2026年11月現在、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の本部は、東京都渋谷区松濤1丁目1番2号に所在している。2026年3月4日に東京高等裁判所が解散命令を維持し、同年6月22日には最高裁判所が教団側の特別抗告を棄却したことで、解散命令をめぐる司法判断は最終的に確定した。
ただし、解散命令が確定したからといって、本部ビルが直ちに取り壊されたり、教団に関係するすべての施設が消滅したりしたわけではない。現在は裁判所が選任した清算人・伊藤尚弁護士のもとで、資産の管理・処分、債権者への対応、被害者への弁済に向けた手続きが進んでいる。10月20日付の第6回清算報告書では、債権申出の申請者が337人に達したことも明らかになった。
【結論】統一教会本部の所在地と松濤の本部ビルは現在どうなっている?

旧統一教会の正式名称は「世界平和統一家庭連合」。一般に統一教会、旧統一教会、家庭連合などと呼ばれてきた宗教団体である。
本部所在地として登録されているのは、東京都渋谷区松濤1丁目1番2号。渋谷区内でも住宅地として知られる松濤に位置する。
この所在地は、宗教情報リサーチセンターの団体データベースや、文化庁が公表した宗教法人に関する資料でも確認できる。
現在の本部ビルについて、押さえておきたい事実は次の3点だ。
- 解散命令後も建物が直ちに取り壊されたわけではない。
- 本部に関係する不動産は、清算人による財産管理の対象となっている。
- 建物の売却や解体が完了したという公表はなく、今後の処分方針も個別には明らかになっていない。
2026年4月10日の衆議院法務委員会では、旧統一教会の本部が現在も渋谷区松濤にあり、清算人が管理している旨の発言が記録されている。
加えて、10月20日付の清算人報告書には、本部所属の経理・総務・法務・人事などの職員約30人を除き、前回報告書の提出日までに全職員を解雇したとの記載がある。
つまり、現在の本部は従来の宗教法人としての運営拠点という位置づけから、清算業務に関係する財産・組織の管理拠点という性格に変わっている。
ただし、約30人の職員が残っていることと、本部ビルが従来と同じ形で一般的な教団活動に使用されていることは同義ではない。
【2026年最新】統一教会の解散命令から最高裁確定までの経緯
今回の解散命令は、2026年3月4日に突然始まったものではない。
文部科学省による解散命令請求を受け、東京地方裁判所が2025年3月25日に解散を命じたことが出発点となった。
教団側はこの決定を不服として即時抗告したが、東京高裁は2026年3月4日に抗告を棄却。さらに最高裁への特別抗告も同年6月22日に退けられた。
解散命令をめぐる重要な時系列
| 時期 | 出来事 | 意味・その後の影響 |
|---|---|---|
| 2025年3月25日 | 東京地裁が解散命令 | 清算に向けた司法判断の出発点 |
| 2026年3月4日 | 東京高裁が即時抗告を棄却 | 解散命令が効力を生じ、清算開始 |
| 2026年5月20日 | 債権申出の受付開始 | 被害者などによる債権申出が可能に |
| 2026年6月22日 | 最高裁が特別抗告を棄却 | 解散命令をめぐる司法判断が確定 |
| 2026年7月22日 | 第4回清算報告書を提出 | 解散時点の資産約834億円が公表される |
| 2026年10月20日 | 第6回清算報告書を提出 | 債権申請者337人、資産管理の進捗が報告される |
東京高裁が解散命令を維持した理由
東京高裁が重視したのは、長期間にわたる献金勧誘などの不法行為と、教団組織としての関与だった。
決定では、信者らによる違法な献金勧誘などについて、社会通念上相当な範囲を逸脱した方法が問題とされた。
また、教団が2009年にコンプライアンス宣言を出した後も、実効性のある再発防止策が十分に機能していなかったことが判断材料となった。
2026年3月4日の東京高裁決定は、東京地裁の解散命令を維持し、教団側の即時抗告を棄却した。
重要なのは、この時点で解散命令の効力が発生したことだ。
教団側が最高裁に特別抗告をしても、それだけで東京高裁の決定の効力が停止するわけではなかった。そのため、最高裁の判断を待たずに清算手続きが始まった。
最高裁は2026年6月22日に何を判断したのか
最高裁判所第三小法廷は2026年6月22日、教団側の特別抗告を棄却した。
判断の中心となったのは、宗教法人法81条1項1号に規定された解散命令の要件と、憲法が保障する信教の自由との関係である。
最高裁は、民法709条に基づく不法行為を構成する行為も、同号の「法令に違反」する行為に該当すると判断した。
加えて、教団による組織的関与、長期間にわたる被害、再発防止措置の不十分さなどを踏まえ、解散命令は必要かつやむを得ないと結論づけた。
この決定によって、解散命令をめぐる司法判断は最終的に確定した。
【本部ビルの現在】清算人・伊藤尚弁護士による資産管理の実態
本部ビルの現在を理解するうえで、中心となる人物が清算人の伊藤尚弁護士である。
伊藤弁護士は、2026年3月4日に東京地方裁判所によって清算人に選任された。
清算人とは、解散した法人の財産関係を整理し、債権の回収や債務の弁済、残余財産の処理などを進める立場の者だ。
旧統一教会の清算人は、教団の元代表者や従来の役員とは異なる立場で、東京地裁の監督のもとに清算業務を進めている。
清算人に与えられた権限
清算人の主な職務は次のとおり。
- 教団の現務を終了させる。
- 法人が所有する資産を調査・管理する。
- 必要に応じて不動産やその他の資産を処分する。
- 債権者からの申出を受け付け、債権の有無を調査する。
- 認められた債務について弁済する。
- 残余財産の処理を進める。
清算人の公式FAQによると、清算人は法人に帰属する財産を管理・処分する包括的な権限を有している。
したがって、松濤の本部ビルも、法人に帰属する不動産であれば、清算人による資産管理の対象となる。
2026年10月時点で進む不動産の整理
10月20日付の第6回報告書では、不動産の処理について具体的な進捗が記されている。
清算人団は、所有不動産のうち、使用していない遊休不動産や、所有リスクが相対的に高い物件から売却活動に着手した。
それ以外の不動産については、管理状況、物件が抱えるリスク、維持管理コストなどを考慮しながら、今後の管理・処理方針を検討している。
一方、賃借していた教会施設などについては、賃貸借契約の解約と物件の明け渡しが進んでいる。
第6回報告書の提出時点で、賃貸借契約の処理は9割を超えて完了していた。
また、所有不動産の維持管理などを行うため、解雇した元職員数十人との間で業務委託契約も結ばれている。
ここで注意したいのは、全国の遊休不動産の売却活動が始まっていることと、松濤の本部ビルの売却が決定したことは別問題だという点である。
本部ビルについては、個別の売却決定や解体計画が公表されたわけではない。
【資産834億円の真相】旧統一教会の財産はどこまで整理された?
清算手続きで特に注目された数字が、約834億円という資産額だ。
2026年7月、清算人が東京地裁に提出した報告書により、東京高裁が解散命令を出した2026年3月4日時点で、教団の資産が約834億円に達していたことが明らかになった。
共同通信などの報道によると、その内訳は次のとおり。
- 現金・預金:約450億円
- 固定資産:約382億円
固定資産には、本部の土地・建物のほか、自動車、船舶、絵画、有価証券などが含まれる。
つまり、834億円すべてが現金として保有されていたわけではない。
10月20日付報告書で確認できる最新の財産状況
さらに注目すべきなのが、2026年10月20日に提出された第6回清算報告書だ。
この報告書には、2026年6月30日現在の貸借対照表が掲載されている。
| 項目 | 2026年6月30日時点 |
|---|---|
| 資産合計 | 約714億2,000万円 |
| 現金・預金 | 約406億3,000万円 |
| 土地・建物 | 約289億4,000万円 |
| 車両運搬具 | 約1億3,400万円 |
| 絵画 | 約1億6,400万円 |
| 正味資産 | 約704億8,000万円 |
この数字を見ると、3月4日時点で公表された約834億円より、6月末の貸借対照表上の資産合計は小さくなっている。
ただし、両者は基準日が異なるうえ、6月末の貸借対照表は帳簿価額を基礎としている。
清算人報告書には、資産の換金可能性について検討が終わっていないものがあること、実際の処分額と帳簿価額に差が生じる可能性があることも記されている。
したがって、834億円から714億円に減少したという単純な比較だけで、資産が消失したと判断することはできない。
本部ビルの資産価値は382億円なのか?
ここは誤解が生まれやすい部分だ。
約382億円という数字は、教団が保有していた固定資産全体の規模であり、松濤の本部ビル単体の評価額ではない。
土地・建物だけでなく、複数の種類の資産が含まれている。
また、6月30日時点の貸借対照表に記載された土地・建物の約289億4,000万円も、法人が保有する土地・建物全体の帳簿価額である。
本部ビルだけの市場価格や売却予定価格を示すものではない。
本部ビルの今後を判断するには、清算人による個別物件の管理・処分方針や、実際の売却に関する公表を確認する必要がある。
【被害者への弁済】債権申出の期限は2027年5月20日
旧統一教会の清算手続きで、被害者や元信者にとって特に重要なのが債権申出制度だ。
過去の違法な献金勧誘などによって損害を受けた人が、教団に対して損害賠償などを求める場合、清算人に債権を申し出る必要がある。
債権申出の受付期間
法テラスや清算人の公式発表によると、受付期間は以下のとおり。
- 受付開始:2026年5月20日
- 受付終了:2027年5月20日
- 受付期間:1年間
2026年10月20日付の第6回報告書では、提出日前日の確認時点で、債権申出の申請者は337人となっていた。
清算人団は裁判所と協議しながら、申出のあった債権の調査を開始している。
債権申出の方法は2種類
清算人が案内している申出方法は、オンラインと郵送の2種類だ。
1.オンラインによる申出
清算人の公式ホームページから債権申出フォームを利用する。アカウント登録とログインを行い、申出人や債権に関する情報を入力する方式だ。
2.書面による申出
清算人が用意した所定の債権申出書に必要事項を記載し、郵送する方法だ。
本人確認書類や献金に関する資料など、必要な書類については清算人の案内に従って準備する必要がある。
過去に補償委員会へ申請した人も注意
特に注意したいのが、以前の補償委員会に申請していた人だ。
清算人の公式FAQでは、補償委員会への申請と、今回の清算手続における債権申出は別の手続きと説明されている。
過去に補償委員会へ資料を提出していても、その申請が自動的に清算人へ引き継がれるわけではない。
そのため、今回の清算手続で弁済を求める場合は、別途、債権申出の手続きを確認する必要がある。
また、法テラスのFAQでは、自分自身が献金をしていない宗教2世についても、親の信仰活動や献金などによって精神的・経済的な不利益を受けたと考える場合、債権申出が可能となる場合があると案内されている。
ただし、最終的に損害賠償請求権として認められるかどうかは、申出内容や資料などをもとに清算人が判断する。
申出を行っただけで、請求した金額がそのまま全額支払われるわけではない。
債権の存在や金額について調査・判断が行われ、認められた債権について、清算手続のルールに従って弁済が進められる。
【誤解を解消】解散命令で宗教活動も禁止されたのか?
旧統一教会の解散命令をめぐっては、「教団そのものが完全に消滅した」「信者の宗教活動も禁止された」といった誤解が生まれやすい。
しかし、法律上は区別が必要だ。
失われたのは宗教法人としての法人格
最高裁の2026年6月22日決定は、解散命令によって宗教法人の法人格が失われる一方、信者による宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果はないと説明している。
つまり、宗教法人としての法的な地位を失うことと、信者が信仰を続けられなくなることは同じではない。
信者らが法人格を持たない宗教団体として活動を続けたり、新たな団体を結成したりすることまで、解散命令が禁止するわけではない。
清算が終わるまでは清算法人として存続する
もう一つ重要なのが、法人の消滅時期だ。
宗教法人法48条の2では、解散した宗教法人は清算の目的の範囲内で、清算が結了するまで存続するものとされている。
したがって、2026年3月4日に解散命令の効力が生じたからといって、法人の財産関係が同日にすべて消滅したわけではない。
清算人が資産や債務を整理し、債権者への対応を終え、残余財産の処理を進める必要がある。
この清算が結了した段階で、法人格そのものが消滅する。
関連団体もすべて解散したわけではない
清算人の公式FAQは、今回の解散命令の効力が生じたのは世界平和統一家庭連合という当該法人のみだと説明している。
関連団体や別法人まで、解散命令によって自動的に解散したわけではない。
各団体の法人格や財産、活動については、それぞれの法的な位置づけに基づいて判断する必要がある。
この区別は、今後の報道を理解するうえでも欠かせない。
【よくある質問】統一教会本部に関するFAQ
Q1:統一教会本部の所在地はどこですか?
A1:東京都渋谷区松濤1丁目1番2号です。正式名称は世界平和統一家庭連合で、旧統一教会としても知られています。
Q2:旧統一教会の本部ビルは現在、売却・解体されたのですか?
A2:2026年10月20日付の第6回清算報告書までに、本部ビルの売却や解体が完了したという公表はありません。現在は清算人による財産管理の対象となっており、個別の処分方針は明らかになっていません。
Q3:旧統一教会の被害者が債権を申し出る期限はいつですか?
A3:2027年5月20日です。2026年5月20日に受付が始まり、オンラインまたは郵送で申し出ることができます。以前の補償委員会に申請した人も、今回の清算手続について別途確認する必要があります。
まとめ:統一教会本部の今後は清算と資産処分が焦点
2026年11月現在、旧統一教会の本部は東京都渋谷区松濤1丁目1番2号にあり、解散命令の効力発生後は、清算人による資産管理の段階に入っている。
2026年3月4日の東京高裁決定、6月22日の最高裁による特別抗告棄却を経て、解散命令をめぐる司法判断は確定した。
一方、清算そのものはまだ終わっていない。
約834億円と公表された解散時点の資産は、清算人による調査・管理・処分の対象となり、10月20日付の報告書では6月末時点の資産合計約714億円、債権申請者337人という状況が示された。
今後の注目点は、主に次の4つだ。
1. 松濤の本部ビルを含む所有不動産の管理・売却方針
2. 約834億円と公表された資産の最終的な換金・処分状況
3. 2027年5月20日までの債権申出と被害者への弁済
4. 清算結了までに必要となる負債調査と残余財産の処理
特に本部ビルについては、解散命令の確定と建物の売却・解体を混同しないことが大切だ。
旧統一教会の問題は、司法判断が終わっただけで完結するものではない。被害者への救済がどこまで実現するのか、そして膨大な資産がどのように整理されるのか。今後は清算人の定期報告と裁判所への提出資料が、実態を把握するための重要な情報源となる。
編集上の確認資料
記事の主要事実は、以下の一次資料・公的資料を中心に照合しています。
- 本部所在地:宗教情報リサーチセンターの団体データベース、文化庁の指定宗教法人資料。
- 解散命令:東京高裁2026年3月4日決定、文部科学省発表。
- 最高裁判断:最高裁第三小法廷2026年6月22日決定。
- 本部・資産管理:衆議院法務委員会会議録、清算人の2026年10月20日付第6回報告書。
- 資産834億円:清算人の報告書に関する共同通信報道。
- 債権申出:法テラス、清算人公式FAQ。