白い筋を食べるメリットとして、ヘスペリジンと並んで注目されるのが食物繊維です。
食物繊維は消化酵素で分解されにくく、小腸を通過して大腸まで届く食品成分です。便のかさを増やしたり、腸内細菌に利用されたりする働きがあります。
薄皮つきと果肉だけでは食物繊維の量が違う
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には、温州みかんについて、薄皮つきのじょうのうと、薄皮を除いた砂じょうが別々に収載されています。
この2つを比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 薄皮つき(じょうのう) | 果肉だけ(砂じょう) |
|---|---|---|
| 食物繊維総量 | 1.0g | 0.4g |
| 比較重量 | 100g | 100g |
| 薄皮 | 含む | 含まない |
| 白い筋 | 通常含む | 基本的に除く |
| 特徴 | 食物繊維を多く摂れる | 果汁や果肉の食感を楽しめる |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年。可食部100g当たり。
この比較から分かるのは、薄皮を含めて食べるほうが、果肉だけを食べる場合より食物繊維を多く摂取できるということです。
ただし、ここで注意したいのは、1.0gという数値が白い筋だけの含有量ではないことです。じょうのう全体、つまり薄皮や付着する組織を含めた食品の成分値です。
白い筋だけを取り出した場合の食物繊維量を、この数値から計算することはできません。
食物繊維による便秘改善の仕組み
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、食物繊維の主な働きとして、次の点を紹介しています。
- 便の体積を増やす材料になる
- 大腸内の腸内細菌に利用される
- 腸内環境を整える
- 排便量や排便回数の維持に役立つ
食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。
不溶性食物繊維は便のかさを増やす働きがあり、水溶性食物繊維は腸内細菌の栄養源として利用されるなど、それぞれ異なる特徴があります。
みかんの薄皮や白い筋を食べることは、こうした食物繊維を食事に取り入れる方法の一つです。
みかんを食べれば便秘が治る?
ここは誤解しやすいポイントです。
みかんには食物繊維が含まれていますが、白い筋を食べるだけで便秘が解消するわけではありません。
便通には、食物繊維の摂取量だけでなく、水分摂取、運動量、食事全体のバランス、生活リズムなども関係します。
厚生労働省が紹介する「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食物繊維の目標量は男性が1日20g以上、女性が1日18g以上です。
2024年の国民健康・栄養調査では、成人の平均摂取量は1日18.1gでした。目標量に届いていない人も多く、食事全体で食物繊維を増やすことが課題になっています。
みかんは手軽に食べられる果物ですが、食物繊維の供給源をみかんだけに限定する必要はありません。
大麦、豆類、きのこ、野菜、海藻なども組み合わせることで、よりバランスよく摂取できます。
【5】みかんの白い筋の上手な取り方と栄養を逃さない食べ方

白い筋を食べることに栄養面のメリットがあると分かっても、食感や苦みが気になる人はいるでしょう。
無理にすべてを食べる必要はありませんが、できるだけ薄皮や白い筋を残したい場合は、むき方を工夫できます。
白い筋を残しやすいみかんのむき方
農林水産省の紹介するむき方では、ヘタ側から皮をむく方法が取り上げられています。
実践するときの要点は次のとおりです。
1. みかんのヘタがある側を上にする。
2. ヘタの周辺から外皮を少しずつむく。
3. 果肉に付着した白い筋は、無理に引っ張らず残す。
4. 房を分け、薄皮ごと食べる。
ヘタ側からむく方法は、白い筋を取りやすい方法としても紹介されています。つまり、食感を優先して筋を取りたい場合にも使えるむき方です。
栄養を意識するなら薄皮ごと食べる
おすすめは、みかんを房に分けたら、そのまま薄皮ごと口に運ぶ食べ方です。
この方法なら、果肉だけでなく、薄皮や白い筋に含まれる食物繊維なども一緒に摂取できます。
特別な調理も必要ありません。
また、食べる量を増やすことだけを目的にする必要もありません。みかんは糖質も含む果物なので、間食として適量を楽しみ、食事全体のバランスを考えることが大切です。
白い筋がどうしても苦手な場合は?
白い筋を無理に食べる必要はありません。
以下のような食べ方でも、みかんを楽しめます。
- 白い筋を少しだけ取り除いて食べる
- 薄皮の食感が気になる場合は、果肉を取り出す
- ヨーグルトに房ごと入れて食べる
- 果肉と薄皮を細かく刻み、デザートに加える
ただし、ジュースにすると、搾り方や製品によって果肉や繊維質が取り除かれることがあります。
食物繊維を意識するなら、ジュースだけに頼らず、果実そのものを食べる方法がおすすめです。
【6】みかんの白い筋と栄養に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋は食べても大丈夫ですか?
A1:はい。通常の健康なみかんについている白い筋は維管束という植物の組織で、食べても問題ありません。食物繊維やヘスペリジンなどを含むため、特に苦手でなければそのまま食べるのがおすすめです。
Q2:みかんの白い筋は取る必要がありますか?
A2:栄養面では取り除く必要はありません。白い筋には食物繊維やヘスペリジンが含まれています。ただし、食感や苦みが気になる場合は取り除いても構いません。
Q3:みかんの白い筋に含まれるヘスペリジンとは何ですか?
A3:ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。ビタミンPと呼ばれることもありますが、現在の学術的な分類ではビタミンではありません。血管機能や抗酸化作用などとの関係が研究されています。
Q4:みかんの白い筋を食べると便秘が改善しますか?
A4:白い筋や薄皮に含まれる食物繊維は、便通を整える食生活に役立ちます。ただし、白い筋だけで便秘が治るわけではありません。水分やほかの食物繊維を含む食品も組み合わせましょう。
Q5:白い筋とアルベドは同じものですか?
A5:厳密には異なります。白い筋は房の表面に広がる維管束で、アルベドは外皮の内側にある白い中果皮です。両者は果実内部でつながっていますが、植物の構造としては区別されます。
Q6:みかんの薄皮にも栄養はありますか?
A6:あります。薄皮には食物繊維が含まれ、果肉だけを食べる場合よりも食物繊維を多く摂取できます。ペクチンなどの水溶性食物繊維も、果物に含まれる成分として知られています。
Q7:白い筋を簡単に取る方法はありますか?
A7:ヘタ側から皮をむく方法が農林水産省から紹介されています。白い筋を取りたい場合は、房の根元から少しずつ取り除くとよいでしょう。ただし、栄養面では残して食べることにもメリットがあります。
まとめ:みかんの白い筋は捨てずに食べるのがおすすめ!【プロの結論】
みかんの白い筋は、果実の成長を支える維管束です。水分や養分を運ぶ役割があり、食物繊維やヘスペリジンなどの成分も含んでいます。
栄養面から整理すると、覚えておきたい要点は次の5つです。
- 白い筋の正体は維管束:植物の水分や養分を運ぶ重要な組織。
- 基本的に取り除く必要はない:通常は食べても問題のない部分。
- ヘスペリジンを含む:ビタミンPと呼ばれることもある柑橘由来のフラボノイド。
- 薄皮にも栄養がある:ペクチンなどの食物繊維を含み、果肉だけより多くの食物繊維を摂れる。
- 健康効果は過信しない:便通や血管機能との関係は研究されているが、白い筋だけで病気を予防・改善できるわけではない。
【プロの結論】みかんの白い筋は、見た目や食感だけで判断して捨ててしまうには惜しい部分です。特に食物繊維を少しでも多く摂りたい人や、果物を丸ごと楽しみたい人には、薄皮と一緒に食べる方法が適しています。
一方、ヘスペリジンの血管への作用などについては、研究段階の知見と実際の食生活で得られる効果を混同しないことが大切です。
2026年の栄養情報を踏まえても、最も合理的な食べ方はシンプルです。白い筋を無理に取らず、薄皮ごとみかんを楽しむこと。毎日の食事の中で、さまざまな果物や野菜と組み合わせながら、自然に栄養を取り入れていきましょう。