EVILの正体は、静岡県三島市出身のプロレスラー、渡辺高章(わたなべ・たかあき)だ。覆面レスラーや別人格のキャラクターではなく、本人がリングネームEVILとして活動している。
基本プロフィールは次のとおり。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | 渡辺高章 |
| リングネーム | EVIL(イービル) |
| 異名 | キング・オブ・ダークネス |
| 生年月日 | 1987年1月26日 |
| 年齢 | 39歳(2026年10月31日時点) |
| 出身地 | 静岡県三島市 |
| 身長 | 178cm |
| 体重 | 106kg |
| デビュー | 2011年5月13日 |
| 主な活動歴 | 新日本プロレス、WWE |
| 2026年の所属 | WWE・NXT |
| WWEでのリングネーム | Naraku |
プロフィールの基本情報は、人物データベースやプロレス関連資料に掲載されている情報と一致する。
キング・オブ・ダークネスという名前の由来
「キング・オブ・ダークネス」は、英語で「闇の王」を意味する異名だ。
EVILという英単語には「悪」「邪悪」といった意味がある。黒を基調としたコスチューム、暗黒を連想させる入場演出、反則も辞さない戦闘スタイルが、そのキャラクターを形作ってきた。
ただし、EVILというリングネームを命名した具体的な経緯や、本人が語った正式な由来については、広く確認できる公式説明はない。
重要なのは、EVILが単に名前だけで悪役を演じているわけではない点だ。入場演出から試合中の立ち振る舞いまで、一貫して観客に敵役として認識させる演出が施されている。
【経歴・年表】新日本プロレスでの登場から退団まで

EVILのキャリアを理解するには、2015年の内藤哲也との出会いと、2020年のヒール転向を押さえる必要がある。
2011年:新日本プロレスでデビュー
2011年5月13日、渡辺高章は新日本プロレスでプロレスラーデビューを果たした。
その後、海外遠征を経験。アメリカのROHなどにも参戦し、国内とは異なるプロレス文化や試合スタイルを経験した。
この海外経験は、後のEVILというキャラクターを形成するうえでも重要な時期だった。
2015年:EVILとして内藤哲也のパレハに
2015年10月、海外遠征から帰国した渡辺はEVILという新しいリングネームで登場する。
このとき、彼を新日本マットに連れてきたのが内藤哲也だった。
内藤のパレハ(仲間)として登場したEVILは、内藤、BUSHIらとともに活動し、後のLOS INGOBERNABLES de JAPON(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)の一員として存在感を高めていく。
2016~2018年:シングル・タッグの両面で実績を積む
2016年にはNEVER無差別級王座を初戴冠。
さらにSANADAとのタッグでも実績を残し、2017年と2018年にはWORLD TAG LEAGUEを連覇した。
2018年1月4日の東京ドーム大会ではSANADAとのコンビでIWGPタッグ王座を獲得。シングルだけでなく、タッグ戦線でも評価を高めた。
2020年:内藤哲也を裏切り、IWGP二冠王者に
2020年7月11日のNEW JAPAN CUP決勝では、オカダ・カズチカを破って初優勝。
試合後、EVILは内藤との関係を断ち切り、BULLET CLUBへの加入を表明した。
翌12日のDOMINIONでは内藤哲也と対戦し、IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を同時に獲得。大きなキャリアの転換点となった。
2021~2025年:HOUSE OF TORTUREのリーダーとして活動
2021年9月、EVILはHOUSE OF TORTUREを立ち上げた。
SHO、高橋裕二郎、ディック東郷らとともに悪役ユニットとして活動し、新日本プロレスの主要戦線に関わり続けた。
2025年10月にはNEVER無差別級王座を再び獲得。通算4度目の戴冠となった。
EVILの主な経歴・タイトル獲得一覧
| 時期 | 出来事 | 主な実績・関係者 |
|---|---|---|
| 2011年5月 | 新日本プロレスでデビュー | 渡辺高章として活動 |
| 2015年10月 | EVILとして登場 | 内藤哲也のパレハ |
| 2016年 | NEVER無差別級王座獲得 | 初の主要シングル王座 |
| 2017年 | WORLD TAG LEAGUE優勝 | SANADAとのタッグ |
| 2018年 | IWGPタッグ王座獲得 | SANADAとのコンビ |
| 2018年 | WORLD TAG LEAGUE優勝 | 2連覇達成 |
| 2020年7月11日 | NEW JAPAN CUP優勝 | オカダ・カズチカを撃破 |
| 2020年7月12日 | 内藤哲也から二冠奪取 | BULLET CLUBに加入 |
| 2021年9月 | HOUSE OF TORTURE結成 | SHO・高橋裕二郎・ディック東郷ら |
| 2025年10月 | NEVER無差別級王座獲得 | 通算4度目 |
| 2026年1月4日 | ウルフアロンと対戦 | NEVER王座から陥落 |
| 2026年1月末 | 新日本プロレス退団 | 契約満了 |
| 2026年5月12日 | WWE・NXTでリングデビュー | Narakuとして活動 |
タイトルの獲得歴については、IWGPヘビー級王座、IWGPインターコンチネンタル王座、IWGPタッグ王座、NEVER無差別級王座、NEVER無差別級6人タッグ王座が主な実績として挙げられる。NEVER6人タッグ王座は通算6度の戴冠記録がある。
【内藤哲也との裏切りとHOUSE OF TORTURE結成】何が起きたのか
EVILのキャリアを語るうえで欠かせないのが、内藤哲也との関係だ。
両者はかつて仲間として戦っていた。しかし、2020年のNEW JAPAN CUPを境に、その関係は決定的に変わった。
内藤哲也との関係が崩れた2020年7月
流れを整理すると次のようになる。
1. EVILが内藤哲也のパレハとして活動し、LOS INGOBERNABLES de JAPONの一員として活躍。
2. 2020年7月11日、NEW JAPAN CUP決勝でオカダ・カズチカに勝利。
3. 試合後、BULLET CLUB入りを表明して内藤を襲撃。
4. 7月12日のDOMINIONで内藤と対戦。
5. 内藤を破り、IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を獲得。
前日の決勝で仲間を裏切り、翌日にその仲間が保持していた二冠王座を奪う。この連続した展開が、EVILのヒール転向を強烈に印象づけた。
当時の新日本プロレスにおいて、EVILは内藤の脇を固める選手という立場から、トップ戦線の中心に立つ選手へと変化した。
HOUSE OF TORTUREとはどんなユニット?
HOUSE OF TORTUREは、2021年9月4日に誕生した新日本プロレスのヒールユニットだ。
当初の中心メンバーは以下の4人。
- EVIL:リーダー
- SHO:元CHAOS所属の選手
- 高橋裕二郎:BULLET CLUBのメンバー
- ディック東郷:試合中の介入などを担う存在
ユニット結成の背景にはSHOとYOHの決別があった。
SHOは長年のタッグパートナーだったYOHと決別し、EVILらと行動をともにするようになった。
HOUSE OF TORTUREの特徴は、正攻法にこだわらない徹底したヒール戦術にある。
- レフェリーの死角を利用した反則
- 凶器攻撃
- セコンドや仲間による試合介入
- 複数人での攻撃
- 相手の集中力を乱す心理戦
こうした手法によって、試合そのものだけでなく、観客の感情を動かすことにも重点を置いていた。
つまり、HOUSE OF TORTUREは単なる仲良しグループではない。EVILのキャラクターを最大限に生かすための組織的なヒール集団だった。
【2026年1月の退団とウルフアロン戦】NEVER王座を失った経緯
2026年のEVILにとって最大の転換点は、ウルフアロンとの対戦と新日本プロレス退団だった。
1月4日:ウルフアロンのプロレスデビュー戦
2026年1月4日、東京ドームで開催されたWRESTLE KINGDOM 20。
この大会でEVILは、東京五輪柔道男子100kg級金メダリストのウルフアロンとNEVER無差別級王座を懸けて対戦した。
ウルフアロンにとってはプロレスデビュー戦。対するEVILはNEVER無差別級王者として迎え撃つ立場だった。
試合はウルフアロンが逆三角絞めを決め、レフェリーストップによって勝利。
ウルフアロンはデビュー戦でNEVER無差別級王座を獲得し、EVILは2025年10月から保持していたベルトを失った。
この結果は、柔道のオリンピック金メダリストがプロレスでも大きなインパクトを残した試合として注目された。
1月26日:新日本プロレスが退団を正式発表
ウルフアロン戦から22日後の1月26日、新日本プロレスはEVILの退団を発表した。
発表の要点は、2026年1月末をもって契約が満了し、本人との話し合いの結果、退団することになったというものだ。
新日本プロレスは公式発表で、長年応援してきたファンに対して突然の知らせになったことを詫び、今後の活躍への期待を示した。
退団理由について、公式に説明されたのは契約満了と本人との話し合いまでである。
WWEへの移籍が取り沙汰されていたことは事実だが、退団の具体的な交渉内容や本人の決断理由まで公表されたわけではない。
【WWE移籍は実現した?】2026年10月現在の活動状況
2026年1月の退団発表直後、海外メディアではEVILのWWE移籍が報じられていた。
その後、この移籍話は具体的な動きへと発展している。
4月24日:WWEとの契約が報道される
2026年4月24日、アメリカのプロレス専門メディアPWInsiderは、EVILがWWEと契約したと報道した。
同報道では、日本国内の複数の関係者から情報を得たとしている。
これにより、1月の退団時点では噂だったWWE移籍が、現実のキャリア選択として動き始めた。
新リングネームはNaraku(ナラク)
WWEでのEVILの新しいリングネームは、Naraku(ナラク)となった。
2026年5月、NXTで公開された映像では、日本で数々のタイトルを獲得した経歴に触れ、新しい環境での活動を予告。
その後、5月12日にNXTでリングデビューを果たし、Lince Doradoを破った。
WWEの公式試合結果でもNarakuの勝利が掲載されている。
2026年10月の最新状況
10月31日時点で確認できる主な動向は以下のとおり。
| 日付 | WWEでの動向 | 結果 |
|---|---|---|
| 5月12日 | NXTリングデビュー | Lince Doradoに勝利 |
| 6月28日 | NXT Great American Bash | NXT王座戦でTony D'Angeloに敗北 |
| 9月1日 | Shiloh Hillと対戦 | Narakuが勝利 |
| 10月6日 | Shiloh Hillと再戦 | レフェリーへの誤噴霧でノーコンテスト |
| 10月31日 | Halloween Havoc | Shiloh Hillとの対戦が予定 |
特に注目したいのが、9月1日のShiloh Hill戦だ。
WWE公式試合結果によると、Narakuは対戦相手の隙を作るためにミストを利用し、最後はEnter the Abyssを決めて勝利した。
これは新日本時代のEVILが持っていた反則を交えたヒールスタイルを、WWEでも発展させていることを示す試合だった。
一方、10月6日の再戦は、Narakuが誤ってレフェリーにミストを浴びせたことでノーコンテストとなっている。
さらに10月31日のHalloween Havocでは、Shiloh Hillとの対戦が組まれている。大会の公式プレビューでも両者の因縁が取り上げられた。試合結果については、この時点では確定情報として扱えない。
つまり、2026年10月現在のEVILは新日本プロレスの所属選手ではなく、WWE・NXTでNarakuとして活動するレスラーだ。
【得意技と実力・評判】EVILはなぜ評価されるのか
EVILの評価を考える際、ヒールとしての立ち回りと、レスラーとしての身体能力・技術を分けて見る必要がある。
反則や介入が目立つ一方、基礎的な技術やパワーにも強みを持つ選手だからだ。
EVILの代表的な得意技
| 技名 | 特徴 |
|---|---|
| EVIL | 変形大外刈りを思わせるフィニッシュ技 |
| ダークネスフォールズ | 代表的なパワー系の得意技 |
| バンシーマズル | 腕を絡めて極める関節技 |
| ダークネススコーピオン | 相手の下半身を狙う関節技 |
| ラリアット | 力強さを生かした打撃技 |
| ジャーマンスープレックス | 投げ技による攻撃 |
EVILの代名詞は、自身のリングネームを冠した必殺技「EVIL」だ。
変形大外刈りをベースにした技で、相手の後頭部をマットに叩きつける豪快なフィニッシュとして知られる。
一方、ダークネスフォールズも代表的な得意技の一つ。パワーを生かした攻撃で、試合の流れを変える技として使用されてきた。
EVILの実力を評価する3つのポイント
1. パワーと身体能力
身長178cm、体重106kgという体格を生かしたパワーファイトが持ち味だ。
投げ技やラリアットなど、相手に強烈なインパクトを与える攻撃を得意としている。
2. ヒールとしての試合構成力
EVILの大きな武器は、試合の流れを自分に有利な方向へ変える能力だ。
レフェリーの死角を利用した攻撃、仲間の介入、凶器の使用などを組み合わせることで、相手が優勢になった場面でも状況をひっくり返す。
こうしたスタイルは、正統派のプロレスを好むファンには敬遠されることもある。しかし、観客にブーイングを起こさせるというヒール本来の役割を考えれば、非常に分かりやすい個性でもある。
3. キャラクターを維持する表現力
EVILは2015年から2026年まで、長期間にわたって暗黒系のキャラクターを演じてきた。
内藤哲也のパレハ時代、BULLET CLUB時代、HOUSE OF TORTUREのリーダー時代と、所属や立場が変わっても悪役としての個性を保っている。
週刊プレイボーイの2026年1月の特集でも、ヒール転向前は内藤を支える存在だったEVILが、転向後は内藤を倒してIWGP二冠王者になったことで、レスラーとしての価値を大きく高めたという趣旨の解説が掲載された。
EVILのプロレスはどんな人におすすめ?
EVILの試合は、次のような楽しみ方をする人に向いている。
- 悪役が徹底的に嫌われる展開を楽しめる人
- 反則や介入を含めた試合の駆け引きが好きな人
- ユニット同士の抗争や裏切りのドラマを楽しみたい人
- キャラクターの変化や長期的なストーリーを追いたい人
反対に、純粋な技の攻防や正々堂々とした勝負を最優先する人には、HOUSE OF TORTURE時代の試合スタイルが合わない場合もある。
ただし、ヒールとしての好みとレスラーとしての技術的な評価は別問題だ。EVILのキャリアは、悪役として観客の感情を動かすこともプロレスラーの重要な能力であると示している。
【よくある質問】キング・オブ・ダークネスEVILに関するFAQ
Q1:EVILの正体は誰ですか?
A1:本名は渡辺高章です。1987年1月26日生まれ、静岡県三島市出身のプロレスラーで、身長178cm、体重106kgです。
Q2:キング・オブ・ダークネスとはどういう意味ですか?
A2:「闇の王」という意味です。EVILの暗黒をテーマにしたリングキャラクターを象徴する異名です。
Q3:EVILはなぜ内藤哲也を裏切ったのですか?
A3:2020年7月11日のNEW JAPAN CUP決勝後に内藤哲也を襲撃し、BULLET CLUBへの加入を表明しました。翌日のDOMINIONでは内藤を破り、IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を獲得しました。
Q4:EVILはHOUSE OF TORTUREのリーダーだったのですか?
A4:はい。2021年9月にHOUSE OF TORTUREを結成し、2026年1月の新日本プロレス退団までリーダーを務めました。
Q5:EVILはウルフアロンに勝ちましたか?
A5:いいえ。2026年1月4日のWRESTLE KINGDOM 20で対戦し、逆三角絞めによるレフェリーストップで敗れました。この試合でNEVER無差別級王座を失っています。
Q6:EVILはWWEに移籍しましたか?
A6:はい。2026年4月にWWEとの契約が報じられ、5月12日にNXTでリングデビューしました。新しいリングネームはNarakuです。
Q7:EVILの必殺技は何ですか?
A7:代表的な必殺技はEVILです。変形大外刈りをベースにした技で、ダークネスフォールズも代表的な得意技として知られています。
まとめ:EVILは新日本からWWEへ、Narakuとして新たなキャリアに挑戦
EVILは、渡辺高章という一人のレスラーが長い時間をかけて作り上げた、個性の強いリングキャラクターだ。
2011年のデビューから2015年のEVILへの変身、内藤哲也との共闘と決別、IWGP二冠王者への到達、HOUSE OF TORTUREの結成まで、そのキャリアには数多くの転換点があった。
2026年1月の新日本プロレス退団は、その長い歴史に一区切りをつける出来事となった。
しかし、プロレスラーとしての活動は終わっていない。
4月のWWE契約報道を経て、5月にはNarakuとしてNXTデビュー。9月にはShiloh Hillから勝利し、10月も同選手との抗争を続けている。
EVILからNarakuへ。
日本のプロレス界で築いた悪役としての経験を、世界最大級のプロレス団体でどう生かしていくのか。今後の活躍を左右するのは、新日本時代の実績だけでなく、WWEのリングで新しいキャラクターをどこまで確立できるかにある。
かつて「キング・オブ・ダークネス」と呼ばれた男の次の戦いは、まだ続いている。