神谷浩史さんが2代目に選ばれた背景には、声優としての表現力だけでなく、制作スタッフとの仕事上のつながりもありました。
オーディションを経て正式に決定
神谷さんは、ぶりぶりざえもん役をオーディションで獲得しています。2016年6月28日に掲載されたテレビ朝日の公式インタビューによれば、オーディションでは過去に放送されたエピソード1話分を丸ごとアフレコする形式が採用されていました。
神谷さんはオーディションそのものについて、自由に演じられたため楽しかったと振り返っています。一方、正式に配役が決まり、実際にテレビで放送される新作を収録する段階では、責任の重さを強く感じたそうです。
特に難しかったのは、先代の塩沢さんが作り上げたキャラクター像を尊重しながら、自分なりの演技を確立することでした。
ムトウユージ監督が評価した演技の幅
2016年5月の発表時、ムトウユージ監督は神谷さんの起用について、次のような評価を寄せています。
「16年の時を経て、今の時代にぶりぶりざえもんが出来るのはこの男しかいない。」
監督が評価したのは、ニヒルな一面と卑怯者としての一面、そのギャップを表現する能力でした。
ぶりぶりざえもんは、単純に格好よく演じれば成立するキャラクターではありません。自信満々に登場した直後にお金を要求したり、都合が悪くなると敵側に寝返ったりするなど、言動の落差が笑いを生みます。
一方で、本当にヒーローらしい行動を見せる場面もあります。この振れ幅を自然に演じられることが、神谷さんの起用を後押しした大きな要素でした。
塩沢兼人さんとの事務所のつながり
もう一つ見逃せないのが、神谷さんと塩沢さんが同じ青二プロダクションに所属していた先輩・後輩の関係だったことです。
神谷さんは公式発表へのコメントで、事務所のスタッフが「青二プロダクションにぶりぶりざえもんが帰ってきた!」と喜んでいたことを明かしています。
ただし、同じ事務所の後輩だから自動的に選ばれたわけではありません。実際にはオーディションが行われ、監督から演技力を評価されたという経緯があります。
2020年のアニメハックのインタビューでは、神谷さん自身が役にたどり着くまでの人間関係について詳しく語っています。
神谷さんは以前、『よんでますよ、アザゼルさん。』でベルゼブブ優一を演じた際、水島努監督から格好よく演じるよう求められました。その後、水島監督からベルゼブブ優一は自分にとってぶりぶりざえもんのような存在だと聞いたことが、今回の役につながるヒントになったといいます。
加えて、神谷さんが初めてレギュラー出演を経験した『コレクター・ユイ』の監督もムトウユージさんでした。神谷さんは、こうした過去の仕事で築いた信頼関係が役への縁につながったと振り返っています。
【塩沢兼人版と神谷浩史版を比較】演技や声の違いは?

2代目の神谷版を評価するうえで欠かせないのが、初代・塩沢兼人さんとの比較です。
長年ぶりぶりざえもんを見てきたファンにとって、塩沢さんの声はキャラクターそのものと結び付いた存在でした。そのため、後任の声優には、単に似た声を出す以上の難しさがあったはずです。
初代・塩沢兼人版の特徴
塩沢さんの演技は、ぶりぶりざえもんの尊大さや気取った雰囲気を際立たせるものでした。
ヒーローを名乗りながら、実際には自分の利益を優先する。その一方で、どこか上品で格好よく振る舞おうとする。この矛盾した性格が、塩沢さんの声によって印象的なキャラクターとして定着しました。
初代の演技を語る際に重要なのは、ぶりぶりざえもんが単なるギャグ担当ではなかったことです。本人は真剣に格好よく振る舞っているのに、行動がそのイメージを裏切る。この構造が笑いにつながっています。
2代目・神谷浩史版の特徴
神谷さんは、塩沢さんの声をそのまま再現する方法を選びませんでした。
2020年のアニメイトタイムズのインタビューでは、塩沢さんと自分では声質が異なるため、完全に真似することはできないと説明しています。その代わり、先代の演技から話すリズムやニュアンスを取り入れ、そこに自分独自の表現を加えていったそうです。
特に興味深いのは、神谷さんがオーディション前に過去のぶりぶりざえもんの映像を見て研究していたことです。ムトウ監督からは過去の作品を見なくてもよいと言われていましたが、神谷さんはオリジナルを大切にしたいという気持ちから、過去の演技にも向き合っていました。
つまり、神谷版は先代の演技を否定したものでも、単純に模倣したものでもありません。過去のキャラクター性を受け継ぎながら、新しい演技を積み重ねていく方法が選ばれたのです。
神谷版ぶりぶりざえもんの評判をどう見るべきか
神谷版の評価を考えるとき、初代と声が似ているかどうかだけで判断するのは十分ではありません。
塩沢版を知るファンには、長年親しんできた声や節回しへの思いがあります。一方、2016年以降に作品に触れた子どもたちにとっては、神谷版が最初に知るぶりぶりざえもんになる可能性があります。
神谷さん自身も、今の子どもたちにとって自分の演じるキャラクターが標準的な存在になっていくことを意識していました。
また、2020年の劇場版インタビューでは、最初はプレッシャーが大きかったものの、次第に演じることが楽しくなったと話しています。作品の中で重要な役割を担うようになったことも、神谷さんにとって大きな変化でした。
したがって、塩沢版と神谷版の比較では、声の違いを欠点と捉えるのではなく、キャラクターの核となる気品、ずるさ、自己中心的な言動、時折見せるヒーローらしさが保たれているかに注目するのがおすすめです。
【2026年最新】神谷浩史版ぶりぶりざえもんの現在と活躍
神谷浩史さんが役を引き継いでから10年となる2026年。ぶりぶりざえもんは、現在も『クレヨンしんちゃん』の人気キャラクターとして作品に登場しています。
2020年には劇場版でも存在感を発揮
神谷版の大きな転換点となったのが、2020年9月11日公開の映画『激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』です。
神谷さんはテレビシリーズで役を引き継いだ当初から、いつか劇場版にも出演できるのではないかと期待していたと話しています。そして、実際に劇場版への出演が決まった際には、ぶりぶりざえもんが物語の大きな役割を担うことに感慨を覚えたそうです。
同作では、しんちゃんが描いたラクガキから生まれたキャラクターたちが、ほぼ四人の勇者として冒険します。ぶりぶりざえもんも重要な仲間として活躍し、テレビシリーズとは異なるスケールで存在感を示しました。
神谷さんはこの作品の収録に2日間参加したことも明かしています。かつては大きなプレッシャーを感じていた役が、劇場版では楽しみながら演じられる大切な仕事へと変わっていました。
2026年10月にもテレビアニメに登場
2026年の動きを確認すると、10月24日にテレビ朝日系で『ぶりぶりざえもんの鬼退治だゾ』が放送されています。
番組紹介によれば、川から流れてきたぶりぶりざえもんが登場し、鬼退治に向かうというストーリーです。テレビ番組情報の出演者欄には、神谷浩史さんの名前も掲載されています。
また、テレビ朝日の公式キャラクター紹介でも、ぶりぶりざえもんはヒーローの一人として紹介されています。2026年もキャラクターの新しいエピソードが制作・放送されており、過去の人気を振り返るだけの存在ではありません。
2026年の注目点は、神谷さんの起用が一時的な代役ではなく、長期にわたるキャラクター継承として定着していることです。2016年の復活から10年を経ても、ぶりぶりざえもんは新しいストーリーの中で活躍しています。
【神谷浩史とぶりぶりざえもん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:神谷浩史はぶりぶりざえもんの何代目の声優ですか?
A1:2代目です。初代は塩沢兼人さんで、神谷浩史さんは2016年から声を担当しています。
Q2:神谷浩史版ぶりぶりざえもんの初登場はいつですか?
A2:テレビアニメでの声付き復活は2016年5月13日です。翌週の5月20日にも新作エピソードが放送されました。第1回は『ぶりぶりざえもんの冒険 覚醒編』です。
Q3:ぶりぶりざえもんが16年間しゃべらなかった理由は何ですか?
A3:初代声優の塩沢兼人さんが2000年5月10日に亡くなったためです。その後、先代への敬意も背景に、別の声優を立てずにセリフなしで登場する形が続きました。2016年に神谷浩史さんが後任となり復活しました。
Q4:神谷浩史は塩沢兼人の声を真似して演じているのですか?
A4:完全な模倣ではありません。神谷さんは先代の話し方のリズムやニュアンスを参考にしながら、自分独自の表現を加えているとインタビューで説明しています。
Q5:2026年現在もぶりぶりざえもんの声優は神谷浩史ですか?
A5:はい。2016年の起用発表以降、神谷さんが2代目を担当しています。2026年10月24日放送のエピソードでも出演者情報に名前が掲載されています。
まとめ:【プロの結論】神谷浩史が受け継いだのは声だけではない
神谷浩史さんとぶりぶりざえもんの関係は、単なる人気声優への交代という枠には収まりません。
初代の塩沢兼人さんが2000年に亡くなった後、約16年間にわたってセリフのないキャラクターとして存在し続けたぶりぶりざえもん。その長い沈黙を破ったのが、2016年に2代目として選ばれた神谷浩史さんでした。
神谷さんの起用には、ムトウユージ監督が評価した演技の幅、オーディションでの実力、青二プロダクションを通じた先輩・後輩の縁、過去の制作現場で築かれた信頼関係など、複数の要素が関わっています。
特に注目すべきなのは、神谷さんが塩沢さんの演技をそのまま再現しようとしなかったことです。先代の声質や演技を尊重しながら、自分にしかできないぶりぶりざえもんを作り上げる。その姿勢が、キャラクターを次の世代へつなぐことにつながりました。
ぶりぶりざえもんの魅力は、卑怯さと格好よさ、ずるさとヒーローらしさが同居しているところにあります。塩沢版には塩沢版の魅力があり、神谷版には神谷版の新しい魅力があります。どちらか一方を正解とする必要はありません。
2026年現在、神谷浩史さんは2代目ぶりぶりざえもんとして活躍を続けています。初代の歴史を知ってから神谷版を見直すと、同じキャラクターでも時代を超えて受け継がれているものと、新しく生まれたものの両方を楽しめるはずです。