催した。
最終公演は2026年5月31日の東京ドーム。この公演をもって、嵐はグループとしての活動を終了した。
Spotify Japanも2026年5月29日付の公式ニュースで、5月31日をもって活動を終了することを伝え、グループの音楽的な歩みを振り返っている。
ただし、グループ活動の終了と過去の楽曲の価値は別の問題だ。「カイト」の公式作品情報では、2026年現在も米津玄師が制作、嵐が歌唱を担当した作品として記載されている。
2026年11月1日時点で、歌唱担当が米津玄師に変更されたという公式発表はない。したがって、今から楽曲を聴く場合も、米津玄師が作り、嵐が歌った作品として理解するのが正しい。
なお、Storm Labelsは2026年11月3日にラストツアーのBlu-ray・DVDを発売予定と案内している。嵐の活動の最終章を映像で振り返る機会にもなる。
【カイト米津玄師】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:カイトは米津玄師が歌っているのですか?
A1:いいえ。歌唱を担当しているのは嵐の5人です。米津玄師は作詞・作曲・編曲を担当しています。米津玄師本人も紅白歌合戦の制作紹介VTRに登場しましたが、公式の歌唱クレジットは嵐です。
Q2:カイトの作詞・作曲・編曲は誰ですか?
A2:作詞・作曲・編曲は米津玄師です。オーケストラ編曲は坂東祐大が担当しています。Storm Labelsの公式ディスコグラフィーに、それぞれの担当が記載されています。
Q3:カイトの発売日はいつですか?
A3:2020年7月29日です。嵐の通算58枚目のCDシングルとして、初回限定盤DVD、初回限定盤Blu-ray、通常盤が発売されました。
Q4:カイトはいつ紅白歌合戦で初披露されましたか?
A4:2019年12月31日の第70回NHK紅白歌合戦です。新国立競技場で収録された嵐の歌唱映像が放送されました。
Q5:カイトはNHKみんなのうたでも放送されましたか?
A5:はい。2020年2〜3月の放送曲に選ばれました。NHK総合やEテレ、ラジオなどで放送され、紅白で紹介されたスペシャルムービーも使用されました。
Q6:カイトの歌詞にはどのような意味がありますか?
A6:夢や未来への希望に加え、家族や友人など、自分を支えてきた人々への感謝が大きなテーマです。米津玄師自身も、誰かに支えられて生きてきたという思いを制作の背景として語っています。
Q7:2026年現在、嵐はカイトを歌っていますか?
A7:嵐は2026年5月31日にグループ活動を終了しました。過去の公式音源やミュージックビデオでは、引き続き嵐が歌唱した作品として楽しめます。グループ活動終了によって、当時の楽曲クレジットが変わるわけではありません。
まとめ:【プロの結論】カイトは米津玄師の創作と嵐の歌声が結実した作品
「カイト」は、米津玄師が歌っている楽曲ではない。作詞・作曲・編曲を米津玄師が担当し、嵐の5人が歌唱したNHK2020ソングである。オーケストラ編曲には坂東祐大も参加している。
2019年12月31日の第70回NHK紅白歌合戦で初披露され、2020年7月29日にCDシングルとして発売。その後、「みんなのうた」でも放送され、世代を越えて親しまれる作品となった。
この曲を深く理解するための鍵は、米津玄師が語った「誰かに生かされてきた」という思いにある。
凧が空へ向かって飛んでいく姿は、夢や挑戦を象徴する。一方、凧をつなぐ糸は、家族や友人、これまで出会ってきた人々との関係を思い起こさせる。自由に進むことと、帰る場所を持つこと。その両方を大切にしている点が、この楽曲の本質的な魅力だ。
2026年5月31日、嵐はグループとしての活動に幕を下ろした。しかし、米津玄師が未来へ託した思いと、嵐の5人が歌声に込めたメッセージは、過去の作品として消えてしまうものではない。
「カイト」は、誰が歌っているかを知るだけでなく、誰が作り、何を伝えようとしたのかまで理解すると、より深く味わえる一曲である。
米津玄師の創作力と嵐の表現力が重なったこの作品は、2020年という時代を記録するだけでなく、これから先も夢を追う人や、大切な誰かとのつながりを思い出したい人に寄り添う楽曲として聴き継がれていくだろう。
主な確認資料:米津玄師公式サイト「REISSUE RECORDS」、Storm Labels公式ディスコグラフィー、日本コロムビア公式プロフィール、日刊スポーツ、Real Sound、Spotify Japan公式ニュースルーム、ARASHI公式YouTube。