日馬富士の現在の活動拠点は、母国モンゴルのウランバートルだ。現役引退後に教育事業へ軸足を移し、新モンゴル日馬富士学園の理事長として学校運営に携わっている。
2026年9月17日付のYBC山形放送の報道では、同学園には幼稚園から高校まで約2,000人の子どもたちが在籍していると紹介された。学校はウランバートル中心部から約7キロ離れたハンオール区にあり、日本式教育を取り入れた一貫校として運営されている。
注目したいのは、日馬富士が単に学校の名前を貸しているわけではないことだ。大学との連携協定を結ぶために自ら日本を訪れ、留学先となる大学の教育環境や学生寮まで視察している。
2026年4月のABS秋田放送の取材では、秋田を訪れた日馬富士が教育について次のように語っている。
教育という道は国関係なく、広い広い海みたいなものですので。どこの国ともつながる道。
これは現在の活動を象徴する言葉だ。相撲で培った礼儀や精神力を、今度は教育という形で次世代に伝えようとしている。
2026年の主な活動
| 時期 | 活動 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年1月 | 医療関係者との交流 | 横浜総合病院を親善訪問 |
| 2026年3月 | 秋田県立大学との協定 | 教育・研究交流の推進 |
| 2026年4月 | 秋田訪問 | 留学生の受け入れ環境を視察 |
| 2026年5月 | 学校備品の寄贈 | 安芸高田市から机・椅子400セット |
| 2026年9月 | 学園の教育活動 | 山形県の視察団を受け入れ |
こうした動きを見ると、2026年の日馬富士は、元横綱としての知名度を生かした講演活動だけでなく、教育機関の運営者として日本とモンゴルの交流を進めていることが分かる。
【学校経営】新モンゴル日馬富士学園とは?生徒数2000人超の教育方針

新モンゴル日馬富士学園は、日馬富士が母国の教育環境を充実させるために設立に関わった教育機関だ。
在モンゴル日本国大使館の公式記録によると、同校の開校式は2018年9月1日に行われた。元横綱日馬富士と新モンゴル学園のガルバドラッハ理事長が協力して設立した、日本式教育を掲げる学校である。
なぜ学校を設立したのか
日馬富士が教育事業に取り組む背景には、日本で過ごした経験がある。
16歳で来日して大相撲の世界に入り、長年にわたって日本の文化や礼儀、教育に触れてきた。引退後に母国へ恩返しをする方法を考えた結果、子どもたちの教育に力を注ぐことを決めたという。
2025年7月の日刊スポーツのインタビューでは、日本で暮らした経験について、モンゴルを母国、日本を「父国」と表現している。日本の教育制度や学校生活から学んだことを、モンゴルの子どもたちにも伝えたいという思いが学校設立につながった。
学園の教育内容と特色
同校の特徴は、日本語や日本文化だけでなく、道徳教育や集団生活を重視している点にある。
2026年9月のYBC山形放送の現地取材では、次のような学校の様子が紹介された。
- 日本式の教育方針を取り入れた授業
- 幼稚園から高校までの一貫教育
- 日本の歴史や文化への理解を深める教育
- あいさつや礼儀を重視した情操教育
- 卓球場や武道場、レスリング場などの運動施設
- 校内に設けられた相撲の土俵
- 中学校・高校まで用意された給食
特に給食は興味深い取り組みだ。モンゴルでは小学校の給食制度が導入されているが、同学園では中学校や高校でも給食を提供していると報道されている。
学習面だけでなく、食事や運動、礼儀を含めた学校生活全体を通じて子どもを育てようとしている。
生徒数はどれくらい?
学校の規模も大きくなっている。
| 時期 | 公表された在籍規模 | 情報源 |
|---|---|---|
| 2018年9月 | 開校時約750人 | 日刊スポーツ |
| 2020年 | 1,493人 | 陸奥新報 |
| 2022年 | 約1,600人 | 長岡工業高等専門学校 |
| 2025年 | 約1,600人 | 福山市立大学 |
| 2026年4月 | 2,000人超 | ABS秋田放送 |
| 2026年9月 | 約2,000人 | YBC山形放送 |
報道時期や幼稚園児を含む集計範囲によって数字には違いがあるが、近年の学校規模が拡大していることは明らかだ。
2021年には最初の卒業生を送り出しており、学校設立から教育の成果が形になり始めている。
【日本との教育連携】秋田県立大学との協定と机・椅子400セット寄贈の全貌
2026年の日馬富士の活動で特に注目されるのが、日本の教育機関や自治体との交流だ。
単に日本の教育方法をモンゴルへ持ち込むだけではなく、モンゴルの生徒が日本の大学で学べる環境を整えようとしている。
秋田県立大学との連携協力協定
2026年3月26日、新モンゴル日馬富士学園と秋田県立大学が連携協力協定を締結した。
調印式には、学園理事長の日馬富士公平氏が出席。秋田県立大学の福田裕穂学長とともに協定書に署名した。
秋田県立大学の公式発表によると、協定の主な内容は次の4点だ。
1. 学生・教職員の相互交流
2. 学園からの留学生受け入れの推進
3. 共同研究や教育プログラムの実施
4. 異文化理解を深めるための相互訪問
加えて、同大学の農業分野やシステム科学技術分野の教育資源を生かした交流も視野に入っている。
日馬富士は大学との連携について、学園の生徒たちが高度な知識や技術を学び、将来モンゴルと日本の架け橋になることへの期待を示している。
ここで重要なのは、協定が単なる友好交流にとどまらないことだ。留学生の受け入れや共同研究など、具体的な教育活動が盛り込まれている。
秋田大学との交流も実現
もう一つ区別しておきたいのが秋田大学との交流だ。
秋田大学の公式発表によると、2026年3月26日、日馬富士理事長が同大学も表敬訪問した。
モンゴルからの留学生を受け入れている教員や、同学園出身の留学生らとの懇談も実施されている。
つまり、秋田県立大学との連携協力協定と、秋田大学への表敬訪問は別々の取り組みである。
広島県安芸高田市から机・椅子400セットを寄贈
2026年5月7日には、広島県安芸高田市から新モンゴル日馬富士学園へ、学校で使用されていた机と椅子400セットが寄贈されることが報道された。
日馬富士は安芸高田市を訪れ、藤本悦志市長を表敬訪問。子どもたちの学習環境を整えるため、使用されなくなった学校備品をモンゴルへ届ける取り組みが進められた。
広島テレビの報道によると、当時は2026年夏までにモンゴルの学校へ届ける予定とされていた。
この取り組みは、単なる備品の寄贈以上の意味を持つ。
日本の学校で長年使われてきた机や椅子を、海外の子どもたちの教育環境に再活用するものだからだ。日本の自治体とモンゴルの学校が、教育を通じてつながる具体例でもある。
なお、5月の報道で確認できるのは寄贈決定と搬送予定までであり、400セットすべての搬入完了を示す情報とは区別する必要がある。
【横綱から引退へ】日馬富士の経歴と暴行問題の経緯を時系列で整理
日馬富士は、相撲界で輝かしい成績を残した一方、2017年の暴行問題によって現役生活を終えた人物でもある。
日本相撲協会の公式プロフィールによると、日馬富士は第70代横綱で、幕内優勝は9回。通算成績は827勝444敗85休という記録を残している。
日馬富士の主な相撲成績
- 生年月日:1984年4月14日
- 本名:ダワーニャム・ビャンバドルジ
- 初土俵:2001年1月場所
- 新入幕:2004年11月場所
- 大関昇進:2009年
- 横綱昇進:2012年11月
- 最高位:第70代横綱
- 幕内優勝:9回
- 引退:2017年11月場所
貴ノ岩への暴行問題は何があった?
2017年10月、鳥取市内で開かれた酒席で、日馬富士が同じモンゴル出身の力士・貴ノ岩に暴行した問題が発生した。
日本相撲協会や報道機関の当時の発表・報道によると、問題が表面化するまでの経緯は次のとおりだ。
| 日付 | 出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 2017年10月25日 | 暴行問題発生 | 鳥取市内の酒席で貴ノ岩に暴行 |
| 10月29日 | 被害届提出 | 貴ノ岩側が鳥取県警に届け出 |
| 11月14日 | 問題が公になる | 九州場所中に報道され、大きな問題に発展 |
| 11月29日 | 現役引退 | 日馬富士が引退届を提出 |
| 12月28日 | 傷害罪で略式起訴 | 鳥取区検が略式起訴 |
| 2018年1月4日 | 罰金の略式命令 | 鳥取簡裁が罰金50万円を命令 |
当初はビール瓶で殴ったという報道もあったが、日馬富士はビール瓶の使用を否定していた。一方、貴ノ岩を殴った事実そのものは認めていた。
2017年11月29日の引退会見では、横綱としての責任を感じて引退することを説明し、ファンや関係者に謝罪した。
横綱の責任を感じ、本日をもって引退させていただきます。
この言葉からも、本人が横綱という地位に伴う責任を強く意識していたことが分かる。
日馬富士の引退理由は暴行問題だけ?
引退の直接的な理由は、貴ノ岩への暴行問題だった。
体力的な衰えや成績不振を理由にした引退ではない。本人が暴行を認め、横綱として許されない行為をした責任を取る形で土俵を去った。
また、引退後の2018年1月には傷害罪で罰金50万円の略式命令を受けている。
この事件は、日馬富士の相撲人生における大きな転換点だった。
9回の幕内優勝という実績が消えるわけではない。しかし、横綱として求められる品格と責任をめぐり、厳しい批判を受けたことも事実である。
現在の教育活動を評価する際にも、この過去の問題を切り離して考えるのではなく、相撲界での実績と引退に至った経緯の両方を理解する必要がある。
【引退後の実業家活動】牧場経営と教育支援に取り組む理由
日馬富士の引退後の活動は、学校経営だけではない。
2025年7月の日刊スポーツの特集では、実業家としての活動が詳しく紹介された。教育事業に加え、モンゴルでの牧場経営にも取り組んでいる。
モンゴルで牛乳を生産する牧場を設立
牧場事業の背景には、子どもたちに質の良い牛乳を飲んでもらいたいという考えがある。
日馬富士は北海道の酪農を参考にするため、十勝しんむら牧場を訪問した。
nippon.comの2023年の取材記事によると、日馬富士は北海道内の約40軒の牧場を視察し、そのうち十勝しんむら牧場を特に気に入り、3度訪問したという。
牧場経営者の新村浩隆氏に指導を依頼し、モンゴルの牧場予定地の視察や現地スタッフの研修を進めた。加えて、フランスからモンベリアード種の乳牛を導入する計画も紹介されていた。
2025年7月の日刊スポーツは、寒冷地でも牛乳を生産できる牧場の設立に成功したと報道している。
ここには、学校経営との共通点がある。
学校では子どもたちの教育環境を整え、牧場では子どもたちの食生活を支える。どちらもモンゴルの将来を担う世代への投資という側面を持つ。
事業収益を学校運営や社会貢献へ
2026年1月19日付の横浜総合病院の公式発表では、日馬富士は相撲界引退後、実業家として幅広く活動しており、事業収益を学園の建築費や運営費、非営利活動法人への支援活動に充てていると紹介されている。
つまり、学校運営を寄付や外部支援だけに依存させるのではなく、事業活動から得られる収益も教育環境の整備に活用する考え方だ。
2025年の日刊スポーツのインタビューでは、日馬富士自身が事業家としての成功を問われ、「成功なんてしてないですよ。借金だらけですよ」と謙遜していた。
この発言から読み取れるのは、華やかな肩書だけでは見えない事業運営の難しさだ。
教育機関を維持するには、校舎や設備の整備、人材の確保、給食、教育プログラムなど、継続的な資金が必要になる。牧場経営も同様に、設備投資や飼育管理、流通などの課題を抱える。
日馬富士の実業家活動は、単に引退後の収入源を確保するためのものではなく、教育事業を長期的に支える仕組みづくりという意味を持っている。
【経歴と関係者まとめ】日馬富士をめぐる人物・組織のつながり
ここまでの情報を整理すると、日馬富士の現在を理解するうえで重要なのは、相撲界から教育界、そして日本とモンゴルの交流へと広がった人脈だ。
| 人物・組織 | 日馬富士との関係 | 主な役割・活動 |
|---|---|---|
| 日馬富士公平 | 本人 | 元第70代横綱・学園理事長 |
| 貴ノ岩 | 元力士 | 2017年の暴行問題の被害者 |
| ガルバドラッハ氏 | 教育事業の協力者 | 新モンゴル学園の理事長 |
| 新モンゴル日馬富士学園 | 教育事業の中心 | 幼稚園から高校までの一貫教育 |
| 秋田県立大学 | 教育連携先 | 留学生受け入れ・共同研究など |
| 秋田大学 | 教育交流先 | モンゴル人留学生との交流 |
| 安芸高田市 | 学校支援の協力自治体 | 机・椅子400セットの寄贈 |
| 十勝しんむら牧場 | 酪農事業の指導先 | モンゴルの牧場づくりへの助言 |
日馬富士の現在をめぐる誤解と事実
検索する読者が混同しやすいポイントも整理しておきたい。
誤解1:日馬富士は相撲界に復帰している?
現在の中心的な活動は相撲界ではなく、モンゴルの教育事業と実業家活動である。日本相撲協会の公式プロフィールでも引退力士として掲載されている。
誤解2:学校は小学校だけ?
新モンゴル日馬富士学園は幼稚園から高校までの一貫校として紹介されている。
誤解3:秋田県立大学との交流は訪問だけ?
2026年3月26日に正式な連携協力協定が締結されている。学生・教職員交流や留学生受け入れ、共同研究などが協定内容に含まれる。
誤解4:400セットは現金の寄付?
報道されたのは、安芸高田市の小学校で使用されていた机と椅子400セットの寄贈である。金銭の寄付とは異なる。
【プロの結論】日馬富士の現在をどう評価すべきか
日馬富士の引退後の歩みを評価する際には、次の3つの視点が重要になる。
- 教育の継続性: 生徒数の増加だけでなく、卒業生の進学や留学、卒業後の進路がどのように広がるか。
- 事業の持続性: 学校運営を支える収益や資金調達の仕組みが長期的に機能するか。
- 国際交流の実効性: 協定締結や寄贈で終わらず、実際の留学生受け入れや共同研究につながるか。
2026年9月の山形放送の取材では、山形の大学の説明会に参加した生徒が日本への留学に関心を示していた。これは、日馬富士が進める教育交流が、実際に生徒の進路選択に結びつき始めていることを示す動きだ。
横綱時代の知名度だけで評価するのではなく、教育の成果や事業の継続性を見ていくことが、現在の日馬富士を理解するうえでの判断基準になる。
【日馬富士の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日馬富士は2026年現在、何をしている?
A1:モンゴルの新モンゴル日馬富士学園で理事長を務めている。学校経営のほか、日本の大学との教育連携や牧場経営など、実業家としても活動している。
Q2:新モンゴル日馬富士学園の生徒数は何人?
A2:2026年4月のABS秋田放送では2,000人超、同年9月のYBC山形放送では約2,000人と報道されている。幼稚園から高校までの一貫校だ。
Q3:秋田県立大学とは何を連携している?
A3:2026年3月26日に連携協力協定を締結した。学生・教職員の交流、留学生受け入れ、共同研究、教育プログラムの実施などを進める計画だ。
Q4:日馬富士はなぜ引退した?
A4:2017年の貴ノ岩への暴行問題が直接の理由だ。本人は暴行を認め、横綱としての責任を感じて同年11月29日に引退した。2018年1月には傷害罪で罰金50万円の略式命令を受けている。
Q5:日馬富士の幕内優勝回数は?
A5:幕内優勝は通算9回。第70代横綱として2012年11月から2017年11月まで横綱を務めた。
Q6:日馬富士は学校経営以外に何をしている?
A6:モンゴルでの牧場経営などにも取り組んでいる。事業収益は学園の建築費・運営費や非営利活動法人への支援にも活用されていると、横浜総合病院が2026年1月に公表している。
まとめ:日馬富士の現在は教育と国際交流に力を注ぐ実業家
2026年現在の日馬富士は、元横綱という肩書を持ちながら、モンゴルの教育事業を中心に活動する実業家として歩んでいる。
新モンゴル日馬富士学園では約2,000人の子どもたちが学び、日本式教育や道徳教育を取り入れた学校運営が続いている。
2026年には秋田県立大学との連携協力協定、安芸高田市からの机・椅子400セットの寄贈、山形県の教育関係者による学園視察など、日本との交流も広がった。
一方、2017年の暴行問題による引退と2018年の罰金処分は、日馬富士の経歴を語るうえで欠かせない事実である。
日馬富士の現在を理解する鍵は、横綱時代の栄光だけでも、引退時の騒動だけでもなく、その後に何を築いてきたかにある。
今後注目したいのは、学園の卒業生が日本の大学で学ぶ機会がどこまで増えるのか、秋田県立大学との共同研究や教育交流がどのような成果を生むのかという点だ。
土俵を去ってから約9年。日馬富士は現在、相撲とは異なる教育という舞台で、母国の次世代を育てる活動を続けている。