2026年11月現在、マンガワンの編集長として公開情報上で名前が挙がっているのは、星野博規氏です。小学館の漫画アプリ「マンガワン」は、2014年のサービス開始以来、石橋和章氏、村山広氏、和田裕樹氏、豆野文俊氏らが編集部の運営に関わり、2025年10月には星野氏が新たな編集長に就任したとされています。
編集長の変遷が改めて注目されている背景には、『堕天作戦』『常人仮面』『星霜の心理士』をめぐる原作者起用問題があります。小学館は2026年8月3日に106ページの第三者委員会調査報告書を公表。編集長への権限集中、管理部門によるチェックの不足、作家と編集者の力関係など、個別の作品判断だけでは説明できない組織的な問題が明らかになりました。
【2026年11月現在】マンガワン編集長は星野博規氏!就任時期と経歴

マンガワンの現在の編集長として公開情報に掲載されているのは、星野博規(ほしの・ひろのり)氏です。2025年10月16日から編集長を務める体制となったことが、歴代編集長の公開記録や第三者委員会報告書の組織変遷と照合できます。
ただし、小学館の第三者委員会報告書では、関係者のプライバシーなどに配慮して、現職の編集長もE氏として匿名化されています。したがって、星野氏という実名と報告書中のE氏を結び付ける情報は、公開されている人事記録との照合によるものです。小学館が2026年11月3日現在の編集長名を明記した公式人事発表を出しているわけではありません。
星野博規氏はどのような人物?
星野氏は、小学館のライトノベルレーベル「ガガガ文庫」の編集長を務めた経歴を持つ編集者です。
2023年のガガガ文庫と青春パンクバンド・ガガガSPのコラボレーション企画でも、ガガガ文庫編集長としてコメントを発表しています。また、ライトノベル分野では『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の立ち上げに関わった担当編集者として紹介されています。
漫画アプリの編集長という立場に移ったことで、ライトノベル編集で培った企画力や作家との関係構築の経験を、漫画編集の現場で生かす役割を担うことになりました。
マンガワン副編集長は誰?
副編集長については、小林翔氏の名前が公開プロフィールで確認できます。
小林氏は2008年に小学館へ入社。『CanCam』編集部、『週刊少年サンデー』編集部を経て、2012年のウェブ漫画サイト「裏サンデー」、2014年のマンガワンの立ち上げに携わりました。
担当作品には『ケンガンアシュラ』『ケンガンオメガ』『モブサイコ100』『灼熱カバディ』『青のオーケストラ』『ダンベル何キロ持てる?』などがあります。2026年刊行の著書『マンガの裏技』の出版社プロフィールでも、マンガワン副編集長として紹介されています。
なお、第三者委員会報告書では、当時の副編集長もK氏・L氏として匿名化されています。公開プロフィールに掲載された副編集長と、報告書中の匿名人物を同一人物と断定することはできません。
【歴代編集長一覧】石橋和章・村山広・和田裕樹・豆野文俊・星野博規の交代時期
マンガワンの編集長の変遷を理解するには、単純に人物名を並べるだけでなく、編集室の組織変更も押さえる必要があります。
とくに2017年から2019年にかけては、編集室長と編集長の肩書が必ずしも一致していません。2026年8月の第三者委員会報告書は、マンガワン編集室の組織変遷を具体的な日付とともに整理しています。
歴代編集長の交代年表
この年表では、第三者委員会報告書の組織変遷と、公開されている歴代編集長の氏名を照合しています。重要なのは、報告書では和田氏に相当するとされる人物がC氏、豆野氏に相当するとされる人物がD氏、星野氏に相当するとされる人物がE氏として匿名化されていることです。報告書が実名で認定した役職と、公開情報から整理された歴代編集長の氏名は区別する必要があります。
石橋和章氏:マンガワンの立ち上げを担った初代編集長
石橋和章氏は、小学館の漫画編集者として『神のみぞ知るセカイ』『マギ』『モブサイコ100』などの立ち上げに携わった人物です。
2014年のマンガワン立ち上げに関わり、初代編集長を務めた後、2023年に小学館を離れ、株式会社コミックルームの代表として活動しています。本人も漫画編集者としての経験を発信しており、編集長の役割や編集権のあり方について独自の考えを述べています。
なお、石橋氏は2020年以降の『堕天作戦』『常人仮面』の連載決定時には、マンガワンの編集長ではありません。後年の問題について、初代編集長という肩書だけを理由に直接の決定責任を負わせるのは適切ではありません。
村山広氏:編集室長から小学館のコミック局担当取締役へ
村山広氏については、歴代編集長の一覧で2代目として紹介されることがあります。ただし、第三者委員会報告書の表5では、2017年7月13日から村山氏が務めた役職は「マンガワン編集室長」と記されています。
同報告書によれば、2018年7月12日からはC氏が編集長代理となり、2019年7月11日に編集長に就任しています。このため、村山氏を単純に2017年から2019年まで編集長だった人物と扱うと、正式な役職の違いが見えなくなります。
また、2026年の調査時点で村山氏は小学館の第二・第三コミック局担当取締役として報告書に記載されています。かつての編集室運営に関わった人物が、その後は経営・管理側の立場に移っている点も注目されます。
和田裕樹氏:デジタル漫画アプリの運営を担った編集長
和田裕樹氏は、2019年7月11日から2022年10月12日まで編集長を務めた人物です。
2019年のインタビューでは、マンガワン事業室の編集長として、海賊版問題やデジタル漫画アプリの運営、コンテンツを守るための取り組みについて語っています。
この時期は、マンガワンが単なる作品配信アプリから、オリジナル作品を開発し、作家と読者を結び付けるデジタル漫画プラットフォームへ成長していく過程に当たります。
豆野文俊氏:2022年から編集長を務めた人物
豆野文俊氏は、2022年10月13日にマンガワン編集長に就任しました。
小学館では『週刊ビッグコミックスピリッツ』編集部などを経験し、『九条の大罪』『バイオレンスアクション』『健康で文化的な最低限度の生活』『4分間のマリーゴールド』などに携わった編集者です。
2024年のマンガワン10周年に関するインタビューでは、オリジナル連載中心だったアプリを小学館作品全体の配信基盤へと広げたことや、掲載タイトルの拡大、マルチデバイス化について説明していました。
2025年2月18日まで編集長を務め、翌19日にマンガワン編集室から異動。第三者委員会報告書では、2025年2月19日から10月15日まで編集長が不在だったとされています。豆野氏は2025年に小学館を離れ、同年7月1日付のアムタスの役員体制資料では、オリジナルコミック統括編集長を兼ねる取締役として紹介されています。
【常人仮面と堕天作戦】原作者の別名義起用はなぜ問題になった?
マンガワン編集長の責任を考えるうえで、最も重要な事案が『堕天作戦』と『常人仮面』です。
問題の中心にいるのは、山本章一氏です。山本氏は『堕天作戦』の作者であり、後に別名義の「一路一」として『常人仮面』の原作を担当していました。
『堕天作戦』の連載中止理由
『堕天作戦』は2015年2月20日にマンガワンで連載を開始した作品です。
2020年2月3日、山本氏は北海道青少年健全育成条例違反の容疑で逮捕されました。その後、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)で略式起訴され、罰金刑を受けたことが第三者委員会報告書に記録されています。
小学館は当初、連絡が取れなくなったことを受けて体調不良による休載を告知しました。その後、刑事事件の内容を把握し、2020年2月28日には3月4日からの連載再開を告知。しかし、3月3日に被害女性から編集部へ連絡が入り、被害の状況や本人の意向が伝えられたことで、再開方針は見直されました。
最終的に2020年8月には連載の無期限停止が決定され、その後、被害女性による民事訴訟や契約解除を経て、2022年10月末にマンガワンでの連載が終了しました。
『常人仮面』の起用経緯と編集部の判断
注目すべきなのは、『堕天作戦』の連載停止後も、山本氏と編集部との関係が完全には終了していなかったことです。
第三者委員会報告書によれば、2021年5月9日頃、担当編集者G氏は山本氏に対して、漫画家として『堕天作戦』の原稿を執筆するのではなく、新しい作品の原作者として活動する構想を持ち掛けました。
2022年4月15日には、『常人仮面』の第1話ネームが編集長代理のD氏に提出されました。この際、原作者が山本氏であることや、別のペンネームを使用して『堕天作戦』の件には触れずに連載する方針も伝えられていました。
同年5月頃に連載企画が進み、9月には「一路一」というペンネームが共有されました。そして2022年12月26日に出版等許諾契約を締結し、12月28日に『常人仮面』の連載が開始されました。
加えて、山本氏と被害女性との民事訴訟が進行している時期にも、新たな作品の連載を通じて取引関係が再開されていたことが問題視されました。
第三者委員会が問題視した3つの行為
2026年8月3日に公表された第三者委員会報告書では、『常人仮面』をめぐる小学館側の対応について、特に次の3点が厳しく評価されています。
1. 連載休止後も原稿料を支払い続けたこと
連載再開の具体的な見通しがない状態で、公開されない原稿の執筆と報酬の支払いを継続していました。委員会は、被害者への負の影響を十分に軽減しないまま、山本氏を経済的に支援する対応だったと評価しました。
2. 担当編集者が示談交渉に実質的に関与したこと
被害女性側の要請を受けて交渉に参加したこと自体は、直ちに不適切とは評価されませんでした。しかし、担当編集者は示談金額、支払い方法、条件などについて具体的な提案を行い、当初の意思疎通の補助を超えて関与していました。
3. 民事訴訟中に新作の連載を開始したこと
被害弁償などの救済が実現していない段階で『常人仮面』の契約を結び、山本氏との取引を再開しました。委員会は、この対応が被害女性への人権侵害を助長、または加担したと評価されてもやむを得ないと指摘しました。
この3点は、単に編集部が作品の内容を判断し間違えたという問題ではありません。出版社が作家との取引を継続することで、被害者にどのような影響を与えるのかという、人権尊重と企業責任の問題です。
『常人仮面』は現在どうなっている?
『常人仮面』は2025年10月15日に完結し、連載を終了しています。その後、2026年2月27日に小学館が配信停止と単行本の出荷停止を発表しました。
2026年2月20日には、札幌地方裁判所が山本氏に対して被害女性への1,100万円の損害賠償支払いを命じています。判決を受けた後、過去の作品と別名義の作品の作者が同一人物であることが改めて大きな問題となりました。
小学館は2月28日の公式発表で、原作者の起用判断と確認体制に重大な瑕疵があったと認め、配信と出荷の停止を公表しました。
【星霜の心理士】原作者起用問題と編集長の承認経緯を検証
『常人仮面』問題の公表後、さらに明らかになったのが『星霜の心理士』の原作者起用問題です。
同作の原作者は「八ツ波樹」名義で活動していたマツキタツヤ氏です。マツキ氏は、集英社の漫画『アクタージュ act-age』の原作者として知られていましたが、2020年8月に強制わいせつ容疑で逮捕・起訴され、その後、有罪判決(懲役1年6か月、執行猶予3年)を受けています。
2024年から2026年までの起用タイムライン
小学館が2026年3月2日に公表した説明と、8月の第三者委員会報告書によると、起用までの経緯は次のようになっています。
- 2024年8月29日: マンガワン編集者がマツキ氏名義のXアカウントに面会を打診。
- 2024年8月30日: 原案となる小説『勇者一行の心理カウンセラー』を執筆していることが編集者に共有される。
- 2024年9月6日: 当時の編集長の了承のもと、都内で初対面。過去の事件への反省や更生に向けた取り組みなどについて話し合う。
- 2024年11月28日: 作品企画について関係者間で面談。
- 2025年4月3日頃: 編集室長B氏が企画を再承認。
- 2025年6月3日: 原作者のペンネームを「八ツ波樹」とすることが共有される。
- 2025年8月6日: 小学館と出版等許諾契約を締結し、『星霜の心理士』の連載開始。
- 2026年3月2日: 小学館が起用の事実と経緯を公表し、作品の更新を停止。
この経緯で重要なのは、編集部がマツキ氏の過去の事件を知らずに起用したわけではないという点です。編集部は有罪判決や執行猶予期間の満了を確認し、反省の姿勢、再発防止への取り組み、専門家による社会復帰支援の状況などを確認したと説明しています。
作画担当の雪平薫氏にも過去のペンネームと事件の経緯が説明され、作画依頼を受諾したことが小学館の公式発表に記されています。
第三者委員会は『星霜の心理士』をどう評価した?
この問題で注意したいのは、『常人仮面』と『星霜の心理士』の評価が同じではないことです。
第三者委員会は、『星霜の心理士』について、起用時点でマツキ氏による人権侵害が続いていたり、再び発生する具体的な懸念があったりしたとは認められないと判断しました。また、担当編集者や編集長のレベルでは、反省や更生、再発防止への取り組みなどについて一定の調査・検証が行われていたと評価しています。
そのため、原作者として起用し、連載を開始したこと自体は、人権侵害の助長・加担には当たらないと結論付けています。
一方、別名義を使用して過去の経歴を公表しなかったことについては、別の問題が残りました。読者や社会に対する説明責任、作画担当者などの関係者への影響、出版社の信頼性という観点から、慎重な検討が必要だったと指摘されています。
加えて、社内データベースではペンネームと本名などの情報が十分に非開示設定されておらず、小学館の従業員が原作者の素性を把握できる状態でした。情報管理の不備は、被害者の二次被害防止と原作者のプライバシー保護の両面から問題になりました。
つまり、第三者委員会の評価は「更生した人物の創作活動を認めること」と「過去の重大な人権侵害に関する情報をどう管理し、読者や関係者に説明するか」は別の問題だということです。
【2026年8月の第三者委員会報告書】編集長への権限集中と組織の問題点
今回の問題を個々の編集者や編集長だけの責任として終わらせられない理由は、2026年8月3日の第三者委員会報告書にあります。
小学館は2026年3月19日に第三者委員会の設置を決定しました。委員長は伊丹俊彦弁護士、委員は福原あゆみ弁護士と辺誠祐弁護士。約4か月半にわたる調査を経て、全106ページの調査報告書が公表されました。
調査では、関係資料の確認、デジタルフォレンジック調査、関係者へのヒアリング、社内外の関係者向けホットラインなどが活用されています。
1. 編集長だけで重要な連載判断ができる体制
報告書の中でも特に重要なのが、マンガワン編集室における意思決定の仕組みです。
第三者委員会は、『常人仮面』と『星霜の心理士』の連載決定について、編集権を持つ編集長限りで判断され、編集長より上位のチーフプロデューサーや法務などの管理部門に相談されていなかったと指摘しました。
出版社において編集権は、表現の自由を支える重要な基盤です。しかし、編集権を理由に人権や法的リスクまで編集長だけで判断してよいわけではありません。
委員会は、過去に人権侵害を行った人物との取引を開始・継続する場合、被害者保護、プライバシー、読者への説明責任、会社の信用など、多角的な検討が必要だとしています。
編集長に判断が集中すると、こうしたリスクを見落としたり、過小評価したりする可能性があります。編集権の独立性を尊重しながらも、組織としてチェックできる仕組みが必要だったという指摘です。
2. 編集室内の権限と責任が曖昧だった
『常人仮面』の企画が進んだ2022年には、編集長と編集長代理のどちらが連載決定権を持っていたのかについて、関係者の認識が一致していませんでした。
報告書では、編集長代理のD氏が企画を承認する前提で進行していたことは確認されましたが、編集室内で権限の所在が明確に共有されていなかったことも示されています。
また、2025年2月にD氏が異動した後は、10月16日にE氏が新編集長に就任するまで編集長が不在となり、編集室長B氏が実質的に編集長業務を担っていました。
こうした人事異動や承認ルートの変更があったにもかかわらず、企画の引き継ぎやリスク判断を組織全体で再検討する仕組みが十分ではありませんでした。
3. 編集者と作家の間に生じる力関係
第三者委員会が示したもう一つの重要な論点が、編集者と作家の関係にある権力の不均衡です。
編集者は、作品の掲載、連載の継続、単行本化、メディア展開などに関与します。作家や原作者の多くがフリーランスや個人事業主であることを考えると、編集者の判断は仕事の機会や収入に直接影響します。
一方で、ヒット作を生み出した作家の影響力が大きくなれば、編集者側が問題を指摘しにくくなる逆方向の力関係も生まれます。
このような関係性がある以上、担当編集者と作家の間だけで問題を処理する仕組みでは、被害者や弱い立場にある関係者の声が届きにくくなる可能性があります。
4. 社内外から44件の申告が寄せられた
第三者委員会が設けた専用ホットラインには、合計44件の申告が寄せられました。
内訳は社内向け15件、社外向け29件です。複数の編集室について、威圧的な発言、長時間の叱責、人格を否定するような言動、物を投げる行為、深夜や休日の対応の強要などに関する申告がありました。
また、作家などの外部クリエイターからも、強圧的な編集対応、契約条件の説明不足、連載回数や開始時期の一方的な変更などに関する申告が寄せられています。
ただし、44件すべてについて個別に事実認定が行われたわけではありません。委員会はこれらを組織的な背景やガバナンス上の課題を理解するための情報として扱っています。申告件数と確認済みの不祥事件数を混同しないことが大切です。
【小学館の再発防止策】人権委員会とコンプライアンス改革の内容
2026年8月4日、小学館は第三者委員会の提言を受けた再発防止策を公表しました。
同社は今回の問題を一部門や一個人だけの問題ではなく、編集部門の意思決定、情報共有、管理部門の関与、経営陣による監督機能を含む組織全体の課題として受け止めています。
小学館が発表した主な再発防止策
① 人権委員会の設置
外部専門家を含む人権委員会を設置し、出版活動全般における人権リスクを体系的に整理・評価します。人権侵害の予防、軽減、是正を進めるための専門組織です。
② 人権デュー・ディリジェンスの実施
人権デュー・ディリジェンスとは、企業活動によって人権に悪影響が生じる可能性を特定・評価し、防止や軽減、改善につなげる継続的な取り組みです。作家や原作者などの外部クリエイターとの取引も対象になります。
③ 全役員・従業員への人権教育
人権尊重、性暴力・ハラスメント防止、被害者対応、通報制度に関する研修を定期的に実施します。管理職には、意思決定や監督指導に関する別の研修プログラムも導入するとしています。
④ 外部クリエイターの起用・契約基準の見直し
人権侵害の懸念がある場合、編集部門だけで判断せず、法務室などの管理部門も参加する組織的な判断プロセスを整備します。契約書にも人権尊重に関する条項を明記する方針です。
⑤ 内部通報制度と被害者救済の強化
従来の通報窓口を再整備し、匿名通報や外部窓口の利用、通報後の保護措置を明確化します。加えて、契約関係の有無を問わず被害を受けた人が申立てを行い、対話や是正、救済につなげられるグリーバンスメカニズムを導入します。
これらは単なる社内研修ではなく、編集判断そのものに人権とコンプライアンスの視点を組み込むための改革です。
役員報酬の自主返納と従業員への対応
小学館は再発防止策と同時に、経営責任を明確にするため役員報酬の一部自主返納も発表しました。
- 代表取締役社長1名:月額報酬の50%を3か月
- 専務取締役2名:月額報酬の30%を3か月
- 常務取締役6名:月額報酬の30%または20%を3か月
- 取締役15名:月額報酬の30%または20%を3か月
- 監査役2名:月額報酬の20%を3か月
対象となる役員は合計26名です。また、従業員については就業規則に基づき厳格に対応するとしています。
ただし、役員報酬の返納は経営責任を示す措置の一つであり、それだけで再発防止が実現するわけではありません。外部クリエイターが実際に相談できるか、編集長以外の管理部門が判断に参加できるか、問題を把握した際に適切な救済が行われるかが、今後の評価基準になります。
【マンガワン編集長に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在のマンガワン編集長は誰ですか?
A1:公開されている歴代編集長の記録では、星野博規氏です。2025年10月16日からの新体制とされています。ただし、小学館が2026年11月現在の現職者名を公式に明記した人事発表は確認できません。
Q2:マンガワンの歴代編集長は誰ですか?
A2:公開情報では、石橋和章氏、村山広氏、和田裕樹氏、豆野文俊氏、星野博規氏の名前が挙げられます。ただし、村山氏については第三者委員会報告書上の正式な役職が編集室長であるなど、肩書の違いに注意が必要です。
Q3:マンガワンの副編集長は誰ですか?
A3:公開プロフィールで確認できる人物に小林翔氏がいます。『ケンガンアシュラ』『モブサイコ100』『青のオーケストラ』などの担当経験があります。
Q4:『堕天作戦』はなぜ連載中止になったのですか?
A4:作者の山本章一氏が2020年に逮捕・略式起訴され、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)で罰金刑を受けたことが背景にあります。被害女性からの連絡を受けて連載再開方針が見直され、その後、無期限停止と契約解除に至りました。
Q5:『常人仮面』の原作者は誰ですか?
A5:『常人仮面』の原作者は、山本章一氏と同一人物である「一路一」氏です。小学館は2026年2月28日に同一人物であることを公表し、作品の配信停止と単行本の出荷停止を発表しました。
Q6:『星霜の心理士』の原作者は誰ですか?
A6:『星霜の心理士』の原作者は、マツキタツヤ氏です。「八ツ波樹」という別名義で活動していました。小学館は2026年3月2日に起用の事実と経緯を公表し、同日から更新を停止しました。
Q7:第三者委員会は編集長にどのような問題があったと指摘しましたか?
A7:重要な連載判断が編集長に集中し、上位の役職者や法務などの管理部門によるチェックが十分に働かなかったことです。編集権の独立性と組織的な人権リスク管理を両立させる必要性が指摘されました。
【プロの結論】マンガワンの問題は編集長交代だけでは解決しない
マンガワン編集長をめぐる一連の問題から読み取れるのは、編集長という役職が持つ権限の大きさと、その権限を適切に監督する仕組みの必要性です。
石橋和章氏から星野博規氏までの歴史を振り返ると、マンガワンはデジタル漫画の新しい可能性を切り開き、多くの人気作品を生み出してきました。一方で、作品を生み出す編集現場の判断が、被害者の人権や作家との取引関係、読者への説明責任にどのような影響を与えるのかという問題が、2026年の第三者委員会調査によって浮き彫りになりました。
今回の報告書が示したのは、編集長個人の交代だけでは不十分だということです。編集権を尊重しながら、重大な人権リスクについては法務部門や経営陣が関与し、判断の経緯を記録し、必要な場合には第三者の視点を取り入れる仕組みが求められています。
今後のマンガワンを評価する3つの基準
1. 編集長への権限集中が改善されるか
重大な原作者起用や連載継続の判断について、複数部門による審査と記録が実際に機能するかが重要です。
2. 被害者と外部クリエイターを守る仕組みが機能するか
通報窓口が設置されるだけでなく、作家や取引先が不利益を恐れず相談でき、申告後に適切な対応や救済を受けられるかが問われます。
3. 小学館が再発防止策の実施状況を継続的に公表するか
人権委員会の活動、管理部門による審査、研修の実施状況、通報制度の利用状況などについて、透明性のある説明が必要です。
2026年8月の第三者委員会報告書は、マンガワンだけでなく、出版業界全体にとっても編集権と人権尊重をどう両立させるかを考える重要な資料となりました。
今後、星野博規編集長のもとでどのような編集体制が構築されるのか。そして小学館が公表した再発防止策が、実際の編集現場や作家との関係にどこまで反映されるのか。マンガワンの信頼回復を判断するうえでは、肩書の変更や謝罪の言葉だけでなく、組織の行動が変わったかどうかを見極める必要があります。
マンガワンの再出発に必要なのは、新しい編集長だけではありません。作品を生み出す人、作品を読む人、そして過去の問題によって傷ついた人の尊厳を守れる編集組織への転換です。