2026年の天理大学柔道部を語るうえで欠かせないのが、春から秋にかけて行われた3つの全国大会だ。それぞれ競技形式が異なるため、結果を分けて見る必要がある。
6月:全日本学生柔道優勝大会は男女とも敗退
2026年6月27日・28日に日本武道館で開催された全日本学生柔道優勝大会は、体重無差別の団体戦だ。
天理柔道会の公式大会記録によると、結果は次のとおり。
- 男子:3回戦敗退
- 対戦相手:国士舘大学
- スコア:1対3
- 女子:2回戦敗退
- 対戦相手:帝京科学大学
- スコア:0対5
男子は国士舘大学との対戦で勝ち星を挙げたものの、準々決勝進出には届かなかった。女子も帝京科学大学に5敗を喫し、2回戦で大会を終えている。
個人戦で優勝を狙える選手を抱えていても、無差別の団体戦では各ポジションの選手が勝ち点を積み重ねなければならない。個々の実力をチーム全体の勝利につなげる難しさが表れた結果だった。
9月:全日本学生柔道体重別選手権大会で3階級制覇
9月26日・27日に開催された第45回全日本学生柔道体重別選手権大会では、天理大学勢が躍動した。
男子60kg級・福田大和
3年生の福田大和が優勝。決勝では同じ天理大学の4年生、足立悠晟と対戦した。
ゴールデンスコア方式の延長戦にもつれ込んだ試合は、福田の小外刈による有効で決着。天理大学が同階級の決勝を大学内対決で制した。
加えて、横井蓮と橋間心暖も3位に入賞。60kg級は天理大学が4選手で表彰台を独占する結果となった。
福田は高校時代に全国高校総合体育大会を連覇し、世界ジュニア柔道選手権大会でも優勝した実績を持つ。2026年夏にはグランドスラム・ローザンヌでも優勝しており、学生大会だけにとどまらない競技力を示している。
男子90kg級・山村洸斗
4年生の山村洸斗は90kg級で優勝し、同大会を連覇した。
決勝では小内巻込で有効を奪い、その後は相手から指導を2つ受ける展開になりながらも、リードを守り切った。
山村は新チームの主将にも選ばれている。個人タイトルだけでなく、チームをまとめる立場としても注目される存在だ。
男子100kg級・平野匠啓
2年生の平野匠啓は100kg級で優勝。
決勝の相手は同じ天理大学の吉岡稟太朗だった。互いの柔道を知り尽くした同級生同士の対戦となったが、平野が得意技の内股で一本を決めた。
この階級では吉岡が準優勝、古賀崇也も3位に入賞している。
また、100kg超級では瀬川賢豪が3位に入賞した。
10月:全日本学生柔道体重別団体優勝大会では男子3位
2026年10月24日・25日に開催された全日本学生柔道体重別団体優勝大会でも、男子チームが好成績を残した。
天理大学は準決勝まで進出し、国士舘大学に敗れたものの、男子3位を獲得した。
国士舘大学が優勝し、明治大学が準優勝。天理大学は東海大学と並んで3位となった。
ここで重要なのは、6月の全日本学生柔道優勝大会と10月の体重別団体優勝大会は別の競技形式だという点だ。
6月は体重無差別の7人制、10月は階級ごとに選手を配置する7人制である。したがって、6月の3回戦敗退と10月の3位は矛盾しない。むしろ、天理大学の団体戦を評価するうえで、両方の結果を把握する必要がある。
【2026年部員一覧】天理大学柔道部の男子・女子選手と指導者

天理柔道会の公式部員紹介には、2026年の男子・女子の選手と指導スタッフが掲載されている。
男子は各学年に全国大会で実績を持つ選手が在籍し、女子も独立した選手構成で活動している。
男子部員と主なスタッフ
男子チームの指導体制は以下のとおり。
| 役職 | 氏名 |
|---|---|
| 部長 | 岡田正彦 |
| 監督 | 山本悠司 |
| 師範 | 正木嘉美 |
| 師範 | 徳田眞三 |
| 師範 | 土佐三郎 |
| 師範 | 穴井隆将 |
| メディカルコーチ | 神谷宣広 |
| 男子コーチ | 小川晟矢 |
2026年の男子部員一覧は次のとおりだ。
4年生
内海圭佑、顕徳海利、平真大、足立悠晟、髙森和、山村洸斗、鈴木大空、東拍杜、鳥居大将、秋田ハル、𠮷田燦太、星尾和希、井手凱王、後藤弘樹、小幡礼希、齋藤義侍、大賀陸生、森剛地、市川丸、石屋侑大、チェ・フンフィ、渡部拓樹、岡林一心。
3年生
福田大和、武下滉飛、池田健真、横井蓮、中林従道、中村豪成、作本迅、大坪咲介、古賀崇也、田中元喜、毛利一尽、永石武蔵、川中大輝、作本雅久、中條大樹、伊藤壮健、鎌田壮悟、前川直敬、森雄大、木嶋壮太、初世英太。
2年生
赤木隆晟、東慶治、伊藤大造、古賀敦皓、篠原信貴、瀬川賢豪、田中優海、西留琉一郎、西村輝龍、野口翔太、平野匠啓、廣田圭吾、藤本一煕、藤本瑞己、邊方寿希、松本竜、吉岡稟太朗、湧本大斗。
1年生
朝田心、安藤湊太郎、大橋弘誠、小山内太陽、木本飛雄馬、小崎空、後藤篤人、齊藤豪騎、崎野秦、杉山笑資、スクバット・エンフォチラル、鈴木叶太、平諒大、田中雄晴、千々和晃輝、常山凛、騰川雄喜、西原聡亮、根耒大翔、橋間心暖、樋廻一真、松見一翔、八巻叶人、山本優心、吉野完太、吉野隼人。
女子部員一覧と監督
女子部員も学年別に掲載されている。
| 学年 | 女子部員 |
|---|---|
| 4年 | 辻岡美希、河合瑞葉、佐藤杏 |
| 3年 | 江島未結、山下楓夏、松井優希 |
| 2年 | 泉谷美心、テリオエリース・春乃、山下梨花 |
| 1年 | 初世姫愛、下林真央、立花心優 |
女子チームの監督は養父直人。男子チームの山本悠司監督とは異なる指導体制となっている。
この違いは、部員情報を調べる際に押さえておきたいポイントだ。男子の監督名だけを見て、女子も同じ監督が担当していると判断するのは正確ではない。
2026年の注目選手とチーム内の関係
大会結果と部員名簿を照らし合わせると、各選手の学年やチーム内での立場が見えてくる。
| 選手 | 階級・立場 | 2026年の主な実績 | チーム内の関係 |
|---|---|---|---|
| 福田大和 | 60kg級・3年 | 全日本学生体重別優勝 | 足立と決勝で対戦 |
| 山村洸斗 | 90kg級・4年 | 連覇達成 | 男子主将 |
| 平野匠啓 | 100kg級・2年 | 全日本学生体重別優勝 | 吉岡との決勝を制す |
| 足立悠晟 | 60kg級・4年 | 準優勝 | 福田の決勝相手 |
| 横井蓮 | 60kg級・3年 | 3位 | 福田と同階級 |
| 橋間心暖 | 60kg級・1年 | 3位 | 1年生で表彰台 |
| 吉岡稟太朗 | 100kg級・2年 | 準優勝 | 平野と同級生 |
| 古賀崇也 | 100kg級・3年 | 3位 | 100kg級の表彰台入り |
| 瀬川賢豪 | 100kg超級・2年 | 3位 | 重量級の主力 |
この一覧から読み取れるのは、上級生だけに依存しない選手層の厚さだ。
特に60kg級では1年生から4年生までが結果を残しており、100kg級でも2年生と3年生が表彰台に立った。山村のような上級生がチームを牽引する一方、下級生にも全国タイトルを狙える選手がいる構成となっている。
【歴代成績】天理柔道会と天理大学柔道部が築いた伝統
天理大学柔道部の強さを理解するには、現在の選手だけでなく、天理柔道会が積み重ねてきた歴史も知っておきたい。
天理柔道会の公式歴史資料によると、天理の柔道部の起源は1925年の天理外国語専門学校での柔道部設立にさかのぼる。
その後、1939年には順正館道場が創設された。大学の枠を超え、地域の柔道文化や指導者育成にも関わってきた組織である。
全日本学生柔道優勝大会での主な歴史
天理柔道会史には、学生団体戦での優勝記録が年代別に残されている。
| 年代 | 主な出来事 | 歴史的な意味 |
|---|---|---|
| 1925年 | 天理外国語専門学校に柔道部設立 | 天理柔道の組織的な始まり |
| 1939年 | 順正館道場創設 | 稽古・地域活動の基盤形成 |
| 1953年 | 松本安市が師範に就任 | 指導体制の強化 |
| 1956年 | 全日本学生柔道優勝大会で初優勝 | 大学柔道の全国制覇 |
| 1966年 | 同大会で7年ぶり4回目の優勝 | 強豪校としての地位を確立 |
| 1973・1974年 | 2年連続優勝 | 全国タイトルを継続 |
| 1980年 | 7年ぶり8回目の優勝 | 再び全国の頂点へ |
| 1986年 | 5年ぶり9回目の優勝 | 強豪としての伝統を継承 |
| 1993年 | 5年ぶり11回目の優勝 | 学生団体戦での歴史的節目 |
| 2022年 | 全日本学生柔道体重別団体優勝大会で初優勝 | 体重別団体での全国制覇 |
オリンピック・世界選手権につながる選手育成
天理柔道会史には、学生大会だけでなく、オリンピックや世界選手権で活躍した選手も掲載されている。
代表的な人物として、次の選手が挙げられる。
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天理柔道会の歴史は、大学の大会成績だけで評価できるものではない。指導者の育成、学生競技、国際舞台への選手輩出が連続していることに特徴がある。
2022年から2026年までの団体戦の変化
近年の成績を見ると、天理大学男子は団体戦でも優勝争いに加わってきた。
2022年には全日本学生柔道体重別団体優勝大会で初優勝。1993年の全日本学生柔道優勝大会以来、29年ぶりの全国大会優勝として報じられた。
さらに2024年の全日本学生柔道優勝大会では準優勝。2025年も同大会で準優勝を果たしている。
しかし、2026年は同大会で3回戦敗退となった。
この推移を見ると、2026年の結果は単純な戦力低下というより、優勝を狙うチームが新体制のもとで次の段階に進むための課題を示したものと考えられる。
【山本悠司監督と練習内容】天理大学柔道部の指導体制を分析
2026年の天理大学柔道部男子を率いるのが、山本悠司監督だ。
山本悠司監督の経歴と指導者としての特徴
天理大学の公式教員紹介によると、山本監督は体育学部体育学科の講師を務めている。
主な経歴は次のとおり。
- 2018年4月~2025年3月:旭化成株式会社
- 2023年4月~2025年3月:柔道部コーチ
- 2025年4月~2026年3月:柔道部副監督
- 2025年4月:天理大学体育学部講師に就任
- 2026年4月1日:柔道部監督に就任
講道館柔道四段を取得し、全日本柔道連盟公認の審判員Bライセンスと指導員Bライセンスも保有している。
大学教員としての専門分野は柔道。研究課題には柔道衣や柔道と怪我が挙げられている。
競技経験だけでなく、指導者としての資格やスポーツ科学に関わる研究分野を持つ点が特徴だ。
2026年3月の天理柔道会OB・OG会の案内でも、監督交代を含む新体制で稽古に取り組んでいることが説明されている。
前年度に団体戦2冠を目指しながら、2大会とも決勝で敗れた経験を受け継ぎ、「あと少し」の克服を目指すという方向性が示された。
天理大学柔道部の練習内容と歴史的な指導方針
天理柔道の伝統を語る際に欠かせない人物が、1953年に師範に就任した松本安市だ。
天理柔道会史では、松本の指導方針について、次の2つが紹介されている。
1. 走ることによる脚力・基礎体力の強化
2. 一本を取るための攻撃型柔道の徹底
当時の関西柔道界では、画期的な鍛錬方法として注目された。1956年に大学が全国制覇を果たす原動力になったと、天理柔道会の歴史資料は説明している。
現在の具体的な練習時間や曜日別メニューは、一般向けの公式部員紹介には掲載されていない。
そのため、現在も1950年代と同一のメニューを実施していると考えるのは適切ではない。
ただし、天理柔道の歴史からは、基礎体力、攻撃力、一本を狙う姿勢を重視してきた伝統を読み取れる。
また、2026年の大会結果では、福田の小外刈、山村の小内巻込、平野の内股など、各選手が得意技を生かして結果を残した。歴史的な指導理念と現在の選手の技術を結び付けて見ると、チームの特徴がより理解しやすい。
【入部方法・強さと評判】天理大学柔道部を目指す人が知るべきこと
天理大学柔道部への入部を考える高校生にとって、まず理解しておきたいのは、大学への入学と柔道部への加入は別の手続きだという点だ。
天理大学柔道部に入るには?
天理大学には、体育学部を対象とした総合型選抜「トップスポーツ選抜」がある。
大学公式の選抜主旨では、次のような受験生を対象としている。
- 高校などでスポーツ活動に優れた能力・実績を持つこと
- 大学入学後もスポーツ活動を継続する強い意志があること
- 体育学部の教育目標やアドミッション・ポリシーを理解していること
- 大学で専門知識を修得する意欲があること
柔道部への入部を希望する場合、この選抜方式が検討対象の一つになる。ただし、選抜への出願資格と柔道部への加入条件は同じではない。競技別の募集条件や必要な実績については、大学と柔道部への事前確認が必要だ。
入部を検討する際の確認事項
実際に進学を考えるなら、次の点を確認しておきたい。
- 柔道の競技実績と現在の競技レベル
- 希望する学部・学科と大学での学習内容
- 稽古の頻度と遠征・大会参加の予定
- 入部時の選考や練習参加の条件
- 寮生活や生活費などの環境
- 競技生活と学業を両立できるか
特に全国大会を目指す競技者にとっては、大学の知名度だけで進学先を選ぶのではなく、指導者の方針や練習環境を確認することが重要になる。
天理大学柔道部の強さと評判をどう見るべきか
天理大学柔道部の強さは、単に歴史が長いという理由だけでは説明できない。
2026年の結果から、次の3つの特徴が浮かび上がる。
1.軽量級から重量級まで全国トップクラスの選手がいる
60kg級、90kg級、100kg級で優勝者を輩出したことは大きい。
特定の階級だけに強さが集中しているのではなく、異なる体格の選手がそれぞれ全国タイトルを獲得している。
2.同じ階級に複数の有力選手がいる
60kg級の表彰台独占や100kg級の天理大学勢同士の決勝は、選手層の厚さを示す。
一人のスター選手に頼らず、部内で競争できる環境があることは、大学柔道における大きな強みだ。
3.団体戦では競技形式ごとに課題が残る
6月の無差別団体戦では男子3回戦、女子2回戦で敗退した。一方、10月の男子体重別団体戦では3位に入賞した。
つまり、個人戦の強さと団体戦の結果を同じ尺度で判断することはできない。
特に無差別団体戦では、階級ごとの個人能力に加えて、チーム編成、対戦順、試合の流れなども勝敗に関わる。
天理大学柔道部は、2026年の個人戦で全国屈指の結果を残し、男子体重別団体戦でも表彰台に立った。一方で、無差別団体戦の優勝奪還や女子団体の競争力向上は、引き続き注目したいテーマだ。
【よくある質問】天理大学柔道部に関するFAQ
Q1:2026年の天理大学柔道部の監督は誰ですか?
A1:男子柔道部の監督は山本悠司です。2026年4月1日に監督へ就任しました。女子チームの監督は養父直人です。
Q2:2026年の全日本学生柔道体重別選手権大会で優勝した選手は誰ですか?
A2:男子60kg級の福田大和、90kg級の山村洸斗、100kg級の平野匠啓です。天理大学は3階級で優勝し、合計9個のメダルを獲得しました。
Q3:天理大学柔道部の2026年団体戦の成績は?
A3:6月の全日本学生柔道優勝大会では男子3回戦敗退、女子2回戦敗退でした。10月の全日本学生柔道体重別団体優勝大会では男子が3位に入賞しています。
Q4:天理大学柔道部には女子部員もいますか?
A4:います。公式部員紹介には4学年の女子部員が掲載されており、女子チームには男子とは別の監督が配置されています。
Q5:天理大学柔道部への入部方法は?
A5:まず天理大学への入学が必要です。体育学部にはトップスポーツ選抜という総合型選抜があります。柔道部独自の加入条件や選考については、大学・柔道部への確認が必要です。
Q6:天理大学柔道部はなぜ強いのですか?
A6:1925年に始まる長い柔道の歴史、全国大会で優勝を重ねた実績、選手層の厚さが大きな特徴です。2026年も男子個人戦で3階級を制覇し、伝統に裏付けられた競技力を示しました。
まとめ:天理大学柔道部の2026年は個人戦の強さと団体戦の再構築が焦点
2026年の天理大学柔道部は、個人戦で大きな成果を残した。
福田大和、山村洸斗、平野匠啓による3階級制覇は、軽量級から重量級まで競争力を持つチームであることを証明した。加えて、9個のメダル獲得と10月の男子体重別団体3位も、選手層の厚さを裏付ける。
一方、6月の全日本学生柔道優勝大会では男子・女子ともに早い段階で敗退しており、団体戦の強化は今後の課題だ。
歴史を振り返れば、天理大学柔道部は1956年の初優勝から1993年の11回目の優勝まで、学生柔道界を代表する実績を築いてきた。2022年の体重別団体優勝、2024年・2025年の全日本学生柔道優勝大会準優勝も、その伝統が現在につながっていることを示している。
2026年の天理大学柔道部を評価するなら、個人戦の結果だけでなく、選手層、指導体制、団体戦での対応力まで見ることが大切だ。
山本悠司監督の新体制のもと、山村洸斗ら上級生がチームを牽引し、福田大和や平野匠啓ら下級生が実績を積み重ねる。この世代交代と競争が、今後の天理大学柔道部の大きな見どころとなる。
2027年以降、個人タイトルを団体優勝につなげられるか。伝統校・天理大学柔道部の次の挑戦に注目したい。