MLBの防御率を正しく理解するには、計算方法と規定投球回の2つを押さえる必要があります。
防御率の計算方法
防御率(ERA:Earned Run Average)は、投手が9イニングを投げた場合に、平均何点の自責点を許すかを表す指標です。
計算式は次のとおりです。
防御率の計算式
ミジオロウスキーの2026年成績で計算
- 自責点:35
- 投球回:174回2/3
- 計算結果:約1.80
1.80

2026年レギュラーシーズンの確定防御率
例えば、9イニングを投げて自責点を2点に抑えた投手なら、防御率は2.00です。反対に、同じ9イニングで5点の自責点を許せば5.00になります。
要点は、失点と自責点が同じではないことです。野手のエラーなどによって発生した失点は、原則として投手の自責点には含まれません。一方、投手が走者を残して降板した場合、その走者が後続投手の登板中にホームへ戻っても、元の投手に自責点が付くことがあります。
規定投球回とは?2026年は162回以上が基準
規定投球回とは、防御率などの投手成績で正式なタイトルやランキングの対象となるために必要な投球回数です。
MLBでは基本的に、所属チームのレギュラーシーズンの試合数と同じだけのイニングを投げることが基準になります。
2026年は各チーム162試合のため、規定投球回は162回です。
この基準が設けられている理由は、登板数が少ない投手の極端に低い防御率が、シーズンを通した投手の実力評価に混ざるのを防ぐためです。
例えば、わずか10イニングで自責点を1点に抑えた投手の防御率は0.90です。しかし、その数字だけで162回以上を投げた先発投手より優秀だと判断することはできません。
2026年のランキングでは、クリス・セールが162回2/3で規定投球回をクリアしています。一方、ランキングに掲載されない投手でも、短い登板機会で優秀な防御率を残したケースはあります。
なお、投球回の表記にも注意が必要です。
- 162.0=162回
- 162.1=162回1/3
- 162.2=162回2/3
MLB公式の投球回の定義でも、アウト1つにつき1/3回として計算されています。
【ERA+とWHIPの比較】防御率だけでは分からない投手の本当の実力
防御率は投手を評価する基本指標ですが、それだけですべての能力を判断することはできません。
球場の広さ、守備力、対戦相手、走者を出す頻度など、さまざまな要素が投手成績に影響するからです。
そこで注目したいのが、ERA+とWHIPです。
ERA+は球場やリーグの違いを補正する指標
ERA+は、通常の防御率をリーグ平均や球場の影響を考慮して補正した指標です。
基本的な見方は次のとおりです。
- 100:リーグ平均
- 120:リーグ平均を20%上回る評価
- 150:リーグ平均を50%上回る評価
- 200:リーグ平均を大幅に上回る評価
数値が高いほど優秀です。
2026年の上位投手では、次のERA+が記録されています。
- ミジオロウスキー:232
- シュリットラー:215
- セール:196
- シース:184
- 山本由伸:167
- メシック:161
ミジオロウスキーの232は、球場などの影響を補正しても突出した投球だったことを示しています。山本の167も非常に優秀で、平均を大きく上回る水準です。
WHIPは走者を出さない能力を測る
WHIPは、1イニングあたりに何人の走者を安打と四球で出したかを示す指標です。
計算式は次のとおりです。
防御率が失点を防ぐ能力を示すのに対し、WHIPは走者を出さない能力を示します。
2026年の上位投手を見ると、その違いがよく分かります。
- ミジオロウスキー:0.80
- 山本由伸:0.87
- ラスムッセン:0.91
- シュリットラー:0.92
- セール:0.98
- メシック:1.06
- シース:1.10
山本は防御率では全体5位ですが、WHIPでは全体2位に相当する優秀な成績を残しました。
つまり、防御率だけでは見えにくい走者抑止能力においても、山本はリーグ屈指の投手だったということです。
なお、WHIPには死球やエラーによる出塁は含まれません。
メジャー歴代防御率ランキングと2026年の記録を比較
2026年のミジオロウスキーの防御率1.80は、歴代の名投手と比較しても非常に印象的な数字です。
ただし、シーズン防御率と通算防御率は別の記録として扱う必要があります。
MLB公式の歴代通算防御率ランキングでは、エド・ウォルシュが1.82で歴代トップ。アディ・ジョスが1.89、モーデカイ・ブラウンが2.06で続いています。
ウォルシュは1904年から1917年にかけてプレーした投手で、通算1.82という記録は現在も歴史的な水準として知られています。野球殿堂も、この数字を歴代最低の通算防御率として紹介しています。
一方、ミジオロウスキーの1.80は2026年の1シーズンの記録です。
異なる時代の野球環境や通算成績と単純に比較することはできませんが、現代MLBで1点台前半に迫る防御率を残したこと自体、極めて高い価値があります。
【メジャーの防御率ランキング】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のMLB防御率ランキング1位は誰ですか?
A1:ミルウォーキー・ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーです。2026年レギュラーシーズンに防御率1.80、174回2/3、252奪三振、WHIP0.80を記録し、メジャー全体のトップに立ちました。
Q2:2026年の山本由伸の防御率とランキング順位は?
A2:防御率2.53でMLB全体5位です。185イニング、14勝9敗、182奪三振、WHIP0.87という成績を残しました。防御率だけでなく、走者を出さない能力を示すWHIPでも上位に入っています。
Q3:メジャーの規定投球回は何回ですか?
A3:162試合制のレギュラーシーズンでは162回です。基本的に1チームの公式戦数と同じ投球回数が必要になります。2026年の防御率ランキングも、この基準に達した投手を対象にしています。
まとめ:2026年のメジャー投手力を見極める判断基準
2026年のメジャー防御率ランキングは、ジェイコブ・ミジオロウスキーの1.80が頂点に立ちました。2位のカム・シュリットラーは1.95、3位のクリス・セールは2.16。上位陣が非常に高い水準で競い合ったシーズンです。
日本人投手の山本由伸も防御率2.53で全体5位に入り、185イニングを投げてWHIP0.87を記録しました。防御率だけでなく、投球回や走者抑止能力まで考慮すると、2026年の山本が残した成績の価値はさらに明確になります。
【プロの結論】 投手の実力を正しく評価するなら、防御率だけで順位を決めるのではなく、次の3つを組み合わせて見ることが重要です。
1. 防御率:実際にどれだけ自責点を抑えたかを確認する。
2. WHIP:安打と四球によって、どれだけ走者を出したかを確認する。
3. ERA+:球場やリーグの違いを補正して、平均的な投手と比べてどれほど優秀だったかを判断する。
この3つを組み合わせれば、単に防御率が低い投手だけでなく、長いイニングを投げ、走者を抑え、環境の違いを超えて好成績を残した投手を見極められます。
2026年はミジオロウスキーの歴史的なシーズン、シュリットラーのアメリカンリーグでの躍進、そして山本由伸の安定した投球が際立ちました。2027年シーズンでは、彼らがこの水準を維持できるのか、新たな若手投手がランキングに食い込むのかも大きな見どころです。