スキージャンプ界のレジェンド・葛西紀明選手は、2026年11月現在、54歳で現役を続けている。第105回全日本スキー選手権大会では、ノーマルヒル25位、ラージヒル13位を記録。54歳という年齢を迎えても、国内トップクラスの選手たちと同じ舞台で競技を続けている。
1992年アルベールビル五輪から2018年平昌五輪まで8大会連続で出場し、2014年ソチ五輪では個人ラージヒル銀メダルを獲得。ワールドカップ最年長優勝やギネス世界記録など、スキージャンプの歴史に残る実績を持つ選手だ。一方、2026年ミラノ・コルティナ五輪への出場は逃したものの、すでに2030年大会を見据えた挑戦を表明している。
【2026年最新】葛西紀明の現在は54歳!第105回全日本選手権の結果

2026年11月現在、葛西紀明は54歳。所属する土屋ホームスキー部で選手兼監督を務めながら、競技者としてジャンプ台に立ち続けている。
直近の大きな注目材料となったのが、2026年10月30日と11月1日に長野県白馬ジャンプ競技場で開催された第105回全日本スキー選手権大会だ。葛西はノーマルヒルとラージヒルの両種目に出場した。
ノーマルヒルは25位、205.2ポイント
10月30日のノーマルヒルは、ヒルサイズ98メートルの白馬ジャンプ競技場で実施された。
雨天の影響で試技が取りやめとなり、競技開始時刻も当初の予定から繰り上げられるなど、難しいコンディションの大会となった。
葛西は1本目に86.5メートルを飛び、102.7ポイントで28位。2本目は86.0メートルを記録し、合計205.2ポイントで25位となった。
上位争いには届かなかったものの、54歳で全日本選手権の2本を飛び切り、競技を続けていること自体が注目される。
ラージヒルは13位!1本目は130メートルの大ジャンプ
11月1日のラージヒルでは、葛西の持ち味がより鮮明に表れた。
ヒルサイズ134メートルのジャンプ台で、1本目に130.0メートル、120.6ポイントを記録。男子の4位につけ、上位争いに加わった。
しかし、2本目は98.0メートルにとどまり、合計189.5ポイントで最終順位は13位となった。
1本目の130メートルと2本目の98メートルという大きな差は、ジャンプ競技の難しさを示している。助走速度、踏み切りのタイミング、空中姿勢、風の条件など、複数の要素が飛距離と得点を左右するからだ。
特に注目したいのは、1本目に上位4人に入るジャンプを見せた点だ。最終順位だけを見れば13位だが、54歳の葛西が一度は表彰台争いに近い位置まで上がったことは、現在の競技力を考えるうえで見逃せない。
第105回全日本選手権の結果
- 開催地:長野県・白馬ジャンプ競技場
- 10月30日:ノーマルヒル25位(205.2ポイント)
- 11月1日:ラージヒル13位(189.5ポイント)
- ラージヒル1本目:130.0メートル、120.6ポイント、4位
大会結果は所属するTEAM TSUCHIYAの公式レポートでも公表されている。2026年秋の葛西の現在地を示す、重要な競技記録だ。
【プロフィール】葛西紀明と土屋ホームスキー部の関係とは?
葛西紀明は1972年6月6日生まれ、北海道上川郡下川町出身。2026年11月時点で54歳となる。
幼いころからスキーに親しみ、小学3年生で競技を始めた。ジャンプ競技との出会いは9歳ごろで、自宅の目の前にあったスキー場にジャンプ台が4台設置されていたことも、競技を始めるきっかけになったという。
高校卒業後は地崎工業に入社。その後マイカルを経て、2001年に土屋ホームへ入社した。現在は土屋ホームスキー部の中心人物として、選手と監督の両方を担っている。
選手兼監督として後輩の育成にも携わる
葛西は2009年に監督へ就任。自ら競技に出場しながら、チームの運営や後輩選手の指導にも関わるプレイングマネージャーとして活動してきた。
土屋ホームスキー部には、女子ジャンプの伊藤有希や、竹花大松、小林龍尚らが所属している。葛西は自分自身の競技成績を追求するだけでなく、若い選手と同じ環境で練習し、チーム全体の競技力を高める立場にもある。
この役割は、葛西の長い競技人生を理解するうえで重要だ。選手として飛び続ける一方、監督として次世代に経験を伝える。年齢を重ねたからこそ、競技への関わり方にも幅が生まれている。
また、所属先の公式プロフィールには、2025年2月にTVh杯と雪印メグミルク杯で2週連続優勝した実績も掲載されている。54歳になる直前まで国内大会で勝利を挙げていたことは、単なる記録保持者ではなく、現役の競技者であることを裏付ける。
【歴代成績・年表】葛西紀明の五輪8大会連続出場とソチ銀メダル
葛西紀明の競技人生を語るうえで欠かせないのが、1992年から2018年まで続いた冬季オリンピック8大会連続出場という記録だ。
10代で世界の舞台に立ち、20代、30代、40代と競技を続け、41歳でソチ五輪のメダルを獲得。通常なら引退を考える年齢を過ぎても世界のトップレベルで戦い続けた。
主な大会実績と関連する記録を整理すると、次のようになる。
| 時期 | 大会・関連人物 | 主な成績・記録 |
|---|---|---|
| 1992年 | アルベールビル五輪 | 19歳で五輪初出場 |
| 1994年 | リレハンメル五輪 | ジャンプ団体銀メダル |
| 1998年 | 長野五輪 | 5大会連続ではなく、3大会連続出場を達成 |
| 2014年2月 | ソチ五輪 | 個人ラージヒル銀、団体銅メダル |
| 2014年11月 | W杯ルカ大会 | 42歳176日で最年長優勝記録を更新 |
| 2018年 | 平昌五輪 | 8大会連続出場を達成 |
| 2024年3月 | FISワールドカップ | 51歳290日で最年長ポイント獲得者に |
| 2026年 | 第105回全日本選手権 | 54歳でノーマルヒル25位、ラージヒル13位 |
ソチ五輪の銀メダルは41歳での快挙
葛西のキャリアを代表する出来事が、2014年ソチ冬季オリンピックだ。
男子ラージヒル個人で銀メダルを獲得。さらに団体戦でも銅メダルを獲得し、2つのメダルを日本に持ち帰った。
当時41歳だった葛西は、冬季五輪における日本選手の最年長メダリストとなった。JOCの当時の報道資料にも、この快挙が記録されている。
この銀メダルが特別なのは、長年競技を続けてきた選手が、40代になってから個人種目で世界の頂点に迫ったことだ。若いころの実績を振り返るだけではなく、経験を積み重ねた先に新たなピークを作り出した大会だった。
五輪8大会連続出場の内訳
葛西が出場した冬季オリンピックは次の8大会だ。
- 1992年:アルベールビル大会
- 1994年:リレハンメル大会
- 1998年:長野大会
- 2002年:ソルトレークシティ大会
- 2006年:トリノ大会
- 2010年:バンクーバー大会
- 2014年:ソチ大会
- 2018年:平昌大会
1992年の初出場から2018年まで、8大会連続で五輪の舞台に立った。これは冬季オリンピック最多出場記録としてギネス世界記録に認定されている。
なお、2022年北京大会と2026年ミラノ・コルティナ大会には出場していない。したがって、8大会連続出場は2018年の平昌大会までの記録であり、2026年時点で継続中という意味ではない。
【ギネス世界記録】葛西紀明のW杯最年長優勝と17勝の実績
葛西紀明は五輪だけでなく、ワールドカップでも歴史的な記録を残している。
特に知られているのが、FISスキージャンプワールドカップの最年長優勝記録だ。
42歳176日でW杯最年長優勝
2014年11月29日、フィンランドのルカで開催されたワールドカップ個人戦で、葛西は自身の最年長優勝記録を更新した。
そのときの年齢は42歳176日。ギネス世界記録にも認定された記録であり、長年にわたって世界の第一線で競技を続けてきたことを象徴している。
所属先のプロフィールによると、ワールドカップ個人優勝は通算17回。1992年の初優勝から2014年まで、長い期間にわたって勝利を積み重ねた。
50代でも更新されたワールドカップ記録
葛西の記録は40代で終わらなかった。
2017年には44歳293日でW杯個人表彰台に立ち、最年長個人表彰台記録を更新。2024年3月22日には51歳290日でワールドカップに出場し、29位でポイントを獲得した。
ギネス世界記録が公表した2024年の記録には、次のような項目が含まれている。
- 冬季オリンピック最多出場:8回
- FISスキージャンプW杯最年長優勝:42歳176日
- W杯最年長個人表彰台:44歳293日
- W杯最年長ポイント獲得:51歳290日
- ノルディックスキー世界選手権個人最多出場:13回
また、ワールドカップ個人戦の最多出場回数については、2024年に578回を記録した後、2025年2月16日に579回へ更新したことが土屋ホームの公式プロフィールに記載されている。
歴代成績から見る葛西の強さ
ワールドカップの個人総合順位にも、葛西の実力が表れている。
所属先の記録によると、1992-93シーズンと1998-99シーズンには個人総合3位を獲得。さらに2013-14シーズンには5位、2014-15シーズンには6位、2015-16シーズンには8位に入った。
特筆すべきなのは、40代になってからも総合順位を上げ、2015-16シーズンには8位という好成績を残していることだ。
葛西の歴代成績は、単に出場回数が多いというだけではない。世界の強豪と長期間競い、優勝、表彰台、総合上位という結果を積み重ねてきた点に価値がある。
【現役続行の理由】54歳の葛西紀明はなぜジャンプを辞めないのか?
2026年1月、葛西はミラノ・コルティナ五輪への出場を逃した。しかし、その直後に現役続行を表明し、2030年フランス・アルプス地方で開催される冬季オリンピックを目指す意向を明らかにした。
2026年ミラノ・コルティナ五輪は予選敗退
2026年1月18日、札幌市の大倉山ジャンプ競技場で行われたワールドカップ男子個人第18戦の予選。葛西は112メートルを飛んだものの56位となり、本戦進出を逃した。
これにより、2大会ぶり9度目となる五輪出場の可能性はなくなった。
日本代表の選考枠が限られるなか、海外遠征メンバーへの選出やコンチネンタルカップからの昇格など、代表入りには厳しい条件があった。長年の実績だけで代表入りできるわけではなく、その時点の競技成績が問われる厳しい世界だ。
それでも葛西は競技を辞める選択をしなかった。
日刊スポーツの報道によると、葛西は2030年大会を目標に掲げ、57歳での五輪出場に意欲を示した。加えて、自分がどこまで成長できるのかを楽しみにしているという趣旨の発言も伝えられている。
ジャンプの難しさそのものが続ける原動力
葛西が競技を続ける理由には、スキージャンプそのものへの強い愛着がある。
2024年にギネス世界記録が掲載したインタビューでは、ジャンプについて、難しいからこそ挑戦を続けたくなるという考えを語っている。
「難しいからこそ、できないからこそ、続けたくなるんです」
この言葉は、葛西の競技人生をよく表している。
ジャンプは、助走から踏み切り、空中姿勢、着地までの一連の動作が少し変わるだけで結果が変わる競技だ。経験を積めば完成するという単純なものではない。
年齢を重ねるなかで身体の変化に対応し、新しい技術や調整方法を探し続ける必要がある。葛西にとっては、その試行錯誤自体が競技を続ける楽しさにつながっている。
応援してくれる人たちの存在も大きい
ギネス世界記録のインタビューでは、全国各地で受ける応援の声がモチベーションになっていることも明かしている。
葛西は40代以降、周囲からの応援をより強く意識するようになったという。自分の競技人生が、同世代の人や若い世代に元気や勇気を届けることにもつながっている。
2026年1月の現役続行宣言でも、年齢を重ねながら挑戦する姿を通じて、周囲に元気と勇気を届けたいという思いが語られた。
また、葛西は2024年のギネス世界記録のインタビューで、60歳まで競技を続けたいという長期的な意欲も示していた。2030年五輪は、その大きな目標に向かう具体的な節目となる。
【トレーニング方法】54歳でも飛び続ける葛西紀明の身体づくり
54歳で競技を続ける葛西のトレーニングは、若いころと同じ方法をそのまま繰り返すものではない。
年齢による身体の変化を踏まえ、筋力、瞬発力、体幹、バランス能力を維持しながら、故障のリスクを抑える調整が重視されている。
ウエートトレーニングは週2回、ランニングは約30分
2026年2月の女性自身の取材記事では、2025年6月に取材した葛西のトレーニング内容が紹介されている。
当時のトレーニングは、ウエートトレーニングが週2回程度、ランニングは約30分。筋力をむやみに増やすのではなく、ジャンプに必要な瞬発力や体幹、身体のバランスを整えることが中心だった。
葛西は若いころ、200キロのバーベルを使ったスクワットなど、非常に負荷の高いトレーニングにも取り組んでいた。しかし、現在は同じ方法を続けると身体を壊す可能性があると認識している。
そのため、重い負荷を追い求めるのではなく、競技に必要な身体機能を効率よく維持する方向へ変化している。
ランニングは体力だけでなくメンタル面にも効果
葛西にとってランニングは、単なる持久力トレーニングではない。
走りながらジャンプの改善点や試合での戦い方を考え、気持ちを整理する時間にもなっている。ギネス世界記録のインタビューでも、ランニングによって減量や持久力を維持し、忍耐力にもつながるという考えを語っている。
また、バドミントンやテニス、バレーボールなどの球技もトレーニングに取り入れている。球の動きを見て瞬時に反応することは、ジャンプに必要な判断力や身体の反応を養うことにもつながる。
スキー板の長さも見直し、勝つための調整を続ける
2026年5月3日の日刊スポーツの報道では、葛西が次のシーズンに向けてスキー板の長さを見直す方針を示したことが伝えられた。
昨季は247センチの板を使用していたが、次のシーズンは2シーズン前に使っていた243センチに戻す予定だという。
葛西自身は、長い板を使うことで体重面に約2キロの余裕ができたものの、その重さが飛距離に影響した可能性を分析していた。
試合では50キロ台の体重を目指すなど、用具と身体のバランスを細かく調整する姿勢も見られる。
こうした取り組みから分かるのは、54歳で競技を続けるためには、単純に練習量を増やすだけでは不十分だということだ。自分の身体の状態を把握し、用具や体重、練習内容を調整する能力が求められる。
【よくある質問】葛西紀明のスキージャンプに関するFAQ
Q1:2026年現在、葛西紀明は何歳ですか?
A1:1972年6月6日生まれで、2026年11月現在54歳です。北海道上川郡下川町出身で、土屋ホームスキー部の選手兼監督として活動しています。
Q2:第105回全日本スキー選手権の葛西紀明の順位は?
A2:2026年10月30日のノーマルヒルは25位、11月1日のラージヒルは13位でした。ラージヒルでは1本目に130.0メートルを飛び、4位で折り返しています。
Q3:葛西紀明は五輪に何回連続で出場しましたか?
A3:1992年アルベールビル大会から2018年平昌大会まで、冬季オリンピックに8大会連続で出場しました。これはギネス世界記録に認定されている実績です。
Q4:葛西紀明はソチ五輪で何のメダルを獲得しましたか?
A4:2014年ソチ五輪では、男子ラージヒル個人で銀メダル、団体戦で銅メダルを獲得しました。当時41歳で、日本の冬季五輪最年長メダリストとなりました。
Q5:葛西紀明は2026年ミラノ・コルティナ五輪に出場しましたか?
A5:出場していません。2026年1月の札幌大会で五輪代表選考に関わる予選を突破できず、出場を逃しました。その後、現役続行を表明し、2030年冬季五輪を目指す意向を示しています。
Q6:葛西紀明のワールドカップ優勝回数は何回ですか?
A6:土屋ホームの公式プロフィールによると、個人優勝は通算17回です。2014年11月29日には42歳176日で最年長優勝記録を達成し、ギネス世界記録に認定されました。
まとめ:【プロの結論】葛西紀明の挑戦は2030年五輪へ続く
2026年11月現在、54歳の葛西紀明は土屋ホームスキー部の選手兼監督として、現役のスキージャンプ選手を続けている。
第105回全日本スキー選手権ではノーマルヒル25位、ラージヒル13位。特にラージヒルの1本目で130メートルを飛んだことは、現在も高い競技能力を保っていることを示す材料となった。
もちろん、過去の実績だけで現在の競技力を評価することはできない。2026年ミラノ・コルティナ五輪への出場は逃し、全日本選手権でも優勝には届かなかった。若い選手との競争や身体の変化など、乗り越えるべき課題は残されている。
一方で、五輪8大会連続出場、ソチ五輪銀メダル、W杯通算17勝、最年長優勝などの実績は、単なる長寿選手という評価を超えている。葛西は長期間にわたって世界の競技水準に適応し、実際に結果を残してきたアスリートだ。
今後の注目点は、2030年冬季五輪への挑戦と、54歳以降の競技成績だろう。4年後の大会では57歳となる葛西が、再び五輪の舞台に立てるのか。選手兼監督として後輩を育てながら、自分自身の限界にも挑み続ける姿は、これからもスキージャンプ界の大きな注目材料となる。
葛西紀明の挑戦は、過去の記録を守るためだけのものではない。まだ飛べる、まだ成長できるという可能性を、自らのジャンプで証明しようとする挑戦なのである。
主な参照資料: 土屋ホームスキー部公式プロフィール・第105回全日本選手権大会レポート、ギネス世界記録公式インタビュー、日刊スポーツ、女性自身、日本オリンピック委員会。