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トロットとは何か?1930年代の起源から演歌との違い、2026年の人気まで徹底解説

橘 宗 橘 宗 • 更新: • 公開: • 読了約 27 分
目次

トロットとは、韓国で長く親しまれてきた大衆歌謡の一ジャンルです。独特の2拍子のリズム、五音音階を中心とした哀愁のあるメロディー、音程を折り返すような装飾的な歌唱が特徴で、日本の演歌と共通する部分も少なくありません。そのルーツは日本統治時代の1930年代にさかのぼり、イ・ナニョンの「木浦の涙」などを通じて、韓国の大衆音楽に定着しました。

一方、2026年現在のトロットは、昔ながらの歌謡曲にとどまりません。イム・ヨンウンをはじめとする人気歌手の大規模コンサート、テレビのオーディション番組「ミスタートロット」や「ミストロット」、さらに生成AIを活用した新しい音楽表現まで、活躍の場を広げています。日本の演歌と似ているのに、なぜ韓国独自の音楽として愛され続けているのか。歴史、音楽的特徴、代表的な歌手、2026年の最新動向から、その魅力を整理します。

【基礎知識】トロットとは?韓国で愛される大衆歌謡の正体

トロットとは

トロットは、韓国語で「트로트」と表記される音楽ジャンルです。日本語では「韓国トロット」と呼ばれることもあり、日本の読者に向けて「韓国版の演歌」と紹介される場合もあります。

ただし、トロットを単純に韓国版演歌と説明するのは正確ではありません。日本の演歌と歴史的な接点を持ちながらも、韓国の社会や文化、音楽産業の変化を反映し、独自の表現を築いてきた音楽だからです。

トロットの基本的な特徴

代表的な特徴は、次の4つです。

  • 五音音階:5つの音を中心に構成する旋律が、初期のトロットの大きな特徴。
  • 独特のリズム:2拍子を基本とする軽快なリズムが印象的。
  • 感情豊かな歌唱:ビブラートや音程を変化させる装飾を使い、歌詞の感情を強く表現する。
  • 親しみやすいメロディー:覚えやすく、聴く人が一緒に口ずさみやすい。

初期のトロットでは、失恋、別れ、故郷への思い、人生の苦労などが主要なテーマでした。悲しみや未練を正面から歌い上げる表現は、日本の演歌と共通する部分です。

しかし、現代のトロットには明るく楽しい楽曲や、ダンスを取り入れた作品、ポップスやロックを融合させた作品もあります。現在では、特定の音階やリズムだけで定義できないほど表現の幅が広がっています。

「トロット」という名前の由来

トロットという名称は、アメリカで生まれた社交ダンス音楽「フォックストロット(Foxtrot)」に由来します。

フォックストロットは20世紀初頭にアメリカで広まったダンス音楽です。そのリズムや関連する音楽文化が日本を経由して東アジアに伝わり、日本の大衆音楽と結びつく過程で、韓国の大衆歌謡にも影響を与えました。

ただし、現在の韓国トロットとフォックストロットが同じ音楽というわけではありません。共通するのは主に2拍子のリズムとの関連であり、旋律や音楽的な形式は異なります。

また、現在のジャンル名としての「トロット」が韓国のメディアで定着したのは1960年代後半です。1930年代に音楽の形式が成立したことと、トロットという呼称が一般化した時期は区別する必要があります。

【歴史を解説】トロットの起源は1930年代!イ・ナニョンと「木浦の涙」が残したもの

トロットの歴史を理解するうえで欠かせないのが、日本統治時代の朝鮮半島です。1910年から1945年まで続いた植民地支配のもと、朝鮮半島には日本の流行歌や西洋由来の音楽文化が流入しました。

1920年代には、日本の演歌などの翻訳・翻案曲が人気を集めます。その後、朝鮮半島の音楽家たちによる創作活動が進み、1930年代半ばにはトロットの基本的な音楽様式が形成されました。

1930年代の代表的な作品と歌手

韓国学中央研究院の「韓国民族文化大百科事典」によると、トロットは1928年の創作曲「世の三友(세 동무)」などを経て、1930年代に代表的な作品が相次いで登場しました。

特に重要なのが、1935年に発表されたイ・ナニョンの「木浦の涙」です。この曲は初期トロットを象徴する作品として知られ、現在も韓国の音楽史を語る際に欠かせない存在です。

年代 人物・作品 歴史的な意味・関係
1920年代 日本の演歌の翻訳・翻案曲 韓国の大衆歌謡に日本の流行歌の影響が広がる。
1928年 「世の三友」 初期の韓国創作大衆歌謡の一例。
1932年 イ・エリス「皇城の跡」 初期トロットの重要な作品として位置づけられる。
1934年 コ・ボクス「他郷暮らし」 トロットの音楽様式が定着する過程を代表する作品。
1935年 イ・ナニョン「木浦の涙」 初期トロットを象徴する代表曲。
1940年代 「旅人の悲しみ」など 短調だけでなく長調のトロットも広がる。
1960年代 イ・ミジャ「椿娘」 トロットの人気が再び高まり、日本的な音楽表現をめぐる論争も起こる。
1970〜1980年代 チョー・ヨンピル、チュ・ヒョンミなど ロックやポップスとの融合、明るい長調トロットの発展。
2020年代 イム・ヨンウン、「ミスタートロット」 テレビオーディションと大規模なファン文化を背景に新たな人気を獲得。

イ・ナニョンの「木浦の涙」が特別な理由

イ・ナニョン(李蘭影、1916〜1965年)は、韓国の初期大衆音楽を代表する女性歌手です。

彼女の代表曲「木浦の涙(목포의 눈물)」は1935年に発表されました。タイトルにある木浦は、韓国南西部の全羅南道に位置する港町です。

この楽曲は、故郷や離別、失われたものへの思いを感じさせる哀愁のある旋律で知られています。港町という土地のイメージと、当時の人々が抱えていた社会的・個人的な悲しみが重なり、単なる流行歌を超える存在になりました。

韓国の文化情報誌「Koreana」も、「木浦の涙」を1935年の韓国大衆音楽史における重要な転換点として紹介しています。発表から数十年が経過した現在も、木浦の人々をはじめ、多くの韓国人に歌い継がれています。

解放後から現代までの変化

1945年の日本統治からの解放後、トロットは韓国の大衆音楽として存続しました。朝鮮戦争を経た1950年代には、分断や戦争の傷、故郷を失った人々の悲しみを表現する楽曲が生まれます。

1960年代には、アメリカのポップスやスタンダードポップが勢いを増しました。トロットは一時的に主流の座を譲りますが、1964年のイ・ミジャによる「椿娘(동백아가씨)」のヒットを契機に再び人気を取り戻しました。

1970年代にはフォークやロックとの融合が進み、1980年代にはチュ・ヒョンミらが明るく華やかなトロットを広めます。1990年代以降は、宴会やカラオケなどで親しまれる、より軽快で盛り上がりやすい音楽へと変化しました。

このように、トロットは一つの音楽様式を守り続けたのではなく、時代ごとの流行を取り込みながら生き残ってきたジャンルです。

【音楽的特徴】トロットの五音音階・リズム・歌い方を解説

トロットを初めて聴く人が印象に残りやすいのは、独特のリズムと歌い回しです。旋律が哀愁を帯びている一方、伴奏には軽快さがあり、悲しい歌詞でも自然と体が動くような音楽的な構造を持っています。

1. 五音音階が生み出す哀愁

初期のトロットを特徴づける要素の一つが五音音階です。一般的な西洋音楽で使われる七音の音階に対し、五つの音を中心に旋律を組み立てます。

代表的なものとして、次の2種類が挙げられます。

  • 短調五音音階:ラ・シ・ド・ミ・ファを中心とする音階。初期のトロットに見られる、物悲しく切ない印象につながる。
  • 長調五音音階:ド・レ・ミ・ソ・ラを中心とする音階。明るく親しみやすい印象を生み出す。

ただし、すべてのトロットが五音音階だけで構成されているわけではありません。1940年代には長調の作品が増え、1990年代以降の現代的なトロットでは、五音音階に限定されない多様な旋律が使われるようになりました。

2. トロットのリズムは「クンチャク」が基本

トロットを象徴する表現に「クンチャク(쿵짝)」があります。韓国語の擬音表現で、規則的に繰り返される強拍と弱拍の感覚を表しています。

初期のトロットでは2拍子を中心としたリズムが多く、4拍子の楽曲も見られます。ベースや伴奏が一定の周期で刻まれるため、聴き手は自然にリズムをつかめます。

例えば、次のような特徴があります。

  • 一定のテンポを保ち、リズムを感じ取りやすい。
  • ベースの反復によって独特の躍動感が生まれる。
  • 旋律が悲しくても、伴奏が軽快なため楽しく聴ける。
  • カラオケや宴会など、大勢で歌う場面にもなじみやすい。

ただし、現代のトロットではタンゴ、ブルース、ダンスミュージックなどのリズムも取り入れられています。昔ながらのクンチャクだけがトロットのすべてではありません。

3. トロット特有の歌い方「꺾기(音程の折り返し)」

トロットの歌唱で特に注目したいのが、韓国語で「꺾기(ッコッキ)」と呼ばれる装飾的な歌い方です。

これは、音をまっすぐ伸ばすだけではなく、音程を折り返すように変化させたり、しゃくり上げたりする表現技法です。日本語で説明するなら、音を揺らすビブラートや、こぶしに近い装飾を組み合わせた歌唱に当たります。

主な特徴は次のとおりです。

  • ビブラート:伸ばした音を細かく揺らし、感情を強調する。
  • 音程の折り返し:旋律の途中で音を上下させ、独特の節回しを作る。
  • しゃくり:低い音から目的の音へ滑らかに上げる。
  • 語尾の装飾:フレーズの最後に音の変化を加え、余韻を残す。

こうした歌唱技術によって、同じメロディーでも歌手によって異なる個性が生まれます。歌詞の悲しみを強調することも、明るい楽曲に華やかさを加えることも可能です。

トロットの歌唱力は、高音が出るかどうかだけでは判断できません。音程の安定感、リズムの正確さ、言葉の伝え方、装飾の使い方を総合的に聴くことが大切です。

【徹底比較】韓国トロットと日本の演歌は何が違う?ポンチャックとの関係も解説

日本の読者にとって、トロットと演歌は非常に似て聞こえることがあります。実際、両者には歴史的なつながりがあり、五音音階や哀愁を帯びた歌唱など、共通する特徴もあります。

しかし、同じ音楽というわけではありません。成立した社会的背景や、戦後の音楽産業の発展、現在の音楽表現には違いがあります。

トロットと演歌の共通点

両者には、次のような共通点があります。

  • 西洋音楽の影響を受けながら東アジアで発展した大衆歌謡である。
  • 五音音階を使った旋律が代表的な特徴として知られる。
  • 別れ、失恋、故郷、人生の苦労などを題材にする。
  • ビブラートや音程の装飾を活用した感情豊かな歌唱がある。
  • 世代を超えて歌い継がれる代表曲が存在する。

トロットと演歌の違い

一方、両者を区別する要点は、音楽の発展過程と現代の表現方法です。

トロットは、韓国の歴史と社会を背景に独自の発展を遂げた音楽です。日本の大衆音楽から影響を受けたことは歴史的事実ですが、解放後の韓国社会で新しい歌詞やリズム、歌唱スタイルを取り入れて変化しました。

演歌は日本語の歌詞や日本の歌謡文化に根差し、トロットは韓国語の歌詞や韓国独自の大衆音楽文化を背景にしています。

また、現代のトロットはテレビのオーディション番組を通じて新しいスターを生み出し、ポップスやダンス音楽との融合も積極的に進めています。

つまり、演歌との共通点は歴史的・音楽的な接点にあり、現在のトロットの姿は韓国独自の文化的発展によって形作られたものです。

ポンチャックとは?トロットとの違い

ポンチャック(뽕짝)は、韓国のトロットを理解するうえで知っておきたい言葉です。

もともとは「ポン」と「チャク」というリズムの擬音に由来し、トロット特有の反復的なリズムや音楽的な雰囲気を表す言葉として使われてきました。

1960年代後半には、トロットをやや否定的に表現する言葉として広がりました。その後、1970〜1980年代にはトロットとほぼ同じ意味で使われる場合もありました。

さらに1990年代には、電子楽器による伴奏に合わせて人気曲を連続して演奏する「メドレー・カセット」の文化と結びつき、トロットとは異なる音楽的なカテゴリーとして認識される側面も生まれました。

2024年に韓国の学術誌「SAI」に掲載された研究では、トロットとポンチャックの歴史的な用法を区別し、ポンやポンキという言葉が特定のジャンルを超えた音楽的な雰囲気を示すようになったことも指摘されています。

そのため、ポンチャックはトロットの単なる別名と決めつけるよりも、時代によって意味やニュアンスが変わってきた言葉として理解するのが適切です。

フォックストロットと韓国トロットは同じ音楽なのか

結論から言えば、同じ音楽ではありません。

フォックストロットはアメリカ由来の社交ダンス音楽であり、韓国トロットは日本の大衆音楽などの影響を受けながら朝鮮半島で形成された大衆歌謡です。

名称の由来にはつながりがありますが、フォックストロットそのものが韓国トロットに変化したわけではありません。2拍子という共通点だけで両者を同一視しないことが、歴史を理解するうえで重要です。

【人気の理由】なぜ韓国トロットは世代を超えて愛されるのか?代表歌手も紹介

トロットが長い歴史を持ちながら現在も支持される理由は、単純に懐かしいからではありません。音楽としての親しみやすさに加え、テレビ番組、スターの育成、ファンコミュニティーなどが結びついていることが大きな要因です。

理由1:誰もが共感できる歌詞と感情表現

トロットの歌詞には、恋愛、家族、故郷、人生の苦労など、日常生活に密着したテーマが多く登場します。

華やかな言葉よりも、誰もが経験する悲しみや喜びを率直に表現することが、聴き手の共感につながっています。

特に、歌手の声や節回しによって歌詞の意味が強調されるため、言葉の内容だけでなく、歌い方そのものが物語を伝える役割を果たします。

理由2:テレビのオーディション番組が新しいスターを生み出した

トロット人気を語るうえで欠かせないのが、TV CHOSUNの「ミスタートロット」です。

2020年に始まった同番組は、一般参加者や既存の歌手が競い合うオーディション形式を採用し、トロットを若い世代にも広く紹介しました。

番組からはイム・ヨンウン、ヨンタク、イ・チャンウォンなどの人気歌手が誕生しました。続くシーズンでもアン・ソンフン、パク・ジヒョン、キム・ヨンビンらが注目を集めています。

視聴者が歌手の成長を見守り、投票や応援を通じて番組に参加できる仕組みも、従来の音楽番組とは異なる魅力です。

理由3:懐かしさと新しさを両立できる

トロットは、昔ながらの音楽的な特徴を残しながら、現代のポップスやダンス音楽を取り入れることができます。

そのため、昔からトロットを聴いてきた世代には懐かしく、若い世代には新しい音楽として受け入れられる余地があります。

また、歌いやすいメロディーや印象的なリズムは、カラオケ、イベント、テレビ番組など、さまざまな場面で活用しやすい特徴です。

代表的なトロット歌手

韓国のトロットを知るなら、歴史的な歌手と現代の人気歌手を両方押さえておくと理解が深まります。

イ・ナニョン:1935年の「木浦の涙」で知られる初期トロットの象徴的な歌手。韓国大衆音楽の歴史を語る際に欠かせない存在です。

イ・ミジャ:「椿娘」で1960年代のトロット復活を象徴した歌手。日本的な音楽表現をめぐる論争とも関係しています。

チュ・ヒョンミ:1980年代に明るく軽快なトロットを広めた代表的な女性歌手。メドレー文化からソロ歌手としての成功につなげました。

チャン・ユンジョン:2000年代にトロットを幅広い世代に浸透させた歌手。従来のジャンルイメージを変える存在として知られています。

イム・ヨンウン:2020年の「ミスタートロット」で優勝し、現代トロットを代表する人気歌手となりました。トロットを軸にしながら、バラードなど幅広い音楽表現でも支持されています。

イム・ヨンウンが現代トロットを象徴する理由

イム・ヨンウンの魅力は、伝統的なトロットの歌唱技術と、現代的なポップスの表現を両立させている点にあります。

トロットらしい感情表現を大切にしながら、ジャンルに縛られない楽曲にも挑戦しており、従来のトロットファン以外にも支持を広げています。

2026年9月には、4日から6日までの3日間、韓国の高陽総合運動場メインスタジアムで「IM HERO - THE STADIUM 2」を開催しました。2024年のソウルワールドカップ競技場公演に続く、2度目のスタジアム規模の公演です。

所属事務所の発表を伝えた聯合ニュースによると、この公演では9月8日発売予定のスペシャルデジタルアルバム「IM HERO 10」のタイトル曲「또또」などを披露する計画が発表されていました。

一人の歌手がスタジアム規模の公演を行うまでに成長したことは、トロットが韓国の大衆音楽市場で持つ存在感を示す事例の一つです。

【2026年最新】韓国トロットの現在は?ミスタートロット4とAI音楽の新展開

2026年のトロットシーンでは、テレビオーディションによる新人発掘、人気歌手の大規模公演、SNSを通じた新しい音楽表現という3つの動きが目立っています。

ミストロット4は2026年3月に決勝を開催

女性歌手を対象としたTV CHOSUNの「ミストロット4」は、2026年3月5日に最終回を迎えました。

優勝したのはイ・ソナです。準優勝の善(ソン)はホ・チャンミ、3位の美(ミ)はホン・ソンユンでした。

ニューシスなどの韓国メディアによると、イ・ソナは決勝のリアルタイム文字投票で25万6,310票を獲得し、最終的に優勝を決めました。最終回の視聴率は全国基準18.1%と報じられています。

この結果は、歌唱技術だけでなく、視聴者とのつながりや応援がトロットの人気を支えていることを示しています。

ミスタートロット4は2026年12月10日放送予定

2026年10月30日時点で、男性歌手を対象とした「ミスタートロット4」は、TV CHOSUNの公式番組ページで2026年12月10日の初回放送予定が案内されています。

2020年の初回放送以来、同シリーズはイム・ヨンウン、ヨンタク、イ・チャンウォンなど、多くの人気歌手を輩出してきました。

2026年10月6日付の韓国メディア「日刊スポーツ」の報道でも、シーズン4の12月放送開始が伝えられています。男性トロットの新しいスターを発掘する場として、引き続き注目される番組です。

なお、初回放送前の段階では、最終的な順位や新しい優勝者は決まっていません。過去の優勝者と今シーズンの参加者を混同しないようにする必要があります。

生成AIによるトロット風アレンジも話題に

2026年の新しい動きとして、生成AIを活用したトロット風の音楽表現もあります。

2026年2月21日付のBBC Koreanの報道では、韓国のコンテンツクリエイターが人気K-POP楽曲を生成AIでトロット風にアレンジし、昔ながらの華やかな衣装をまとったアイドル風のAI画像と組み合わせる動きが紹介されました。

これは、トロットが過去の音楽文化として保存されるだけではなく、インターネット上で新しい世代に再解釈されていることを示す事例です。

特にK-POPとの組み合わせは、従来のトロットを知らなかった人がジャンルに触れる入口にもなります。昔ながらのリズムと現代のデジタル技術が結びつくことで、トロットの表現領域はさらに広がっています。

2026年のトロット市場で注目したい3つのポイント

  • スターの大型公演:イム・ヨンウンのスタジアム公演に象徴されるように、トロット歌手の活動規模が拡大している。
  • オーディションの継続:ミストロット4の成功とミスタートロット4の放送予定により、新人発掘の仕組みが続いている。
  • デジタル文化との融合:生成AIによるアレンジやSNSでの拡散など、新しい接点が生まれている。

2026年のトロットは、伝統を守るだけの音楽ではありません。テレビ、コンサート、SNS、AIといった異なるメディアを通じて、過去の音楽的な魅力を現代の感覚に合わせて再構築している段階にあります。

【初心者向け】トロットをもっと楽しむための聴き方と注目ポイント

トロットを初めて聴く場合、最初から歴史や音楽理論を理解する必要はありません。代表曲を聴き比べながら、時代ごとの変化を感じるとジャンルの特徴がつかみやすくなります。

最初に聴きたい3つのタイプ

1. 初期トロットの哀愁を味わいたい人

イ・ナニョンの「木浦の涙」がおすすめです。初期トロットの特徴である哀愁のある旋律や、当時の韓国社会と結びついた歌の世界を理解する手がかりになります。

2. 伝統的なトロットの歌唱を知りたい人

イ・ミジャやチュ・ヒョンミの作品を聴いてみましょう。歌詞の伝え方やビブラート、装飾的な歌い回しの違いに注目すると、歌手ごとの個性が分かります。

3. 現代的なトロットを楽しみたい人

イム・ヨンウンや「ミスタートロット」の出演歌手の作品がおすすめです。伝統的な節回しを残しながら、現代的なアレンジを取り入れた音楽を楽しめます。

トロットの歌唱に挑戦するなら

トロットを歌ってみたい人は、まず一定のリズムを保つことから始めましょう。次に歌詞の意味を理解し、どの部分で感情を強めるかを考えます。

そのうえで、音を揺らすビブラートや、音程を折り返す꺾기を少しずつ練習すると、トロットらしい表現に近づきます。

ただし、装飾を多く入れれば上手に聞こえるわけではありません。基本となる音程やリズムが安定していることが先決です。

特に日本の演歌を歌い慣れている人は、こぶしの感覚を生かしながら、韓国語の発音やトロット独特のリズムに慣れていくとよいでしょう。

【トロットとは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:トロットとは簡単にいうと何ですか?
A1:韓国で親しまれている大衆歌謡のジャンルです。1930年代半ばに音楽様式が定着し、五音音階や2拍子を中心としたリズム、感情豊かな歌唱などが特徴です。

Q2:トロットは日本の演歌と同じですか?
A2:同じではありません。日本の演歌と歴史的・音楽的な共通点がありますが、韓国の社会や文化の中で独自に発展してきました。現代ではポップスやダンス音楽を融合した作品も多くあります。

Q3:トロットの起源はいつですか?
A3:音楽様式は1930年代半ばに定着しました。1920年代には日本の演歌の翻訳・翻案曲が広まり、1928年の創作曲や1935年のイ・ナニョン「木浦の涙」などを経て発展しました。なお、トロットという名称が一般化したのは1960年代後半です。

Q4:ポンチャックとトロットは何が違いますか?
A4:ポンチャックはトロットのリズムや音楽的な雰囲気を表す擬音的な言葉です。時代によってトロットと同義で使われたり、メドレー音楽などを指したりするため、使用された時代や文脈によって意味が異なります。

Q5:トロットとフォックストロットには関係がありますか?
A5:名称の由来という関係があります。フォックストロットはアメリカの社交ダンス音楽で、トロットという名称はそこから派生しました。ただし、韓国トロットとフォックストロットは別の音楽です。

Q6:2026年現在の代表的なトロット歌手は誰ですか?
A6:イム・ヨンウンをはじめ、ヨンタク、イ・チャンウォン、チャン・ユンジョン、チュ・ヒョンミなどが知られています。歴史的な歌手ではイ・ナニョンやイ・ミジャも重要な存在です。

Q7:2026年のミスタートロット4はいつ放送されますか?
A7:TV CHOSUNの公式番組ページでは、2026年12月10日の初回放送が案内されています。10月30日時点では放送前の予定です。

まとめ:トロットは韓国の歴史と現代文化をつなぐ音楽

トロットとは、1930年代半ばに韓国で定着した大衆歌謡であり、日本の演歌や西洋音楽の影響を受けながら独自の発展を遂げてきた音楽ジャンルです。

五音音階、2拍子を中心としたリズム、感情豊かな歌唱という特徴を持ち、イ・ナニョンの「木浦の涙」に代表される初期の名曲から、イム・ヨンウンら現代の人気歌手まで、時代ごとに新しい魅力を生み出してきました。

日本の演歌と似ている部分があるのは確かですが、トロットには韓国の歴史、社会、言語、音楽文化が深く反映されています。「韓国版演歌」という説明だけでは、その豊かな背景を十分に理解できません。

2026年にはイム・ヨンウンのスタジアム公演、ミストロット4の成功、ミスタートロット4の放送予定、生成AIによる新しい音楽表現など、伝統と革新が同時に進んでいます。

トロットをより深く楽しむためには、まず「木浦の涙」のような歴史的な名曲を聴き、次にイム・ヨンウンら現代の歌手の作品と聴き比べてみるのがおすすめです。時代による歌唱やリズムの変化を知ることで、トロットが単なる懐メロではなく、現在も進化し続ける韓国の大衆音楽であることが見えてきます。

主な参照資料: 韓国学中央研究院「韓国民族文化大百科事典」、韓国の学術誌KCI掲載論文、Koreana、BBC Korean、聯合ニュース、TV CHOSUN公式番組情報、ニューシスの2026年報道。

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