プールから上がって数歩歩いただけなのに、足の裏が熱くて痛い。日陰に移動してもヒリヒリしたり、帰宅後に足底が赤くなったり、水ぶくれができたりすることがあります。その原因の一つが、夏の日差しで高温になったプールサイドのコンクリートやタイルによる接触熱傷です。
2025年7月には滋賀県守山市の小学校で、プールサイドに座っていた児童62人が軽いやけどを負う事故も報じられました。2026年も夏場の屋外施設では、熱中症だけでなく、床面から受ける熱による皮膚トラブルへの注意が欠かせません。この記事では、プールサイドが熱くなる仕組み、足裏のやけどの症状と深さの違い、正しい冷却方法、水ぶくれができた場合の受診目安、サンダルを活用した予防策を医療機関や公的機関の資料に基づいて解説します。
【2026年最新】プールサイドでやけどが起きる原因とは?実際の事故から検証

直射日光を受けたコンクリートやタイルが高温になる
プールサイドのやけどで代表的なのは、熱くなった床面に皮膚が直接触れることで発生する接触熱傷です。
屋外のプールでは、コンクリートやタイルが長時間にわたって太陽光を受けます。床面に吸収された日射エネルギーは熱に変わり、表面温度を上昇させます。
特に日陰のない場所では、周囲の気温以上に床面が熱くなることがあります。
日本の舗装面の熱環境を解説する資料でも、夏季の日中にはコンクリートブロック舗装の表面温度が高くなり、舗装面が周辺の大気を暖める現象が紹介されています。
また、TOTOの製品FAQでは、夏の炎天下に置いた同社のタイル製品について、表面最高温度が約68℃に達した測定結果が示されています。これは特定製品の自社測定値であり、すべてのプールタイルが同じ温度になるという意味ではありません。しかし、タイルが素足で歩けないほど高温になる可能性を示す具体例です。
なぜコンクリートやタイルは熱くなるのか
床面の温度は、次のような条件によって変化します。
- 日射量: 直射日光を長時間受けるほど、床面に熱が蓄積する。
- 素材: コンクリート、タイル、人工芝など、材質によって熱の吸収や蓄積の仕方が異なる。
- 色: 一般に濃い色の素材は日射を吸収しやすく、表面温度が高くなりやすい。
- 風通し: 風が弱い場所では、床面や周辺に熱がこもりやすい。
- 水分: 散水直後は気化によって冷却されるが、乾燥すると再び温度が上昇する場合がある。
ここで注意したいのが、床面から受ける熱には複数の仕組みがあることです。
床面が周囲に放つ赤外線による熱の移動は輻射によるものですが、素足の裏が床に直接触れてやけどする主な仕組みは、床面から皮膚への熱伝導です。
つまり、足裏の熱傷を考える場合、気温だけでなく、実際に触れる床面の温度と接触時間が重要になります。
2025年には児童62人がプールサイドでやけど
プールサイドの高温化は、実際の事故にもつながっています。
2025年7月9日、滋賀県守山市の市立小学校で、屋外プールの授業に参加した小学6年生の児童62人が、プールサイドに座っていた際に尻に軽いやけどを負いました。
共同通信の報道によると、当時のプールサイドの測定気温は35.9℃。座っていた時間は長い児童で約5分だったとされています。
学校では座る場所に水をまいたり、マットを敷いたりしていましたが、児童全員が軽いやけどと診断されました。
この事故は足裏の熱傷ではありません。しかし、プールサイドの床面に短時間接触するだけでも、熱による皮膚障害が発生する可能性を示しています。
また、長崎県佐世保市も、プール利用者から足裏が熱くなり、帰宅後に足底がやけどのように赤くなっていたという相談を受けています。
市は散水回数を増やすとともに、2024年度からプールサイドで内履き用サンダルを使用できるように変更しました。
こうした事例からも、プールサイドの安全対策は熱中症だけでは不十分であり、床面と皮膚の接触を防ぐ視点が必要だと分かります。
【症状の見分け方】プールサイドで足裏をやけどした場合のI度・II度の違い
足裏のやけどは、受傷直後には軽い赤みや熱感だけに見える場合があります。しかし、時間が経過してから水ぶくれが現れることもあるため、初めの見た目だけで判断するのは危険です。
やけどは医学的に熱傷と呼ばれ、皮膚がどの深さまで損傷したかによって分類されます。
I度熱傷:赤みとヒリヒリした痛みが中心
I度熱傷は、皮膚の最も外側にある表皮だけが損傷した状態です。
主な症状は次のとおりです。
- 足裏が赤くなる。
- ヒリヒリ、ジンジンとした痛みがある。
- 触れると熱っぽく感じる。
- 基本的に水ぶくれはできない。
日本皮膚科学会によると、I度熱傷は通常、数日で治り、傷跡を残さないことが一般的です。
ただし、赤みがあるだけだからといって、必ず軽症とは限りません。時間の経過とともに症状が変化する場合もあります。
II度熱傷:水ぶくれができる状態
II度熱傷は、表皮より深い真皮まで損傷した状態です。
特徴的な症状は水疱、つまり水ぶくれです。
- 赤みが強くなる。
- 患部が腫れる。
- 透明な液体を含む水ぶくれができる。
- 強い痛みやヒリヒリ感がある。
- 歩くと足裏に痛みが走る。
II度熱傷は、さらに浅達性と深達性に分けられます。
浅達性II度熱傷では、適切な治療を受けると通常1〜2週間程度で治ることが多く、傷跡が残らないケースもあります。
一方、深達性II度熱傷では、皮膚の深い部分まで損傷しているため、治癒に1か月以上かかる場合があります。瘢痕や皮膚の引きつれが残ることもあります。
III度熱傷:痛みが少なくても重症の可能性
III度熱傷は皮膚全層が損傷した状態です。
皮膚が白色、褐色、黒色などに変色することがあり、神経まで損傷すると痛みを感じにくくなる場合があります。
そのため、痛みが弱いから軽症という判断はできません。
皮膚が白っぽくなっている、黒く変色している、感覚が鈍いといった症状があれば、速やかに医療機関で診察を受けてください。
足裏のやけどの深さを比較
| 熱傷の分類 | 主な症状 | 注意点 |
|---|---|---|
| I度熱傷 | 赤み、ヒリヒリ感 | 数日で治ることが多い |
| 浅達性II度熱傷 | 赤み、水ぶくれ、強い痛み | 医師による治療が必要 |
| 深達性II度熱傷 | 紫色・白色の変化、水ぶくれ、痛みが比較的弱い場合もある | 傷跡が残る可能性がある |
| III度熱傷 | 白色・褐色・黒色への変色、感覚低下 | 重症熱傷として速やかな診察が必要 |
出典:公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A やけど」
なお、熱傷の深さは見た目だけで正確に判断できません。水ぶくれの有無や痛みの程度だけで自己診断せず、症状に応じて医療機関を受診することが大切です。
【応急処置】プールサイドで足裏をやけどしたら?正しい流水冷却方法
プールサイドで足裏をやけどしたとき、最初に行うべきことは、熱源から離れて患部を速やかに冷やすことです。
日本皮膚科学会や日本創傷外科学会は、熱傷を受けた直後の冷却が、やけどの進行を抑え、痛みを軽減するために重要だと説明しています。
1. まず日陰や涼しい場所へ移動する
やけどをした場所から離れ、熱い床面に再び触れないようにします。
足裏が痛む場合は無理に歩かず、椅子などに座って患部を確認してください。
子どもがやけどをした場合は、大人が抱きかかえるなどして、安全な場所へ移動させましょう。
2. 清潔な水で患部を冷やす
日本皮膚科学会の応急処置に関する説明では、やけどをした部分を水道水などで15〜30分程度冷却する方法が紹介されています。
足や脚のやけどについては、状態に応じて約1時間の冷却が症状を軽減する場合もあるとされています。
一方、こども家庭庁は子どもの応急手当として、10〜20分以上を目安に、容器にためた水で冷やす方法を案内しています。水道水やシャワーを直接患部に当てないようにすることも注意点として挙げています。
水ぶくれがある場合は、強い水流を直接当てず、できるだけ刺激を避けて冷却してください。
乳幼児や高齢者の場合、長時間の冷却によって体温が下がる可能性があるため、全身を冷やしすぎないように注意が必要です。
3. 水ぶくれは絶対に潰さない
水ぶくれは、損傷した皮膚を保護する役割があります。
自分で針を刺したり、皮を剥がしたりすると、細菌感染や傷の悪化につながる可能性があります。
水ぶくれができた場合は、次の点を守ってください。
- 水ぶくれを潰さない。
- 患部を清潔に保つ。
- 清潔なガーゼや布で優しく保護する。
- 強く押したり、擦ったりしない。
- できるだけ早く医療機関を受診する。
日本赤十字社も、水疱ができた場合には潰さず、清潔な布などで覆いながら冷却して医療機関へ搬送する方法を案内しています。
4. 市販の薬や冷却シートを自己判断で使用しない
やけどをした直後に、自己判断で軟膏や油を塗ることは避けましょう。
日本皮膚科学会は、医師の診察前に自己判断で軟膏や油を使用すると、その後の治療に差し支える場合があると説明しています。
また、こども家庭庁は市販の冷却シートをやけどの手当てに使用しないよう注意喚起しています。
まず冷却と保護を優先し、必要に応じて医師の診察を受けてください。
【病院に行くべき?】プールサイドのやけどの受診目安と危険な症状
足裏は体重を支え、歩行するために欠かせない部位です。小さな傷でも、歩くたびに患部へ負荷がかかるため、日常生活に影響することがあります。
特に水ぶくれや皮膚の変色がある場合は、早めの診察が必要です。
水ぶくれができたら皮膚科などを受診
こども家庭庁の応急手当資料では、水ぶくれがある場合や、やけどの範囲が手のひら以上の場合は、潰さずに医療機関を受診するよう案内しています。
足裏に水ぶくれができている場合も、自己処置だけで済ませず、皮膚科や形成外科などで診察を受けてください。
次の症状がある場合は早急な受診を検討
- 水ぶくれが複数できている。
- 赤みや腫れが広がっている。
- 痛みが強く、歩行が難しい。
- 皮膚が白色や黒色に変色している。
- 患部の感覚が鈍くなっている。
- 傷口から膿が出たり、発熱したりしている。
- 冷却しても痛みが強く続く。
広範囲のやけどや重症が疑われる状態では、救急外来を受診し、必要に応じて119番で救急車を要請してください。
子どもや糖尿病のある人は特に注意
子どもは皮膚が薄く、やけどによる影響を受けやすいことがあります。
また、糖尿病による末梢神経障害がある人は、足裏の熱さや痛みに気づきにくい場合があります。
本人が痛みを訴えていなくても、足底の赤みや水ぶくれ、皮膚の変色がないか確認することが大切です。
糖尿病や末梢神経障害のある人は、軽く見える足の傷でも重症化する可能性があるため、早めに医療機関へ相談してください。
【予防策】プールサイドの足裏やけどを防ぐサンダル・床面対策
プールサイドのやけどは、素足で高温の床面に触れないようにすることで、リスクを大きく減らせます。
サンダルを履いて素足で歩かない
最も実践しやすい対策は、プールサイドで使用できるサンダルを準備することです。
選ぶ際には次のポイントを確認しましょう。
- 底面に十分な厚みがある。
- 濡れた床でも滑りにくい素材や構造になっている。
- 足に合ったサイズで脱げにくい。
- 水に濡れても使用しやすい。
- 施設の利用ルールに適合している。
特に子どもには、脱げやすいサンダルよりも、足をしっかり固定できるタイプが適しています。
ただし、施設によっては衛生面や安全面からサンダルの使用方法が指定されている場合があります。利用前に確認してください。
日陰のある場所を利用する
直射日光が当たる場所では、床面の温度が上昇しやすくなります。
プールへの移動や休憩の際は、できるだけ日陰を通るようにしましょう。
日よけ設備や屋根のある休憩スペースを利用することも有効です。
散水だけに頼らない
水をまくことは床面を一時的に冷やす方法の一つです。
しかし、直射日光が強い場所では、散水した水が蒸発して床面が再び熱くなる場合があります。
佐世保市の対応事例でも、散水回数の増加に加えて、プールサイドでの内履き用サンダルの使用を認める対策が実施されました。
施設管理者にとっては、散水だけでなく、日よけや遮熱性のある床材、履物の利用などを組み合わせることが重要です。
子どもには大人が先回りして安全を確認
子どもはプールに入ることに夢中になり、足裏の熱さを我慢して歩いてしまう場合があります。
保護者や指導者は、次の点を事前に確認しましょう。
1. プールサイドの床面が高温になっていないか確認する。
2. サンダルを使用できる場所では着用させる。
3. 素足で移動する距離をできるだけ短くする。
4. 日陰の休憩場所を確保する。
5. 足裏に赤みや痛みが出ていないか確認する。
水遊びの前後だけでなく、プールに入る順番を待つ時間や、着替えのために移動する時間にも注意が必要です。
【意外な落とし穴】プールサイドのやけどと日焼けは同じではない
プールで皮膚が赤くなった場合、すべてが床面によるやけどとは限りません。
もう一つ注意したいのが、紫外線による日焼けです。
紫外線による日焼けも医学的には熱傷に含まれる
環境省の「紫外線環境保健マニュアル」では、紫外線による急性の皮膚障害として、サンバーンとサンタンが説明されています。
サンバーンは、紫外線によって皮膚に炎症が起こり、赤みやヒリヒリした痛みが生じる状態です。
特徴は次のとおりです。
- 日光を浴びて数時間後から赤みが出る。
- 8〜24時間程度で症状がピークになる。
- 2〜3日程度で症状が落ち着くことが多い。
- 紫外線を浴びすぎると水ぶくれができる場合もある。
一方、床面による接触熱傷は、熱くなった物体に皮膚が触れることで起こります。
両者は発生する仕組みが異なるため、症状が出た場所や時間、直前の行動を振り返ることが判断材料になります。
接触熱傷と紫外線による日焼けの違い
| 比較項目 | 床面による接触熱傷 | 紫外線による日焼け |
|---|---|---|
| 主な原因 | 高温のコンクリートやタイル | 太陽からの紫外線 |
| 発生する部位 | 足裏など床面に触れた部分 | 足の甲、肩、顔など露出部分 |
| 発症のタイミング | 接触直後から痛みが出ることがある | 数時間後から赤みが現れる |
| 主な症状 | 赤み、痛み、水ぶくれ | 赤み、ヒリヒリ感、皮膚の炎症 |
| 予防策 | サンダル、日陰、遮熱床材 | 日焼け止め、衣類、日よけ |
特に足裏が痛い場合は、紫外線による日焼けだけでなく、床面との接触による熱傷を考える必要があります。
反対に、足の甲や肩が赤くなっている場合は、紫外線によるサンバーンの可能性もあります。
プールでは床面の熱対策と紫外線対策の両方を行うことが大切です。
【よくある質問】プールサイドのやけどに関するFAQ
Q1:プールサイドで素足で歩いただけでも足裏をやけどしますか?
A1:はい。直射日光を受けて高温になったコンクリートやタイルに素足で触れると、接触熱傷を起こす可能性があります。床面の温度や接触時間によって症状は変わるため、短時間でも熱いと感じたらすぐに移動してください。
Q2:プールサイドで足裏をやけどしたら何分冷やせばよいですか?
A2:日本皮膚科学会は、一般的なやけどの冷却時間として15〜30分程度を紹介しています。足や脚の場合は状態に応じてさらに長く冷却することがあります。子どもはこども家庭庁の案内に従い、容器にためた水で10〜20分以上を目安に優しく冷やしてください。低体温にも注意が必要です。
Q3:足裏に水ぶくれができたら潰してもよいですか?
A3:いいえ。水ぶくれは皮膚を保護する役割があるため、自分で潰してはいけません。清潔な布などで保護し、医療機関を受診してください。
Q4:プールサイドでサンダルを履けばやけどを防げますか?
A4:サンダルは高温の床面と足裏が直接触れることを防ぐため、有効な予防策です。ただし、サンダルの底が薄い場合や、履いていても足がはみ出す場合は十分な保護になりません。滑りにくく、足に合ったものを選び、施設の使用ルールも確認しましょう。
Q5:プールサイドのコンクリートとタイルはどちらが熱くなりますか?
A5:一概にどちらが熱くなるとは判断できません。素材の種類、色、厚み、日射量、風通しなどによって表面温度が変わります。特定のタイル製品では、TOTOの自社測定で約68℃という結果もあります。素材名だけで安全性を判断せず、実際の床面の状態を確認することが大切です。
Q6:やけどの赤みだけなら病院に行かなくても大丈夫ですか?
A6:赤みと軽い痛みだけであればI度熱傷の可能性がありますが、初期の見た目だけでは深さを確定できません。水ぶくれ、強い痛み、皮膚の変色、腫れの拡大、歩行困難などがあれば受診してください。糖尿病や感覚障害がある人も早めの相談が必要です。
まとめ:プールサイドのやけどは事前の対策と早期対応が重要
プールサイドで足裏をやけどする原因の一つは、夏の日差しを受けて高温になったコンクリートやタイルです。
床面は気温以上に熱くなることがあり、素足で歩いたり、長時間座ったりすることで接触熱傷が発生する可能性があります。
2025年には滋賀県守山市で児童62人がプールサイドで軽いやけどを負い、佐世保市でも足裏の熱傷を心配する利用者の声を受けて、散水やサンダル使用に関する対策が実施されました。
足裏に赤みや痛みが出た場合は、まず安全な場所に移動して速やかに冷却してください。水ぶくれができた場合は潰さず、医療機関で診察を受けることが大切です。
また、プールサイドではサンダルを履く、日陰を利用する、散水だけに頼らないといった対策を組み合わせることで、熱傷のリスクを減らせます。
【プロの結論】
プールサイドの安全対策で見落とされやすいのは、気温と床面温度を同じものとして考えてしまうことです。
気温がそれほど高くなくても、直射日光を受けた床面は高温になる可能性があります。熱中症対策として水分補給や休憩を徹底するだけでは、足裏の接触熱傷を防げません。
施設側は床面の温度管理、日よけ、遮熱性のある床材、履物の利用環境を整え、利用者側も素足での移動をできるだけ避ける必要があります。
特に子どもが利用するプールでは、大人が先に床面の安全を確認し、熱い場所を歩かせないことが重要です。
楽しい水遊びをけがで終わらせないためにも、2026年以降の夏場は、熱中症と接触熱傷の両方を想定した予防を心がけましょう。