2026年現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の致死率は、流行初期と比べて低下しています。しかし、感染症としての脅威がなくなったわけではありません。厚生労働省の人口動態統計によると、2025年の新型コロナによる死亡者数は21,497人で、死亡者の大部分を65歳以上の高齢者が占めています。感染者全体に対する死亡割合だけでは、現在のリスクを正確に把握できない状況です。
特に注意したいのが、感染者のうち何人が亡くなるかを示す「致命割合」と、人口10万人当たりの死亡者数を示す「死亡率」の違いです。5類感染症への移行によって感染者数の把握方法も変わっており、2026年の最新データを読む際には統計の性質を理解する必要があります。
【2026年最新】新型コロナの致死率は現在どの程度なのか?

最初に押さえておきたいのは、2026年現在の日本では、全国の感染者数を全数把握していた時期と同じ方法で致死率を算出できないという点です。
新型コロナの致死率は、ウイルスの変異、ワクチン接種、感染者の年齢構成、治療環境などによって変化します。そのため、2020年の流行初期に公表された数値を、そのまま2026年の感染リスクとして扱うことは適切ではありません。
2026年10月時点の感染状況
厚生労働省が2026年10月30日に公表した発生状況によると、2026年第43週(10月19日~10月25日)の全国の新型コロナ定点報告数は次のとおりです。
- 定点医療機関からの報告数:3,109人
- 定点当たり報告数:0.83人
- 前年同期の定点当たり報告数:2.25人
前年同期と比べると、定点当たりの報告数は低い水準になっています。
ただし、この0.83という数字は感染者の死亡割合ではありません。定点医療機関1施設当たりの週間報告数です。
また、2026年第44週(10月26日~11月1日)の発生状況は11月6日公表予定とされているため、10月30日公表分が11月3日時点で確認できる最新の全国データです。
2026年現在の致死率をどう考えるべきか
現在の新型コロナについて、全国民を対象とした単一の感染致死割合を示すことは困難です。
その理由は、感染者全員を検査で把握していないことにあります。
軽症者や無症状者の中には医療機関を受診しない人もいます。感染者の総数が分からなければ、感染した人のうち何%が亡くなったかを正確に計算できません。
したがって、2026年の状況を判断する際は、次の3つを分けて確認する必要があります。
1. 感染者に対する死亡割合(CFR・IFR)
2. 人口10万人当たりの死亡率
3. 年間の新型コロナ死亡者数
現在の致死率を一つの数字だけで判断するよりも、死亡者数と年齢別リスクを合わせて見ることが実態に近い評価につながります。
【致死率の基礎知識】CFR・IFR・人口当たり死亡率の違い
コロナ致死率を調べる際に混乱しやすいのが、CFR、IFR、死亡率という3つの指標です。
いずれも死亡に関係する数字ですが、計算に使う分母が異なります。
1.CFR(症例致命割合)とは?
CFRはCase Fatality Ratioの略で、日本語では症例致命割合、症例致命率などと呼ばれます。
診断が確定した感染者のうち、何人が死亡したかを示す指標です。
計算式は次のとおりです。
\[
CFR=\frac{確認された死亡者数}{確認された感染者数}\times100
\]
例えば、確定感染者が10万人で、そのうち100人が死亡した場合、CFRは0.1%です。
ただし、検査を受けた人だけが分母に含まれるため、検査体制や受診行動によって数字が変化します。
感染者の報告が減ったからといって、必ずしもウイルスそのものの致死性が高まったとは限りません。
2.IFR(感染致死割合)とは?
IFRはInfection Fatality Ratioの略です。
CFRとの最大の違いは、感染が確認された人だけでなく、軽症者や無症状者を含むすべての感染者を分母にすることです。
\[
IFR=\frac{感染による死亡者数}{すべての感染者数}\times100
\]
IFRは、感染した人が実際に死亡するリスクを評価するうえで重要な指標です。
一方、無症状感染者を含む全感染者数を正確に把握することは難しく、推計方法によって結果が変わります。
3.人口10万人当たりの死亡率とは?
人口当たり死亡率は、一定期間に人口10万人のうち何人が死亡したかを示します。
CFRやIFRとは異なり、感染者数ではなく総人口を分母にします。
例えば、2025年の日本の新型コロナ死亡率は、人口10万人当たり約18.0人でした。
この数字は感染した人の死亡確率ではありません。
感染者数が分からなくても、人口全体に対する死亡負担を把握できることが特徴です。
3つの指標の比較
| 指標 | 分母 | 分かること |
|---|---|---|
| CFR | 確定感染者数 | 診断された症例の死亡割合 |
| IFR | 全感染者数 | 無症状・軽症を含めた感染者の死亡割合 |
| 人口当たり死亡率 | 総人口 | 人口全体に対する死亡負担 |
厚生労働省の専門家会議資料でも、CFRは検査数や死亡者の定義によって過大評価・過小評価される可能性があると説明されています。
また、死亡者数が感染者数より遅れて増えることも、単純計算による致死率を誤らせる要因です。
【死亡者数の推移】2025年のコロナ死亡者数は21,497人
2026年の致死率を考えるうえで、特に重要なのが厚生労働省の人口動態統計です。
感染者数の把握方法が変わった現在でも、死亡診断書などを基にした人口動態統計によって、死因別の死亡者数を確認できます。
2020~2025年の新型コロナ死亡者数
厚生労働省が2026年9月2日の第67回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で示した資料では、人口動態統計に基づく年間死亡者数が公表されています。
| 年 | 新型コロナ死亡者数 | インフルエンザ死亡者数 |
|---|---|---|
| 2020年 | 3,466人 | 956人 |
| 2021年 | 16,766人 | 22人 |
| 2022年 | 47,638人 | 24人 |
| 2023年 | 38,086人 | 1,383人 |
| 2024年 | 35,865人 | 2,857人 |
| 2025年 | 21,497人 | 6,838人 |
出典:厚生労働省「人口動態統計に基づくインフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症における年間死亡者数の推移」。2020~2024年は確定値、2025年は公表資料における概数。
2022年が死亡者数のピーク
この推移を見ると、2022年の47,638人が最多です。
その後は2023年に38,086人、2024年に35,865人と減少し、2025年には21,497人になりました。
2025年は2024年と比べて約40%の減少です。
感染症としての重症化リスクの変化に加え、ワクチンによる免疫、既感染による免疫、治療環境の改善など、複数の要因が関係しています。
ただし、死亡者数が減少したことと、感染した人の死亡確率が同じ割合で減少したことは別の話です。
2025年の人口10万人当たり死亡率
2025年の人口動態統計月報年計(概数)では、新型コロナによる死亡率は人口10万人当たり18.0人でした。
2024年は29.8人です。
死亡者数と人口当たり死亡率の両方が低下していることから、2025年の死亡負担は前年より小さくなったことが分かります。
なお、2025年の人口動態統計については、その後確定数も公表されていますが、人口を分母とする死亡率は国勢調査人口を反映した再計算によって変わる可能性があります。
【年代別死亡率】65歳以上と80歳以上でリスクが大きく異なる
新型コロナの死亡リスクを考えるとき、全年齢を一括りにすることはできません。
特に重要なのが年齢です。
厚生労働省が2026年に公表したワクチン関連資料では、2025年の新型コロナ死亡者のうち、約98%が65歳以上、約81%が80歳以上だったと示されています。
つまり、2025年の死亡者約21,500人の大部分が高齢者でした。
年齢によって死亡リスクが変わる理由
高齢者で死亡リスクが高くなる背景には、いくつかの要因があります。
- 免疫機能の低下: 加齢によって感染症に対する免疫応答が弱くなる。
- 基礎疾患の存在: 心疾患、糖尿病、腎臓病、慢性呼吸器疾患などが重症化に影響する。
- 肺炎などの合併症: 感染をきっかけに呼吸機能や全身状態が悪化する可能性がある。
- 体力・身体機能の低下: 発熱や食欲不振、脱水などが身体への負担につながる。
特に80歳以上では、感染そのものだけでなく、もともとの健康状態や生活機能が予後に影響します。
オミクロン株流行期の高齢者の致死率
日本の高齢者を対象にした研究も参考になります。
2025年1月に日本感染症学会の英文誌に掲載された研究では、2022年1月から2023年3月までのオミクロン株流行期における70歳以上の感染者のCFRが分析されました。
対象は10都府県の保健所で把握された283,052症例です。
主な結果は次のとおりです。
- 70歳以上の全期間の年齢標準化CFR:1.59%
- 期間別の最低値:0.67%
- 期間別の最高値:2.58%
この研究では、2022年から2023年にかけての複数の流行波でも、70歳以上のCFRは3%未満でした。
ただし、これは70歳以上に限定した過去の研究結果です。2026年の全国民の致死率として使うことはできません。
若年層なら感染しても心配ない?
若年層は高齢者と比較すると死亡リスクが低い傾向にあります。
しかし、死亡リスクが低いことと、感染による健康被害がないことは同じではありません。
若年者でも、基礎疾患や免疫状態によって重症化する可能性があります。また、感染後に倦怠感や息切れなどの症状が長引く罹患後症状(後遺症)が生じる場合もあります。
年齢だけで安全性を判断しないことが大切です。
【5類移行後の変化】コロナとインフルエンザの致死率は単純比較できない
2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の5類感染症に移行しました。
この変更は、感染状況を把握する統計の仕組みにも大きな影響を与えています。
5類移行で感染者数の把握方法が変わった
5類移行前は、全国の医療機関から報告される感染者数を中心に、日々の感染状況が公表されていました。
移行後は、全国約5,000か所の定点医療機関から報告される患者数を基に、週単位で発生動向を把握する方式になりました。
さらに2023年10月以降は、新規入院者数などの公表方法も変更されています。
そのため、2022年の全数把握時代の感染者数と、2026年の定点報告数を同じ条件で比較することはできません。
現在の統計は感染動向を把握するためのものであり、全国の感染者総数を直接示すものではありません。
新型コロナとインフルエンザの死亡者数を比較
2025年の人口動態統計では、次の違いが確認できます。
- 新型コロナ:21,497人
- インフルエンザ:6,838人
新型コロナの死亡者数はインフルエンザの約3.1倍です。
この数字から、新型コロナによる死亡負担が依然として大きいことが分かります。
ただし、ここで注意したいのは、死亡者数の比率と致死率の比率は異なるという点です。
両者は感染者数、感染者の年齢構成、死亡の集計方法などが異なります。
例えば、インフルエンザでは推計患者数を分母にする方法が使われる一方、新型コロナでは過去に確定感染者数を分母とする方法が用いられてきました。
厚生労働省の専門家資料でも、異なる方法で算出された両感染症のCFRを直接比較することには問題があると指摘されています。
コロナはインフルエンザと同じ程度の病気になったのか
5類感染症への移行は、感染症法上の分類変更です。
ウイルスの病原性がその日に変わったわけではありません。
また、5類になったからといって、すべての人にとってインフルエンザと同じ程度のリスクになったわけでもありません。
特に高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては、現在も注意が必要な感染症です。
【重症化予防】新型コロナワクチンの死亡予防効果と現在の対策
致死率を下げるために重要なのが、感染予防だけでなく、感染後の重症化を防ぐことです。
その対策の一つが新型コロナワクチンです。
2026年時点で確認されているワクチンの効果
厚生労働省が2026年8月時点で公表した情報によると、2024/25シーズンに国内で使用されたJN.1系統対応ワクチンについて、60歳以上の入院予防効果は63.2%と報告されています。
これは未接種者と比較して、接種者の入院リスクが63.2%低かったという結果です。
また、2025/26シーズンの海外研究では、65歳以上を対象に次のような効果が報告されています。
| 研究対象・ワクチン | 予防効果 |
|---|---|
| 米国・モデルナ社LP.8.1対応ワクチン | 入院59.3% |
| 米国・ファイザー社LP.8.1対応ワクチン | 入院48.3% |
| デンマーク・LP.8.1対応ワクチン | COVID-19関連死亡70.1% |
海外の研究結果は、日本国内で同じ効果がそのまま得られることを保証するものではありません。
対象者や流行株、追跡期間、医療環境などが異なるためです。
それでも、ワクチンが重症化や死亡を防ぐうえで有効な手段であることを示す重要なデータです。
2026年秋冬の定期接種対象者
厚生労働省によると、2026年10月から自治体による新型コロナワクチンの定期接種が実施されています。
対象は次のとおりです。
- 65歳以上の人
- 60~64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある人
- 60~64歳で、HIVによる免疫機能に重い障害がある人
費用は原則有料で、自治体によって自己負担額などが異なります。
接種対象に該当する場合は、居住する市区町村の案内を確認してください。
日常生活で意識したい重症化予防
ワクチン以外にも、感染や重症化を防ぐために取り組めることがあります。
1.換気を意識する
室内では定期的に換気を行い、空気が滞留しない環境をつくります。
2.人が密集する場所ではマスクを活用する
特に高齢者や基礎疾患のある人と接する場合は、不織布マスクの使用を検討します。
3.体調不良時は無理をしない
発熱や咳などの症状がある場合は、周囲への感染を防ぐため、外出や人との接触を控えることが大切です。
4.症状が悪化したら早めに医療機関へ相談する
高齢者や基礎疾患のある人は、軽い症状でも体調の変化に注意してください。息苦しさ、意識状態の変化、水分が取れないなどの症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談し、緊急性が高い場合は救急要請を検討してください。
【プロの結論】コロナ致死率を判断するときに押さえたい5つのポイント
2026年の新型コロナを正しく理解するには、単純な致死率の数字よりも、統計の意味と個人の健康リスクを組み合わせて考えることが重要です。
特に押さえておきたい判断基準は次の5つです。
1. CFRとIFRを混同しない。 確定症例の死亡割合と、すべての感染者の死亡割合は異なる。
2. 死亡者数と人口当たり死亡率を見る。 感染者数が全数把握されない現在は、人口動態統計が重要な判断材料になる。
3. 年齢別リスクを重視する。 2025年の死亡者の約98%が65歳以上だった事実は、高齢者対策の必要性を示している。
4. インフルエンザとの比較は慎重に行う。 死亡者数だけで両者の感染時の死亡確率を判断することはできない。
5. 重症化予防を優先する。 ワクチン接種、換気、体調管理、早期受診などを組み合わせる。
感染症の流行状況だけでなく、誰が感染すると健康被害を受けやすいのかという視点が欠かせません。
【コロナ致死率】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、新型コロナの致死率は何%ですか?
2026年現在、全国の感染者数を全数把握する方式ではないため、全国一律の最新CFRを正確に示すことは困難です。厚生労働省の人口動態統計では、2025年の死亡者数は21,497人、人口10万人当たりの死亡率は約18.0人でした。
Q2:新型コロナの死亡者は何歳以上に多いですか?
2025年の死亡者の約98%が65歳以上で、約81%が80歳以上でした。特に80歳以上の高齢者は重症化・死亡リスクに注意する必要があります。
Q3:コロナとインフルエンザではどちらが致死率が高いですか?
感染者の死亡確率を単純比較することは困難です。2025年の死亡者数は新型コロナが21,497人、インフルエンザが6,838人でしたが、感染者数や死亡の集計方法が異なります。
Q4:5類感染症になってからコロナの死亡率は下がりましたか?
人口動態統計による死亡者数は、2022年の47,638人から2025年の21,497人へ減少しています。ただし、5類移行によって感染者の把握方法が変わったため、感染者に対する致死割合が同じ割合で低下したとは判断できません。
Q5:新型コロナワクチンには死亡予防効果がありますか?
国内外の研究で、入院や死亡などの重症化を防ぐ効果が報告されています。特に高齢者や基礎疾患のある人は、接種対象や健康状態を確認し、医師と相談しながら接種を検討することが大切です。
まとめ:2026年もコロナ致死率は年齢と統計の読み方が重要
2026年現在、新型コロナウイルス感染症の致死率は流行初期と比較して低下しています。しかし、2025年にも21,497人が死亡しており、依然として無視できない健康上の問題です。
特に注目したいのは、死亡者の約98%が65歳以上だったという厚生労働省のデータです。新型コロナのリスクは全年齢で均一ではなく、高齢者や基礎疾患のある人にとっては、引き続き重症化予防が重要です。
また、5類移行後は感染者数の把握方法が変わり、現在のCFRを過去の数値と単純比較することはできません。人口動態統計による死亡者数、人口10万人当たりの死亡率、定点報告による感染動向を分けて確認する必要があります。
今後も新しい変異株の流行やワクチンの効果、年齢別死亡者数の推移を注視することが大切です。
コロナは「致死率が下がったから安全」と判断するのではなく、自分自身や家族の年齢、基礎疾患、免疫状態に応じて予防策を選ぶことが、2026年における現実的な感染症対策です。
主な参考資料:厚生労働省「人口動態統計」「新型コロナウイルス感染症の発生状況」「新型コロナワクチンの有効性・安全性について」、第67回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料、日本感染症学会誌掲載研究(2025年)。