韓国の出生数は、2015年を境に長期的な減少局面に入った。2015年には約43万8,000人だった出生数が、2023年には約23万人まで落ち込んでいる。わずか8年間で出生数がほぼ半減した計算だ。
2025年は、この流れに変化が生じた年となった。国家データ処が2026年8月26日に発表した「2025年出生統計」では、出生数が25万4,341人となり、前年の23万8,317人から6.7%増加した。合計特殊出生率も0.748から0.799へ上昇している。
ここで押さえたいのは、0.80という数字は出生数ではなく、女性1人が一生の間に産むと推計される子どもの平均数を示す合計特殊出生率だという点だ。人口を長期的に維持するための人口置換水準は約2.1人であり、韓国は依然としてその水準を大きく下回っている。
韓国の出生数と合計特殊出生率の推移
| 年 | 出生数 | 合計特殊出生率 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 43万8,420人 | 1.24 | 出生数の減少局面へ |
| 2018年 | 32万6,822人 | 0.98 | 初めて1.0を下回る |
| 2020年 | 27万2,337人 | 0.84 | 20万人台に減少 |
| 2021年 | 26万562人 | 0.81 | 低水準が続く |
| 2022年 | 24万9,186人 | 0.78 | 減少継続 |
| 2023年 | 23万28人 | 0.72 | 過去最低水準 |
| 2024年 | 23万8,317人 | 0.748 | 9年ぶりに上昇 |
| 2025年 | 25万4,341人 | 0.799 | 2年連続で上昇 |
この推移から分かるのは、2025年の改善が確かに大きな変化である一方、長期的な落ち込みを取り戻すには程遠いということだ。2015年の出生数と比較すると、2025年の出生数は約42%少ない。
加えて、2025年の死亡者数は36万2,968人だった。出生数との差は10万8,627人に達し、出生数が増えても自然減少は続いている。出生率の回復と人口減少の解消は、別々に考える必要がある。
2025年に注目すべき3つの変化
第一に、出生数の増加を支えたのは第1子の増加だった。2025年は第1子の出生が前年より約1万2,600人増え、第2子も約3,300人増加した。新たに親になる世帯が増えたことが、出生数の押し上げにつながっている。
第二に、30代後半の出産が増えている。2025年の母親の平均出産年齢は33.8歳で、35歳以上の母親による出生が全体の37.3%を占めた。第1子を産む平均年齢も33.2歳に達している。
第三に、地域差が大きい。合計特殊出生率は全羅南道が1.09、世宗市が1.06だった一方、ソウルは0.63、釜山は0.74にとどまった。全国一律の出生奨励金だけでは説明できない、住宅事情や地域の雇用環境、生活コストの違いが表れている。
【韓国の出生数はなぜ増えた?】2025年回復の背景にある結婚の増加

2025年の出生数増加には、結婚件数の回復が大きく関係している。
韓国では、婚姻関係にある夫婦から生まれる子どもが出生の大部分を占める。そのため、結婚する人が増えれば、一定の時間差を経て出生数も増加しやすい。
国家データ処が2026年3月に公表した2025年の婚姻・離婚統計によると、2025年の婚姻件数は約24万件で、前年から8.1%増加した。男性の平均初婚年齢は33.9歳、女性は31.6歳だった。
新型コロナウイルスの流行期には、結婚式や婚姻届の提出を先送りするカップルが増えた。感染状況が落ち着いた後、その需要が戻ってきたことが婚姻件数の回復を後押ししている。
2025年の出生数増加について、韓国保健社会研究院(KIHASA)が2026年7月に公表した分析も重要だ。同研究では、2015年以降の出生動向を分析し、今回の回復には30代前半の女性人口の増加、コロナ禍で延期された結婚の反動、婚姻後の出生行動の変化が影響したと説明している。
つまり、2025年の出生数増加は、政府の出産奨励政策だけで突然生まれた結果ではない。結婚を延期していた人々が結婚し、その後に第1子を持つ動きが重なった側面がある。
出生数の増加は本格的な回復なのか
ここで注意したいのが、出生数と合計特殊出生率の違いだ。
出生数は、その年に実際に生まれた子どもの数である。一方、合計特殊出生率は、その年の年齢別出生率が将来も続くと仮定した場合の女性1人当たりの出生数を示す。
出産適齢期にある女性の人口が増えれば、1人当たりの出生行動が大きく変わらなくても、出生数が増える可能性がある。反対に、出生率が改善しても、出産する年齢層の女性そのものが減っていれば、出生数は増えにくい。
韓国保健社会研究院の分析が示すように、今回の回復には人口構成の変化も含まれている。今後、30代前半の女性人口が縮小していくなかで出生数を維持できるかが、本格的な回復を判断する基準になる。
したがって、2025年の結果は希望の持てる変化ではあるものの、少子化の構造的な問題が解決したことを意味しない。
【韓国少子化の原因と理由】住宅価格・教育費・私教育費が若者を追い詰める
韓国の少子化を理解するうえで欠かせないのが、結婚と子育てにかかる経済的な負担だ。
子どもを育てる費用だけでなく、結婚前の住居確保、住宅購入、教育競争、生活水準の維持まで考えると、若い世代にとって家族を持つ決断は大きな経済的リスクを伴う。
1. 住宅価格の高騰とソウルへの集中
住宅問題は結婚そのものを難しくしている。
韓国ではソウルを中心とする首都圏に雇用、大学、医療、文化施設などが集中している。良質な仕事や教育機会を求める若者が首都圏に集まる一方、住宅取得や賃貸に必要な費用も高くなりやすい。
OECDの2025年報告書「Korea's Unborn Future」によると、19~34歳の未婚男性の41%、女性の26%が、結婚をためらう最大の理由として経済的制約を挙げている。
また、若者の51.2%が結婚するには住宅を所有する必要があると考えていた。韓国の住宅都市研究院などのデータをもとにしたOECDの分析では、首都圏の住宅価格所得比率は2012年の6.7から2021年には10.1へ上昇している。
住宅価格所得比率とは、住宅価格が世帯所得の何年分に相当するかを示す指標だ。数値が高いほど、一般的な所得の世帯が住宅を購入しにくい状況を意味する。
住宅の確保が結婚の前提条件になれば、安定した収入や貯蓄が十分にない若者は結婚を先送りする。結婚が遅れれば、第1子の出産年齢も上がり、第2子以降を考える時間も短くなる。住宅問題は、単なる不動産市場の問題ではなく、出生数に直結する社会問題なのである。
2. 教育費と私教育費が子育てのハードルを上げる
韓国の少子化を語る際、住宅費と並んで問題になるのが教育費だ。
韓国では大学入試に向けた競争が激しく、学校教育以外の塾や家庭教師などの私教育が広く利用されている。韓国語で私教育を意味する「サギョユク(私教育)」は、家庭の経済力と子どもの教育機会の格差を考えるうえでも重要なキーワードだ。
国家データ処と教育部が公表した2024年の小中高校生の私教育費調査では、私教育費の総額は29兆2,000億ウォンに達した。前年から7.7%増加し、過去最高を更新している。
2026年3月に公表された2025年の調査では、総額は27兆5,000億ウォンへ減少した。ただし、これは教育費の負担が大幅に軽減されたことを意味しない。
2025年には小中高校生の人数自体が約2.3%減少している。その一方、私教育を実際に利用した生徒1人当たりの月平均支出は60万4,000ウォンと過去最高になった。私教育への参加率も75.7%に達している。
つまり、総額の減少には子どもの数が減った影響があり、教育競争に参加する家庭の負担は依然として重い。
子どもを1人育てる場合でも、教育環境を整えるために相当な支出を覚悟しなければならない。2人、3人と子どもを増やすことが経済的に難しいと感じる家庭が生まれるのも、この構造と無関係ではない。
3. 雇用不安と若者の経済的な不安定さ
住宅や教育にかかる費用を支えるには、安定した収入が欠かせない。しかし、韓国の若者が直面する雇用環境にも課題がある。
OECDの2024年韓国経済審査によれば、2023年時点で20~29歳の就業者のうち、40%以上が非正規雇用だった。
韓国では、大企業の正規職と中小企業の非正規職などの間で、賃金、雇用安定性、福利厚生に格差がある。希望する大企業への就職を目指して就職活動を長期化させる若者もいる。
就職が遅れれば、収入や貯蓄を確保する時期も後ろにずれる。住宅購入や結婚の資金を準備できず、結果として結婚や出産を先送りすることになる。
OECDは、正規雇用者のほうが非正規雇用者よりも結婚や出産に至る可能性が高いという分析も紹介している。雇用の安定性は、家族形成に関係する重要な要素だ。
【晩婚化・非婚化とジェンダー問題】韓国の若者が結婚や出産を選びにくい構造
韓国の少子化は、経済的な問題だけでは説明できない。働き方、男女の役割分担、結婚に対する価値観の変化も大きく関係している。
平均初婚年齢と出産年齢が上昇している
2025年の韓国の平均初婚年齢は男性33.9歳、女性31.6歳だった。女性の平均初婚年齢は前年より0.1歳上昇している。
また、2025年の平均出産年齢は33.8歳で、第1子を出産する平均年齢は33.2歳だった。35歳以上の母親から生まれた子どもの割合は37.3%に達している。
結婚や出産を急がず、仕事や経済的な安定を優先する人が増えれば、出産時期は後ろにずれる。第1子の出産が遅くなると、第2子を希望していても、年齢や健康、仕事の事情から実現が難しくなる場合がある。
結婚しない選択と家族観の変化
かつて韓国では、結婚して子どもを持つことが標準的な人生設計とされてきた。しかし、教育水準の上昇や女性の就業機会の拡大、個人の価値観の多様化によって、結婚を必須と考えない人も増えている。
OECDの2025年報告書は、韓国では結婚前に子どもを持つことへの社会的な抵抗感が依然として強く、非婚化が出生率の低下につながりやすいと分析している。
結婚してから子どもを持つという社会規範が強い場合、未婚者の増加はそのまま出生機会の減少につながる。結婚件数が回復した2025年の動きが出生数の増加に結び付いた背景にも、この関係がある。
女性に偏りやすい育児負担とキャリアの中断
もう一つの大きな問題は、出産・育児と仕事の両立だ。
韓国では女性の高学歴化や社会進出が進んできた一方、育児や家事の負担が女性に偏りやすい。出産後に休職や退職を余儀なくされたり、職場復帰しても昇進や賃金面で不利になったりする可能性がある。
OECDは、韓国の男女間賃金格差が加盟国のなかでも特に大きく、母親になることによるキャリア上の不利益が出生率を押し下げる要因になっていると指摘する。
子どもを持つことが女性のキャリアに大きな犠牲を要求するなら、経済的にも職業的にも合理的な判断として、結婚や出産を選ばない人が増える可能性がある。
男性側にも、家族を養うために安定した高収入を確保しなければならないというプレッシャーがある。育児を女性だけの問題として扱うのではなく、男女双方が仕事と家庭を両立できる社会を整える必要がある。
少子化を生む要因と相互関係
| 関連する要因 | 確認できる事実 | 出生数への影響 |
|---|---|---|
| 住宅価格 | 首都圏の住宅価格所得比率は2012年の6.7から2021年の10.1へ上昇 | 結婚・同居の開始が遅れる |
| 教育費 | 2024年の私教育費総額は29.2兆ウォン | 子どもを複数持つ経済的負担が増す |
| 若者の雇用 | 20代就業者の40%超が2023年に非正規雇用 | 所得と将来の見通しが不安定になる |
| 晩婚化 | 2025年の平均初婚年齢は男性33.9歳、女性31.6歳 | 第1子・第2子の出産時期が遅れる |
| 育児と仕事の両立 | OECDが女性のキャリア上の不利益と男女の育児分担を課題として指摘 | 出産による職業上の負担が大きくなる |
この表から見えてくるのは、少子化の原因が単独では存在しないということだ。
例えば、安定した仕事がなければ住宅ローンを組みにくくなる。住宅を確保できなければ結婚が遅れる。結婚が遅れれば出産時期も遅れ、育児にかけられる時間が短くなる。加えて、教育費や育児によるキャリアの中断が重なれば、第2子を持つ選択は難しくなる。
韓国の少子化は、こうした問題が連鎖することで深刻化してきた社会構造の問題なのである。
【韓国の少子化対策は効果がある?】出産奨励政策と2026年の国家人口戦略
韓国政府は少子化への対応として、出産給付金、育児休業、住宅支援、保育サービスなどを拡充してきた。しかし、出生率が長期的に下がり続けたため、政策の効果については厳しい評価もある。
2024年の人口国家非常事態宣言と3本柱の政策
2024年6月19日、韓国の少子高齢社会委員会は「少子化傾向反転対策」を発表した。
政府は人口問題を国家的な緊急課題として位置付け、次の3分野を重点的に支援する方針を示した。
- 仕事と家庭の両立:育児休業給付の引き上げ、父親の育児参加促進、代替人員の支援。
- 教育・保育:無償教育・保育の拡大、放課後の子どもの居場所の充実。
- 住宅支援:新生児特例融資、出産世帯向け住宅供給、新婚世帯への住宅支援。
特に住宅支援では、新生児特例貸付の所得要件の緩和や、出産世帯向けの住宅供給を年間12万戸規模に拡大する方針などが打ち出された。
こうした施策は、出産後の家庭に現金を渡すだけではなく、結婚・出産前の生活基盤を整える方向へ政策を広げた点に特徴がある。
2025年に育児休業給付が大幅に拡充
2025年1月からは、育児休業給付の上限が月150万ウォンから250万ウォンに引き上げられた。従来の復職後に一部を受け取る仕組みも廃止され、休業期間中に全額を受け取れるようになった。
また、両親がそれぞれ育児休業を取得する制度では、取得期間に応じて月250万~450万ウォンの給付を受けられる仕組みが設けられている。
韓国雇用労働部の発表によると、2024年の育児休業取得者は13万2,535人で、男性は4万1,829人だった。男性の割合は31.6%となり、初めて3割を超えた。
2025年には給付拡充を背景に、年初の育児休業利用者も前年同期から大幅に増加した。制度の利用が進んでいることは、政策の具体的な成果として評価できる。
2026年10月に新たな国家人口戦略を発表
2026年には、人口政策の枠組みにも大きな変化があった。
韓国政府は2026年9月10日に人口戦略委員会を発足させ、10月14日に第1次国家人口戦略基本計画の主要内容を公表した。
これは従来の少子高齢社会基本法を人口戦略基本法へ改正した後に策定された最初の基本計画で、今後5年間の人口政策の方向性を示すものだ。
重点分野は次の4つに整理されている。
- 若者のライフステージに応じた支援
- 高齢者が尊厳を持って暮らせる社会の実現
- 技術革新を基盤とした能力・生産性の向上
- 外国人や多様な家族形態を含めた開かれた社会の構築
住宅政策では、若者・新婚世帯・子育て世帯向けの公共住宅57万1,000戸の供給を掲げ、若者の住宅取得を支援する融資制度の創設なども盛り込まれた。
注目すべきなのは、政策の目的が出生率の引き上げだけではなく、人口減少を前提とした社会経済構造の再設計に広がった点だ。
政府は、出生率がすぐに改善しても、これまでの出生数減少の影響で人口減少と高齢化は長期間続くと説明している。出生率を回復させる政策と、人口が減っても社会を維持できる政策を並行して進める方針だ。
出産奨励金だけでは少子化を解決できない
地方自治体による出産祝い金や子育て給付金も、韓国の少子化対策の一部だ。自治体ごとに支給額や対象条件は異なり、結婚、妊娠、出産、育児まで幅広い支援が行われている。
しかし、給付金を受け取っても、毎月の住宅ローン、教育費、保育費、生活費が大きければ、長期的な負担は解消しない。
OECDも、韓国では家族政策への支出が拡大しているにもかかわらず、住宅費や教育費、男女間の賃金格差、長時間労働といった構造的な問題が残っていると指摘している。
政策の成果を測る際には、出生数だけを見るのでは不十分だ。若者の正規雇用率、育児休業の取得率、女性の就業継続率、住宅取得のしやすさ、私教育費の負担なども合わせて評価する必要がある。
【韓国人口減少の将来予測】日本との出生率比較と今後の展望
2025年に出生数が増えた韓国だが、人口構造は依然として厳しい状況にある。
2026年の韓国の推計人口は約5,161万人。KOSISの人口ダッシュボードによると、65歳以上の高齢人口は全体の21.6%を占めている。韓国はすでに高齢者が人口の5人に1人を超える超高齢社会に入った。
2072年には総人口が約3,622万人になる予測
国家データ処が公表した2022年基準の将来人口推計では、韓国の総人口は2022年の約5,167万人から2072年には約3,622万人に減少する見通しだ。
加えて、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は、2022年の17.4%から2072年には47.7%まで上昇すると推計されている。
これは、社会全体の約2人に1人が高齢者になる計算だ。現役世代の減少によって、年金、医療、介護、税収、労働力確保など、幅広い分野に影響が及ぶ可能性がある。
なお、この数字は2022年を基準にした将来推計であり、2072年の人口を確定的に予測したものではない。出生率や死亡率、国際人口移動などによって実際の人口は変わる。
韓国と日本の出生率を比較すると?
日本も少子化が深刻だが、韓国と比べると出生率には差がある。
2025年の人口動態統計では、韓国の合計特殊出生率は0.80だった。一方、日本の厚生労働省が2026年9月30日に公表した2025年の確定統計では、合計特殊出生率は1.14だった。
両国とも出生数が死亡数を下回る人口減少局面にあるが、出生率では韓国が日本を大きく下回っている。
| 比較項目 | 韓国 | 日本 |
|---|---|---|
| 2025年出生数 | 254,341人 | 671,270人 |
| 2025年合計特殊出生率 | 0.80 | 1.14 |
| 2025年の出生数の前年比 | 6.7%増 | 2.2%減 |
| 2025年の出生動向 | 2年連続で回復 | 10年連続で減少 |
この比較で興味深いのは、韓国では出生数が増加した一方、日本では減少が続いていることだ。
ただし、出生数の増減だけで少子化対策の優劣を判断することはできない。人口規模や年齢構成、結婚件数、出産年齢、移民政策など、各国の人口動態には違いがある。
日本も韓国も、出生率の改善だけでなく、若者が経済的な不安を抱えずに家庭を持てる環境づくりが必要だ。
韓国の出生率回復を左右する4つのポイント
今後の韓国の人口動態を考えるうえでは、次の4点が重要になる。
1. 住宅価格と若者の所得格差を改善できるか。
結婚を希望しても住居を確保できない状況が続けば、出生数の回復は限定的になる。住宅供給だけでなく、若者が無理のない負担で住み続けられる環境が必要だ。
2. 教育競争と私教育費を抑えられるか。
子どもを育てることが高額な教育投資を意味する社会では、子どもの人数を増やすことが難しい。学校教育の質を高め、家庭の経済力による教育格差を縮小することが求められる。
3. 男女が育児と仕事を分担できるか。
育児休業制度を整えるだけでは十分ではない。男性が育児休業を取得しやすく、女性が出産後もキャリアを継続できる職場環境が必要になる。特に中小企業や非正規雇用者への支援が重要だ。
4. 地方でも安心して子育てできるか。
ソウルと地方の出生率の差は、地域間の経済・教育・住宅格差とも関係している。地方で安定した仕事を見つけ、教育や医療を受け、安心して子どもを育てられる環境が整えば、首都圏への人口集中を緩和する効果も期待できる。
【韓国少子化に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:韓国の2025年の合計特殊出生率はいくつですか?
A1:2026年8月26日に公表された国家データ処の確定統計では0.799人です。小数第2位に丸めると0.80人で、2024年の0.748人から上昇しました。
Q2:韓国の2025年の出生数は何人ですか?
A2:25万4,341人です。前年より1万6,024人、6.7%増加しました。出生数の増加は2年連続で、2015年以来の長期的な減少傾向に変化が見られています。
Q3:韓国の少子化が進んでいる最大の原因は何ですか?
A3:住宅価格の高騰、私教育費の負担、若者の雇用不安、晩婚化、女性に偏りやすい育児負担などが複合的に関係しています。特定の原因だけで説明できる問題ではありません。
Q4:韓国の出生率は日本より低いですか?
A4:はい。2025年の確定統計では韓国が0.80、日本が1.14です。日本も過去最低水準の出生率ですが、韓国のほうがさらに低い状況です。
Q5:韓国の出生数が2025年に増えたのは少子化対策の効果ですか?
A5:政策支援の拡充も背景の一つですが、それだけが原因ではありません。新型コロナウイルスの流行期に延期された結婚の回復、30代前半の女性人口の増加、婚姻後の出生行動の変化などが重なったと分析されています。
Q6:韓国の人口は将来どれくらい減少しますか?
A6:国家データ処の2022年基準の将来人口推計では、総人口は2022年の約5,167万人から2072年には約3,622万人に減少する見通しです。同時に、65歳以上の高齢者の割合は47.7%に達すると予測されています。
まとめ:韓国少子化の本当の転換点は出生数の継続的な回復
韓国の少子化は、2025年に一つの明るい変化を見せた。出生数は25万4,341人、合計特殊出生率は0.80となり、いずれも前年を上回った。結婚件数の増加や第1子出生の回復も、今後を考えるうえで注目すべき動きだ。
しかし、死亡数が出生数を上回る自然減少は続いており、住宅価格、教育費、雇用不安、晩婚化、男女の育児負担の格差といった問題も残っている。
2026年10月に発表された第1次国家人口戦略基本計画は、こうした状況を踏まえ、単なる出産奨励から人口減少社会への適応まで政策の範囲を広げた。韓国政府が人口問題を社会全体の構造改革として扱い始めたことは、大きな転換点といえる。
【プロの結論】韓国少子化を評価する際に見るべきなのは、合計特殊出生率が0.80から何ポイント上がったかだけではない。若者が安定した仕事を得られるか、住宅を確保できるか、教育費を過度に負担せずに済むか、そして男女がキャリアを犠牲にせず子どもを育てられるかが重要だ。
2025年の出生数増加が一時的な反動で終わるのか、それとも長期的な回復の始まりになるのか。その答えは、今後数年間の出生統計と、若い世代の生活環境がどこまで改善するかにかかっている。
韓国の人口問題は、日本にとっても決して遠い話ではない。両国の経験から学ぶべきなのは、出産を促す政策だけではなく、子どもを持ちたい人が安心してその希望を実現できる社会をつくることだ。