『よふかしのうた』とCreepy Nutsの関係を理解するには、まず漫画のタイトルが決まった経緯を知る必要があります。
Creepy Nutsは、ラッパーのR-指定とDJ・トラックメイカーのDJ松永によるヒップホップユニットです。2017年にメジャーデビューし、独自のラップ表現と緻密なトラックメイクで音楽シーンに存在感を示してきました。
一方、漫画『よふかしのうた』は、漫画家コトヤマが小学館「週刊少年サンデー」で発表した作品です。不眠に悩む中学2年生の夜守コウが、夜の街で吸血鬼の七草ナズナと出会うことから物語が動き始めます。
両者を結び付けたのは、Creepy Nutsの楽曲を愛聴していたコトヤマの存在でした。作品のタイトルに楽曲名を採用したことが、後のアニメ主題歌担当へとつながっていきます。
つまり、Creepy Nutsはアニメ化の際に初めて関係を持ったアーティストではありません。原作の誕生段階から作品の世界観に影響を与えていた存在なのです。
【タイトルの由来】コトヤマがCreepy Nutsの楽曲を選んだ理由

漫画『よふかしのうた』のタイトルは、Creepy Nutsが発表した同名楽曲に由来します。
コトヤマは、漫画のタイトルを考えていた際にCreepy Nutsの曲を聴き、楽曲名を目にしたことで作品名を決めました。
コミスペ!のインタビューでは、コトヤマが楽曲を聴いてタイトルを見た瞬間、「あ、もうこのタイトルしかないな」と直感した経緯を語っています。その後、使用許可を求めたところ、Creepy Nuts側から快諾を得たといいます。
単に好きなアーティストの名前を借りたわけではありません。タイトルが持つ夜の雰囲気と、漫画で描こうとしていた世界が自然に重なったことが大きなポイントです。
原曲「よふかしのうた」は何のために作られた?
ここで知っておきたいのが、漫画のタイトルになった楽曲自体の誕生背景です。
Creepy Nutsの「よふかしのうた」は、もともとオードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアーのテーマソングとして制作された楽曲でした。
2018年12月12日に配信リリースされたこの曲は、ラジオ番組を通じてオンエアされ、リスナーから音源化を望む声が集まったことで配信が実現しています。
R-指定はリスアニ!のインタビューで、この楽曲について、夜を自分が初めてを捧げた相手のように見立てて書いた部分があると説明しています。
夜を単なる時間帯ではなく、愛着を持つ対象として描く発想は、夜の世界に魅了されていくコウとナズナの物語にも通じます。漫画と楽曲が相性よく結び付いた理由の一つでしょう。
コトヤマとCreepy Nutsの最初の接点
両者の交流は、漫画のアニメ化が決まる前からありました。
R-指定によると、コトヤマの友人がCreepy Nutsの大阪でのイベントに来場していた際、電話を通じてコトヤマ本人と話す機会があったそうです。
その後、漫画のタイトルに楽曲名が採用されたことを知り、R-指定とDJ松永も驚いたといいます。
特にDJ松永は、まさか自分たちの楽曲が漫画のタイトルになり、さらにアニメの主題歌まで担当することになるとは思わなかったと振り返っています。
作品とアーティストの双方にとって、予想外の形で縁が深まっていったことが分かります。
【歴代主題歌一覧】Season1とSeason2のOP・EDを徹底比較
アニメ『よふかしのうた』では、Season1とSeason2の両方でCreepy Nutsがオープニングとエンディングを担当しています。
2026年11月時点で押さえておきたい主題歌は、合計4曲です。それぞれの担当とリリース時期を整理します。
出典:TVアニメ公式サイト、フジテレビ、ソニーミュージックの楽曲情報。
この4曲は、すべてCreepy Nutsの楽曲です。ただし、漫画のタイトルになった「よふかしのうた」と、アニメのために制作された新曲は区別する必要があります。
Season1では、既存曲「よふかしのうた」をエンディングに採用し、オープニングには新曲「堕天」を書き下ろしました。Season2では「Mirage」と「眠れ」という新しい2曲がOP・EDを担っています。
Season1には挿入歌「ロスタイム」もある
主題歌4曲を調べる際に、もう一つ知っておきたいのが「ロスタイム」です。
こちらもCreepy Nutsの楽曲で、Season1の挿入歌として使用されました。オープニングやエンディングとは異なり、物語の途中に流れる楽曲です。
そのため、アニメで使用されたCreepy Nutsの楽曲をすべて把握したい場合は、「堕天」「よふかしのうた」「ロスタイム」「Mirage」「眠れ」の5曲を覚えておくと整理しやすくなります。
【Season1の楽曲解説】「堕天」と「よふかしのうた」は何が違う?
Season1のOP・EDは、同じアーティストが担当しているものの、楽曲が生まれた経緯も表現している世界も異なります。
OP「堕天」:恋に落ちる感覚を音楽で表現
「堕天」は、2022年6月9日にアニメ公式サイトでオープニングテーマとして発表された書き下ろし曲です。
楽曲制作では、DJ松永がサウンド面、R-指定が歌詞の面で作品との接点を作っています。
DJ松永はリスアニ!のインタビューで、ジャズやファンク、ラテンの要素を感じさせるサウンドを意識したと説明。イントロを置かず、いきなりラップから始まる構成にもこだわりました。
さらに興味深いのは、サビに向けて盛り上げるだけでなく、間奏で一度暗い世界へ落とし、再びサビに戻すという展開です。
R-指定は歌詞について、夜守コウたちの恋愛をイメージし、誰かを好きになることで無垢な状態から複雑な感情へと変化していく様子を描いたと語っています。
タイトルの「堕天」も、恋に落ちるという表現と、純粋な世界から一歩踏み出す感覚を重ねたものとして受け取れます。
ED「よふかしのうた」:漫画の原点になった楽曲
エンディングテーマの「よふかしのうた」は、漫画のタイトルの元になった原曲です。
「堕天」がアニメのために新しく制作された楽曲なのに対し、こちらは2018年に生まれた既存曲をアニメに採用したものです。
この違いは作品を楽しむうえで大切です。エンディングで原曲が流れることで、漫画のタイトルに込められたCreepy Nutsへの敬意と、作品誕生の背景が音楽としても表現されています。
また、R-指定が語る「夜を愛着のある存在として見立てる」という発想は、ナズナに惹かれて夜の世界に足を踏み入れるコウの姿とも重なります。
アニメを見終えた後に原曲を聴くと、単なるエンディングテーマではなく、作品そのものの出発点だったことが感じられるはずです。
【Season2の楽曲解説】「Mirage」と「眠れ」が描く大人の夜
2025年7月4日に放送が始まったSeason2でも、Creepy NutsがOP・EDの両方を担当しました。
Season2では、コウとナズナの関係が進展する一方、吸血鬼の過去や探偵・鶯餡子に関する秘密が物語の中心に加わります。楽曲もSeason1とは異なる夜の側面を表現しています。
OP「Mirage」:幻想と現実の境界を描く
「Mirage」は、Season2のオープニングテーマとして2025年7月4日に配信リリースされました。
楽曲の制作に際してR-指定が語った内容は、Season1との違いを読み解く重要な手掛かりになります。
Season1で描かれたのは夜のカラッとした優しさとそこに救われた者達の避難所としての側面。
対してSeason2で描かれるのは、夜の湿っぽさと未練や後悔を投棄する場所としての側面。
これはソニーミュージックが発表した楽曲情報に掲載されたコメントです。
Season1の夜が、日常から離れて自由になれる場所だったとすれば、Season2の夜は過去の記憶や後悔と向き合う場所として描かれています。
実際、Season2ではナズナの人間時代の記憶や、鶯餡子の過去など、登場人物たちが抱えてきた秘密が重要なテーマになります。
「Mirage」というタイトルが持つ蜃気楼や幻影のイメージも、真実と記憶、現実と幻想が交錯するSeason2の物語と相性のよいものです。
ED「眠れ」:R-指定の父親としての視点も反映
Season2のエンディングテーマ「眠れ」は、2025年7月5日にデジタルリリースされた新曲です。
この曲には、R-指定が父親になったことで感じた夜の「9時」という時間が関係しています。
フジテレビの公式発表によると、Season1のエンディングテーマ「よふかしのうた」に登場する夜9時というフレーズを、新たな視点から描いた楽曲です。
原曲では、子どもの頃に夜更かしをしたいと思う気持ちや、大人の目をかいくぐって夜を楽しむ感覚が表現されています。
一方、R-指定は自分が親になったことで、かつて大人たちが子どもを早く寝かせようとした理由を理解できるようになったとコメントしています。
つまり「眠れ」は、単純に眠ることを勧める歌ではありません。子ども時代に感じた夜への憧れと、大人になってから見えてくる夜の危うさを重ねた楽曲なのです。
Season2最終話ではSeason1の「よふかしのうた」が再登場
Season2には、もう一つ見逃せない演出があります。
2025年9月19日の公式発表では、最終話のエンディング映像にSeason1の「よふかしのうた」が使用されたことが告知されました。
Season2の通常のエンディングテーマは「眠れ」です。そのため、最終話の映像で原曲が再登場したことは、通常の楽曲担当と区別して理解する必要があります。
漫画のタイトルの由来となった曲が、シリーズの節目に再び流れる構成は、作品とCreepy Nutsの関係を象徴する演出です。物語の始まりを思い出させながら、Season1から続く夜の物語を締めくくっています。
【起用経緯と2026年最新情報】なぜCreepy Nutsが全主題歌を担当するのか
ここまでの経緯を見ると、Creepy Nutsの起用は一般的なアニメタイアップとは少し異なることが分かります。
起用までの流れ
両者の関係を時系列で整理すると、次のようになります。
- 2018年12月: Creepy Nutsが「よふかしのうた」を配信リリース。オードリーのオールナイトニッポン10周年ツアーのテーマソングとして制作。
- 2019年: コトヤマによる漫画『よふかしのうた』のコミックス第1巻が発売。タイトルの元になった楽曲とのコラボPVも公開。
- 2021年11月: アニメ化とCreepy Nutsの主題歌担当が公式発表される。
- 2022年6月: Season1のOP「堕天」とED「よふかしのうた」が正式発表。
- 2022年7月: Season1のテレビ放送開始。
- 2025年6月: Season2のOP「Mirage」が発表される。
- 2025年7月: Season2放送開始。ED「眠れ」も担当することが発表される。
- 2025年9月: Season2最終話のED映像でSeason1の「よふかしのうた」が再登場。
- 2026年11月: Season1・Season2の主題歌4曲がシリーズの代表的な楽曲として位置付けられている。
この流れから分かるのは、漫画のタイトルに楽曲名が採用されたことが、単発のコラボレーションで終わらなかったという点です。原作の成立、アニメ化、続編制作という各段階でCreepy Nutsとの関係が継続しています。
R-指定とDJ松永、それぞれの役割
Creepy Nutsは、R-指定とDJ松永という異なる専門性を持つ2人によって構成されています。
- R-指定: ラッパー。作詞やリリックを担当し、作品の登場人物やテーマを言葉に落とし込む。
- DJ松永: DJ・トラックメイカー。ビートやサウンド構成を担当し、楽曲の音楽的な世界観を作る。
R-指定はMCバトルの全国大会で史上初の3連覇を達成した実績を持ち、DJ松永は2019年のDMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPSで優勝しています。
「堕天」ではR-指定が恋愛の心理を歌詞に落とし込み、DJ松永がジャズやファンクなどの要素を取り入れたサウンドを構築しました。こうした分業が、アニメの世界観とヒップホップの個性を両立させています。
2026年現在、Creepy Nutsの最新楽曲情報は?
2026年11月2日時点で、ソニーミュージックの公式ディスコグラフィーには、Season2の楽曲「Mirage」と「眠れ」がそれぞれ掲載されています。
また、2025年9月10日には、両曲を収録した期間生産限定盤『Mirage/眠れ』が発売されました。CDに加えて、Season2のノンクレジットOP・ED映像を収録したBlu-rayが付属しています。
一方、2026年にはCreepy Nutsの新曲「Fright」がTBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』の主題歌として4月10日に配信され、8月19日には「Running Wheel」もリリースされています。
こうした新作の活動が続くなかでも、『よふかしのうた』関連の主題歌として確認できる最新の新曲は、2025年7月に発表された「Mirage」と「眠れ」です。2026年の新たな『よふかしのうた』主題歌発表とは区別しておきましょう。
【プロの結論】4曲を聴くなら、この順番がおすすめ
作品と楽曲の関係を深く理解したいなら、リリース順よりも物語と制作背景を意識して聴く方法がおすすめです。
1. 「よふかしのうた」: 漫画のタイトルが生まれた原点を知る。
2. 「堕天」: Season1のコウとナズナの恋愛や、夜への没入感を楽しむ。
3. 「Mirage」: Season2で描かれる過去や後悔など、夜の異なる側面を感じる。
4. 「眠れ」: 夜を楽しんできた少年時代と、大人になってからの視点の変化を味わう。
特に、原曲「よふかしのうた」とSeason2の「眠れ」を続けて聴くと、同じ夜というテーマでも、子ども時代と大人になってからでは見え方が違うことに気付けます。
作品のストーリーを重視する人にはアニメの放送順、音楽制作の背景を知りたい人には原曲からの順番が向いています。
【よふかしのうたとCreepy Nuts】よくある質問(FAQ)
Q1:『よふかしのうた』の主題歌は全部Creepy Nutsが歌っている?
A1:はい。Season1は「堕天」と「よふかしのうた」、Season2は「Mirage」と「眠れ」がOP・EDに採用されています。Season1には挿入歌「ロスタイム」もあります。
Q2:漫画『よふかしのうた』のタイトルの由来は?
A2:Creepy Nutsの同名楽曲が由来です。作者のコトヤマが楽曲を聴き、タイトルを見て作品名に採用したいと考え、使用許可を得ています。
Q3:「堕天」と「よふかしのうた」はどちらがOP?
A3:Season1のOPが「堕天」、EDが「よふかしのうた」です。反対に覚えている人もいるため注意してください。
Q4:Season2の主題歌は何?
A4:OPが「Mirage」、EDが「眠れ」です。どちらもCreepy Nutsの楽曲で、2025年7月に配信が始まりました。
Q5:「眠れ」はなぜSeason2のEDに選ばれた?
A5:R-指定が父親になったことで感じた夜の9時という時間や、子どもの頃の夜への憧れを新しい視点から表現した楽曲です。Season1の「よふかしのうた」とも歌詞のテーマがつながっています。
Q6:Season2の最終話でも「眠れ」が流れた?
A6:最終話のエンディング映像では、Season1の「よふかしのうた」が使用されました。Season2の通常EDテーマは「眠れ」です。
Q7:2026年に『よふかしのうた』の新しい主題歌は発表された?
A7:2026年11月2日時点で、公式ディスコグラフィー上、Season2以降の新しい『よふかしのうた』主題歌は確認できません。現在のシリーズの主題歌は、Season1・Season2の計4曲です。
まとめ:『よふかしのうた』とCreepy Nutsの関係は作品の原点にある
アニメ『よふかしのうた』とCreepy Nutsの関係は、単なる主題歌のタイアップではありません。漫画のタイトルがCreepy Nutsの楽曲に由来し、その縁がアニメ化後の主題歌制作へとつながった、作品と音楽が相互に影響し合う珍しい事例です。
Season1の「堕天」は恋に落ちる感覚を描き、「よふかしのうた」は作品の原点を伝えています。Season2の「Mirage」は夜の持つ後悔や未練を表現し、「眠れ」は大人になったR-指定の視点を反映した楽曲です。
2026年現在、4曲を比較することで、単にOP・EDの違いだけでなく、作品が描く夜の意味の変化まで読み取れます。
まずは原曲「よふかしのうた」を聴き、その後にSeason1、Season2の順番で主題歌を追ってみてください。コトヤマが楽曲から受け取ったインスピレーションと、Creepy Nutsが作品に返した音楽的な答えが、より鮮明に感じられるはずです。
主な情報源:TVアニメ『よふかしのうた』公式サイト、フジテレビ、ソニーミュージック、小学館コミック、リスアニ!、ぴあ音楽。