満量処方の葛根湯を探すとき、代表的な候補になるのが第一三共ヘルスケアの「カコナール葛根湯顆粒」と佐藤製薬の「サトウ葛根湯顆粒」だ。
どちらも第2類医薬品で、満量処方を採用している。ただし、エキスの重量や1包の内容量には違いがある。
カコナール葛根湯顆粒とサトウ葛根湯顆粒の比較
2026年11月時点で確認できる各社の製品情報・説明文書を比較。
カコナール葛根湯顆粒の特徴
1包2g・12包入り
日本薬局方葛根湯エキスを全量配合。お湯に溶かして温服する方法にも対応している。
カコナールの特徴は、3包中に乾燥葛根湯エキス5.56gを含有することだ。
成人は1回1包を1日3回、朝・昼・夕に服用する。食前または食間が基本で、2歳以上の子どもにも年齢別の用量が設定されている。
第一三共ヘルスケアの製品説明では、眠くなる成分を含まないことも特徴として紹介されている。
サトウ葛根湯顆粒の特徴
1包1.6g・10包入り
7種類の生薬を使用した葛根湯エキスを配合。顆粒を水やお湯で服用できる。
サトウ葛根湯顆粒は、3包中に葛根湯エキス4.4gを配合している。
成人は1回1包、1日3回が基本。7~14歳は2/3包、4~6歳は1/2包、2~3歳は1/3包となっている。2歳未満は服用できない。
カッコン8g、マオウ4g、タイソウ4g、ケイヒ3g、シャクヤク3g、カンゾウ2g、ショウキョウ1gという原生薬の構成は、カコナールと同じだ。
3/4量・1/2量の葛根湯とは何が違う?
満量処方以外の製品では、3/4量や1/2量という表示も見られる。
基本的には満量処方に対する生薬・エキスの配合量を示す目安だ。
例えば、クラシエの葛根湯製品について広島県薬剤師会が公表した比較資料では、次の違いが示されている。
- 満量処方:葛根湯エキス5,200mg
- 3/4量:葛根湯エキス3,900mg
- 1/2量:葛根湯エキス2,600mg
いずれも1日分として比較した数値である。
ただし、別メーカーの1/2量製品では、各生薬の配合比率やエキス量が異なる例もある。
そのため、単に「1/2量」という表示だけを見て、すべての製品が満量処方の各成分を正確に半分にしたものだと考えるのは適切ではない。
満量処方を見分ける3つのポイント
1. パッケージに「満量処方」と明記されているか。
2. 説明文書に原生薬の種類と配合量が記載されているか。
3. 1日分のエキス量と原生薬換算量を確認できるか。
この3点を確認すれば、商品名や宣伝文句だけに左右されずに比較できる。
【効能・効果と飲み方】葛根湯はどんな症状に向いている?

葛根湯は、風邪のひき始めに用いられる代表的な漢方薬の一つだ。
ただし、風邪であればどのような症状にも適しているわけではない。
葛根湯の効能・効果
カコナールとサトウの製品表示に記載されている効能・効果は、次のとおりだ。
- 感冒の初期(汗をかいていないもの)
- 鼻かぜ
- 鼻炎
- 頭痛
- 肩こり
- 筋肉痛
- 手や肩の痛み
対象となるのは、基本的に体力中等度以上の人である。
特に、風邪の初期に寒気や頭痛、首筋から肩にかけてのこわばりなどがあり、まだ汗をかいていない状態が製品の想定する使用場面となる。
反対に、すでに大量の汗をかいている人や、体力が著しく低下している人は、自己判断で服用せず専門家に相談したい。
葛根湯の用法・用量
満量処方でも、通常処方でも、実際の服用量は製品ごとに決められている。
カコナール葛根湯顆粒とサトウ葛根湯顆粒の基本的な服用量は共通している。
| 年齢 | 1回量 | 1日回数 |
|---|---|---|
| 15歳以上 | 1包 | 3回 |
| 7歳以上15歳未満 | 2/3包 | 3回 |
| 4歳以上7歳未満 | 1/2包 | 3回 |
| 2歳以上4歳未満 | 1/3包 | 3回 |
| 2歳未満 | 服用しない | ― |
服用するタイミングは、朝・昼・夕の食前または食間だ。
食間とは、食事中ではなく、食事と食事の間を指す。一般的には前の食事から2~3時間後が目安となる。
また、お湯に溶かして温服することもできる。
注意したいのは、満量処方だからといって服用回数や1回量を増やしてはいけないこと。
自己判断で追加服用したり、異なるメーカーの葛根湯を交互に飲んだりするのは避けたい。必ず購入した製品の説明文書に従う必要がある。
服用しても改善しないときは?
風邪の初期、鼻かぜ、頭痛などを目的に服用しても、5~6回服用して症状が改善しない場合は、服用を中止して医師、薬剤師または登録販売者に相談することが製品説明書で案内されている。
満量処方に切り替えれば改善するという考え方ではなく、症状そのものを見直すことが大切だ。
高熱が続く、呼吸が苦しい、症状が急速に悪化するといった場合は、服用回数を重ねず医療機関に相談したい。
【副作用と注意点】満量処方の葛根湯を飲めない人は?
満量処方は、生薬の配合量が多い処方である。
そのため、成分の特徴や体質との相性を理解せずに服用することは避けたい。
特に注目したいのが、マオウとカンゾウの存在だ。
注意したい主な副作用
1.偽アルドステロン症・ミオパチー
カンゾウに含まれるグリチルリチン酸に関連して注意が必要な副作用だ。
手足のだるさ、しびれ、筋肉のこわばり、脱力感、筋肉痛などが現れ、徐々に強くなる場合がある。
むくみや血圧への影響にも注意したい。
2.肝機能障害
発熱、かゆみ、発疹、黄疸、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振などが症状として挙げられている。
皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなるなどの変化があれば、服用を中止して医療機関に相談する必要がある。
3.多形紅斑
2026年の添付文書改訂で新たに注意喚起された重篤な副作用だ。
皮膚が広い範囲で赤くなり、その部分に水疱が現れるほか、高熱やのどの痛みなどを伴うことがある。
4.一般的な副作用
発疹・発赤、かゆみ、吐き気、食欲不振、胃部不快感なども報告されている。
これらの症状が現れた場合は服用を中止し、専門家に相談すること。
服用前に医師・薬剤師へ相談したい人
次に該当する人は、服用前に相談することが各製品の説明文書で案内されている。
- 医師の治療を受けている人
- 妊娠中、または妊娠している可能性がある人
- 体力が衰えている人、体が虚弱な人
- 胃腸が弱い人
- 発汗傾向が著しい人
- 高齢者
- 薬によって発疹やかゆみが出た経験がある人
- むくみや排尿困難がある人
- 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害と診断されている人
特に高血圧や心臓病、腎臓病がある人は、マオウやカンゾウの影響を考慮する必要がある。
葛根湯を服用できない人は?
カコナール葛根湯顆粒とサトウ葛根湯顆粒では、2歳未満の乳幼児は服用しないこととされている。
一方、高血圧や心臓病などの診断がある人については、これらの製品では一律に服用禁止とするのではなく、服用前の相談対象として記載されている。
この違いは見落としやすい。
ほかの葛根湯製品や液剤では、使用上の注意が異なる場合もある。別の商品に同じ判断を当てはめず、実際に購入する製品の添付文書を確認したい。
また、ほかの漢方薬や風邪薬を併用している場合は、生薬成分が重複する可能性もある。自己判断で複数の葛根湯製品を組み合わせないことが基本だ。
【2026年最新情報】葛根湯の添付文書は何が改訂された?
2026年の葛根湯に関する重要な動きは、薬の配合量の変更ではなく、使用上の注意に関する安全性情報の更新だ。
特に8月から9月にかけての改訂は、購入済みの葛根湯を使用する人にも関係する。
2026年の主な改訂・公表時期
- 2026年4月10日: 第十九改正日本薬局方が施行された。
- 2026年8月25日: 厚生労働省が葛根湯の使用上の注意に関する改訂通知を発出した。
- 2026年8月: 第一三共ヘルスケアがカコナールシリーズの使用上の注意の改訂を案内した。
- 2026年8月: サトウ葛根湯顆粒の説明文書も使用上の注意改訂版となった。
- 2026年9月: 日本一般用医薬品連合会がOTC版DSU第19号として改訂内容を公表した。
新たに追加された「多形紅斑」とは?
今回の改訂で特に重要なのが、多形紅斑への注意喚起である。
厚生労働省の2026年8月25日付通知を受け、一般用医薬品の葛根湯製剤についても、重篤な症状として多形紅斑が追加された。
改訂理由は、医療用葛根湯製剤の使用上の注意が改訂されたことに伴い、一般用医薬品にも同様の注意喚起を行うためだ。
具体的には、次の症状が警戒すべきサインとなる。
- 皮膚が広い範囲で赤くなる。
- 赤くなった部分に水疱が現れる。
- 高熱が出る。
- のどの痛みが続く。
- 症状が急激に悪化する。
このような症状が現れた場合は、直ちに服用を中止して医師の診療を受ける必要がある。
2026年改訂は満量処方だけが対象なのか?
ここも誤解しやすいポイントだ。
今回の改訂は、満量処方の葛根湯だけを対象にしたものではない。
一般用医薬品の葛根湯(漢方製剤)や葛根湯含有製剤にも関係する安全性情報である。
第一三共ヘルスケアも、カコナール、カコナール2、カコナール2葛根湯顆粒<満量処方>、カコナール葛根湯顆粒<満量処方>などを改訂対象として案内している。
つまり、満量処方か1/2量かという配合量の違いとは別に、服用する製品の最新の安全情報を確認しなければならない。
2026年に購入した商品であっても、以前から自宅に保管している商品であっても、外箱や添付文書の使用上の注意を確認する習慣が大切だ。
【購入前の判断基準】満量処方の葛根湯はどんな人に向いている?
満量処方と通常処方のどちらを選ぶかは、単純にエキス量の多さだけで決められない。
重要なのは、症状、体質、年齢、既往歴、服用中の薬を踏まえた判断だ。
満量処方を選ぶ際に確認したい条件
次のような点を確認すると、商品選びの判断がしやすくなる。
- 葛根湯の効能・効果に該当する症状があるか。
- 体力中等度以上という対象に当てはまるか。
- 7種類の生薬の配合量を確認できるか。
- 年齢に合った用法・用量が設定されているか。
- マオウやカンゾウに関連する注意点に該当しないか。
- 服用中の薬との重複や相互作用の心配がないか。
満量処方をおすすめしにくいケース
体力が著しく低下している人、胃腸が弱い人、発汗が多い人、高齢者、持病のある人などは、満量処方を自己判断で選ぶことに慎重になる必要がある。
また、3/4量や1/2量の製品があるからといって、満量処方を飲むのが不安な人が、単純に少ない配合量のものを選べば安全になるとは限らない。
処方の違いだけでなく、体質と製品の使用上の注意を確認することが先決だ。
【プロの結論】満量処方は「配合量」で選び、安全性は「添付文書」で判断する
満量処方の葛根湯を選ぶ際に、最も避けたいのは、パッケージの「満量」という文字だけを見て商品を決めることだ。
今回比較したカコナールとサトウは、どちらも7種類の生薬を25g配合する満量処方でありながら、エキス重量の表示は異なる。
したがって、商品を比較するときは次の順番で確認したい。
1. 原生薬の種類と配合量を確認する。
2. エキスの重量と製品の剤形を確認する。
3. 自分の症状が効能・効果に該当するか確認する。
4. 年齢別の用法・用量を確認する。
5. 最新の副作用情報と使用上の注意を確認する。
この5つを押さえれば、満量処方という表示を過大評価せず、製品ごとの違いを正しく理解できる。
【満量処方の葛根湯】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:満量処方の葛根湯は通常処方より効果が強いですか?
満量処方は、基準となる生薬の配合量を全量使用した処方です。通常処方より生薬量が多い製品はありますが、必ずしも効果が強くなる、治るまでの時間が短くなるという意味ではありません。
Q2:カコナールとサトウの葛根湯はどちらがおすすめですか?
両方とも満量処方で、基本となる7種類の生薬の配合量も同じです。乾燥エキス5.56gとエキス4.4gという数字だけで優劣は判断できません。製品の用法、剤形、価格、飲みやすさなどを比較して選ぶとよいでしょう。
Q3:満量処方と3/4量・1/2量は混ぜて飲んでもよいですか?
おすすめできません。製品ごとに生薬の配合量やエキス量、1日分の服用設計が異なります。異なる製品を組み合わせず、それぞれの説明文書に記載された用法・用量を守ってください。
Q4:満量処方の葛根湯は毎日飲み続けてもよいですか?
風邪の初期症状などを目的とした場合は、漫然と長期間服用するものではありません。カコナールやサトウの説明文書では、風邪の初期などに5~6回服用して改善しない場合は相談するよう案内されています。長期連用する場合も専門家への相談が必要です。
Q5:2026年の添付文書改訂で葛根湯の成分も変わりましたか?
今回取り上げた2026年8月の改訂は、主に重篤な副作用である多形紅斑への注意喚起に関するものです。満量処方の生薬7種類を増減する改訂ではありません。
まとめ:満量処方の葛根湯は成分量と安全性の両方を確認しよう
満量処方の葛根湯とは、基本となる生薬の配合量を全量使用した漢方製剤である。
カッコン8g、マオウ4g、タイソウ4g、ケイヒ3g、シャクヤク3g、カンゾウ2g、ショウキョウ1gという7種類の生薬が、25g処方の基本構成となる。
カコナール葛根湯顆粒とサトウ葛根湯顆粒は、いずれも満量処方だが、エキス重量や1包の内容量は異なる。単純な数字の大小だけで効き目を比較することはできない。
そして2026年8月25日の使用上の注意改訂では、多形紅斑への注意喚起が追加された。
商品を選ぶ際には、満量処方という表示だけでなく、原生薬の配合量、効能・効果、用法・用量、副作用情報を確認したい。
満量処方かどうかだけでなく、自分の症状や体質に合った葛根湯を適切に選び、正しく服用すること。それが市販の漢方薬を安全に活用するための基本である。