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2021年の最高裁国民審査と夫婦別姓訴訟、7裁判官の判断を2026年視点で徹底解説

御影 遼 御影 遼 • 更新: • 公開: • 読了約 24 分
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2021年の最高裁判所裁判官国民審査では、同年6月23日の選択的夫婦別姓訴訟に関わった7人の裁判官の判断が大きな注目を集めた。争点となったのは、夫婦に同じ姓を求める民法750条と戸籍法74条1号が憲法24条に違反するかどうかだ。7人の判断を整理すると、夫婦同姓を合憲とする立場が4人、違憲とする立場が3人だった。

一方、2021年10月31日に実施された国民審査では、対象となった最高裁判事11人全員が信任され、罷免された裁判官はいなかった。最も高い罷免可票率は深山卓也裁判官の7.82%だった。2026年11月現在も選択的夫婦別姓制度は導入されておらず、制度改正の議論は国会と政府の検討課題として続いている。裁判官の判断、国民審査の結果、現在の法制度を切り分けると、この問題の全体像が見えてくる。

【結論】夫婦別姓訴訟に関わった7裁判官は合憲4人・違憲3人だった

最高裁判所裁判官国民審査2021夫婦別姓

最初に押さえておきたいのは、2021年6月23日の最高裁大法廷決定に関わった裁判官のうち、同年の国民審査の対象となった7人の判断が、合憲4人・違憲3人に分かれていたという事実だ。

ただし、ここには法律上の重要な注意点がある。7人のうち、三浦守裁判官は「意見」、草野耕一裁判官と宇賀克也裁判官は「反対意見」を示した。三浦裁判官は、夫婦同姓を定める規定が憲法24条に違反すると判断しながらも、別氏を選択するための法律上の仕組みが整備されていないことから、婚姻届の受理を命じることはできないと論じている。

つまり、3人を単純に同じ内容の反対意見を述べた裁判官として扱うのは正確ではない。憲法判断の方向性は違憲側で一致していても、法的な論拠や結論に至る道筋には違いがあった。

加えて、最高裁の決定主文は、裁判官全員一致で抗告を棄却している。これは、夫婦同姓を合憲とする判断に全員が賛成したという意味ではない。訴訟における最終的な処理と、個々の裁判官が示した憲法判断は別々に理解する必要がある。

【2021年6月23日の最高裁決定】夫婦別姓訴訟で何が争われたのか

争点は民法750条と戸籍法74条1号の憲法適合性

2021年6月23日、最高裁判所大法廷は、選択的夫婦別姓をめぐる特別抗告事件について決定を出した。

事件の発端は、夫婦がそれぞれ婚姻前の姓を維持する形で婚姻届を提出したところ、市区町村長から受理されなかったことにある。申立人側は、夫婦同姓を義務付ける法律の規定が憲法に反すると主張し、婚姻届の受理を求めた。

中心となった法律は次の2つだ。

民法750条は、夫婦が婚姻の際に定めるところに従って、夫または妻の氏を称すると規定している。つまり、現在の法律婚では夫婦が同じ氏を名乗る仕組みになっている。

戸籍法74条1号は、婚姻届に夫婦が称する氏を記載することを求めている。民法750条と組み合わせることで、婚姻届の提出時に夫婦の氏を決める必要が生じる。

この2つの規定が憲法24条に違反するかどうかが、最高裁の判断対象となった。

憲法24条が示す婚姻の自由と個人の尊厳

憲法24条は、婚姻について両性の合意のみに基づいて成立すること、夫婦が同等の権利を有すること、婚姻や家族に関する法律が個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されるべきことを定めている。

合憲とする多数意見は、夫婦の氏を含む婚姻・家族制度の具体的な設計について、国会に一定の立法裁量が認められると考えた。

その際、家族の呼称としての氏の機能、夫婦が同じ氏を称することの意義、子どもの氏や戸籍制度との関係、旧姓の通称使用による不利益の緩和などを総合的に考慮している。

一方、違憲側の裁判官は、婚姻する際にどちらか一方が氏を変更しなければならないことが、個人の人格的利益や婚姻の自由を実質的に制約すると考えた。

特に、婚姻前の氏を変更することで生じる社会生活上の不利益や、女性に改姓の負担が偏っている実態が重視された。

最高裁が示したのは「制度改正の否定」ではない

2021年の決定は、夫婦同姓制度を憲法違反とは認めなかった。しかし、選択的夫婦別姓制度を導入すること自体が憲法違反だと判断したわけではない。

最高裁は、夫婦の氏についてどのような制度を採用するかは、国会で議論し、判断すべき事柄であるという考え方を示した。

この点は、2015年12月16日の最高裁大法廷判決との関係でも重要だ。2021年の決定は、2015年の合憲判断を基本的に踏襲しつつ、その後の社会変化や国民意識の変化についても検討したものだった。

司法が現行制度を違憲と判断しなかったことと、国会が制度を改正できないことは同じではない。選択的夫婦別姓の実現には、民法や戸籍法の改正という立法上の対応が必要になる。

【裁判官7人を比較】深山卓也・三浦守・宇賀克也らの判断一覧

2021年の国民審査で注目されたのは、夫婦別姓訴訟の憲法判断に関わった7人だった。彼らは同じ最高裁判所の裁判官でありながら、夫婦同姓制度の合理性や個人の人格的利益について異なる考え方を示した。

以下は、最高裁の決定文と各裁判官の個別意見に基づく比較だ。

裁判官 判断の方向性 意見の形式・主な特徴 2021年罷免可票率
深山卓也 合憲 多数意見に賛同する補足意見。夫婦同氏制の合理性と立法裁量を重視。 7.82%
林道晴 合憲 多数意見側の判断に賛同。 7.69%
岡村和美 合憲 深山・長嶺両裁判官とともに補足意見を示した。 7.26%
長嶺安政 合憲 深山・岡村両裁判官とともに補足意見を示した。 7.24%
三浦守 違憲 独自の意見。憲法24条違反を認める一方、制度上の理由から届出受理は認めなかった。 6.67%
草野耕一 違憲 反対意見。選択的夫婦別氏制の導入による個人の福利を重視。 6.68%
宇賀克也 違憲 宮崎裕子裁判官とともに反対意見。人格的利益、婚姻の自由、男女平等を重視。 6.84%

罷免可票数と率は、最高裁事務総局の会議議事録に掲載された確定値による。判断の方向性は2021年6月23日の大法廷決定に基づく。

深山卓也裁判官:多数意見を補足した合憲側の中心人物

深山卓也裁判官は、夫婦同姓制度を憲法24条違反とは認めない多数意見に賛同した。

補足意見では、夫婦同姓制度によって改姓を余儀なくされる人が、アイデンティティーの喪失感や社会生活上の不利益を受けることがある点にも触れている。

しかし、夫婦の氏に関する制度は、戸籍制度や子どもの氏など、家族法全体の制度設計と関係するため、具体的な改正は国会の立法裁量に委ねられるべきだという考え方を示した。

林道晴裁判官:現行制度を合憲とする多数意見側

林道晴裁判官も、現行の夫婦同姓制度を合憲とする立場に賛同した。

2021年の国民審査では、深山裁判官に次ぐ高い罷免可票率7.69%を記録している。夫婦別姓訴訟での判断と国民審査の結果が関連付けられて報道された裁判官の一人だ。

岡村和美・長嶺安政裁判官:制度全体の合理性を重視

岡村和美裁判官と長嶺安政裁判官は、深山裁判官とともに補足意見を示し、多数意見を支持した。

両裁判官が重視したのは、夫婦の氏だけを切り離して考えるのではなく、家族法や戸籍制度全体の仕組みを踏まえて判断する必要性だ。

旧姓の通称使用が拡大することによって、婚姻に伴う改姓の不利益が一定程度緩和されるという考え方も、合憲側の議論に含まれていた。

三浦守裁判官:違憲と判断しながらも届出受理には至らず

三浦守裁判官の意見は、今回の決定の中でも特に重要な位置を占める。

三浦裁判官は、夫婦同姓を婚姻の要件とする現行制度が、婚姻の自由を不当に制約しており、憲法24条に違反すると判断した。

また、家族の一体性や子どもの氏を理由に、夫婦別氏の選択肢を一切認めないことの合理性にも疑問を示した。

ただし、夫婦別氏を選択した場合の戸籍編製や子どもの氏などについて、必要な立法措置が整備されていないことから、裁判所の判断だけで婚姻届を受理する仕組みを作ることはできないとした。

違憲判断を示すことと、具体的な救済を命じることが必ずしも一致しないという、司法判断の難しさが表れた意見だった。

草野耕一・宇賀克也裁判官:個人の尊厳と人格的利益を重視

草野耕一裁判官は、選択的夫婦別氏制度を導入した場合に国民が得る利益と、制度変更によって失われる利益を比較衡量する考え方を示した。

個人が享受する利益を重視し、選択的夫婦別氏制度を導入することによって得られる福利が、失われる福利を大きく上回ると論じた。

宇賀克也裁判官は、宮崎裕子裁判官とともに反対意見を示した。婚姻前の氏に関する人格的利益や、夫婦双方が自由かつ平等に婚姻を決定する権利を重視している。

特に、旧姓の通称使用が広がったとしても、戸籍上の氏を変更することによる本質的な不利益は解消されないという問題意識が示された。

【2021年国民審査の結果】罷免票率は何%?11人全員が信任された理由

最高裁判所裁判官国民審査は2021年10月31日に実施

2021年10月31日、第49回衆議院議員総選挙と同時に第25回最高裁判所裁判官国民審査が行われた。

審査対象は11人。2017年10月の前回審査以降に任命された裁判官が対象となり、その中に夫婦別姓訴訟に関わった7人が含まれていた。

総務省自治行政局が公表した「令和3年10月31日執行衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調」では、国民審査の投票率は55.69%だった。

審査対象となった11人は全員が信任され、罷免された裁判官はいなかった。

夫婦別姓訴訟に関わった7人の罷免可票数

最高裁事務総局の会議議事録に記載された確定結果を見ると、7人の罷免可票数と罷免可票率は次のとおりだ。

  • 深山卓也:4,473,315票・7.82%
  • 林道晴:4,397,748票・7.69%
  • 岡村和美:4,149,807票・7.26%
  • 長嶺安政:4,138,543票・7.24%
  • 宇賀克也:3,911,314票・6.84%
  • 草野耕一:3,821,616票・6.68%
  • 三浦守:3,813,025票・6.67%

最も高かったのは深山裁判官の7.82%で、林裁判官が7.69%で続いた。合憲側とされた4人が、違憲側とされた3人より高い罷免可票率を記録したことも特徴的だ。

ただし、この数字だけで有権者が夫婦別姓訴訟の判断を理由に罷免を求めたと断定することはできない。国民審査では裁判官の他の判決や経歴、報道での取り上げられ方なども判断材料になり得るためだ。

罷免票率が高くても裁判官が辞めなかったのはなぜ?

国民審査では、罷免可票が一定数を超えなければ裁判官は罷免されない。2021年の7人の罷免可票率は、最も高い深山裁判官でも7.82%だった。

つまり、罷免を求める票が約450万票あったとしても、審査全体の中では少数にとどまっていた。

2021年の審査では11人全員が信任された。国民審査の制度上、罷免を求める票が多いことと、実際に罷免が成立することは別問題なのである。

【国民審査の仕組み】×を付ける意味と裁判官を罷免できる条件

国民審査は憲法79条に定められた国民の権利

最高裁判所裁判官国民審査は、日本国憲法79条に定められた制度だ。

最高裁判所の裁判官は、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査を受ける。その後は、前回の審査から10年を経過した後、初めて行われる衆議院議員総選挙の際に再び審査を受ける。

国民が裁判官の職務に対する評価を示し、罷免を求めることができる仕組みだ。

投票用紙に書くのは○ではなく×

国民審査の投票方法は、衆議院選挙の投票とは異なる。

最高裁判所裁判官国民審査法15条では、罷免を求める裁判官の氏名の欄に「×」を記入し、罷免を求めない裁判官については何も記入せずに投票する方式を定めている。

  • ×を記入:その裁判官の罷免を求める意思表示。
  • 何も記入しない:その裁判官の罷免を求めない意思表示。
  • ○やその他の記号:原則として記載無効となる。

つまり、信任する裁判官に○を付ける制度ではない。罷免を求めたい裁判官にだけ×を記入する仕組みだ。

罷免が成立するための条件

憲法79条3項は、投票者の多数が裁判官の罷免を可とした場合、その裁判官を罷免すると定めている。

罷免可票が罷免不可票を上回ることが必要となるため、単に数百万票の×が集まっただけでは罷免されない。

2021年の深山裁判官の場合、罷免可票は4,473,315票だったが、罷免不可票は52,707,475票だった。罷免可票率は7.82%であり、罷免の成立条件には届かなかった。

国民審査の仕組みを正確に理解することは、選挙の際に裁判官を評価するうえで欠かせない。

【2026年最新】選択的夫婦別姓制度は導入された?法律と国会の現在地

2026年11月現在も法律婚では夫婦同姓が必要

2026年11月現在、日本では選択的夫婦別姓制度は導入されていない。

法務省が案内する現行制度では、婚姻する夫婦は夫または妻のいずれかの氏を選び、同じ氏を称する必要がある。夫婦の双方が婚姻前の氏をそのまま維持した状態で法律婚を成立させることはできない。

選択的夫婦別姓とは、夫婦が希望すればそれぞれ婚姻前の氏を名乗れるようにする制度だ。全員に別姓を義務付ける制度ではなく、同姓を希望する夫婦は従来どおり同じ氏を選べる。

この点は、夫婦別姓をめぐる議論で混同されやすい。選択的夫婦別姓は、夫婦同姓を禁止する制度ではない。

2025年の民法改正案は成立せず

2025年には、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正案が国会に提出された。

第217回国会では、立憲民主党・無所属の議員による民法改正案や、国民民主党・無所属クラブによる民法改正案など、制度設計の異なる複数の案が提出された。

主な論点は、別姓夫婦の子どもの氏をどのように決めるか、戸籍の編製をどうするか、現行の戸籍制度との整合性をどう確保するかという点だった。

衆議院の議案審議経過情報によると、これらの法案は成立に至らず、閉会中審査となった。選択的夫婦別姓の実現には至っていない。

2026年3月に第6次男女共同参画基本計画が閣議決定

2026年3月13日、政府は第6次男女共同参画基本計画を閣議決定した。

夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民各層の意見や国会での議論、司法判断などを踏まえながら、引き続き検討を進める方針が示されている。

これは、選択的夫婦別姓制度の導入が決定したという意味ではない。制度の具体的な方向性について、引き続き検討が必要という政府の立場を示したものだ。

2026年10月には旧姓の通称使用法案をめぐる動きも

2026年10月21日の共同通信報道では、政府が旧姓の通称使用を拡大するための法案について、今国会への提出を見送る方針を固めたと伝えられた。

報道によれば、政府は消費税減税関連法案の審議を優先し、旧姓通称使用の法制化については次の通常国会以降の提出を目指す方針とされた。

ここで注意したいのは、旧姓の通称使用を法制化する動きと、選択的夫婦別姓制度の導入は別の政策課題だということだ。

旧姓の通称使用は、戸籍上の氏を変更した人が社会生活で婚姻前の氏を使用しやすくする取り組みである。一方、選択的夫婦別姓は、法律婚の際に夫婦がそれぞれ婚姻前の氏を選択できるようにする制度だ。

通称使用が拡大しても、法律上の氏そのものが婚姻前の氏に戻るわけではない。

女性の約94%が夫の氏を選択している現実

内閣府男女共同参画局が公表する夫婦の姓に関するデータでは、2024年に婚姻届を提出した夫婦のうち、夫の氏を選択した割合は94.1%だった。件数では456,453組に相当する。

この数字は、民法750条が男女どちらにも同じ条件を適用している一方で、実際には女性側が改姓するケースに大きく偏っていることを示している。

改姓による影響は、単に名刺や銀行口座の変更だけではない。資格、研究業績、職業上の信用、海外渡航時の書類、本人確認、過去の契約情報など、長期間にわたって積み重ねてきた氏名との連続性にも関わる。

旧姓の通称使用によって不便が軽減される場面は増えているものの、すべての公的手続きや民間サービスで完全に同じ扱いになるわけではない。

2026年現在の議論では、家族の一体性や戸籍制度の維持といった制度面の課題だけでなく、個人の人格的利益や男女間の実質的平等をどのように調整するかが重要な論点となっている。

【誤解を解く】2021年の国民審査と夫婦別姓訴訟で知っておきたい5つの事実

誤解1:違憲側の裁判官は全員、同じ反対意見を書いた

これは正確ではない。宇賀克也裁判官と草野耕一裁判官は反対意見を示したが、三浦守裁判官は独自の「意見」を示した。三浦裁判官は違憲と判断しつつ、法制度の未整備を理由に婚姻届の受理を認めなかった。

誤解2:最高裁が夫婦別姓そのものを違憲と判断した

これも誤りだ。最高裁が合憲としたのは、夫婦同姓を定める現行の民法・戸籍法の規定だ。選択的夫婦別姓制度を導入すること自体が違憲だと判断したわけではない。

誤解3:7人全員が夫婦同姓を合憲とした

7人のうち4人は合憲側だったが、3人は違憲側の判断を示した。最高裁の主文が全員一致だったことと、憲法判断の内容が全員一致だったことを混同してはいけない。

誤解4:罷免可票が450万票なら裁判官は辞める

罷免可票の絶対数だけでは罷免は決まらない。2021年の深山裁判官は約447万票の罷免可票を得たが、罷免可票率は7.82%だった。罷免不可票を上回らなかったため、信任された。

誤解5:国民審査の結果によって法律が改正される

国民審査は最高裁判所裁判官の罷免に関する制度であり、民法や戸籍法を直接改正する制度ではない。法律を改正するためには、国会で法案を審議し、立法手続きを進める必要がある。

2021年の国民審査で夫婦別姓訴訟に関わった裁判官の判断が注目されたことは、司法判断に対する国民の関心を示す出来事だった。しかし、それによって選択的夫婦別姓制度の導入が直接決まるわけではない。

【プロの結論】国民審査は司法を評価する制度、夫婦別姓の実現は国会の課題

2021年の夫婦別姓訴訟と国民審査から読み取れる最も重要な点は、司法と立法の役割が明確に異なることだ。

最高裁判所は、現行法が憲法に適合するかどうかを判断する。一方、選択的夫婦別姓を採用するか、子どもの氏をどのように定めるか、戸籍制度をどう設計するかといった具体的な制度変更は、基本的に国会が法律を改正して実現する領域である。

2021年6月23日の決定では、合憲側4人と違憲側3人の間で、憲法24条の捉え方や個人の人格的利益に対する評価が分かれた。この違いは、単純な賛成・反対ではなく、憲法上の権利と国会の立法裁量の境界をどう考えるかという、司法にとって根本的な問題を示している。

国民審査で裁判官を評価するときは、次の3つの視点が役立つ。

  • 判断の内容:どのような結論を出したかだけでなく、憲法や法律をどう解釈したのかを確認する。
  • 判断の理由:多数意見だけでなく、補足意見・意見・反対意見を読み、異なる考え方の根拠を比較する。
  • 司法の役割:裁判官に求められる憲法判断と、国会が担うべき法律改正を区別する。

特定の政策に賛成か反対かだけで裁判官を評価すると、判決の論理や司法の独立という重要な要素を見落とす可能性がある。逆に、個別意見まで読むことで、裁判官がどのような価値を重視しているかをより深く理解できる。

【最高裁判所裁判官国民審査 2021年と夫婦別姓】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:2021年の夫婦別姓訴訟で違憲と判断した裁判官は誰ですか?
A1:2021年の国民審査対象となった7人では、三浦守、草野耕一、宇賀克也の3裁判官が違憲側の判断を示しました。三浦裁判官は独自の意見、草野・宇賀両裁判官は反対意見です。

Q2:2021年の国民審査で最も罷免可票率が高かった裁判官は誰ですか?
A2:深山卓也裁判官です。罷免可票は4,473,315票、罷免可票率は7.82%でした。ただし、罷免に必要な条件を満たさず、信任されています。

Q3:2021年の最高裁判決で夫婦別姓は認められなかったのですか?
A3:訴訟では夫婦別氏での婚姻届の受理は認められませんでした。ただし、選択的夫婦別姓制度の導入そのものが否定されたわけではありません。制度の具体的な在り方は国会で判断すべき問題とされました。

Q4:2026年現在、選択的夫婦別姓は導入されていますか?
A4:2026年11月現在、導入されていません。法律婚では引き続き夫婦が同じ氏を称する必要があります。旧姓の通称使用の拡大と選択的夫婦別姓制度の導入は、異なる政策課題です。

Q5:国民審査で裁判官に○を付けると信任になりますか?
A5:いいえ。国民審査は、罷免を求める裁判官の欄に×を記入する制度です。信任する場合は何も記入しません。○など、×以外の記号は記載無効となるため注意が必要です。

まとめ:2021年の司法判断を知ることが2026年の夫婦別姓議論を理解する鍵

2021年の選択的夫婦別姓訴訟では、国民審査の対象となった7人の裁判官の判断が合憲4人・違憲3人に分かれた。国民審査では11人全員が信任され、最も高い罷免可票率は深山卓也裁判官の7.82%だった。

しかし、最高裁の決定が夫婦同姓制度を合憲としたことは、選択的夫婦別姓を導入する立法措置まで否定したものではない。司法が現行制度の憲法適合性を判断することと、国会が新しい制度を設計することは、別の役割を持っている。

2026年11月現在も夫婦同姓制度は維持されており、旧姓の通称使用や民法改正をめぐる議論が続いている。2024年には婚姻した夫婦の94.1%が夫の氏を選択したというデータもあり、制度上の男女平等と実際の改姓負担の偏りは、今後も検討すべき課題だ。

2021年の国民審査を振り返る際に大切なのは、罷免票の多さだけで裁判官の評価を決めないこと、そして合憲・違憲という結論だけでなく、その理由まで読み解くことだ。司法判断、国民の意思、国会の立法という3つの関係を理解することが、選択的夫婦別姓をめぐる議論を正しく捉えるための出発点になる。