東京メトロの運賃改定2023は、2023年3月18日から実施された「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づく料金加算です。一般的な運賃値上げとは異なり、普通運賃には大人1回乗車につき10円、通勤定期券には大人1か月あたり370円が加算される仕組みで、通学定期券は対象外となりました。
2026年10月現在、このバリアフリー料金は通常区間の運賃に含まれています。一方、2026年3月14日には千代田線の綾瀬駅・北千住駅間の特定運賃が変更され、さらに10月30日には2029年3月の本格的な運賃改定を目指す方針も報じられました。過去の制度変更と現在の料金、今後の値上げは、それぞれ分けて理解する必要があります。
【まず結論】東京メトロ運賃改定2023は通常の値上げとは何が違った?

2023年の変更を理解するうえで重要なのは、東京メトロが基本運賃そのものを全面的に引き上げたわけではないという点です。
導入されたのは、国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」です。
この制度は、鉄道事業者が駅のバリアフリー設備を整備・維持するため、利用者から広く料金を収受できる仕組みです。
東京メトロは2022年4月25日に制度の活用を発表し、同年12月22日に具体的な収受開始日を公表しました。そして、2023年3月18日発売分から料金の加算が始まりました。
対象となったのは東京メトロ全路線の普通乗車券や通勤定期券などです。ただし、通学定期券には料金を設定しないという例外が設けられています。
2023年の加算額は乗車券の種類で異なる
主な加算額は次のとおりです。
- 普通運賃:大人1回乗車につき10円
- ICカード:大人1回乗車につき10円
- 通勤定期券:大人1か月370円
- 通勤定期券:大人3か月1,050円または1,060円
- 通勤定期券:大人6か月1,990円または2,000円
- 通学定期券:加算なし
3か月・6か月の定期券で加算額が複数設定されているのは、定期券の運賃区分によって料金が異なるためです。
また、2023年3月17日までに購入した定期券は、有効開始日が3月18日以降でも、購入時の旧料金が適用されました。
つまり、変更の基準は乗車日だけではなく、定期券の購入日も関係していたのです。
なぜ「値上げ」と「バリアフリー料金の加算」を区別する必要があるのか
一般的な運賃改定では、鉄道会社の収入構造や運行コストなどを踏まえて基本運賃そのものを見直します。
一方、2023年の東京メトロの変更は、駅のバリアフリー化に必要な費用を確保するための制度的な加算でした。
利用者から見れば支払額が増える点は同じですが、料金の目的と位置づけは異なります。
この違いを理解しておけば、2029年に予定される本格的な運賃改定と、2023年から続くバリアフリー料金を混同せずに済みます。
【料金を徹底比較】普通運賃・ICカード・通勤定期・通学定期はどう変わった?
東京メトロの運賃を調べる際に、特に注意したいのがICカードときっぷの違いです。
どちらも2023年に大人10円のバリアフリー料金が加算されましたが、通常の運賃計算方法が異なるため、2026年現在の支払額には差があります。
2026年最新の東京メトロ普通運賃表
2026年10月31日現在、東京メトロ公式サイトに掲載されている通常区間の普通運賃は以下のとおりです。
単位:円。大人・小児とも1回乗車あたり。
| 乗車距離 | きっぷ・大人 | IC・大人 | きっぷ・小児 | IC・小児 |
|---|---|---|---|---|
| 1~6km | 180 | 178 | 90 | 89 |
| 7~11km | 210 | 209 | 110 | 104 |
| 12~19km | 260 | 252 | 130 | 126 |
| 20~27km | 300 | 293 | 150 | 146 |
| 28~40km | 330 | 324 | 170 | 162 |
表に掲載した金額には、通常区間の鉄道駅バリアフリー料金が含まれています。
ICカード運賃ときっぷ運賃はどちらがお得?
基本的には、ICカードのほうが安く設定されています。
例えば、1~6kmの区間では次の違いがあります。
- きっぷ:180円
- ICカード:178円
- 差額:2円
また、12~19kmでは、きっぷ260円に対してICカードは252円です。
このように、距離によって差額が異なります。
理由は、きっぷが10円単位、ICカードが1円単位で運賃を計算する仕組みだからです。
重要なのは、ICカードだからバリアフリー料金が免除されるわけではないという点です。ICカードにも大人1回10円の加算が適用されています。
通勤定期券370円加算の仕組み
通勤定期券の場合、普通運賃のように乗車するたびに10円を追加するのではなく、定期券の有効期間に応じて料金が加算されます。
大人の主な加算額は以下のとおりです。
| 定期券の期間 | バリアフリー料金 |
|---|---|
| 1か月 | 370円 |
| 3か月 | 1,050円または1,060円 |
| 6か月 | 1,990円または2,000円 |
これは定期券の基本運賃に対する追加料金です。定期券の総額そのものではありません。
毎日通勤する利用者にとっては、普通運賃の10円加算とは異なる形で負担が生じる仕組みになっています。
通学定期券はなぜ加算対象外なのか
通学定期券については、大人・小児ともに鉄道駅バリアフリー料金が加算されません。
これは2023年の制度導入時から設けられた取り扱いです。
通勤定期券と通学定期券は、同じ定期券でも料金制度上の扱いが異なります。
学生や保護者が定期券を購入する際には、通勤用と通学用を間違えないようにする必要があります。
小児運賃の計算方法にも注意
小児運賃は、バリアフリー料金を加算した後の大人運賃を基準に計算します。
ただし、きっぷとICカードでは端数処理が異なります。
- きっぷ:大人運賃の半額を計算し、10円未満の端数を10円単位に切り上げる。
- ICカード:大人運賃の半額を計算し、1円未満の端数を切り捨てる。
例えば、7~11kmの場合、大人のきっぷ運賃は210円です。
半額は105円ですが、きっぷでは10円単位に切り上げるため、小児運賃は110円になります。
一方、ICカードは大人209円の半額を計算し、104.5円の端数を切り捨てるため104円です。
なお、小児運賃の対象は原則として6歳以上12歳未満で、12歳の小学生も含まれます。13歳未満でも小学校に在籍している場合は小児運賃が適用されます。
【制度の関係を整理】2023年から2026年までの運賃変更と重要事項
東京メトロの運賃を正確に理解するには、制度の導入、料金の加算、設備投資、特殊区間の変更を時系列で整理することが大切です。
| 対象・関係主体 | 内容・金額 | 利用者への影響・位置づけ |
|---|---|---|
| 国の制度 | 2021年12月創設 | 駅のバリアフリー整備費用を確保 |
| 東京メトロの届出 | 2022年4月25日 | 制度活用を正式に発表 |
| 普通運賃 | 大人1回10円加算 | きっぷ・ICカードとも対象 |
| 通勤定期券 | 1か月370円加算 | 通勤利用者が対象 |
| 通学定期券 | 加算なし | 大人・小児とも対象外 |
| 小児運賃 | 加算後の大人運賃の半額 | きっぷとICで端数処理が異なる |
| 2026年通常運賃 | 大人180~330円(きっぷ) | バリアフリー料金を含む |
| 綾瀬・北千住間 | IC155円・きっぷ160円 | 特殊運賃でバリアフリー料金の加算なし |
| バリアフリー整備計画 | 総整備費116,998百万円 | 2026年3月届出の計画値 |
| 2029年の運賃改定 | 2029年3月を目標 | 値上げ幅は今後検討 |
この一覧から分かるのは、2023年のバリアフリー料金と2029年に目指されている本格的な運賃改定は、別の制度変更だということです。
また、2026年の綾瀬・北千住間の特殊運賃も、通常区間とは異なる取り扱いになっています。
運賃表を見る際には、乗車区間と乗車券の種類まで確認する必要があります。
【導入理由を深掘り】ホームドア・エレベーター整備に必要な費用とは?
東京メトロがバリアフリー料金制度を導入した背景には、駅設備の新設だけでなく、既存設備の維持管理や更新にも継続的な費用が必要という事情があります。
2022年4月25日の公式発表では、ホームドアやエレベーターなどの整備を進め、年齢や障害の有無にかかわらず、すべての利用者が安全で快適に移動できる環境を目指すと説明されました。
ホームドア整備は転落事故防止の重要な対策
ホームドアは、駅のホームから線路への転落や列車との接触を防ぐための設備です。
特に視覚障害のある人や、混雑した時間帯に駅を利用する人にとって、安全性を高める重要な役割を担っています。
一方、ホームドアは設置すれば終わりではありません。
- ホーム構造に合わせた設置工事
- 車両との位置関係の調整
- 支障物センサーなどの設備導入
- 定期的な点検と保守
- 老朽化した設備の更新
こうした費用が継続的に発生します。
エレベーター設置とバリアフリー化
エレベーターの整備は、車いす利用者だけでなく、高齢者、妊娠中の人、ベビーカーを利用する人、けがをした人にも関係します。
東京メトロの整備計画では、単にエレベーターを設置するだけでなく、乗り換えルートや複数の移動経路の確保も進める方針が示されています。
加えて、次のような設備も整備対象です。
- エスカレーター
- バリアフリートイレ
- ホームと車両の段差・隙間を縮小する設備
- 視覚障害者誘導用ブロック
- 手すりや幅広自動改札機
- 車両内の車いす対応スペース
特に地下鉄では、駅の構造上、エレベーターの新設や乗り換え経路の確保が難しい場合もあります。
そのため、設備整備には長期的な投資が必要です。
2026年最新のバリアフリー整備費用
注目したいのが、東京メトロが2026年3月24日に届け出た最新のバリアフリー整備・徴収計画です。
同計画では、以下の金額が示されています。
バリアフリー整備の総整備費(計画値)1兆1,699億8,000万円
総整備費
116,998百万円
総徴収額(計画)
116,657百万円
年間徴収額(計画)
16,548百万円
徴収期間
2023年3月~2030年5月
2026年度から2030年度までの整備計画だけでも、55,292百万円が計上されています。
さらに2031年度の計画には13,312百万円が示されています。
つまり、バリアフリー料金は新しい設備を設置するためだけのものではありません。ホームドアやエレベーターなどを長期的に維持・更新するための財源としても位置づけられています。
【2026年の重要変更】綾瀬駅・北千住駅間の特殊運賃に注意
2026年の東京メトロ運賃を調べる際、見落としやすいのが千代田線の綾瀬駅・北千住駅間です。
この区間には一般的な東京メトロの普通運賃とは異なる特定運賃が設定されています。
加えて、2026年3月14日から料金が変更されました。
2026年3月14日の変更内容
| 区分 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 大人IC | 146円 | 155円 |
| 大人きっぷ | 150円 | 160円 |
| 小児IC | 73円 | 77円 |
| 小児きっぷ | 70円 | 80円 |
ここで特に注意したいのは、綾瀬駅・北千住駅間の相互発着には、鉄道駅バリアフリー料金が含まれず、別途加算もされないという点です。
一般区間ではバリアフリー料金が運賃に含まれていますが、この特殊区間は別の扱いになっています。
また、この区間をまたいでJR常磐線などと乗り継ぐ場合は、乗車経路によって適用運賃が変わります。
単純に綾瀬駅から北千住駅までの料金を、ほかの区間にも当てはめることはできません。
東京メトロ運賃検索で正確な料金を調べる方法
運賃を確認する場合は、東京メトロ公式の「運賃・のりかえ検索」を利用するのが確実です。
検索では、次の情報を確認できます。
1. 出発駅と到着駅
2. 乗り換え経路
3. 所要時間
4. 普通乗車券の運賃
5. 定期券の運賃
特に定期券は、利用できる経路や購入条件が関係するため、普通運賃だけで判断しないことが大切です。
また、きっぷとICカードの金額は異なるため、乗車方法も確認してください。
【2029年最新動向】東京メトロは本格的な運賃値上げを目指す
2026年10月31日時点で、新たに注目されているのが2029年3月の運賃改定方針です。
2026年10月30日、東京メトロが2029年3月に運賃引き上げを実施する意向を示したことが、読売新聞オンラインなどで報じられました。
これは2023年のバリアフリー料金のような目的を限定した加算とは異なり、基本運賃を含めた本格的な運賃改定を目指す動きです。
1995年以来となる本格的な運賃改定
報道によると、消費税率の変更やバリアフリー料金の導入を除けば、東京メトロの全面的な運賃改定は1995年以来となります。
2004年に営団地下鉄から民営化されて以降、本格的な値上げを実施していないという点でも、大きな転換点です。
背景として挙げられているのは、次のようなコスト上昇です。
- 電気料金などのエネルギーコスト
- 鉄道設備の保守管理に必要な資材費
- 人件費の上昇
- 安全対策に必要な設備投資
- 駅設備や車両の更新費用
2026年10月30日の決算記者会見では、坂田香奈財務部長が、利用者の利便性や安全性向上につながる設備投資を積極的に行う考えを説明したと報じられています。
2029年の値上げ幅はいくらになる?
現時点で最も注意したいのは、2029年の具体的な値上げ幅はまだ決まっていないという点です。
2026年10月31日現在、次の内容は確定していません。
- 初乗り運賃が何円になるか
- きっぷとICカードの運賃をどう変更するか
- 通勤定期券の値上げ幅
- 通学定期券の取り扱い
- 小児運賃の変更内容
したがって、2029年に180円の初乗り運賃が200円になるなど、具体的な数字を確定情報として扱うことはできません。
今後、会社側の正式な発表や運賃改定に関する手続きによって、具体的な金額が明らかになると考えられます。
2028年度からはQRコード乗車券も導入へ
2029年に向けて、乗車券の仕組みにも変化があります。
東京メトロは2026年10月30日、QRコードを活用した紙の乗車券を2028年度中に順次発売開始する方針を発表しました。
あわせて、2029年度末を目途に現在の磁気乗車券の発売を終了するとしています。
導入の背景には、磁気乗車券の券詰まりによる不便や、リサイクル時の環境負荷などがあります。
ただし、QRコード乗車券への移行と2029年3月の運賃改定は、別々の取り組みです。
QRコードになったから運賃が値上がりするという意味ではありません。
【東京メトロ運賃改定2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:東京メトロの2023年の運賃改定はいつから始まりましたか?
2023年3月18日発売分からです。普通運賃には大人1回乗車につき10円、通勤定期券には大人1か月あたり370円の鉄道駅バリアフリー料金が加算されました。
Q2:通学定期券にも370円の料金が加算されますか?
いいえ。通学定期券は大人・小児ともにバリアフリー料金の加算対象外です。通勤定期券とは取り扱いが異なります。
Q3:2026年現在の東京メトロの初乗り運賃はいくらですか?
通常区間では、1~6kmの大人運賃がきっぷ180円、ICカード178円です。いずれも鉄道駅バリアフリー料金を含んだ金額です。
Q4:小児運賃も10円加算されるのですか?
小児に独立した10円を加算するのではなく、バリアフリー料金を加算した大人運賃の半額を基準に計算します。きっぷは10円単位で切り上げ、ICカードは1円未満を切り捨てます。
Q5:綾瀬駅から北千住駅までの運賃もバリアフリー料金の対象ですか?
2026年3月14日以降、綾瀬駅・北千住駅間の相互発着に適用される特定運賃には、バリアフリー料金を含最初に、別途加算もしません。大人はIC155円、きっぷ160円です。
Q6:東京メトロは2029年に必ず値上げするのですか?
2026年10月30日に、2029年3月の運賃引き上げを目指す方針が報じられています。ただし、具体的な値上げ幅や各種運賃の変更内容はまだ決まっていません。
まとめ:2023年のバリアフリー料金と2029年の値上げは別問題
東京メトロの2023年運賃改定は、一般的な基本運賃の引き上げではなく、鉄道駅バリアフリー料金制度による追加料金の導入でした。
普通運賃は大人10円、通勤定期券は1か月370円が加算され、通学定期券は大人・小児ともに対象外です。
2026年10月現在、通常区間の普通運賃はきっぷ180~330円、ICカード178~324円となっています。ただし、綾瀬駅・北千住駅間のような特殊区間には別の運賃体系が存在します。
今後、特に注目すべき要点は3つです。
1. 2026年: バリアフリー料金を含む現在の運賃と、特殊区間の運賃変更を正しく把握する。
2. 2028年度: QRコード乗車券の順次導入が始まる。
3. 2029年3月: 東京メトロが本格的な運賃改定を目指しており、具体的な値上げ幅が今後の焦点となる。
利用者にとって大切なのは、現在の運賃に含まれるバリアフリー料金と、将来の基本運賃改定を混同しないことです。
2023年の変更は駅の安全性と移動のしやすさを高めるための制度的な加算でした。一方、2029年に向けた動きは、物価や人件費、設備投資などを踏まえた本格的な運賃体系の見直しです。
東京メトロを日常的に利用する人は、今後の正式発表に加え、通勤定期券・通学定期券・ICカードそれぞれの変更内容にも注目しておきたいところです。