2026年11月現在、小池百合子東京都知事の2024年都知事選における当選が取り消された事実はありません。小池氏は2024年7月の東京都知事選挙で3選を果たし、現在も東京都知事を務めています。一方、カイロ大学卒業をめぐる経歴詐称疑惑や、選挙後に提出された当選無効請求をめぐっては、東京都選挙管理委員会への異議申出や東京高等裁判所での訴訟が行われました。
問題の中心にあるのは、単なる学歴論争ではありません。選挙公報に記載された経歴が虚偽だった場合、公職選挙法第235条の虚偽事項公表罪や第251条の当選無効が適用されるのか、そして選挙管理委員会の決定を司法が覆すためには何が必要なのかという法的な問題です。2024年の選挙結果、令和6年(行ケ)第16号当選無効等請求事件、カイロ大学の公式声明、2026年現在の状況を整理します。
【2026年最新】小池百合子の当選取り消しは決まったのか?現在の状況

最初に確認しておきたいのは、「小池百合子の当選取り消しが決定した」という情報と、「当選無効を求める訴えが起こされた」という事実はまったく異なるという点です。
2026年11月3日時点で、小池氏の2024年都知事選の当選を取り消す公的な決定は確認されていません。全国知事会の現職知事情報でも、小池氏は東京都知事として掲載されています。
2024年7月7日に実施された東京都知事選挙で、小池氏は291万8015票を獲得して当選しました。投票率は60.62%でした。これは東京都選挙管理委員会が公表している確定開票結果です。
小池氏は3期目の任期に入り、任期満了日は2028年7月30日とされています。東京都の公式ウェブサイトでも、2026年10月まで知事記者会見や知事としての活動が掲載されています。
当選取り消しと学歴疑惑は別の問題
今回の問題を理解するには、次の3つを区別する必要があります。
- カイロ大学を卒業したという経歴が事実かどうか。
- 選挙活動に公職選挙法違反があったかどうか。
- 法律上、小池氏の当選を無効にできる条件が成立しているかどうか。
仮に学歴について疑問が残っていたとしても、それだけで直ちに当選が取り消されるわけではありません。刑事事件としての犯罪成立、選挙争訟における手続き、当選無効の法定要件は、それぞれ別に判断されます。
したがって、2026年現在の状況を正確に表現するなら、「当選無効を求める法的な争いがあったものの、当選取り消しは実現していない」となります。
【訴えの争点】2024年東京都知事選後に何が問題になったのか
小池百合子氏の当選無効請求の直接的なきっかけは、2024年7月7日の東京都知事選挙です。
選挙後、東京都選挙管理委員会に対して、小池氏の当選の効力を争う異議申出が提出されました。中心となったのは、山口あずさ氏を総代とする52人による申し立てです。
東京都選挙管理委員会が2024年9月5日付の東京都公報で公表した決定書(6選選第429号)には、申し立ての内容が記載されています。
主な申し立ての理由
争点はカイロ大学の卒業問題だけではありませんでした。公表された決定書によると、申し立て側は主に次のような問題を指摘しています。
1.カイロ大学卒業という経歴の記載
選挙公報に記載されたカイロ大学卒業という経歴について、申し立て側は、公開された卒業証書や証明書の内容に疑問があると主張しました。これを公職選挙法第235条第1項の虚偽事項公表罪に当たるとする見解を示しています。
2.首長による出馬要請と地位利用の疑い
東京都内の区市町村長による小池氏への出馬要請について、知事という立場や権限を利用した働きかけではなかったかという疑問が示されました。
3.公務と選挙運動の関係
選挙期間中の都庁での活動や定例記者会見における発言などについて、公務員の地位を利用した選挙運動に該当するのではないかという主張もありました。
4.給付や政策をめぐる買収・利害誘導の疑い
選挙前の発言や給付に関する政策について、買収や利害誘導に当たる可能性があるとの主張も申し立てに含まれていました。
これらは、あくまで異議申出人側が提示した主張です。申し立てが提出されたこと自体は、各行為について違法性が確定したことを意味しません。
東京都選挙管理委員会の判断
東京都選挙管理委員会は、2024年8月28日付の決定で、52人による当選の効力に関する異議申出をいずれも棄却しました。この決定は9月5日付の東京都公報に掲載されています。
つまり、当選無効を求める申し立ては、選挙管理委員会の段階では認められなかったということです。
【時系列で整理】令和6年(行ケ)第16号当選無効等請求事件の経緯
小池百合子氏の当選無効請求の経緯を理解するには、選挙、異議申出、選挙管理委員会の決定、東京高裁への提訴を順番に確認する必要があります。
特に重要なのが、令和6年(行ケ)第16号当選無効等請求事件です。これは東京都選挙管理委員会の判断をめぐって提起された訴訟で、公開されている原告側の準備書面には事件番号、当事者、主張の内容が記載されています。
| 時期 | 出来事 | 確認できる内容・意味 |
|---|---|---|
| 2024年7月7日 | 東京都知事選挙 | 小池氏が291万8015票を獲得し3選 |
| 2024年7月22日 | 当選無効の異議申出 | 山口あずさ氏ら52人が東京都選挙管理委員会に申し立て |
| 2024年8月28日 | 選管の決定 | 6選選第429号で異議申出をいずれも棄却 |
| 2024年9月 | 東京高裁への提訴 | 令和6年(行ケ)第16号当選無効等請求事件として訴訟が進行 |
| 2024年11月11日 | 原告側準備書面1 | 山口あずさ氏ほか6名が東京高裁に準備書面を提出 |
| 2024年12月24日 | 判決に関する動き | 原告側関係者の公開動画で判決言渡しが紹介された |
| 2026年11月3日 | 現在の状況 | 小池氏は東京都知事として在職。当選取り消しの公的決定は確認されていない |
令和6年(行ケ)第16号とは何か
この事件の原告は山口あずさ氏ほか6名、被告は東京都選挙管理委員会です。
2024年11月11日付の準備書面1では、選挙管理委員会の対応や、小池氏の選挙活動、経歴に関する主張などが取り上げられています。
注目されるのは、被告である東京都選挙管理委員会側の立場です。原告側が公開した準備書面によれば、選管側は、小池氏が公職選挙法違反で有罪判決を受けた事実はなく、第251条による当選無効には該当しないという趣旨の答弁をしています。
この点は訴訟の本質に関わります。学歴の真偽をめぐる主張と、当選無効という法的効果を発生させるための条件は同じではないからです。
なお、2024年12月24日の判決については、原告側関係者が公開した動画で判決言渡しが紹介されています。一方、裁判所が公開する判決全文を確認できないため、判決理由の詳細や個々の請求に対する法的判断については、公式の判決文に基づく断定はできません。
少なくとも、この事件を「裁判所が小池氏の学歴詐称を認定し、当選を取り消した事件」と説明するのは正確ではありません。
【カイロ大学卒業疑惑】小池百合子の経歴詐称問題は何が真相なのか
小池氏の当選無効請求をめぐる最大の注目点が、カイロ大学卒業をめぐる経歴問題です。
疑惑は2020年に出版された石井妙子氏の著書『女帝 小池百合子』などをきっかけに広く議論されるようになりました。2024年には元側近の小島敏郎氏が再び問題を取り上げ、刑事告発に踏み切ったことで、都知事選を前に議論が再燃しました。
2020年6月に公表されたカイロ大学の声明
この問題で重要な資料となるのが、2020年6月に公表されたカイロ大学の声明です。
当時、駐日エジプト大使館の公式Facebookを通じて紹介された声明では、小池氏が1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したこと、卒業証書が大学の正式な手続きにより発行されたことが説明されました。
東京都の公式プロフィールでも、小池氏の学歴は1976年10月のカイロ大学文学部社会学科卒業と記載されています。
小池百合子氏本人の説明
小池氏は一貫してカイロ大学卒業を主張しています。
2024年4月12日の東京都知事記者会見では、卒業証書の真正性について質問され、次のように回答しました。
「当然であります。」
これは、カイロ大学を卒業しており、公開した卒業証書も真正なものであるかという質問に対する回答です。
また、同日の会見では、卒業を証明できるのは大学であり、大学が卒業を認めて証明書を発行しているという趣旨の説明も行っています。
元側近・小島敏郎氏の告発
一方、元都民ファーストの会事務総長で弁護士の小島敏郎氏は、2024年4月、2020年にカイロ大学の卒業声明が公表された経緯について疑問を呈しました。
小島氏は、当時、小池氏から卒業証書と卒業証明書について相談を受け、大学側から卒業を認める声明を出してもらうことを提案したと説明しています。その後、声明の作成過程について問題があったのではないかと主張しました。
さらに2024年6月18日、小島氏は小池氏について、公職選挙法第235条第1項の虚偽事項公表罪に当たる疑いがあるとして、東京地方検察庁に刑事告発状を提出したと発表しました。
ただし、小島氏自身も2024年4月の取材では、卒業していないことを断定するものではないという趣旨を説明しています。告発は犯罪の成立を確定させるものではありません。
卒業疑惑について確認できる事実
- カイロ大学は2020年、1976年10月の卒業を認める声明を公表した。
- 東京都の公式プロフィールもカイロ大学卒業と記載している。
- 小池氏本人は卒業を認め、卒業証書や証明書を公開してきたと説明している。
- 小島敏郎氏は声明の作成経緯などに疑問を示し、2024年6月に刑事告発した。
- 疑惑をめぐる主張と、刑事裁判で犯罪が確定したことは別である。
このように、大学側の卒業認定と、それに対する元側近らの疑問が対立しています。卒業の実態をめぐる議論は続いていますが、疑惑があることだけを根拠に経歴詐称が法的に確定したと扱うことはできません。
【公職選挙法を解説】第251条の当選無効と第235条の虚偽事項公表罪
小池百合子氏の当選取り消しを理解するうえで、最も重要なのが公職選挙法第251条です。
この条文は、当選人本人が選挙に関する一定の犯罪を犯し、刑に処せられた場合に、その当選を無効とする制度を定めています。
公職選挙法第235条第1項とは
第235条第1項は、虚偽事項の公表罪を定めた規定です。
当選を得る、または候補者を当選させる目的で、候補者の身分、職業、経歴などについて虚偽の事項を公表した場合に成立する可能性があります。
経歴に関する虚偽の公表が認定されれば、選挙犯罪として刑事責任が問題になります。ただし、卒業経歴に疑いがあるという指摘だけで、直ちにこの犯罪が成立するわけではありません。
公職選挙法第251条の当選無効の成立要件
第251条の適用を考える際には、次の条件を区別する必要があります。
- 選挙犯罪の成立:公職選挙法第16章に規定された対象犯罪に該当すること。
- 本人による犯罪:当選人本人が対象となる犯罪を犯したこと。
- 刑事処分:その犯罪について刑に処せられること。
- 法定の適用範囲:第251条で除外されている犯罪に該当しないこと。
重要なのは、単なる疑惑、刑事告発、選挙管理委員会への異議申出だけでは、第251条による当選無効は成立しないという点です。
第235条第1項の虚偽事項公表罪は、第251条の対象犯罪から除外されていません。そのため、仮に候補者本人による同罪が成立し、刑に処せられるという条件が満たされれば、当選無効につながる可能性があります。
第204条・第208条と第207条の違いにも注意
検索では「公職選挙法第204条の選挙無効訴訟」「第208条の当選無効訴訟」という言葉も見られます。しかし、これらは主に国政選挙に関する規定です。
東京都知事選挙のような地方公共団体の首長選挙では、適用する条文を区別しなければなりません。
- 第203条:地方公共団体の議会議員や首長の選挙そのものの効力に関する訴訟。
- 第204条:衆議院議員・参議院議員の選挙そのものの効力に関する訴訟。
- 第206条・第207条:地方公共団体の議会議員や首長の当選の効力に関する異議申出・訴訟。
- 第208条:衆議院議員・参議院議員の当選の効力に関する訴訟。
- 第251条:当選人本人の選挙犯罪による当選無効。
今回の東京都知事選後の当選無効請求を理解するには、第206条・第207条の地方選挙の当選争訟と、第251条の選挙犯罪による当選無効を分けて考えることが重要です。
当選無効を求める訴訟が存在することと、第251条によって当選が無効になることは、法的に異なる仕組みなのです。
【プロの結論】小池百合子の当選取り消しを判断する3つのポイント
小池百合子氏の当選取り消し問題は、政治的な批判と法律上の判断が混同されやすいテーマです。今後の動きを理解するためには、次の3つの判断基準が役立ちます。
1.疑惑と刑事事件の結論を混同しない
経歴に関する疑惑が報道されたこと、元側近が告発したこと、選挙管理委員会に異議が申し立てられたことは、それぞれ確認できる出来事です。
しかし、これらは有罪判決と同じではありません。公職選挙法第251条の適用を判断する際には、本人による犯罪の成立と刑事処分の有無が重要になります。
2.当選無効と選挙無効を区別する
当選無効は、特定の候補者を当選人としたことの適法性を争うものです。一方、選挙無効は、選挙の管理執行そのものに問題があったとして、選挙の効力を争うものです。
両者は対象も法的要件も異なります。小池氏の経歴問題をめぐる議論が、そのまま東京都知事選全体の無効につながるわけではありません。
3.公的な決定と関係者の主張を照合する
情報を確認するときは、次の資料を優先すると状況を把握しやすくなります。
- 東京都選挙管理委員会が公表する選挙結果と決定書
- 東京高等裁判所など裁判所が公表する判決文
- 公職選挙法の現行条文
- 東京都の公式記者会見記録と知事プロフィール
- カイロ大学および駐日エジプト大使館の公表資料
とりわけ、訴訟の原告側が公表した準備書面は、申し立ての内容を知るうえで重要ですが、それ自体が裁判所の認定事実になるわけではありません。
政治的な評価と法律上の結論を分けて考えることが、この問題を正確に理解するための最も重要な視点です。
【小池百合子の当選取り消し】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、小池百合子の当選は取り消されていますか?
A1:いいえ。2026年11月3日現在、小池氏の2024年東京都知事選における当選取り消しは決定していません。小池氏は3期目の東京都知事として在職しています。
Q2:小池百合子の当選無効請求はなぜ行われたのですか?
A2:主な理由は、カイロ大学卒業という経歴の記載に関する疑義です。そのほか、知事の地位利用による選挙運動や買収・利害誘導などの問題も申し立て側から指摘されました。東京都選挙管理委員会は52人による異議申出を棄却しています。
Q3:令和6年(行ケ)第16号はどのような事件ですか?
A3:小池氏の当選無効をめぐり、東京都選挙管理委員会を被告として東京高等裁判所に提起された当選無効等請求事件です。原告は山口あずさ氏ほか6名です。原告側の準備書面などで訴訟の経緯を確認できますが、学歴詐称を裁判所が認定した事件と説明することはできません。
Q4:カイロ大学は小池百合子の卒業を認めていますか?
A4:はい。2020年6月に公表されたカイロ大学の声明では、1976年10月に卒業したことが認められています。東京都の公式プロフィールにも卒業経歴が記載されています。一方、声明の公表経緯などをめぐって元側近らが疑問を示しており、議論が続いています。
Q5:公職選挙法第251条が適用されるとどうなりますか?
A5:当選人本人が対象となる選挙犯罪を犯し、刑に処せられた場合、原則としてその当選は無効になります。ただし、すべての選挙違反が対象になるわけではなく、条文で定められた犯罪と除外規定を確認する必要があります。
Q6:公職選挙法第204条と第208条は今回の訴訟に適用されますか?
A6:東京都知事選挙は地方公共団体の首長選挙です。選挙無効については第203条、当選無効については第206条・第207条が関係します。第204条と第208条は国会議員選挙に関する規定です。
まとめ:小池百合子の当選取り消し問題は今後どうなる?
小池百合子氏の当選取り消し問題は、2024年東京都知事選後の異議申出、東京高裁での当選無効等請求事件、カイロ大学卒業をめぐる経歴問題という複数の論点から構成されています。
東京都選挙管理委員会は2024年9月5日付の公表資料で、52人による当選無効の異議申出を棄却しました。その後、令和6年(行ケ)第16号として東京高裁で争われた経緯もあります。
一方、カイロ大学は2020年に小池氏の卒業を認める声明を公表しており、小池氏本人も卒業を主張しています。これに対し、元側近の小島敏郎氏らが卒業声明の作成経緯などに疑問を呈し、公職選挙法違反の疑いで刑事告発したことも事実です。
ただし、疑惑や告発、当選無効を求める訴訟が存在することと、当選が法律上無効になることは別問題です。公職選挙法第251条の適用には、対象犯罪の成立と刑事処分という法定条件が関係します。
2026年11月現在、小池百合子氏の当選取り消しは実現しておらず、東京都知事としての在職が続いています。今後の判断材料として注目すべきなのは、刑事手続きの公的な結論、裁判所の正式な判断、そして選挙管理委員会が公表する新たな決定です。
「当選取り消しが決まった」という情報だけで判断せず、選挙結果、異議申出、刑事事件、司法判断をそれぞれ区別することが、この問題の真相を理解するための要点です。
主な確認資料: 東京都選挙管理委員会の開票結果・東京都公報、東京都公式記者会見記録、全国知事会の現職知事情報、公職選挙法、原告側公開準備書面、報道各社の2024年取材資料。