2026年、日本のヤクザを取り巻く環境は大きく変わっている。警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、2025年末時点の全国の暴力団構成員・準構成員等は約1万7,600人。前年から約1,200人減少し、統計上の過去最少を更新した。内訳は、暴力団構成員が約9,400人、準構成員等が約8,200人である。
ただし、構成員の減少は、組織犯罪そのものが消滅したことを意味しない。六代目山口組、住吉会、稲川会などの主要団体は依然として全国的な勢力を持ち、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)との人的・資金的な関係も警察によって確認されている。さらに2026年には、指定暴力団の再指定見送りや、山口組分裂をめぐる特定抗争指定の解除・延長など、新たな動きも生じている。現在のヤクザはどのような組織なのか。公的統計と警察発表、報道資料を基に、その実態、歴史、規制の仕組み、今後の課題を整理する。
【基礎知識】日本のヤクザとは何者なのか?暴力団の定義と歴史

ヤクザと暴力団は同じ意味なのか
「ヤクザ」は、一般社会で暴力団やその構成員を指す際に使われる通称である。一方、「暴力団」は法律や警察行政で用いられる用語だ。
暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)第2条では、暴力団を、構成員が集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体と定義している。
一般的な特徴として、次のような組織構造が挙げられる。
- 組長を頂点とする階層的な組織構造。
- 親分・子分などの擬制的な血縁関係による結び付き。
- 組織の威力を背景とした資金獲得活動。
- 上位組織と下位組織の間に存在する指揮・統制関係。
- 縄張りや組織の権益をめぐる対立関係。
ただし、暴力団に所属することと、指定暴力団に指定されることは同じではない。指定暴力団とは、暴力団対策法に定められた要件を満たし、都道府県公安委員会から指定を受けた団体を指す。
つまり、ヤクザという一般的な呼称、法律上の暴力団、公安委員会が指定する指定暴力団は、厳密には区別して理解する必要がある。
日本の暴力団の歴史と形成過程
現在の暴力団につながる組織の歴史は、戦後の社会混乱以前にまでさかのぼる。
警察庁の過去の警察白書によると、伝統的な暴力集団には、博徒や的屋などが存在した。戦後には、これらに加えて愚連隊と呼ばれる集団が台頭し、闇市や繁華街などで勢力を拡大した。
昭和30年代に入ると、それぞれの集団の活動領域が重なり、社会的にも「暴力団」という呼称が定着していった。
歴史的な転換点を整理すると、次のようになる。
- 戦後直後:博徒、的屋、愚連隊などが闇市や繁華街を中心に活動。
- 昭和30年代:異なる系統の暴力集団が統合・再編され、暴力団という呼称が一般化。
- 昭和60年代:山口組と一和会の対立抗争など、組織間抗争が社会問題化。
- 1991年:暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律が成立。
- 1992年3月:暴力団対策法が施行される。
- 2011年10月:全都道府県で暴力団排除条例が施行される。
- 2015年8月:六代目山口組が分裂し、神戸山口組が結成される。
- 2026年:構成員等が過去最少となり、指定暴力団は24団体に減少。
かつては地域社会や繁華街に一定の影響力を持っていた暴力団だが、法規制の強化と社会全体の排除活動によって、その活動環境は大きく変化した。
【2026年最新】日本のヤクザの現在の実態は?構成員数1万7,600人の衝撃
2025年末の暴力団構成員数は過去最少
日本の暴力団勢力を把握するうえで、最も重要な資料が警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」である。
2026年4月に公表された確定値によると、2025年末の暴力団構成員等は約1万7,600人だった。前年末の約1万8,800人から約1,200人減少している。
内訳は次のとおりだ。
- 暴力団構成員:約9,400人
- 準構成員等:約8,200人
- 構成員等の合計:約1万7,600人
ここで注意したいのが、1万7,600人全員が正式な組員というわけではない点だ。
準構成員等には、暴力団員ではないものの、暴力団の威力を背景に不法行為を行うおそれがある者や、組織に資金・武器などを供給し、維持・運営に協力する者などが含まれる。
したがって、暴力団の規模を評価するときは、正式な構成員数と準構成員等を含めた総数を混同してはならない。
過去30年以上にわたる暴力団勢力の減少
2025年末の1万7,600人という数字は、単年度の変化だけでは理解できない。暴力団対策法が施行された1992年末には、構成員等は約9万600人だった。
警察庁の統計を比較すると、2025年末の勢力は1992年末のおよそ5分の1にまで縮小している。
また、2005年末には約8万6,300人だった構成員等が、2025年末には約1万7,600人となった。20年間で約6万8,700人減少した計算になる。
この長期的な減少には、警察の取締りだけでなく、暴力団排除条例、金融機関や不動産業界の取引管理、企業の反社会的勢力排除など、複数の社会的要因が関係している。
構成員が減っても犯罪はなくなっていない
もう一つ注目すべき数字が、2025年中の暴力団構成員等の検挙人員だ。
警察庁によると、2025年の検挙人員は7,335人で、前年より914人減少した。これも過去最少である。
主な罪種別の検挙人員は次のとおりだった。
- 覚醒剤取締法違反:1,478人
- 傷害:938人
- 詐欺:875人
- 窃盗:617人
構成員数と検挙人員は異なる統計であり、検挙人員は年間の取締り実績を示すものだ。両者を単純に比較して組織の実人数を推定することはできない。
重要なのは、勢力が縮小しても薬物、詐欺、暴力、窃盗などの犯罪が続いているという現実である。人数の減少だけをもって、社会的な危険が解消されたと判断することはできない。
【勢力図】六代目山口組・住吉会・稲川会など主要6団体と指定暴力団一覧2026
2025年末の主要6団体の構成員等
警察庁は、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会、稲川会の6団体を主要団体等として集計している。
2025年末時点で、この6団体に所属する構成員等は合計約1万2,500人。全国の暴力団構成員等の71.0%を占めている。
警察庁の統計に基づき、各団体の構成員等の概数を比較すると次のようになる。
| 団体名 | 2025年末の構成員等 | 構成員数 | 特徴・位置付け |
|---|---|---|---|
| 六代目山口組 | 約6,300人 | 約3,100人 | 国内最大規模の主要団体 |
| 住吉会 | 約3,100人 | 約2,100人 | 関東を中心に活動 |
| 稲川会 | 約2,600人 | 約1,600人 | 関東を中心とする広域組織 |
| 神戸山口組 | 約270人 | 約110人 | 2015年の山口組分裂で結成 |
| 絆會 | 約120人 | 約50人 | 旧・任侠山口組 |
| 池田組 | 約70人 | 約30人 | 2020年に神戸山口組から離脱を表明 |
出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」。人数は概数。構成員等は正式な構成員と準構成員等の合計であり、内訳の合算と団体別合計が一致しない場合がある。
この比較から分かるのは、山口組分裂後の各組織で勢力規模に大きな差が生まれていることだ。
特に六代目山口組は、2025年末時点でも約6,300人の構成員等を抱え、主要6団体の中で最大規模を維持している。
六代目山口組:依然として最大勢力
六代目山口組は、国内最大規模の指定暴力団である。警察庁の2025年末統計では、構成員等が約6,300人、正式な構成員が約3,100人とされている。
2015年8月末の分裂後、神戸山口組などとの対立が続いてきた。警察庁の2025年報告でも、組織の会合や人事などの動向が記録されている。
2026年には抗争指定をめぐる重要な変化もあった。六代目山口組と池田組の特定抗争指定は9月8日に解除され、絆會との指定も9月21日に解除された。
一方、神戸山口組との特定抗争指定は継続しており、2026年9月には指定期限を2027年1月6日まで延長することが決まった。2020年1月の指定開始以来、延長は27回目となる。
つまり、山口組をめぐる対立関係は一律に解消されたわけではなく、相手組織ごとに警察・公安委員会の判断が分かれている。
住吉会:関東を代表する主要団体
住吉会は、東京都を中心に広域的な活動範囲を持つ主要団体である。
2025年末の構成員等は約3,100人で、正式な構成員は約2,100人。六代目山口組に次ぐ規模となっている。
警察庁の2025年報告では、住吉会について、2025年6月に主たる事務所の所在地変更が公示されたことや、同年10月に会長を親とする親子盃式を行ったことが記載されている。
稲川会:首都圏を中心とする広域組織
稲川会は、東京都を中心に関東・東北方面などにも勢力範囲を持つ主要団体である。
2025年末の構成員等は約2,600人、正式な構成員は約1,600人となっている。
2025年5月には総裁の辛炳圭氏が死去し、警察庁の報告によると、会長の内堀和雄氏が代表する者として公示された。同年10月には組織内の昇格人事なども行われている。
神戸山口組・絆會・池田組:分裂から生まれた組織
神戸山口組は、2015年8月末に六代目山口組から離脱した組長らによって結成された組織である。2016年4月に指定暴力団となった。
その後、神戸山口組の内部からも離脱する動きが起きた。
2017年4月には一部の傘下組織が任侠山口組の結成を明らかにし、2018年3月に指定暴力団として指定された。2020年2月には絆會へ名称を変更している。
池田組は、2020年7月に神戸山口組傘下からの離脱を表明し、2021年11月に岡山県公安委員会から指定暴力団として指定された。
2026年の動向を理解するうえでは、これらの組織が単純に消滅したわけではないことも重要だ。正式な構成員等は大幅に減少しているものの、指定暴力団としての法的な位置付けや抗争指定の状況は、それぞれ別に判断されている。
指定暴力団一覧2026年:全国24団体
指定暴力団は、都道府県公安委員会が暴力団対策法に基づいて指定する組織である。
2025年6月時点では25団体だったが、2026年5月には変化があった。大阪府警は、十代目酒梅組について再指定を見送る方針を明らかにした。現在の指定は2026年5月25日までで、勢力の衰退などから再指定の必要性が認められなかったと報じられている。
このため、2026年6月に更新された静岡県警の資料では、2026年5月末時点の指定暴力団は全国24団体となっている。
確認できる24団体は次のとおりだ。
- 六代目山口組
- 稲川会
- 住吉会
- 五代目工藤會
- 旭琉會
- 八代目会津小鉄会
- 六代目共政会
- 八代目合田一家
- 四代目小桜一家
- 五代目浅野組
- 道仁会
- 二代目親和会
- 双愛会
- 三代目俠道会
- 太州会
- 極東会
- 二代目東組
- 松葉会
- 四代目福博会
- 二代目浪川会
- 神戸山口組
- 絆會
- 関東関根組
- 池田組
ここで押さえておきたいのが、指定解除や再指定の見送りは、必ずしも組織そのものの解散を意味しないという点である。
酒梅組についても、指定暴力団から外れたことと、団体としての活動が完全に終了したことは別問題だ。指定の有無だけで、暴力団に関係する危険性を判断することはできない。
【法律と規制】暴力団対策法の仕組みと暴力団排除条例は何を制限するのか
1992年に施行された暴力団対策法
暴力団対策法は、暴力団員による不当な要求や、組織の威力を利用した資金獲得行為などを規制し、市民生活の安全と平穏を守るために制定された法律である。
1991年に成立し、1992年3月に施行された。
この法律の特徴は、暴力団員による特定の不当行為に対して、都道府県公安委員会が行政命令を出せる点にある。
代表的な規制の仕組みは次のとおりだ。
- 指定暴力団の指定:法律に定める要件を満たした団体を公安委員会が指定する。
- 暴力的要求行為の禁止:組織の威力を利用した不当な金品要求などを規制する。
- 中止命令:違法な要求行為が認められた場合、公安委員会の委任を受けた警察署長などが行為の中止を命じる。
- 再発防止命令:同種の行為を繰り返すおそれがある場合、公安委員会が再発防止のための命令を出す。
- 特定抗争指定:抗争によって市民の生命や身体に危険が及ぶおそれがある場合、警戒区域を設定して組員の活動を制限する。
- 代表者の損害賠償責任:一定の条件下で、組織の代表者等に民事上の損害賠償責任を負わせる仕組みがある。
特に重要なのは、暴力団対策法が単に構成員を取り締まるだけの法律ではないことだ。組織の威力を使った資金獲得行為や、抗争によって周囲に生じる危険を抑制することも目的としている。
なお、暴力団に所属しているという事実だけで、あらゆる行為が一律に犯罪になるわけではない。法律が規制する具体的な行為や、別の刑罰法規に該当する行為を区別して理解する必要がある。
暴力団排除条例によって社会との関係も制限
暴力団対策法と並ぶ重要な仕組みが、各都道府県の暴力団排除条例である。
2011年10月までに全都道府県で施行され、自治体、住民、事業者が連携して暴力団排除に取り組む制度が整備された。
条例の主な内容は以下のとおりだ。
- 事業者が暴力団員などに利益を供与することの禁止。
- 暴力団の威力を利用する目的で金銭や財産上の利益を提供する行為の規制。
- 不動産の売買や賃貸における暴力団排除措置。
- 契約書への暴力団排除条項の導入。
- 学校などの周辺での暴力団事務所の新設・運営の制限。
- 青少年を暴力団から守るための啓発活動。
これらの規制によって、暴力団は従来のように一般企業や不動産業界、金融機関などと自由に関係を構築することが難しくなった。
特に企業の契約管理や金融機関の取引審査は、組織の資金調達を困難にする重要な要素となっている。
2026年も続く特定抗争指定の動向
2026年の大きな変化として、山口組分裂をめぐる特定抗争指定の一部解除が挙げられる。
2026年9月8日には六代目山口組と池田組の特定抗争指定が解除された。加えて、同月21日には六代目山口組と絆會の指定も解除された。
一方、六代目山口組と神戸山口組については、兵庫県など9府県の公安委員会が指定期限を2027年1月6日まで延長した。
特定抗争指定を受けると、警戒区域内では事務所の使用や新設、対立組織の構成員への接近、おおむね5人以上での集合などが制限される。
指定解除は抗争の沈静化を判断した結果であり、暴力団そのものが解散したことや、通常の指定暴力団としての規制がなくなったことを意味しない。
【徹底比較】ヤクザと半グレ・匿名流動型犯罪グループの違い
ヤクザと半グレは何が違うのか
「半グレ」とは、暴力団に正式加入していないものの、集団的に犯罪や暴力行為に関与する不良グループなどを指す社会的な呼称である。
法律上の統一された組織分類ではなく、警察が使用する「準暴力団」や「匿名・流動型犯罪グループ」と必ずしも同じ意味ではない。
両者の違いを整理すると、次のようになる。
- ヤクザ:組長を頂点とする階層的な組織構造を持ち、組織の威力や人間関係を背景に活動する。
- 半グレ:正式な暴力団組織に所属せず、比較的緩やかな集団を形成することが多い。
- 準暴力団:暴走族OBなどを中心に、暴力団に準ずる集団として警察が位置付けてきたもの。
- 匿名・流動型犯罪グループ:SNSなどを通じてメンバーが入れ替わり、匿名性の高い中核部分が犯罪収益を管理する集団。
また、半グレと暴力団は完全に独立しているわけではない。暴力団の元構成員や現役構成員が、こうした集団と関係を持つケースもある。
匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)とは
匿名・流動型犯罪グループは、近年の日本の組織犯罪対策で特に重視されている存在だ。
警察庁は、SNSや求人サイトなどを通じて緩やかにつながり、犯罪の内容に応じてメンバーを入れ替える集団を、匿名・流動型犯罪グループとして位置付けている。
その特徴は、従来の暴力団とは組織構造が異なることにある。
暴力団は、組長を頂点とする比較的明確な上下関係が存在する。一方、トクリュウでは、犯罪収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、実行役などがその都度募集される。
警察庁の2026年4月公表資料では、2025年中に匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる主な資金獲得犯罪の検挙人員は6,679人とされている。
内訳は、詐欺3,075人、薬物事犯1,887人、窃盗1,020人などだった。この数字は関連する資金獲得犯罪の検挙人員であり、トクリュウの実際の構成員数を示すものではない。
暴力団とトクリュウは完全に別の組織なのか
ここが、2026年の日本の組織犯罪を理解するうえで最も要点だ。
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」では、暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの間に複数の関係性が確認されている。
具体的には、次のような実態が報告されている。
- 暴力団が匿名・流動型犯罪グループを配下に置き、犯罪行為を分担させるケース。
- トクリュウ側が暴力団に資金を提供し、その威力を利用して資金獲得活動を行うケース。
- 暴力団構成員がトクリュウの首領やメンバーとして活動するケース。
- 暴力団と外国人犯罪組織の連携に、トクリュウが結節点として関与するケース。
つまり、暴力団が減少する一方で、その人的ネットワークや威力が新しい犯罪グループと結び付く可能性がある。
従来型の暴力団と新しい犯罪グループを完全に別々の問題として扱うだけでは、実際の犯罪構造を十分に把握できないのである。
【衰退の理由】なぜ日本のヤクザは減少したのか?今後の課題も分析
理由1:暴力団対策法による継続的な規制
暴力団減少の大きな要因の一つは、1992年に施行された暴力団対策法だ。
以前は、組織の威力を背景にした不当要求などに対し、個別の犯罪が成立するかどうかを中心に対応する必要があった。
暴力団対策法の施行によって、指定暴力団員による一定の暴力的要求行為に対して行政命令を出す仕組みが整備された。
加えて、特定抗争指定や特定危険指定などの制度が追加され、抗争や危険な活動を抑制するための法的手段も強化された。
理由2:暴力団排除条例による資金調達の困難化
暴力団排除条例の全国的な整備は、組織の経済的基盤にも影響を及ぼしている。
企業や自治体が暴力団との関係遮断を進め、不動産取引や金融取引、各種契約における排除措置が一般化した。
その結果、組織の威力を利用して一般社会から利益を得ることが以前より難しくなった。
暴力団の勢力縮小は、警察による直接的な検挙だけでなく、社会全体が資金や活動場所を提供しない仕組みを整えてきた結果でもある。
理由3:主要団体の分裂と内部勢力の縮小
2015年の六代目山口組分裂は、日本の暴力団勢力図を大きく変えた出来事だった。
神戸山口組の結成、その後の絆會や池田組の離脱によって、山口組を中心とする組織関係は複雑化した。
こうした分裂は、組織の統制や勢力の維持に影響を及ぼした。一方で、分裂後の対立抗争は市民生活にも危険をもたらし、警察による集中取締りと特定抗争指定の対象となった。
2025年末時点でも、主要6団体の構成員等は全国の71.0%を占める。全体の勢力が縮小しているにもかかわらず、主要団体への集中が続いていることは見逃せない。
理由4:若年層の加入抑制と社会的孤立
暴力団の活動環境が厳しくなったことで、一般社会から離れて組織に加入することの不利益も大きくなっている。
銀行口座の開設、住宅の契約、就職、事業活動など、生活のさまざまな場面で暴力団排除の仕組みが機能している。
こうした状況は、新たな構成員の確保や組織の継続に影響する。
ただし、組織から離脱した人が自動的に社会復帰できるわけではない。警察庁も、暴力団からの離脱支援や就労支援、社会復帰後のフォローアップを重要な課題として挙げている。
2026年以降に残される3つの課題
暴力団勢力が過去最少になったことは、長年の排除活動の成果を示している。しかし、組織犯罪対策には引き続き課題がある。
第一に、資金源の遮断である。構成員が減少しても、犯罪収益を確保する仕組みが残れば組織の影響力は維持される。警察庁が重視しているのも、末端の実行犯だけでなく、中核人物や資金の流れを解明することだ。
第二に、トクリュウとの関係解明である。匿名・流動型犯罪グループは、従来の組織犯罪とは異なる構造を持つ。暴力団との人的・資金的な関係を含め、組織全体を把握する捜査体制が必要になる。
第三に、離脱者の社会復帰である。暴力団から離脱した人が安定した仕事や生活基盤を得られなければ、再び犯罪組織と関係を持つリスクが残る。取締りと社会復帰支援を両立させることが重要だ。
【プロの結論】日本のヤクザの衰退を判断する際には、構成員数だけでなく、組織の経済力、人的ネットワーク、犯罪グループとの関係、社会に及ぼす影響を総合的に見る必要がある。1万7,600人という過去最少の数字は大きな変化だが、組織犯罪の形が変化していることまで考慮しなければ、現在の治安情勢を正確に理解することはできない。
日本のヤクザに関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本のヤクザは何人いる?
A1:警察庁の2025年末統計では、暴力団構成員等は約1万7,600人。そのうち正式な構成員が約9,400人、準構成員等が約8,200人となっている。
Q2:2026年現在、指定暴力団は何団体ある?
A2:静岡県警が公表した2026年5月末時点の資料では24団体。2025年には25団体だったが、十代目酒梅組の再指定が見送られ、指定団体数が減少した。
Q3:日本で最も大きな暴力団はどこ?
A3:2025年末の警察庁統計では六代目山口組が最大規模。構成員等は約6,300人、正式な構成員は約3,100人とされている。
Q4:ヤクザと半グレは何が違う?
A4:ヤクザは組長を頂点とする階層的な組織構造を持つのに対し、半グレは正式な暴力団に所属しない比較的緩やかな集団を指す社会的な呼称。両者が人的・資金的に関係する場合もある。
Q5:匿名・流動型犯罪グループとヤクザは同じ?
A5:同じではない。トクリュウはSNSなどでメンバーが流動的に集まり、犯罪ごとに役割を分担する特徴を持つ。ただし、警察庁は暴力団構成員や元構成員がトクリュウの中核に関与するケースも確認している。
Q6:暴力団対策法によってヤクザへの加入は禁止されている?
A6:暴力団対策法は、指定暴力団員による暴力的要求行為などを規制する法律であり、所属すること自体を一律に犯罪とするものではない。ただし、暴力団員の活動はさまざまな法令や条例によって厳しく制限されている。
まとめ:日本のヤクザは衰退しているが組織犯罪の脅威は残る
2026年の日本のヤクザを取り巻く状況は、構成員の減少と組織犯罪の変化という2つの側面から理解する必要がある。
警察庁の2025年末統計では、暴力団構成員等は約1万7,600人となり、過去最少を更新した。六代目山口組、住吉会、稲川会などの主要6団体が全体の71.0%を占め、組織の集中傾向も続いている。
また、2026年5月末時点の指定暴力団は24団体となり、酒梅組の再指定見送りなど、組織の衰退を象徴する動きもあった。山口組分裂をめぐる特定抗争指定についても、池田組・絆會との指定解除と神戸山口組との指定延長という変化が生じている。
一方、匿名・流動型犯罪グループとの関係や、特殊詐欺、薬物犯罪、資金洗浄などの問題は残されている。従来型の暴力団だけを取り締まれば解決するという時代ではなくなった。
今後の焦点は、暴力団の構成員数を減らすことに加え、犯罪収益の流れを断ち、匿名化された組織の中核人物を解明し、離脱者の社会復帰を支援することにある。
日本のヤクザは確実に縮小している。しかし、組織の看板や構成員数だけでは測れない犯罪ネットワークの変化こそ、2026年以降の日本社会が注視すべき問題である。
主な根拠資料(2026年11月時点の確認資料)
- 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月公表):構成員数、主要6団体、犯罪情勢、トクリュウとの関係。
- 静岡県警察「暴力団対策」(2026年6月更新):指定暴力団24団体の一覧。
- 警察庁「警察白書」およびe-Gov法令検索:暴力団の歴史、暴力団対策法、暴力団排除条例。
- 神戸新聞、KSB瀬戸内海放送、サンテレビ等の2026年9~10月報道:特定抗争指定の解除・延長。
- 神戸新聞(2026年5月21日):十代目酒梅組の再指定見送り。