2021年の流行語を振り返ると、年間大賞に選ばれたのは、大リーグで歴史的な活躍を見せた大谷翔平選手を象徴する「リアル二刀流/ショータイム」でした。2021年12月1日に発表された「現代用語の基礎知識」選・ユーキャン新語・流行語大賞では、東京オリンピック、コロナ禍、音楽、若者文化など、その年の社会を映し出す言葉がトップ10に入りました。
この記事では、2021年の年間大賞とトップ10全10語、ノミネート30語を一覧で紹介します。「うっせぇわ」「親ガチャ」「ゴン攻め/ビッタビタ」「黙食」「人流」などの意味や由来、大谷翔平選手やAdo、東京五輪との関係、選考理由まで詳しく解説。2026年の視点から、2021年がどのような時代だったのかも読み解きます。
【2021年流行語大賞】年間大賞は大谷翔平の「リアル二刀流/ショータイム」

2021年12月1日、東京都内で「現代用語の基礎知識」選・2021ユーキャン新語・流行語大賞の発表・表彰式が開催されました。
年間大賞に輝いたのは、ロサンゼルス・エンゼルスに所属していた大谷翔平選手の活躍を表す「リアル二刀流/ショータイム」です。
投手と打者の両方で一流の成績を残すという、野球の常識を大きく揺さぶる活躍が、日本国内だけでなく世界中の野球ファンを魅了しました。
「リアル二刀流」の意味と由来
「リアル二刀流」とは、野球において投手と打者の両方で本格的に活躍することを意味します。
通常、プロ野球選手は投手か野手のいずれかを専門とするケースが多く、両方の役割を高いレベルで継続することは非常に困難です。
大谷選手は2018年に日本ハムからロサンゼルス・エンゼルスへ移籍した後も二刀流への挑戦を続け、2021年には投打両面で圧倒的な存在感を発揮しました。
2021年シーズンの主な成績は次のとおりです。
- 打者成績:打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁
- 投手成績:9勝2敗、防御率3.18、156奪三振
- 投手としての投球回数:130回1/3
- 受賞:アメリカン・リーグMVP
特に注目されたのが、アメリカン・リーグMVPを満票で獲得したことです。全30人の投票者から1位票を獲得し、歴史的なシーズンを締めくくりました。
MLB公式の2021年シーズン記録でも、46本塁打、100打点、26盗塁、投手として9勝という二刀流の実績が紹介されています。
「ショータイム」の意味と由来
「ショータイム」は、大谷選手が登場する場面や活躍する瞬間に使われたキャッチフレーズです。
英語の「SHOWTIME」と、大谷選手の名前に含まれる「翔」を掛け合わせた「イッツ、ショー(翔)タイム!」という実況表現が広く知られるようになりました。
試合で投打にわたって活躍する大谷選手の姿は、まさにエンターテインメントそのもの。日本のスポーツニュースでも、現地実況の熱狂的な映像が繰り返し紹介されました。
年間大賞で2つの言葉が組み合わされたのは、単なるホームラン数や勝利数だけではなく、大谷選手が野球そのものの楽しさや可能性を広げた存在として受け止められたためです。
なお、MLBの2021年シーズン終了後には、アメリカン・リーグMVPのほかにも選手間投票による年間最優秀選手賞など、数々の評価を受けています。
【2021年流行語トップ10】全10語の一覧と意味・選考理由
2021年のトップ10には、大谷翔平選手の年間大賞を含め、スポーツ、ジェンダー、若者文化、新型コロナウイルスに関する言葉が選ばれました。
以下は2021年12月1日に発表された公式のトップ10です。順位を示すランキングではなく、受賞語の一覧として紹介します。
2021年ユーキャン新語・流行語大賞トップ10
- ジェンダー平等
- うっせぇわ
- 親ガチャ
- ゴン攻め/ビッタビタ
- 人流
- スギムライジング
- Z世代
- ぼったくり男爵
- 黙食
- リアル二刀流/ショータイム(年間大賞)
1.ジェンダー平等
性別にかかわらず、すべての人が平等な権利と機会を持つことを意味する言葉です。
国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)の17目標の一つにも位置付けられています。
2021年は、東京オリンピック・パラリンピックでも多様性と調和が大きなテーマとなり、社会全体で性別による格差や役割分担を考える機会が増えました。
2.うっせぇわ
Adoが歌う楽曲「うっせぇわ」に由来する言葉です。
作詞・作曲・編曲を手掛けたのは、ボカロPとして活動するsyudou。社会や大人への不満、抑圧された感情を表現する力強い歌詞と、Adoの印象的な歌声が大きな話題を呼びました。
実は、この楽曲がリリースされたのは2021年ではなく、2020年10月23日です。2021年にかけて人気が広がり、社会現象として認知されたことが流行語選出につながりました。
既存の価値観に対して率直に反発する感情を代弁した点も、若い世代を中心に支持された理由の一つです。
3.親ガチャ
「親ガチャ」は、生まれる家庭や親を自分で選べない状況を、ゲームのガチャに例えた言葉です。
ゲームのガチャでは、何が出るかは運次第。これを人生に当てはめ、家庭環境、経済状況、教育機会など、自分では選べない出生時の条件を表現しています。
2021年にはSNSなどを通じて広く知られるようになり、家庭環境による格差や教育格差、本人の努力だけでは変えられない社会的条件について議論を呼びました。
単なる若者の不満を表す言葉ではなく、家庭環境によって人生の選択肢が左右されるという社会問題を可視化した点が注目されました。
4.ゴン攻め/ビッタビタ
東京オリンピックで初採用されたスケートボードの解説から生まれた言葉です。
解説を担当したプロスケートボーダーの瀬尻稜さんが使った独特の表現が、テレビ中継を通じて話題になりました。
- ゴン攻め:積極的に、思い切り攻めている状態。
- ビッタビタ:技が非常に正確に決まり、狙ったところにぴったりと着地する様子。
競技に詳しくない視聴者にも技の迫力が伝わる、親しみやすい言葉だったことが人気の理由です。
アナウンサーの倉田大誠さんと瀬尻さんの自然な掛け合いも注目され、スケートボード競技そのものの魅力を広げました。
5.人流
「人流」とは、特定の場所や時間帯における人の移動や滞留の状況を表す言葉です。
2021年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府や自治体が人出の抑制を呼びかける場面で頻繁に使われました。
感染対策の議論では、単に人が多いか少ないかだけではなく、繁華街や駅周辺などにどれだけの人が集まっているのかを把握する必要がありました。
人流という言葉は、感染症対策と都市生活の関係を象徴する社会用語になりました。
6.スギムライジング
東京パラリンピックのボッチャで金メダルを獲得した杉村英孝選手の得意技です。
ボッチャは、白い目標球に自分のボールをどれだけ近づけられるかを競う競技。杉村選手の技は、密集したボールの上に自分のボールを柔らかく乗せるような精密な投球を指します。
選手の名前と技術を組み合わせた表現であり、パラスポーツの高度な技術や競技の面白さを広めるきっかけにもなりました。
7.Z世代
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指す言葉です。
アメリカで生まれた世代分類で、X世代、Y世代に続く呼称として定着しました。
幼い頃からインターネットやスマートフォン、SNSに触れてきたデジタルネイティブ世代として紹介されることが多く、消費行動や情報収集の方法、価値観を分析する際にも使用されています。
ただし、生まれ年の区切りは調査機関によって異なり、全員に同じ価値観や行動傾向があるという意味ではありません。
8.ぼったくり男爵
IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長に対して、米ワシントン・ポスト紙が使用した批判的な呼称に由来します。
東京オリンピックの開催をめぐり、コロナ禍での大会運営やIOCの姿勢に対する批判が強まった時期に注目されました。
大会開催に伴う経済的負担や組織の利益をめぐる議論を象徴する、政治・社会色の強い流行語です。
9.黙食
「黙食」とは、食事中の会話を控えることです。
新型コロナウイルスの感染対策として、飲食店や学校などで呼びかけられました。
食事中はマスクを外すため、飛沫感染のリスクを抑える目的で、会話をせずに食べるという習慣が広まりました。
関連語の「マスク会食」は、食べるとき以外はマスクを着用しながら会食する方法を意味します。トップ10の正式な表記は「黙食」です。
10.リアル二刀流/ショータイム
年間大賞に選ばれた言葉です。大谷翔平選手の投打両面での活躍と、野球観戦を盛り上げたショータイムという表現が一体となっています。
新型コロナウイルスによる閉塞感が続くなか、世界を舞台に活躍する日本人選手の姿が明るい話題となったことも、選考の背景にありました。
以上のトップ10は、2021年12月1日にユーキャンと自由国民社が公表した公式発表に基づいています。
【完全まとめ】2021年の流行語ノミネート30語一覧と意味・由来
2021年11月4日には、年間大賞の候補となるノミネート30語が発表されました。
トップ10に入らなかった言葉にも、当時のエンタメや社会、スポーツを理解するうえで重要なものが数多く含まれています。
ここでは、発表された50音順の並びに沿って、30語の意味を紹介します。
2021年流行語ノミネート30語・一覧表
- イカゲーム:Netflixで2021年9月に配信が始まった韓国ドラマ。多額の賞金を懸けた命がけのゲームを描き、世界的なヒットとなりました。
- うっせぇわ:Adoの楽曲。社会や大人への不満を表現した歌詞と力強い歌声が人気を集めました。
- ウマ娘:実在する競走馬をモチーフにしたキャラクターが登場するゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」。アニメファンと競馬ファンの双方から支持されました。
- SDGs:持続可能な開発目標。2015年に国連で採択された、2030年までに達成を目指す17の国際目標です。
- NFT:非代替性トークン。ブロックチェーン技術を利用し、デジタルデータの唯一性や真正性を証明する仕組みです。
- エペジーーン:東京五輪のフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得した日本代表チームの愛称。「エペ陣」と「ジーンと感動させる」を掛け合わせた表現です。
- 推し活:好きなアイドル、アーティスト、キャラクターなどを応援する活動。応援対象は芸能人や作品、スポーツなど幅広い分野に広がっています。
- 親ガチャ:生まれる家庭や親を選べないことを、ゲームのガチャに例えた言葉。家庭環境や教育格差への問題提起にも使われました。
- カエル愛:東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリストの入江聖奈選手が公言していたカエル好きに由来する言葉です。
- ゴン攻め/ビッタビタ:スケートボード解説者の瀬尻稜さんが使った表現。積極的な攻めと、技が正確に決まる様子を表します。
- ジェンダー平等:性別による差別をなくし、すべての人が平等な機会と権利を持てる社会を目指す考え方です。
- 自宅療養:新型コロナウイルスに感染した人が、入院せず自宅で療養すること。2021年8月には政府が入院対象を重症者や重症化リスクの高い人に重点化する方針を示し、社会的な議論を呼びました。
- 13歳、真夏の大冒険:東京五輪スケートボード女子ストリートで西矢椛選手が金メダルを獲得した際、実況を担当した倉田大誠アナウンサーが伝えた名実況です。
- ショータイム:大谷翔平選手の登場や活躍を盛り上げる実況表現。名前の「翔」と英語のSHOWTIMEを掛け合わせています。
- 人流:人の移動や特定の場所における人出の状況を表す言葉。コロナ対策で頻繁に使われました。
- スギムライジング:パラリンピックのボッチャで杉村英孝選手が見せた、ボールを他のボールの上に乗せるような精密な投球技術です。
- Z世代:1990年代後半から2000年代生まれを中心とする世代の呼称。デジタルネイティブ世代として注目されました。
- チキータ:卓球のレシーブ技術の一つ。ボールに回転をかけて返す技術で、バナナのような軌道に由来する名称です。東京五輪では伊藤美誠選手のプレーでも注目されました。
- チャタンヤラクーサンクー:東京五輪の空手競技で演武された形の名称。銀メダルを獲得した清水希容選手が披露しました。
- ととのう:サウナと水風呂などを組み合わせた入浴後に得られる、心身が整ったような爽快感を表す言葉です。
- フェムテック:女性の健康に関する課題をテクノロジーで解決する製品やサービスの総称です。
- 副反応:ワクチン接種後に、免疫を獲得する反応以外に現れる症状。発熱、頭痛、倦怠感、接種部位の痛みなどが知られています。
- ピクトグラム:文字を使わず、絵や図形によって情報を伝える視覚記号。東京五輪開会式でのパントマイムによる競技ピクトグラムの再現が話題になりました。
- 変異株:ウイルスの遺伝情報に変化が生じ、性質の一部が変化したもの。2021年には感染力の強いデルタ株が流行しました。
- ぼったくり男爵:IOCのトーマス・バッハ会長を批判的に表現した米ワシントン・ポスト紙の呼称です。
- マリトッツォ:イタリア・ローマ発祥の伝統菓子。ブリオッシュなどのパンにたっぷりのクリームを挟んだスイーツです。
- 黙食/マスク会食:食事中の会話を控える黙食と、食べるとき以外はマスクを着用するマスク会食。感染対策として広まりました。
- ヤングケアラー:家族の介護や世話を日常的に担う子どもや若者。大人が担うような責任を引き受けているケースもあり、社会的な支援が求められています。
- リアル二刀流:大谷翔平選手の投手と打者の両方で活躍するスタイルを表す言葉です。
- 路上飲み:飲食店の営業時間短縮などの影響で、屋外や路上に集まって飲酒する行為。コロナ禍の都市部で問題視されました。
以上が2021年のノミネート30語です。選出された言葉には、その年に初めて登場した新語だけでなく、以前から存在していた言葉が社会的な注目を集めて定着したケースも含まれています。
この30語の一覧と解説は、2021年11月4日付のORICON NEWSによるノミネート発表記事、および当時の発表資料に基づいています。
【関係性を整理】2021年の流行語と人物・作品・社会的出来事の相関
2021年の流行語は、単独の言葉として見るよりも、その背景にある人物や出来事と結び付けることで理解しやすくなります。
特に大きな柱となったのが、大谷翔平選手の活躍、東京オリンピック・パラリンピック、新型コロナウイルス、若者を中心とするエンタメ文化です。
流行語と関連人物・出来事の関係一覧
| 分類 | 関連人物・作品・出来事 | 関連する流行語 | 社会的な意味 |
|---|---|---|---|
| 野球 | 大谷翔平選手・MLB | リアル二刀流/ショータイム | 投打二刀流の歴史的活躍 |
| 音楽 | Ado・syudou | うっせぇわ | 若者の反発心や自己表現 |
| スケートボード | 瀬尻稜・倉田大誠・西矢椛 | ゴン攻め/ビッタビタ、13歳、真夏の大冒険 | 新競技の魅力と実況文化 |
| パラスポーツ | 杉村英孝選手 | スギムライジング | ボッチャの技術と競技の認知向上 |
| ボクシング | 入江聖奈選手 | カエル愛 | 選手の個性や人柄への関心 |
| フェンシング | 見延和靖選手・男子エペ団体 | エペジーーン | 団体金メダルの感動 |
| 卓球 | 伊藤美誠選手 | チキータ | 技術の認知と競技への関心 |
| 空手 | 清水希容選手 | チャタンヤラクーサンクー | 伝統競技の国際的な注目 |
| 韓国ドラマ | Netflix・イカゲーム | イカゲーム | 動画配信による海外作品の世界的拡散 |
| 社会問題 | 新型コロナウイルス感染症 | 人流・自宅療養・副反応・変異株・黙食・路上飲み | 感染対策と生活様式の変化 |
| 社会・文化 | 国連SDGs・若者文化 | ジェンダー平等・SDGs・Z世代・親ガチャ | 多様性や世代間格差への関心 |
この相関から分かるのは、2021年の流行語がスポーツや芸能だけでなく、政治、経済、健康、社会問題まで幅広い領域を網羅していたことです。
特に東京五輪関連の言葉は、競技そのものの技術用語から、選手の個性、実況の表現まで多様でした。テレビ中継で生まれた言葉が、競技を知らない人にも広がった点は、2021年の特徴的な現象です。
【2021年の世相を分析】コロナ禍・東京五輪・Z世代が流行語に与えた影響
2021年の流行語を理解するうえで欠かせないのが、当時の日本社会を取り巻いていた3つの大きな動きです。
1.コロナ禍で日常生活に関する言葉が定着
2021年は、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、日常生活のさまざまな場面で感染対策が求められた年でした。
特に「人流」「自宅療養」「副反応」「変異株」「黙食」「路上飲み」は、医療や行政の情報だけでなく、仕事、学校、飲食、外出といった生活に密接に関係する言葉です。
2021年夏にはデルタ株の流行によって感染者が増加し、医療提供体制や自宅療養者への対応が社会問題となりました。
また、ワクチン接種が進むにつれて「副反応」という言葉も日常的に使われるようになりました。
2020年の年間大賞が「3密」だったことを考えると、感染症を防ぐための概念が、2021年にはより具体的な生活行動や医療上の用語へと広がったことが分かります。
2.東京オリンピックが新しい言葉を生み出した
2021年7月から8月にかけて開催された東京2020オリンピックは、延期を経て実現した大会でした。
スケートボードが初めて正式競技として採用され、西矢椛選手や日本代表選手の活躍が大きな話題となりました。
なかでも「ゴン攻め」「ビッタビタ」は、専門的な競技用語を知らない視聴者にも意味が伝わる親しみやすい表現でした。
また、13歳で金メダルを獲得した西矢選手を称える「13歳、真夏の大冒険」という実況表現も、多くの人の記憶に残りました。
パラリンピックでも杉村英孝選手の「スギムライジング」などが注目され、競技の技術や選手の個性が言葉として広がりました。
大会の成功や課題だけでなく、選手や解説者の言葉まで含めて、東京五輪は2021年の流行語に大きな影響を与えました。
3.Z世代とSNSが言葉の広がり方を変えた
2021年は、SNSや動画配信サービスを通じて言葉やコンテンツが広がる動きが目立ちました。
Adoの「うっせぇわ」は、音楽配信や動画を通じて幅広い世代に知られるようになり、楽曲のフレーズそのものが社会的な話題になりました。
また、「推し活」や「親ガチャ」といった言葉は、個人の価値観や生活実感を共有するSNS文化と深く結び付いています。
「イカゲーム」も、動画配信サービスを通じて国境を越えて人気を獲得した作品の一つです。
ここで重要なのは、2021年の流行語が若者だけの言葉ではなかったことです。スポーツ実況や感染症対策の用語が中高年にも広がり、世代を超えた共通の話題になりました。
4.親ガチャとジェンダー平等が映し出した社会の課題
「親ガチャ」と「ジェンダー平等」は、娯楽やスポーツとは異なる角度から2021年の社会を映し出した言葉です。
親ガチャは、本人の努力だけでは解決しにくい家庭環境や経済的格差への問題意識を表しています。一方、ジェンダー平等は、性別によって機会や権利が左右されない社会を目指す考え方です。
どちらも個人の生き方と社会構造の関係を考える言葉であり、単なる一時的なネットスラングとは異なる広がりを持っていました。
2021年の流行語には、明るいスポーツの話題と、社会が抱える問題の両方が並んでいたのです。
【選考理由と歴代大賞】2021年の流行語はなぜ選ばれた?
選考委員会が見た2021年の社会
2021年11月4日にノミネート30語が発表された際、選考委員会は当時の社会について、次のように総括しました。
「新型コロナと東京オリンピックで終始した1年だった」
これは2021年の候補発表時に示された選考委員会の見解です。長引くコロナ禍による生活の変化と、東京五輪・パラリンピックの開催が、その年の言葉を大きく左右したことを示しています。
選考委員には、姜尚中さん、金田一秀穂さん、辛酸なめ子さん、俵万智さん、室井滋さん、やくみつるさんが名を連ね、「現代用語の基礎知識」編集長の大塚陽子さんも参加しました。
流行語大賞は使用回数だけで決まるのか
ここで押さえておきたいのが、ユーキャン新語・流行語大賞は、インターネット上の検索回数やSNS投稿数だけを集計して決めるランキングではないという点です。
その年に話題になった言葉を候補として選び、選考委員会が社会的な広がりや話題性、時代を象徴する意味などを踏まえてトップ10と年間大賞を選出します。
そのため、検索回数が最も多かった言葉が必ず年間大賞になるわけではありません。
例えば、2021年には「イカゲーム」「ウマ娘」「マリトッツォ」などの大きな話題作や商品も候補になりましたが、年間大賞は大谷選手の二刀流を象徴する言葉でした。
これは、単純な人気投票ではなく、その年を代表する社会的な出来事や印象を重視する賞の性格を示しています。
歴代流行語大賞一覧:2018年から2025年まで
2021年の特徴を理解するために、前後の年間大賞も確認してみましょう。
- 2018年:「そだねー」
- 2019年:「ONE TEAM」
- 2020年:「3密」
- 2021年:「リアル二刀流/ショータイム」
- 2022年:「村神様」
- 2023年:「A.R.E.(アレ)」
- 2024年:「ふてほど」
- 2025年:「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」
2019年の「ONE TEAM」はラグビー日本代表の活躍、2020年の「3密」は新型コロナウイルス対策、2022年の「村神様」はプロ野球・村上宗隆選手の活躍を象徴しています。
2023年には阪神タイガースの岡田彰布監督に関連する「A.R.E.」、2024年にはドラマ「不適切にもほどがある!」に由来する「ふてほど」が年間大賞に選ばれました。
2025年は高市早苗首相の発言に関連する言葉が年間大賞となり、賞の名称も「T&D保険グループ新語・流行語大賞」に変更されています。
こうして並べると、スポーツ、政治、感染症、エンタメなど、その時代に最も強い印象を残した出来事が年間大賞に反映されてきたことが分かります。
2021年の流行語に関するよくある誤解
誤解1:うっせぇわは2021年に発売された曲である
実際には2020年10月23日に配信リリースされた楽曲です。2021年にかけて広く人気を集め、流行語に選ばれました。
誤解2:黙食とマスク会食は同じ意味である
黙食は会話を控えて食事すること、マスク会食は食べるとき以外にマスクを着用することです。関連する感染対策ですが、意味は異なります。
誤解3:チキータは伊藤美誠選手が考案した技術である
チキータは以前から存在する卓球のレシーブ技術です。伊藤選手が東京五輪などで使用したことで注目が集まりました。
誤解4:Z世代には厳密に決められた共通の生まれ年がある
世代区分は調査機関や研究者によって異なります。1990年代後半から2000年代生まれという定義は広く使われていますが、世界共通の厳密な境界があるわけではありません。
誤解5:ノミネートされた30語はすべて2021年に誕生した新語である
実際には、以前から使われていた言葉が2021年に社会的な注目を集めたケースもあります。流行語大賞は新しく作られた言葉だけを対象にした賞ではありません。
【よくある質問】2021年の流行語一覧に関するFAQ
Q1:2021年の流行語大賞は何ですか?
A1:年間大賞は、大谷翔平選手の活躍を象徴する「リアル二刀流/ショータイム」です。2021年12月1日に発表されました。
Q2:2021年の流行語トップ10は何ですか?
A2:「ジェンダー平等」「うっせぇわ」「親ガチャ」「ゴン攻め/ビッタビタ」「人流」「スギムライジング」「Z世代」「ぼったくり男爵」「黙食」「リアル二刀流/ショータイム」の10語です。
Q3:2021年の流行語ノミネートは何語ですか?
A3:全部で30語です。11月4日に発表され、トップ10と年間大賞は12月1日に発表されました。
Q4:2021年の流行語で大谷翔平に関係する言葉は?
A4:「リアル二刀流」と「ショータイム」です。投手と打者の両方で活躍する二刀流と、実況で使われたキャッチフレーズが由来です。
Q5:Adoの「うっせぇわ」はいつ発売されましたか?
A5:2020年10月23日に配信リリースされました。作詞・作曲・編曲はsyudouが担当しています。2021年に人気がさらに広がり、流行語トップ10に選ばれました。
Q6:2021年の流行語で東京オリンピックに関係する言葉は?
A6:「ゴン攻め/ビッタビタ」「13歳、真夏の大冒険」「スギムライジング」「エペジーーン」「チキータ」「チャタンヤラクーサンクー」「ピクトグラム」などがあります。
Q7:「親ガチャ」とはどういう意味ですか?
A7:生まれる家庭や親を選べないことを、ゲームのガチャに例えた言葉です。家庭環境や経済格差など、本人が選べない条件について問題提起する際にも使われます。
Q8:2021年の流行語にコロナ関連の言葉はありますか?
A8:あります。「人流」「自宅療養」「副反応」「変異株」「黙食/マスク会食」「路上飲み」などがノミネートされました。感染症対策が日常生活に深く関わっていたことを示しています。
まとめ:2021年の流行語一覧から見える時代の変化
2021年のユーキャン新語・流行語大賞は、大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞に選ばれました。
トップ10には「うっせぇわ」「親ガチャ」「ゴン攻め/ビッタビタ」「人流」「黙食」などが並び、スポーツ、音楽、若者文化、社会問題といった幅広い分野が反映されています。
ノミネート30語を振り返ると、東京オリンピック・パラリンピックによる感動や新しい競技への関心、新型コロナウイルスによる生活様式の変化、SNSを中心とした新しい情報文化など、2021年ならではの特徴が浮かび上がります。
2026年の今、当時の言葉を振り返ることには意味があります。すでに日常では使われなくなった言葉もあれば、Z世代、推し活、SDGsのように現在も社会やビジネスで使われ続けている言葉もあります。
流行語は、その年に何が話題になったかを記録するだけではありません。人々が何に感動し、何に不安を感じ、どのような社会を望んでいたのかを映し出す文化的な記録でもあります。
2021年の30語を改めて見比べれば、コロナ禍の困難と東京五輪の熱狂が同時に存在した、あの1年の空気を鮮明に思い出せるはずです。