2026年10月31日現在、日本の陸上競技では男子800mの1分43秒45、女子棒高跳の4m55、女子やり投の68m92など、新たな日本記録が誕生している。男子100mの9秒95を持つ山縣亮太、男子400mの44秒44を記録した中島佑気ジョセフ、女子200mの22秒79を持つ井戸アビゲイル風果など、種目ごとに歴代の到達点を塗り替えてきた選手たちにも注目が集まる。
日本陸上競技連盟(日本陸連)の公式記録一覧では、2026年10月21日現在の記録が公開されている。加えて、10月25日の全日本競歩高畠大会では、マラソン競歩でも歴史的な記録が生まれた。男子・女子の主要種目から長距離、跳躍、投てき、競歩まで、達成者や大会名とともに最新動向を整理する。
【まず押さえたい】陸上日本記録とは?日本陸連が管理する公式記録の仕組み

陸上日本記録とは、日本の競技者が各種目で達成した最高記録のうち、日本陸上競技連盟(JAAF)が所定の条件を満たしたものとして認定した記録を指す。
単に大会で速いタイムを出しただけでは、日本記録として確定するわけではない。
公認競技会での達成、競技場や用具の規格、風速、競技結果の申請など、複数の条件を満たす必要がある。
記録の管理主体となる日本陸連は、男子・女子それぞれについて、トラック競技、ハードル、リレー、跳躍、投てき、混成競技、競歩などの記録を公開している。
また、次のような区分も存在する。
- 日本記録(NR): 成人カテゴリーの公式日本記録。
- U20日本記録: 20歳未満の競技者を対象とする記録。
- U18日本記録: 18歳未満の競技者を対象とする記録。
- ショートトラック記録: 1周200mの標準トラックで実施された対象種目の記録。
- ロード種目の記録: マラソン、ハーフマラソン、ロード競歩などの記録。
特に注意したいのは、日本記録とU20日本記録は別のカテゴリーだという点だ。
高校生や大学生が日本記録に迫るタイムを出しても、年齢区分に応じた記録が別に設定される場合がある。
記録を調べる際は、選手名とタイムだけでなく、どのカテゴリーの記録なのかも確認したい。
【2026年最新一覧】男子・女子の陸上日本記録と歴代保持者
ここでは、日本陸連の2026年10月21日現在の公式一覧を基礎に、主要な五輪・世界選手権実施種目を中心に整理する。
記録の表記は、短距離・中距離を秒単位、長距離を分秒単位、跳躍・投てきをメートル単位としている。
男子陸上日本記録一覧
| 種目 | 日本記録・保持者 | 達成日・大会 |
|---|---|---|
| 100m | 9秒95・山縣亮太 | 2021年6月6日・布勢スプリント |
| 200m | 20秒03・末續慎吾 | 2003年6月7日・日本選手権 |
| 400m | 44秒44・中島佑気ジョセフ | 2025年9月14日・世界選手権 |
| 800m | 1分43秒45・落合晃 | 2026年5月30日・MIDDLE DISTANCE CIRCUIT |
| 1500m | 3分35秒42・河村一輝 | 2021年7月17日・ホクレン・ディスタンスチャレンジ |
| 5000m | 13分08秒40・大迫傑 | 2015年7月17日・Night of Athletics |
| 10000m | 27分05秒92・鈴木芽吹 | 2025年11月22日・八王子ロングディスタンス |
| 3000m障害 | 8分03秒43・三浦龍司 | 2025年7月11日・モナコ |
| 110mハードル | 12秒92・村竹ラシッド | 2025年8月16日・Athlete Night Games in FUKUI |
| 400mハードル | 47秒89・為末大 | 2001年8月10日・世界選手権 |
| 4×100mリレー | 37秒43・日本代表 | 2019年10月5日・世界選手権 |
| 4×400mリレー | 2分58秒33・日本代表 | 2024年8月10日・パリ五輪 |
| 20km競歩 | 1時間16分10秒・山西利和 | 2025年2月16日・日本選手権 |
| 35km競歩 | 2時間21分47秒・川野将虎 | 2024年10月27日・全日本競歩高畠 |
| マラソン | 2時間04分55秒・大迫傑 | 2025年12月7日・バレンシアマラソン |
| 走高跳 | 2m35・戸邉直人 | 2019年2月2日・カールスルーエ室内 |
| 棒高跳 | 5m83・澤野大地 | 2005年5月3日・静岡国際 |
| 走幅跳 | 8m40・城山正太郎 | 2019年8月17日・Athlete Night Games in FUKUI |
| 三段跳 | 17m15・山下訓史 | 1986年6月1日・日本選手権 |
| 砲丸投 | 19m09・奥村仁志 | 2024年8月30日・Athlete Night Games in FUKUI |
| 円盤投 | 65m38・湯上剛輝 | 2026年4月26日・Oklahoma Throws Series |
| ハンマー投 | 84m86・室伏広治 | 2003年6月29日・プラハ国際 |
| やり投 | 87m60・溝口和洋 | 1989年5月27日・国際グランプリ |
| 十種競技 | 8321点・丸山優真 | 2026年4月15~16日・Mt.SAC Relays |
女子陸上日本記録一覧
| 種目 | 日本記録・保持者 | 達成日・大会 |
|---|---|---|
| 100m | 11秒21・福島千里 | 2010年4月29日・織田記念 |
| 200m | 22秒79・井戸アビゲイル風果 | 2025年8月3日・富士北麓ワールドトライアル |
| 400m | 51秒75・丹野麻美 | 2008年5月3日・静岡国際 |
| 800m | 1分59秒52・久保凛 | 2025年7月5日・日本選手権 |
| 1500m | 3分59秒19・田中希実 | 2021年8月4日・東京五輪 |
| 5000m | 14分29秒18・田中希実 | 2023年9月8日・ダイヤモンドリーグ |
| 10000m | 30分20秒44・新谷仁美 | 2020年12月4日・日本選手権 |
| 3000m障害 | 9分24秒72・齋藤みう | 2025年9月15日・世界選手権 |
| 100mハードル | 12秒60・中島ひとみ | 2026年8月15日・Athlete Night Games in FUKUI |
| 400mハードル | 55秒34・久保倉里美 | 2011年6月26日・大阪選手権 |
| 4×100mリレー | 43秒33・日本代表 | 2022年7月22日・世界選手権 |
| 4×400mリレー | 3分28秒91・日本代表 | 2015年8月29日・世界選手権 |
| 20km競歩 | 1時間26分18秒・藤井菜々子 | 2025年9月20日・世界選手権 |
| 35km競歩 | 2時間44分11秒・岡田久美子 | 2023年4月16日・日本選手権 |
| マラソン | 2時間18分59秒・前田穂南 | 2024年1月28日・大阪国際女子マラソン |
| 走高跳 | 1m96・今井美希 | 2001年9月15日・スーパー陸上 |
| 棒高跳 | 4m55・諸田実咲 | 2026年9月25日・アジア大会 |
| 走幅跳 | 6m97・秦澄美鈴 | 2023年7月14日・アジア選手権 |
| 三段跳 | 14m16・森本麻里子 | 2023年6月3日・日本選手権 |
| 砲丸投 | 18m22・森千夏 | 2004年4月18日・静岡県西部地区選手権 |
| 円盤投 | 60m72・郡菜々佳 | 2024年8月3日・九州共立大学チャレンジ陸上競技会 |
| ハンマー投 | 70m51・マッカーサー・ジョイアイリス | 2024年3月22日・米国招待競技会 |
| やり投 | 68m92・北口榛花 | 2026年9月12日・世界アルティメット選手権 |
| 七種競技 | 6050点・田中友梨 | 2026年6月6~7日・日本選手権混成 |
出典は日本陸上競技連盟の日本記録一覧。2026年10月21日現在の掲載値を基準としている。達成日と大会名は公式記録表の情報に基づく。
なお、2026年10月25日の全日本競歩高畠大会では、従来のトラック競歩とは異なるマラソン競歩でも新たな記録が生まれている。こちらは10月27日現在の月刊陸上競技の記録一覧による補足である。
一覧から分かる男子・女子の特徴
男子では、100mの山縣亮太、200mの末續慎吾、400mの中島佑気ジョセフなど、異なる世代の選手が日本記録を保持している。
一方、中距離では落合晃が2026年に800mの記録を更新し、長距離では鈴木芽吹が10000mの日本記録保持者となった。
女子では、田中希実が1500mと5000mを保持するほか、短距離では井戸アビゲイル風果、中距離では久保凛が大きな存在感を示している。
跳躍・投てきでは、諸田実咲と北口榛花が2026年の記録更新を実現した。
このように、日本記録は一部のスター選手だけでなく、各種目の専門性と長年の競技環境の積み重ねによって形成されている。
【2026年の更新履歴】日本記録を塗り替えた選手と注目の大会
2026年の陸上競技で特に注目したいのは、男子中距離、女子ハードル、女子跳躍、女子投てき、そして競歩の動きだ。
男子800m・落合晃が1分43秒45を記録
800mは、400mのスピードを維持する能力と、1500mにも通じる持久力の両方が必要な種目だ。
前半の位置取り、ペース配分、ラスト200mの加速が結果を左右する。
落合の記録は、日本の中距離競技にとって大きな到達点であり、今後の国際大会での活躍を考えるうえでも重要な数字だ。
さらに落合は2026年7月10日のダイヤモンドリーグ・モナコ大会で1000mの2分15秒24も記録している。複数の距離で日本記録を持つ点も注目される。
女子100mハードル・中島ひとみが12秒60
2026年8月15日、Athlete Night Games in FUKUI 2026で中島ひとみが女子100mハードル12秒60をマークした。
従来の日本記録を更新したこの結果は、女子ハードル界の新しい基準となった。
100mハードルでは、単純な走速度だけでなく、ハードル間の歩数、踏み切り位置、空中姿勢、着地後の加速がタイムに影響する。
12秒60という数字は、これらの技術要素が高い水準でまとまった結果でもある。
女子棒高跳・諸田実咲が4m55
2026年9月25日のアジア大会では、諸田実咲が女子棒高跳で4m55を記録した。
従来の日本記録を更新したこの結果は、女子跳躍種目における大きな進展だ。
棒高跳は、助走で得た速度をポールに伝え、曲げたポールの反発を利用して身体をバーの上に運ぶ競技である。
助走速度、ポールの選択、踏み切り、空中動作が一体となって記録を決める。
4m55は、日本女子棒高跳の新たな目標値となった。
女子やり投・北口榛花が68m92
北口榛花は2026年9月の世界アルティメット選手権で68m92を記録し、女子やり投の日本記録を更新した。
北口は世界大会で実績を積み重ねてきた日本を代表する投てき選手だ。
やり投では、助走の速度を投てき動作に変換する技術が重要になる。単純に腕力だけで遠くへ投げる競技ではない。
助走、クロスステップ、リリース角度、やりの姿勢など、複数の要素が飛距離を左右する。
68m92という記録は、世界水準で戦う日本女子やり投の競技力を示す重要な数字だ。
10月25日・マラソン競歩で川野将虎が世界記録
2026年の大きなニュースとして見逃せないのが、10月25日の第63回全日本競歩高畠大会だ。
男子マラソン競歩で川野将虎が2時間55分14秒をマークし、世界陸連が定めた世界記録認定基準を突破した。
この種目では、42.195kmを歩く新しい競技カテゴリーが導入され、川野は初代世界記録保持者として報じられた。
女子では柳井綾音が3時間29分10秒で優勝し、日本最高記録を大幅に更新した。
ただし、女子の記録については2026年内の最速記録を基準に認定される仕組みが報じられており、年末までの更新状況も関係する。
従来の20km・35km競歩とは別の新しい距離区分であるため、単純に従来の日本記録と比較することはできない。
2026年に記録が更新された主な種目
日本陸連の記録一覧から、2026年に更新された主な記録を整理すると次のようになる。
男子
- 800m:落合晃、1分43秒45(5月30日)
- 1000m:落合晃、2分15秒24(7月10日)
- 3000m:森凪也、7分38秒98(5月17日)
- 60mハードル:野本周成、7秒49(3月21日)
- 5000m競歩:金子陸、17分59秒32(4月5日)
- 円盤投:湯上剛輝、65m38(4月26日)
- 十種競技:丸山優真、8321点(4月15~16日)
女子
- 300m:井戸アビゲイル風果、36秒83(3月20日)
- 3000m:田中希実、8分32秒29(7月18日)
- 100mハードル:中島ひとみ、12秒60(8月15日)
- 棒高跳:諸田実咲、4m55(9月25日)
- やり投:北口榛花、68m92(9月12日)
- 七種競技:田中友梨、6050点(6月6~7日)
このほか、ロード種目やショートトラックでも記録の更新が続いている。
【歴代保持者の見どころ】長く残る日本記録と世代交代
日本記録を見る際に興味深いのは、すべての種目で新記録が頻繁に生まれるわけではないことだ。
短距離、中距離、跳躍、投てきでは、記録が長期間残る理由がそれぞれ異なる。
男子100mは山縣亮太が9秒95で保持
男子100mの歴史を振り返ると、1998年に伊東浩司が10秒00を記録し、2017年には桐生祥秀が9秒98をマークした。
その後、2021年6月6日に山縣亮太が9秒95を記録して日本記録を更新した。
日本選手が10秒の壁を突破し、その先の9秒台で競い合うようになったことは、男子短距離の競技史における大きな転換点だ。
2026年現在も9秒95は日本記録として残っている。
男子200mは末續慎吾の20秒03が長期保持
男子200mでは、末續慎吾が2003年6月7日の日本選手権で記録した20秒03が日本記録となっている。
20年以上にわたって破られていない記録であり、現在の短距離選手にとっても高い目標だ。
200mは100mのスピードに加え、コーナーでの走り方や後半のスピード維持が重要となる。
100mの日本記録が更新されても、200mの日本記録が同じように更新されるとは限らない。
女子100mは福島千里の11秒21
女子100mでは、福島千里が2010年4月29日に記録した11秒21が現在も日本記録として残る。
女子短距離界を代表する記録であり、長年にわたり国内トップ選手の目標となってきた。
200mでは井戸アビゲイル風果が新たな記録保持者となった一方、100mでは福島の記録が残っている。
同じ短距離でも、種目によって記録の世代交代が異なることが分かる。
女子400mは丹野麻美の51秒75
2008年5月3日に丹野麻美が達成した51秒75も、長期間更新されていない女子日本記録の一つだ。
400mはスプリント能力だけでなく、レース後半に速度を落とさない持久力が求められる。
100mや200mで優れた成績を残す選手が、そのまま400mでも日本記録を更新できるわけではない。
種目特有の能力が記録の維持に影響している。
日本記録の保持者と関係する大会・種目
日本記録は、選手個人の能力だけでなく、記録を生み出した大会や競技環境とも密接に関係している。
代表的な関係を整理すると次のようになる。
- 山縣亮太と布勢スプリント: 男子100m9秒95を生んだ大会。
- 末續慎吾と日本選手権: 男子200m20秒03を記録した舞台。
- 中島佑気ジョセフと世界選手権: 男子400m44秒44を達成。
- 落合晃とMIDDLE DISTANCE CIRCUIT: 2026年男子800m1分43秒45を達成。
- 井戸アビゲイル風果と富士北麓ワールドトライアル: 女子200m22秒79を達成。
- 久保凛と日本選手権: 女子800m1分59秒52を達成。
- 諸田実咲とアジア大会: 女子棒高跳4m55を達成。
- 北口榛花と世界アルティメット選手権: 女子やり投68m92を達成。
記録の達成者だけでなく、どの大会で記録されたかを確認すると、日本陸上競技の歴史がより立体的に見えてくる。
【陸上日本記録と世界記録の比較】日本選手は世界のどこまで迫っている?
日本記録の価値を測るうえで、世界記録との比較は欠かせない。
世界陸連(World Athletics)が公表する世界記録と、2026年時点の日本記録を比較すると、種目ごとに世界との差が異なる。
男子短距離・中距離の比較
- 100m:世界記録9秒58/日本記録9秒95
- 200m:世界記録19秒19/日本記録20秒03
- 400m:世界記録43秒03/日本記録44秒44
- 800m:世界記録1分40秒91/日本記録1分43秒45
男子100mでは、山縣亮太の9秒95とウサイン・ボルトの9秒58の差は0秒37だ。
200mでは0秒84、400mでは1秒41、800mでは2秒54の差がある。
距離が長くなるにつれ、単純な最高速度だけではなく、スピード持久力やレース展開も重要になる。
女子短距離・中距離の比較
- 100m:世界記録10秒49/日本記録11秒21
- 200m:世界記録21秒34/日本記録22秒79
- 400m:世界記録47秒60/日本記録51秒75
- 800m:世界記録1分53秒28/日本記録1分59秒52
女子200mでは、井戸アビゲイル風果の22秒79が日本記録となっている。
世界記録との差は1秒45だ。
女子800mでは久保凛の1分59秒52に対して、世界記録は1分53秒28。中距離では世界のトップ選手との間に大きな競技水準の差が残っている。
ただし、世界記録との単純なタイム差だけで選手の価値を判断するのは適切ではない。
国際大会での順位、競技人口、種目の普及度、競技環境なども考慮する必要がある。
跳躍・投てきでは世界水準に近い種目も
跳躍・投てきでも、日本記録と世界記録には差がある。
男子走幅跳では城山正太郎の8m40に対し、世界記録は8m95。
男子やり投では溝口和洋の87m60に対し、世界記録は98m48となっている。
女子やり投では北口榛花の68m92に対して世界記録は72m28だ。
女子やり投は、北口が世界大会で優勝争いを演じてきたこともあり、日本の陸上競技が世界のトップレベルで戦える種目として注目されている。
世界記録との比較では、単に数字を並べるだけでなく、実際の国際大会でどのような順位を獲得しているかも見るべきだ。
【室内・屋外の違いと公認条件】日本記録が認定される仕組み
陸上日本記録を調べるとき、特に混乱しやすいのが室内競技と屋外競技の違いだ。
従来は室内記録と屋外記録が別々に管理されていた種目もあったが、世界陸連のルール変更を受け、日本でも2024年度から記録区分の見直しが行われた。
室内記録とショートトラック記録は同じではない
現在の区分では、競技会場が屋内か屋外かという点だけではなく、トラックの規格が重要になる。
主な違いは次のとおり。
400m標準トラック
一般的な屋外陸上競技場で使用される1周400mのトラック。
200mショートトラック
1周200mの標準トラック。カーブがきつく、施設によってはバンクが設けられている。
ショートトラックは、屋内施設だけでなく、規格を満たす屋外施設でも実施される。
そのため、室内で開催された競技会だからといって、すべての記録が同じカテゴリーになるわけではない。
日本陸連の一覧にも「sh」と表記された記録が掲載されている。
例えば男子800mショートトラックでは、クレイ アーロン竜波の1分45秒17が日本記録となっている。
女子800mショートトラックでは、杉森美保の2分00秒78が記録されている。
通常の800mの日本記録とは別の区分である。
この違いを理解しておくと、異なる競技環境のタイムを誤って比較することを避けられる。
日本記録が公認されるための主な条件
日本陸連が公表する「日本記録が公認されるまで」の説明では、記録達成後に競技会を統括する加盟団体から申請書類が提出され、日本陸連の審査を経て公認される仕組みになっている。
主な確認事項は次のとおり。
1. 公認競技会であること: 日本陸連の規定に沿った大会で達成されている必要がある。
2. 競技場や器具の規格: トラック、走路、投てき用具などが規定に適合していなければならない。
3. 風速の条件: 100m、200m、走幅跳、三段跳などでは追い風がプラス2.0mを超えると参考記録となる。
4. 記録の申請: 大会終了後、所定の手続きで日本陸連に結果を提出する。
5. ドーピング検査: 五輪種目の日本記録については、対象となる競技者に検査が求められる。
特に短距離では風速が重要だ。
例えば100mで9秒90を出しても、追い風がプラス2.0mを超えていれば、通常の日本記録として扱われない。
同じ選手が9秒台を出していても、公式記録と追い風参考記録は区別しなければならない。
また、日本陸連の公認手続きでは、ドーピング検査が実施されていない場合や、検査で規則違反が確認された場合、対象となる日本記録は公認されない。
このように、公式記録は単なる競技結果ではなく、厳格な確認手続きを経て成立する。
【プロの結論】陸上日本記録を正しく理解するための4つの判断基準
陸上日本記録を調べるとき、数字だけを見て判断すると、異なる条件の記録を同じものとして扱ってしまう可能性がある。
競技を専門的に見るうえでは、次の4点が重要だ。
1. 最初に記録の基準日を確認する
日本記録は大会のたびに更新される可能性がある。
今回の日本陸連公式一覧は2026年10月21日現在の掲載内容であり、10月25日のマラソン競歩のように、その後の大会で新しい記録が生まれることもある。
最新情報を求めるなら、記録一覧の更新日と大会結果の発表日を分けて確認したい。
2. 選手の自己ベストと日本記録を区別する
自己ベストは選手自身が過去に達成した最高記録だ。
一方、日本記録は日本陸連が認めた公式記録である。
自己ベストが日本記録を上回るように見える場合でも、風速や競技条件によって公式記録にはならないことがある。
3. 屋外とショートトラックを混同しない
200mショートトラックと400m標準トラックでは、走路の構造が異なる。
そのため、同じ800mや1500mでも記録の区分が変わる。
特に古い室内記録を現在の記録一覧と比較する場合は、現在のルールにおける区分を確認する必要がある。
4. 日本記録と世界記録の両方を見る
日本記録は国内競技の到達点を示す。
世界記録は、その種目における国際的な最高水準を示す。
両方を比較すると、日本選手が世界のどの位置にいるかを理解しやすい。
例えば男子100mでは9秒95、女子やり投では68m92という記録がある。
種目によって世界との差や国際大会での競争力は異なるため、単純な順位付けだけでなく、種目別の背景も考慮することが大切だ。
【陸上日本記録】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:男子100mの日本記録は何秒ですか?
A1:男子100mの日本記録は、山縣亮太が2021年6月6日の布勢スプリントで記録した9秒95です。2026年10月現在も日本記録として保持されています。
Q2:女子200mと800mの日本記録保持者は誰ですか?
A2:女子200mは井戸アビゲイル風果が22秒79、女子800mは久保凛が1分59秒52を保持しています。いずれも2025年に達成された記録です。
Q3:2026年に更新された陸上日本記録には何がありますか?
A3:男子800mの落合晃による1分43秒45、女子100mハードルの中島ひとみによる12秒60、女子棒高跳の諸田実咲による4m55、女子やり投の北口榛花による68m92などがあります。
Q4:室内陸上の記録も日本記録になりますか?
A4:はい。現在は室内・屋外という開催場所だけではなく、400m標準トラックと200mショートトラックという施設区分に基づいて記録が管理されています。種目によってはショートトラック記録が別に設定されています。
Q5:日本記録と自己ベストは何が違いますか?
A5:自己ベストは選手個人の最高記録、日本記録は日本陸連が公認した国内最高記録です。風速や競技場の規格、申請・審査などの条件を満たす必要があります。
まとめ:2026年の陸上日本記録は新世代の台頭と競技環境の変化に注目
2026年の陸上日本記録を振り返ると、男子中距離では落合晃、女子短距離では井戸アビゲイル風果、女子中距離では久保凛、女子跳躍では諸田実咲、女子投てきでは北口榛花など、各種目で存在感を示す選手が明確になっている。
一方、男子100mの山縣亮太、男子200mの末續慎吾、女子100mの福島千里など、長年にわたり日本記録を守り続ける選手もいる。
2026年10月25日のマラソン競歩で川野将虎が世界記録を樹立したことも、日本陸上競技の新しい可能性を示す出来事だ。
これから陸上競技を観戦する際は、タイムだけでなく、達成した大会、風速、競技場の規格、公式認定の状況にも目を向けたい。
日本記録は単なる数字ではない。 その数字の背景には、選手の努力、競技技術の進歩、競技環境の変化、そして次の世代が乗り越えるべき目標が刻まれている。
2026年以降も、どの種目で新たな日本記録が誕生するのか。男子・女子それぞれの歴代保持者の記録とともに、その更新の瞬間に注目したい。
主な参照資料
- 日本陸上競技連盟「日本記録」公式一覧(2026年10月21日現在)。
- 日本陸上競技連盟「日本記録が公認されるまで」。
- 月刊陸上競技「日本記録」(2026年10月27日現在)。
- World Athletics・世界記録一覧。
- 2026年10月25日・全日本競歩高畠大会の競技結果。