新一万円札は、2024年7月3日(水)午前8時から発行が始まりました。表面には実業家の渋沢栄一、裏面には東京駅の丸の内駅舎が描かれ、約20年ぶりとなる一万円札のデザイン刷新として大きな転換を迎えました。2026年11月現在も、日本銀行が発行する新しい一万円札として流通しており、世界で初めて銀行券に採用された3Dホログラムや高精細すき入れなど、偽造防止技術の進化も注目されています。
一方、以前の福沢諭吉の一万円札は現在も使えるのか、新旧の紙幣でサイズは変わったのか、本物と偽物をどう見分けるのかなど、日常生活に関わる疑問も少なくありません。財務省、日本銀行、国立印刷局の公表資料をもとに、発行の経緯から肖像の背景、最新技術、旧札の有効性まで、2026年時点の情報を整理します。
【新一万円札はいつから?】2024年7月3日の発行日と2026年までの経緯

新一万円札の発行開始日は、2024年7月3日です。日本銀行は同日午前8時から新しい日本銀行券の発行を開始しました。
今回の改刷は、単に肖像を変更するためのものではありません。偽造防止能力を高めることと、年齢や障害の有無、国籍などにかかわらず誰もが使いやすい紙幣にすることが、大きな目的でした。
新一万円札の発行までの重要な年表
- 2019年4月9日:財務省が新しい日本銀行券の製造計画を公表。渋沢栄一を一万円札の新しい肖像に採用することを発表しました。
- 2021年9月:新日本銀行券の印刷開始式が行われ、発行に向けた準備が進みました。
- 2023年6月28日:財務省が発行時期を2024年7月前半とする方針を発表しました。
- 2023年12月12日:財務省が具体的な発行開始日を2024年7月3日と正式に決定しました。
- 2024年7月3日:日本銀行が午前8時から新一万円札、五千円札、千円札の発行を開始しました。
- 2026年11月:渋沢栄一の一万円札が現行の発行券種として流通しています。
財務省の発表によると、2019年の改刷公表から実際の発行までには約5年の準備期間が設けられました。国立印刷局による製造だけでなく、銀行のATM、自動販売機、自動釣銭機、鉄道の券売機など、紙幣を扱う機器の対応も必要だったためです。
なお、2024年7月3日に発行が始まったからといって、同日からすべてのATMで必ず新札が出てきたわけではありません。日本銀行から金融機関への支払いを経て、各金融機関の準備が整ったところから窓口やATMを通じて順次流通しました。
したがって、2026年に新一万円札を手にすることは特別なことではありません。現在は通常の現金として使用できる紙幣です。
【肖像は渋沢栄一、裏面は東京駅】新一万円札の図柄に込められた意味
新一万円札の表面に採用されたのは、近代日本の経済発展に大きな役割を果たした渋沢栄一(1840~1931年)です。
裏面には、東京の玄関口として知られる東京駅の丸の内駅舎が描かれています。人物と歴史的建築物という組み合わせは、新しい一万円札の象徴的な特徴です。
渋沢栄一はなぜ一万円札の肖像に選ばれたのか
渋沢栄一は、明治から昭和初期にかけて実業界で活躍した人物です。財務省の2019年4月9日の発表資料では、生涯に約500もの企業の設立などに関わったとされています。
代表的な関係先には、第一国立銀行、東京株式取引所(現在の東京証券取引所)、東京商法会議所(現在の東京商工会議所)などがあります。
加えて、企業活動だけでなく、教育、社会事業、民間外交にも力を注ぎました。経済活動を通じて社会の仕組みを整えようとした功績が、新しい一万円札の肖像に選ばれた背景にあります。
渋沢栄一の肖像採用は、近代日本の経済史を象徴する人物を紙幣に刻むという意味も持っています。
裏面の東京駅・丸の内駅舎はどんな建物?
裏面に採用されたのは、東京駅の丸の内駅舎です。赤レンガの外観から「赤レンガ駅舎」として親しまれている歴史的建造物で、設計を担当したのは建築家の辰野金吾です。
1914年に竣工した駅舎は、戦災によって一部が焼失しましたが、2012年に復原工事が完了しました。丸の内駅舎は2003年に国の重要文化財に指定されています。
紙幣の図柄として採用された理由を考えると、単なる観光名所の紹介にとどまりません。日本の近代化、交通網の発展、建築技術の歩みを象徴する建物として、渋沢栄一の肖像と歴史的なつながりを持っています。
表面の人物と裏面の建築物を合わせて見ることで、新一万円札には日本の近代経済と社会基盤の発展というテーマが表現されていることが分かります。
【新旧一万円札を徹底比較】サイズ・肖像・裏面の違いは?
新一万円札と旧福沢諭吉札を比較すると、最も分かりやすい違いは肖像と裏面の図柄です。一方、紙幣の寸法は変更されていません。
国立印刷局と日本銀行の公表資料では、新しいF一万円券、2004年発行のE一万円券、1984年発行のD一万円券はいずれも縦76mm・横160mmです。
新旧一万円札の比較表
| 比較項目 | 新一万円札(F券) | 旧一万円札(E券) | 旧一万円札(D券) |
|---|---|---|---|
| 発行開始日 | 2024年7月3日 | 2004年11月1日 | 1984年11月1日 |
| 表面の肖像 | 渋沢栄一 | 福沢諭吉 | 福沢諭吉 |
| 裏面の図柄 | 東京駅・丸の内駅舎 | 平等院の鳳凰像 | 2羽のキジ |
| 紙幣サイズ | 76×160mm | 76×160mm | 76×160mm |
| ホログラム | 3Dホログラム | 従来型ホログラム | なし |
| 高精細すき入れ | 採用 | 新方式は未採用 | 新方式は未採用 |
| 2026年の有効性 | 使用可能 | 使用可能 | 使用可能 |
新一万円札のサイズは大きくなった?
新一万円札のサイズは、旧福沢諭吉札と同じ76mm×160mmです。つまり、財布や紙幣ケースに入れる際の寸法は従来と変わりません。
これは意図的な設計です。紙幣の寸法を維持することで、ATMや自動釣銭機など、既存の金銭機器への対応負担を抑えられます。
新しい技術を導入しながら、現金を取り扱う社会インフラへの影響をできるだけ小さくする。そのバランスが今回の改刷の特徴です。
福沢諭吉の一万円札は実は2種類ある
旧一万円札というと、福沢諭吉の肖像が描かれた紙幣を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、福沢諭吉の一万円札にはD券とE券の2種類があります。
- D券:1984年11月1日発行開始。裏面には2羽のキジが描かれています。
- E券:2004年11月1日発行開始。裏面には平等院鳳凰堂の鳳凰像が描かれています。
特にE券はホログラムが採用された紙幣です。そのため、ホログラムが付いているから新一万円札だと判断するのは間違いです。新旧を見分けるには、肖像、裏面の図柄、ホログラムの形状を総合的に確認する必要があります。
【新一万円札の偽造防止技術】世界初の3Dホログラムと高精細すき入れ
今回の改刷で最も注目される技術が、世界で初めて銀行券に採用された3Dホログラムです。
従来のホログラムは、紙幣を傾けると色や模様が変化して見える仕組みでした。新一万円札では、立体的に表現された渋沢栄一の肖像そのものが左右に回転して見える技術が導入されています。
財務省と国立印刷局の説明によると、これは銀行券への3D肖像ホログラムの採用として世界初の技術です。単に光沢を加えた装飾ではなく、紙幣の複製を難しくするための偽造防止対策です。
1.3Dホログラムはどうやって確認する?
新一万円札のホログラムはストライプ型です。紙幣を左右に傾けると、ホログラム内の肖像が立体的に回転して見えます。
従来の福沢諭吉札にもホログラムはありましたが、肖像が立体的に回転する仕組みとは異なります。
なお、3Dホログラムは新一万円札だけの技術ではありません。新五千円札にもストライプ型、千円札にはパッチ型の3Dホログラムが採用されています。
2.高精細すき入れで偽造を難しくする
もう一つの重要な技術が、高精細すき入れです。
すき入れとは、紙の厚さに変化をつけて光に透かした際に肖像などが見えるようにする技術です。日本の紙幣では以前から使われてきました。
新一万円札では、従来の肖像のすき入れに加え、肖像の周囲に緻密な画線で構成された連続模様を取り入れています。
これによって、従来よりも複雑で精密な透かし模様が実現しました。単純な印刷やコピーでは再現が難しい構造になっています。
3.すき入れバーパターンは一万円札なら3本
新しい日本銀行券には、紙を透かすことで確認できる縦棒状のすき入れもあります。
- 一万円札:縦棒3本
- 五千円札:縦棒2本
- 千円札:縦棒1本
額面ごとに本数を変えることで、偽造防止だけでなく紙幣の識別にも役立っています。
4.その他の偽造防止技術
3Dホログラムと高精細すき入れ以外にも、複数の技術が組み合わされています。
- 深凹版印刷:額面数字などのインキを高く盛り上げ、触るとざらざらした感触があります。
- 潜像模様:紙幣を傾けると表面には「10000」、裏面には「NIPPON」の文字が浮かび上がります。
- パールインキ:傾けると左右の余白部分にピンク色の光沢が現れます。
- マイクロ文字:肉眼では確認しにくい極めて小さな文字が印刷されています。
- 特殊発光インキ:紫外線を当てると、日本銀行総裁の印章など一部が発光します。
重要なのは、これらの技術が一つだけ採用されているのではなく、複数の確認方法を組み合わせて偽造を難しくしている点です。
【新一万円札の見分け方】本物かどうかを確認する4つのポイント
新一万円札の真偽を確認する際は、国立印刷局が紹介している4つの判別方法が参考になります。特別な機械を持っていなくても、基本的な特徴は確認できます。
ポイント1:触って確認する
最初に、紙幣の額面数字や識別マークを指で触ります。
新一万円札には深凹版印刷が採用されているため、額面数字などにインキの盛り上がりがあり、ざらつきを感じられます。
また、視覚に障害のある人が指先で券種を識別できるよう、深凹版印刷による識別マークが設けられています。
ポイント2:光に透かして確認する
紙幣を明るい場所で透かして、次の2点を確認します。
- 渋沢栄一の肖像がすき入れとして現れるか。
- 一万円札に対応する縦棒3本のすき入れバーパターンが確認できるか。
肖像の周囲に施された高精細すき入れも、重要な特徴です。
ポイント3:紙幣を傾けて確認する
新一万円札ならではの特徴が、3Dホログラムです。
紙幣を左右に傾け、渋沢栄一の肖像が立体的に回転するかを確認します。加えて、表面の額面数字や裏面の「NIPPON」という潜像模様も確認できます。
ポイント4:細部の印刷や発光を確認する
虫眼鏡などを使えば、マイクロ文字の確認ができます。紫外線を照射できる環境であれば、特殊発光インキによる発光も確認できます。
ただし、日常の買い物で紫外線照射器や虫眼鏡を持ち歩く必要はありません。通常は触感、透かし、ホログラムの3点を確認するだけでも、紙幣の特徴を把握しやすくなります。
不審な紙幣を見つけた場合は、自分で真偽を断定して使い回すのではなく、警察または日本銀行に相談することが適切です。
【旧福沢諭吉の一万円札はまだ使える?】2026年も有効な理由と詐欺への注意
新一万円札の発行後、特に多くの人が気にしているのが旧福沢諭吉札の有効性です。
答えは明確です。1984年発行のD一万円券も、2004年発行のE一万円券も、2026年現在、引き続き使用できます。
旧札は新札に交換しなくても使える
新紙幣が発行されたからといって、従来の紙幣が自動的に無効になるわけではありません。
財務省は2023年12月12日の発表で、従来の一万円札、五千円札、千円札について、新しい紙幣の発行後も従来どおり通用すると明示しています。
日本銀行も、法律に基づく特別な措置がない限り、一度発行された銀行券は通用力を失わないと説明しています。
日本銀行の公表資料によれば、これまでに発行された56種類の銀行券のうち、現在も有効なものは25種類です。
つまり、古い紙幣だからといってすべてが使えなくなるわけではありません。ただし、過去には法令によって通用力を失った紙幣もあるため、歴代の紙幣がすべて有効という意味ではありません。
「旧一万円札が使えなくなる」という情報は本当?
これは注意が必要な誤情報です。
財務省は、新紙幣の発行計画を公表した2019年4月の時点から、従来の紙幣が引き続き使用できることを案内しています。また、「現行の日本銀行券が使えなくなる」といった説明を利用した振り込め詐欺などへの注意喚起も行っています。
特に、次のような話には注意してください。
- 「旧福沢諭吉札は期限までに交換しないと無効になる」
- 「自宅にある旧札を新札に交換する必要がある」
- 「古い一万円札を回収するために訪問する」
- 「新紙幣への切り替えには手数料が必要」
こうした説明を受けても、相手に現金を渡したり、銀行口座や個人情報を伝えたりしてはいけません。
旧札の有効性については、財務省や日本銀行の公式案内を確認するのが確実です。
【2026年最新】新一万円札の本当の変更点と知っておきたい判断基準
2026年11月現在、新一万円札を理解するうえで押さえておきたいのは、今回の改刷が肖像の交代だけでなく、紙幣の安全性と使いやすさを同時に改善する取り組みだったという点です。
ユニバーサルデザインは何が変わった?
新一万円札では、年齢や視覚障害の有無、国籍などに関係なく、誰もが紙幣を識別しやすくなるように設計されています。
日本銀行が公表している主な変更点は次のとおりです。
- 額面数字の大型化:表面・裏面ともにアラビア数字を大きくし、券種を視覚的に区別しやすくしました。
- 識別マークの改善:指で触って分かる11本の斜線状のマークを採用し、券種ごとに配置を変更しました。
- すき入れ位置の変更:券種ごとに配置を変え、紙幣を識別しやすくしています。
- ホログラム位置・形状の変更:一万円札・五千円札と千円札で形状や位置を変え、区別しやすくしました。
特に大きな数字の採用は、視力が弱い人だけでなく、日本語の漢数字に慣れていない外国人旅行者にとっても分かりやすい改善です。
また、識別マークの配置を券種ごとに変えることで、見た目だけに頼らず触覚でも判断できるようになっています。
新紙幣の導入でATMや自動販売機はどう変わった?
新紙幣の導入には、金融機関だけでなく、現金を扱う民間事業者の対応も必要でした。
例えば、ATM、自動釣銭機、鉄道の券売機、飲料自動販売機などは、紙幣の寸法や印刷の違いを読み取るための機器調整が必要になります。
今回、紙幣の寸法を従来と同じにしたことは、こうした設備の改修負担を抑えるうえでも意味があります。
財務省が2024年7月2日に公表した大臣記者会見の概要では、同年6月末時点の見通しとして、金融機関のATMは9割以上、自動釣銭機や鉄道の券売機は8~9割程度が対応可能と説明されていました。一方、飲料自動販売機については対応が2~3割程度との見通しも示されていました。
この数字は発行直前の見通しであり、2026年の対応率を示すものではありません。新紙幣への対応は機器の更新や改修を通じて順次進められる性質のものです。
【プロの結論】新一万円札は何を基準に見ればよい?
新一万円札をめぐる情報を整理すると、読者が覚えておくべき判断基準は3つあります。
第一に、肖像と図柄だけでなく、偽造防止技術にも注目すること。渋沢栄一や東京駅のデザインは分かりやすい変更点ですが、今回の改刷の技術的な核心は3Dホログラム、高精細すき入れ、触覚による識別機能の強化にあります。
第二に、新旧紙幣の価値と発行時期を混同しないこと。福沢諭吉札は新一万円札より古い紙幣ですが、古いという理由だけで価値や使用可能性が失われるわけではありません。D券・E券ともに現在も有効です。
第三に、紙幣の変更を利用した詐欺に注意すること。新紙幣への交換や旧札の回収を求める不審な連絡には応じず、財務省や日本銀行の公式情報を基準に判断してください。
日常的に現金を使う人にとっては、旧札を無理に交換する必要はありません。一方、紙幣の真偽を確認したい人や、現金を扱う事業者にとっては、新しい識別技術と紙幣の特徴を理解しておく価値があります。
【新一万円札】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:新一万円札はいつから発行されましたか?
A1:2024年7月3日午前8時から日本銀行による発行が始まりました。表面は渋沢栄一、裏面は東京駅の丸の内駅舎です。
Q2:旧福沢諭吉の一万円札は2026年も使えますか?
A2:使えます。1984年発行のD一万円券と2004年発行のE一万円券は、どちらも現在有効な銀行券です。新紙幣への交換も必要ありません。
Q3:新一万円札のサイズは旧札と違いますか?
A3:違いません。新旧ともに縦76mm、横160mmです。財布や紙幣ケースに入れる際の寸法は従来と同じです。
Q4:新一万円札の3Dホログラムは世界初ですか?
A4:銀行券への3D肖像ホログラムの採用として世界初です。紙幣を左右に傾けると、立体的な肖像が回転して見えます。
Q5:新一万円札の本物を見分ける方法は?
A5:深凹版印刷のざらつき、光に透かしたときの肖像と縦棒3本のすき入れ、傾けたときに回転して見える3Dホログラムなどを確認します。必要に応じて潜像模様やマイクロ文字なども確認できます。
まとめ:新一万円札は2026年も現行、旧福沢諭吉札も引き続き有効
新一万円札は、2024年7月3日に発行が始まった渋沢栄一の肖像入り紙幣です。裏面には東京駅の丸の内駅舎が描かれ、世界初の銀行券向け3Dホログラム、高精細すき入れ、識別しやすいユニバーサルデザインなどが採用されています。
2026年11月現在も新一万円札は現行の紙幣として流通しています。寸法は旧札と同じ76mm×160mmで、福沢諭吉の旧一万円札も1984年発行のD券、2004年発行のE券ともに使用可能です。
新紙幣の登場によって、旧札を急いで交換する必要はありません。紙幣の変更を利用した詐欺に注意しながら、触る・透かす・傾けるという基本的な確認方法を知っておけば、日常生活でも安心して新旧の一万円札を利用できます。
公的資料との照合:財務省、日本銀行、国立印刷局の発表・公式解説。