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高速増殖原型炉もんじゅはなぜ廃炉に?2026年の進捗・費用・課題を徹底解説

天音 栞 天音 栞 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
目次

高速増殖原型炉もんじゅは、福井県敦賀市に建設された日本の高速増殖炉開発を象徴する原子炉です。1994年に初臨界を達成し、1995年には初めて発電に成功しました。しかし、同年12月に発生したナトリウム漏えい事故や、その後の設備トラブル、保守管理体制の問題などによって運転停止が長期化。2016年12月21日、政府は原子炉としての運転再開を断念し、廃止措置への移行を正式に決定しました。

2026年10月30日現在、もんじゅは廃炉作業の第2段階にあり、しゃへい体等の取出し、冷却設備や発電設備の解体撤去が進んでいます。さらに2026年8月には廃止措置計画の変更認可申請が行われ、作業方法にも見直しが加えられました。廃止措置の完了目標は2047年度です。

【この記事の重要ポイントまとめ】

- 廃炉の理由: 1995年のナトリウム漏えい事故だけでなく、2010年の炉内中継装置落下、2012年以降の保守管理不備、運営主体の問題などが重なった。
- 2026年の最新状況: しゃへい体等の取出しや設備の解体撤去を実施中。8月31日には廃止措置計画の変更認可申請が提出された。
- 今後の見通し: ナトリウムは2028~2031年度に英国へ搬出する計画。廃止措置は2047年度までに完了する予定。
- 費用の問題: 廃止措置の総費用見積もりは約1,500億円。過去の建設・運転・維持管理費とは区別して考える必要がある。


【2026年最新】高速増殖原型炉もんじゅの現在は?廃炉作業の進捗を解説

高速増殖原型炉もんじゅ

もんじゅは現在、発電を行っていません。原子炉としての役割を終え、残された核燃料やナトリウム、設備などを安全に処理・撤去する廃止措置が続いています。

施設を管理しているのは、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)です。原子力規制委員会による審査・監視の下、長期間にわたる解体作業を段階的に進めています。

2026年10月30日時点で進んでいる作業

JAEA敦賀事業本部が2026年10月30日に公表した週報によると、もんじゅは引き続き廃止措置の第2段階「解体準備期間」にあります。

主な作業は次の3つです。

1. しゃへい体等取出し作業
2. 2次メンテナンス冷却系の解体撤去
3. 水・蒸気系等発電設備の解体撤去

つまり、2026年時点では原子炉建屋をすべて取り壊す段階には至っていません。将来の本格的な解体に備えて、内部に残る機器や冷却系統を整理し、危険性を段階的に減らしている状況です。

2026年8月に廃止措置計画を変更

2026年の大きな動きは、8月31日にJAEAが原子力規制委員会へ廃止措置計画の変更認可を申請したことです。

変更の中心は次の3点です。

- 放射性ナトリウムの抜出し・搬出方法の具体化
- 2次冷却設備などの本格解体に向けた準備作業の追加
- しゃへい体等取出し作業の対象範囲の見直し

原子力規制委員会は9月1日に申請を受理しました。

ここで注意したいのは、申請の受理と変更計画の認可は別の手続きだという点です。2026年10月30日時点で、申請が受理されたことは確認できますが、それを認可済みと解釈することはできません。

今回の変更は、廃炉そのものを取りやめたり、2047年度の完了目標を直ちに変更したりするものではありません。実際の作業状況を踏まえて、より安全で合理的な工程に具体化するためのものです。

廃止措置は2047年度までの長期計画

JAEAの廃止措置計画では、2018年度から2047年度までの約30年間をかけて作業を進める方針です。

主な工程は4段階に分かれています。

- 第1段階:燃料体取出し期間
- 第2段階:解体準備期間
- 第3段階:廃止措置期間Ⅰ
- 第4段階:廃止措置期間Ⅱ

2026年度は第2段階に該当します。

今後はナトリウムの搬出、ナトリウム機器の解体、放射性廃棄物の処理・処分、建物の解体撤去などが続きます。

2047年度はあくまで現在の計画上の完了目標です。実際の進捗は、設備の状態や放射性物質の管理、搬出先の確保などに左右されます。

【高速増殖炉の仕組み】もんじゅはなぜ特別な原子炉だったのか

もんじゅの廃炉を理解するには、そもそも高速増殖炉が何を目指していたのかを知る必要があります。

一般的な原子力発電所と異なるのは、発電だけでなく、使用した燃料以上の核分裂性物質を生み出すことを目指していた点です。

高速増殖炉とは?燃料を増やす仕組み

高速増殖炉(FBR)は、高速中性子を利用する原子炉です。

一般的な軽水炉では、水を冷却材として使うと同時に、中性子の速度を落とす減速材としても利用します。

一方、もんじゅは減速材を使用せず、高速中性子による核分裂反応を利用する設計でした。

燃料にはウランとプルトニウムを混合したMOX燃料を採用しています。

高速中性子によって核分裂を起こす一方、燃料の周囲に配置したウラン238などに中性子を吸収させ、プルトニウム239を生成する仕組みです。

このように、核分裂に利用できる物質を新たに生み出すことを「増殖」と呼びます。

ナトリウム冷却を採用した理由

もんじゅの大きな特徴が、冷却材として金属ナトリウムを使っていたことです。

ナトリウムには、次のような利点があります。

- 熱を伝えやすい
- 約98℃で液体になる
- 約900℃まで沸騰しない
- 高速中性子を減速させにくい
- 高温でも比較的低い圧力で冷却できる

一方で、空気や水と接触すると激しく反応する性質があります。

そのため、漏えいした場合の火災リスクや、設備の保守管理の難しさが課題になります。

もんじゅでは、原子炉を通る1次冷却系と、熱を受け取って蒸気発生器へ運ぶ2次冷却系を設け、その熱で水を蒸気に変え、タービンと発電機を動かす構造を採用していました。

もんじゅの基本仕様

項目 内容
所在地 福井県敦賀市白木
炉型 ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉
燃料 ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)
熱出力 71万4,000kW
電気出力 28万kW
冷却材 金属ナトリウム
初臨界 1994年4月5日
初発電 1995年8月29日
廃止措置決定 2016年12月21日
廃止措置完了目標 2047年度

もんじゅは単なる実験炉ではなく、実際に発電する原型炉として設計されました。

日本が将来の高速増殖炉を実用化するために、炉心の性能、大型ナトリウム機器、発電設備、運転・保守技術などを検証する役割を担っていたのです。

しかし、実際の運転期間は極めて短く、本格的な商業運転に移行することはありませんでした。

【1995年の真相】もんじゅのナトリウム漏えい事故は何が起きたのか

もんじゅの歴史を大きく変えた出来事が、1995年12月8日のナトリウム漏えい事故です。

初臨界から約1年半、初発電からわずか数か月後のことでした。

事故の原因は温度計さやの設計上の問題

事故が発生したのは、2次主冷却系の配管部分です。

配管に取り付けられていた温度計の保護管(温度計さや)が破損し、内部を流れる液体ナトリウムが漏れ出しました。

そのナトリウムが空気と接触して燃焼し、原子炉補助建屋内で火災が発生しました。

原子力委員会の平成8年版原子力白書などによると、事故の原因は次のように整理されています。

1. ナトリウムの流れによって温度計さやが振動した。
2. 振動が繰り返され、高サイクル疲労が発生した。
3. 温度計さやに亀裂が生じ、最終的に破損した。
4. 配管からナトリウムが漏えいし、空気と反応して燃焼した。

温度計さやの形状や設計に問題があり、設計審査の過程でも欠陥を発見・改善できなかったことが指摘されています。

漏えい量は約0.7トンとされ、事故は国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル1に分類されました。

放射性物質の漏えいはあったのか

この事故について、誤解されやすいのが放射線の影響です。

漏えいしたのは原子炉を直接通過しない2次系のナトリウムでした。

1次系と異なり、2次系ナトリウムは原子炉内で中性子を直接受けていません。

そのため、事故による放射性物質の周辺環境や従事者への影響は確認されていませんでした。

ただし、放射性物質による影響がなかったことと、事故が軽微だったことは同じではありません。

高温の金属ナトリウムが漏れ、燃焼した事実は重大な設備トラブルでした。

技術的な事故以上に問題視されたビデオ隠し

1995年の事故が社会的な問題へと発展した理由は、技術的な原因だけではありません。

事故後、当時の動力炉・核燃料開発事業団が現場を撮影した映像を短く編集し、オリジナル映像として提供したことが発覚しました。

現場の映像が不安をあおるという判断が背景にあったと、当時の原子力白書は説明しています。

この対応は、事故隠しとの批判を招きました。

原子力施設では、安全性そのものに加え、事故が起きた際の迅速で正確な情報公開が欠かせません。

もんじゅの場合、技術的なトラブルに組織の情報公開姿勢への不信が重なり、地元住民や国民の信頼を大きく損なう結果となりました。

【廃炉決定までの経緯】2016年に運転再開が断念された本当の理由

もんじゅの廃炉は、1995年の事故だけで決まったわけではありません。

その後も運転再開に向けた改修や試験が行われましたが、別の設備トラブルや組織的な保守管理の問題が続きました。

2010年の運転再開と炉内中継装置落下

約14年間の運転停止を経て、2010年5月6日に性能試験が再開されました。

同年5月8日には臨界に到達しましたが、8月26日、燃料交換作業の片付け中に炉内中継装置が落下するトラブルが発生します。

復旧作業には時間を要し、2012年8月に復旧工事が終了しました。

2012年以降の保守管理不備

2012年11月には、機器の点検時期や点検間隔の変更手続きなどに不備があったことが明らかになりました。

当時、約9,000点の機器について点検時期超過が問題となりました。

原子力規制委員会は2013年に保安措置命令などを発出し、保守管理体制や品質保証体制の改善を求めました。

しかし、改善が十分に進んでいないとして、2015年11月13日には文部科学大臣に勧告を行いました。

その内容は、JAEAに代わって安全に出力運転を行える能力を持つ運営主体を具体的に特定することなどでした。

2016年12月21日に廃炉を正式決定

政府は、これまでのトラブル、運営体制の問題、再稼働に必要な時間と経済的負担、新たな規制への対応などを総合的に検討しました。

そして2016年12月21日の原子力関係閣僚会議で、原子炉としての運転再開を行わず、廃止措置へ移行する方針を決定しました。

当時の政府方針では、もんじゅで得られる高速炉の知見を別の研究開発手段で取得する方向も示されました。

つまり、政府が断念したのは、もんじゅという施設での発電運転であり、高速炉研究そのものを全面的に終了したわけではありません。

もんじゅの主要な出来事を時系列で整理

年月 出来事 意味・影響
1994年4月 初臨界 高速増殖炉の原型炉として臨界を達成
1995年8月 初発電 初めて電力を送ることに成功
1995年12月 ナトリウム漏えい事故 運転停止と社会的な信頼低下
2010年5月 性能試験再開 約14年ぶりに試験を再開
2010年8月 炉内中継装置落下 再び長期停止
2012年11月 保守管理不備が発覚 約9,000点の機器の点検時期超過が問題に
2013年 原子力規制委員会が命令 保守管理・品質保証体制の改善を要求
2015年11月 文部科学大臣に勧告 運営主体の見直しを求める
2016年12月 廃炉方針決定 原子炉としての再開を断念
2018年3月 廃止措置計画認可 本格的な廃炉工程へ
2023年6月 しゃへい体等の取出し開始 第2段階の主要作業が進行
2025年3月 燃料交換装置の不具合 しゃへい体等取出し作業に影響
2026年8月 廃止措置計画変更を申請 作業方法と工程を具体化
2026年10月 解体準備作業を継続 しゃへい体等や設備の撤去を実施

この経緯から分かるのは、廃炉決定が単独の事故によるものではなく、技術・組織・経済性の問題が長年にわたって積み重なった結果だったということです。

【2026年の廃止措置】しゃへい体の取出しと英国へのナトリウム搬出

2026年のもんじゅで特に注目したいのが、しゃへい体等の取出し作業とナトリウムの処理です。

どちらも高速炉特有の設備構造や冷却材の性質が関係しており、一般的な原子力発電所の廃炉とは異なる難しさがあります。

しゃへい体等取出し作業で何が起きているのか

しゃへい体とは、原子炉内の中性子を遮蔽するために設置されている機器です。

もんじゅでは、将来の原子炉容器解体に備えて、炉内に残されたしゃへい体や制御棒集合体などを取り出し、燃料池へ移送する作業を進めています。

2026年8月の変更申請資料によると、2026年5月25日時点の保管状況は次のとおりです。

- 原子炉内:227体
- 炉外燃料貯蔵槽:167体
- 燃料池:205体

また、2026年4月から5月にかけて164体の取出しを完了しました。

これにより、運転時から炉内にあった照射済みのしゃへい体等368体の取出しが完了しています。

今後は炉外燃料貯蔵槽にある167体を燃料池へ移送し、しゃへい体等の取出し作業全体を終了する方針です。

2025年3月の燃料交換装置の不具合

作業が順調に進んでいたわけではありません。

2025年3月27日、燃料交換装置の動作試験中に、しゃへい体をつかんだ装置が離す動作を正常に行えなくなる事象が発生しました。

文部科学省の2026年2月の現地調査資料によると、原因は装置内部の機械的な摩擦抵抗の増加でした。

爪開閉アームとロッドの接続部分の隙間が狭くなり、繰り返し動作することでガイド部分に摩耗が発生。結果としてロッドがたわみ、正常な動作が妨げられました。

再発防止策として、接続ピンの形状変更やロッドガイドの表面硬化処理などが進められました。

このトラブルは、廃炉作業であっても、設備の構造や機械的な安全性を細かく確認する必要があることを示しています。

2026年に見直された模擬燃料体の取扱い

今回の変更申請で重要なのが、原子炉内に残っている模擬燃料体の取出し方針です。

模擬燃料体は、廃止措置へ移行した後の燃料取出し作業のために装荷されたもので、通常の使用済燃料とは異なります。

JAEAの評価では、放射能レベルはクリアランス物相当であり、付着しているナトリウム量も約46kgと推定されています。

一方、原子炉容器内に残るナトリウムは約25トンです。

このため、模擬燃料体を先に取り出すよりも、第3段階の原子炉容器解体作業に合わせて処理する方が、安全面・作業合理性の両面で適切と判断されました。

これは廃炉の後退ではなく、ナトリウム環境下での作業リスクを減らすための工程見直しです。

ナトリウムは2028~2031年度に英国へ

もんじゅには、冷却材として使用されたナトリウムが合計約1,665トンあります。

このうち通常の設備操作で抜き取れる量は約1,588トンで、残りについても専用の治具などを使った回収が検討されています。

2次系のナトリウムは2018年12月までに全量が抜き取られました。

現在はタンクなどで保管されているナトリウムを、英国へ搬出して処理する計画です。

主な経緯は次のとおりです。

- 2021年12月21日:JAEAと英国事業者が覚書を締結
- 2023年4月28日:英国キャベンディッシュ社と枠組み契約を締結
- 2023年7月21日:施設設計などに関する個別契約を締結
- 2025年9月19日:施設建設・試運転に関する2件目の個別契約を締結

処理施設は英国西カンブリア地方のワーキントン港に建設する計画です。

搬出されたナトリウムは、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)に処理され、工業用途の中和剤などとして活用される予定です。

搬出期間は2028年度から2031年度までを想定しています。

ここで押さえておきたいのは、英国へ運ぶのは冷却材のナトリウムであり、使用済み核燃料ではないという点です。

使用済燃料の処理先はフランスが有力だが課題も

使用済燃料については、ナトリウムとは別の問題があります。

JAEAは使用済燃料を国内または原子力協力協定を結んでいる国の許可事業者へ譲り渡し、再処理する方針です。

これまでフランスでの再処理を基本として検討してきました。

搬出開始の見込みは2034年度、搬出完了の見込みは2037年度です。

しかし、2026年3月には毎日新聞が、フランスの特殊燃料処理施設(TCP)の新設計画が白紙撤回されたと報じました。

この施設は高速炉用MOX燃料の再処理に関係するもので、建設費の確保や技術的な難しさが背景にあるとされています。

JAEAもフランスでの施設建設の実現見通しが難しくなっていることを認識している一方、フランスでの再処理を基本としながら、その他の選択肢も排除せず検討を続ける考えを示しています。

したがって、2034~2037年度という搬出予定は、処理先の確定を意味するものではありません。

ナトリウムの英国搬出と使用済燃料の再処理は、別々に進める必要がある重要課題なのです。

【廃炉費用と維持管理費】もんじゅにいくらかかったのか

もんじゅをめぐる議論では、技術的な成果だけでなく、長年にわたって投入された国費も大きな論点になっています。

ただし、これまでの研究開発費、廃止措置費、毎年の維持管理費は、それぞれ異なる数字です。

これまでの研究開発費は約1兆1,183億円

JAEAが公表している事業費の支出実績では、1980年度から2022年度までのもんじゅ関連の研究開発費は約1兆1,183億円です。

主な内訳は次のとおりです。

- 建設費:約5,860億円
- 運転・維持費:約4,353億円
- 維持・廃止措置費:約969億円

これは長年の研究開発に関する累計支出であり、今後必要となる廃炉費用だけを示した数字ではありません。

廃止措置の総費用見積もりは約1,500億円

JAEAの廃止措置実施方針に記載されている総費用の見積もりは約1,500億円です。

内訳は以下のとおりです。

費用項目 見積額
使用済燃料取出し・廃止措置準備費 約150億円
施設解体費 約870億円
放射性廃棄物処理費 約240億円
放射性廃棄物処分費 約240億円
合計 約1,500億円

この金額には廃止措置計画の認可前に発生した準備費用も含まれています。

また、新規制基準への対応経費などは別途必要とされています。

廃炉作業の進捗に応じて費用を見直す方針であり、約1,500億円が最終的な確定支出額というわけではありません。

年間の維持管理費も無視できない

廃炉が決まったからといって、翌年から施設の維持管理が不要になるわけではありません。

原子炉内に燃料やナトリウムが残り、設備の安全機能を維持する必要があるためです。

JAEAの公表資料では、2023年度の維持管理・廃止措置等に必要な事業費予算は179億円でした。

別枠の関連経費として、人件費22億円、固定資産税9億円も示されています。

ただし、これは2023年度の予算額です。2026年度の年間費用としてそのまま扱うことはできません。

今後も、設備の点検、燃料やナトリウムの管理、放射性廃棄物の処理などに費用が必要になります。

2047年度までの長い廃止措置期間を考えると、単年度の支出だけでなく、維持管理費を含めた総額で評価する必要があります。

【プロの結論】もんじゅの廃炉から日本が学ぶべき3つの教訓

もんじゅを単純に「失敗した原子炉」と評価するだけでは、問題の本質を見落とします。

高速炉技術の研究開発で得られた知見がある一方、その技術を安全かつ継続的に運用するための組織体制や経済性を十分に確立できなかったことも事実です。

1. 技術的な可能性と実用化は別問題

高速増殖炉には、ウラン資源の利用効率を高めるという理論的な利点があります。

しかし、実際の発電設備として成立させるには、燃料製造、再処理、冷却材管理、設備保全、運転実績などを含めた一連の技術体系が必要です。

もんじゅは初発電に成功したものの、商業炉としての安定した運転実績を確立できませんでした。

技術の理論的な優位性だけで、実用化を判断することはできないのです。

2. 原子力施設では組織の管理能力も安全性の一部

1995年の事故後の情報公開問題、2012年の保守管理不備、2015年の原子力規制委員会による勧告は、組織運営の重要性を浮き彫りにしました。

高度な設備を持っていても、点検計画を適切に管理できず、異常時に迅速で透明性の高い対応ができなければ、社会的な信頼は維持できません。

2025年の燃料交換装置の不具合も、廃止措置という段階に移ってからなお、設備管理と技術継承が欠かせないことを示しています。

3. 廃炉もまた長期的な技術開発である

もんじゅの廃止措置は、一般的な原子力発電所の解体と同じ方法だけでは進められません。

液体ナトリウムを扱う設備、残留ナトリウムの回収、放射化した機器の撤去、特殊な使用済燃料の再処理など、独自の課題があります。

特に、英国へのナトリウム搬出やフランスでの使用済燃料再処理は、国際的な協力と技術的な調整が必要です。

今後の高速炉開発にとっても、もんじゅの廃炉で得られる知見は重要な資産になります。

もんじゅの評価で注目すべき判断基準は、次の3つです。

- 2047年度という廃止措置の目標を維持できるか。
- ナトリウム搬出と使用済燃料の処理先を確実に確保できるか。
- 廃炉作業で得られた技術や安全管理の知見を次世代の高速炉開発に継承できるか。

これらを追うことで、もんじゅが残した技術的成果と、国の原子力政策が抱える課題をより正確に評価できます。

【高速増殖原型炉もんじゅ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:もんじゅは2026年現在も稼働していますか?

A1:いいえ。2016年12月に原子炉としての運転再開を行わず、廃止措置へ移行する方針が決まりました。2026年10月現在は、しゃへい体等の取出しや設備の解体撤去などの廃炉作業が続いています。

Q2:もんじゅの廃炉はいつ完了する予定ですか?

A2:現在の廃止措置計画では2047年度までの完了を目標としています。2018年度に開始した廃止措置は4段階に分けて実施されており、2026年度は第2段階の解体準備期間です。

Q3:もんじゅに残っているナトリウムや使用済燃料はどうなりますか?

A3:ナトリウムは2028~2031年度に英国へ搬出し、水酸化ナトリウムに処理する計画です。使用済燃料は国内外の許可事業者による再処理を目指しており、フランスでの処理を基本としつつ、ほかの選択肢も検討しています。使用済燃料の搬出開始は2034年度、完了は2037年度が見込まれています。

まとめ:もんじゅの廃炉は2047年度に向けた新たな段階へ

高速増殖原型炉もんじゅは、日本の高速増殖炉開発を担う重要な研究施設でした。しかし、1995年のナトリウム漏えい事故、その後の設備トラブル、保守管理体制の不備、運営主体の問題などが重なり、2016年12月に原子炉としての運転再開を断念しました。

2026年10月現在は、廃止措置の第2段階である解体準備期間にあります。

特に注目されるのは、8月31日に申請された廃止措置計画の変更です。しゃへい体等の取出し方針の見直し、ナトリウム搬出方法の具体化、冷却設備の解体準備など、現場の進捗に合わせた作業の合理化が進んでいます。

一方、使用済燃料の再処理先となるフランスの施設計画には不透明さが残り、英国へのナトリウム搬出もこれから本格化する段階です。

もんじゅの本当の評価は、運転を終えた2016年だけでは決まりません。2047年度までの廃止措置を安全かつ確実に完了させ、そこで得られた技術的な教訓を将来の原子力研究へどれだけ生かせるかが、今後の重要な焦点です。

主な参照資料: 日本原子力研究開発機構、原子力規制委員会、文部科学省、原子力委員会、資源エネルギー庁、毎日新聞の2026年報道。

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天音 栞

アイドルグループとアーティストの動向を追うライター。公式サイト・公式SNS・音楽配信のクレジットを照合し、卒業や加入などの発表は必ず一次情報の日付とともに記録します。

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