天藤製薬株式会社は、痔疾用薬「ボラギノール」で知られる日本の医薬品メーカーです。1921年に痔疾用薬の創製・発売を始め、2021年には創立100周年を迎えるとともに、ロート製薬グループの一員となりました。現在は痔疾用医薬品を中心に、化粧品や健康食品などにも事業を広げています。
2026年11月現在、天藤製薬は新しい内服薬「内服ボラギノールPRO」の発売や海外販売の拡大など、従来のブランドを生かした事業展開を進めています。一方、2026年5月には「ボラギノールM軟膏20g」の一部製造番号を対象とした自主回収も発表しました。会社の成り立ちやロート製薬との資本関係、三田工場・福知山工場の役割、製品の違いまで、企業情報と最新発表を軸に整理します。
【会社概要】天藤製薬とはどんな会社?本社・代表者・事業内容を整理

天藤製薬は、大阪府豊中市に本社を置く医薬品メーカーです。一般にはボラギノールの製造元として知られていますが、企業としての事業領域は痔疾用医薬品だけではありません。
公式の会社概要によると、現在の商号は天藤製薬株式会社。資本金は9,600万円、代表取締役社長は宮﨑尚志氏です。主な事業内容として、医薬品・化粧品・機能性食品などの製造販売を掲げています。
天藤製薬の基本プロフィール
- 会社名:天藤製薬株式会社
- 読み方:あまとうせいやく
- 設立:1921年10月11日(天藤薬化学研究所)
- 創業のルーツ:1813年、京都で創業した天津屋藤助
- 株式会社への改組:1950年1月6日
- 資本金:9,600万円
- 代表取締役社長:宮﨑尚志氏
- 本社所在地:大阪府豊中市新千里東町一丁目5番3号(千里朝日阪急ビル)
- 代表的なブランド:ボラギノール、ボラソフト、ボラケア
ここで注意したいのが、創業年と設立年の違いです。天藤製薬の歴史は江戸時代後期までさかのぼりますが、現在の会社につながる天藤薬化学研究所が設立されたのは1921年です。
つまり、1813年は事業のルーツ、1921年はボラギノールの創製・発売と研究所設立、1950年は現在の社名への改組という、それぞれ異なる節目に当たります。
企業情報を調べる際には、この3つの年代を区別すると、天藤製薬の成り立ちを正確に理解できます。
なお、これらの基本情報は天藤製薬の公式会社概要に掲載されています。2021年時点の従業員数など、過去の買収発表資料に掲載された数値は、2026年現在の従業員規模を示すものではありません。
【沿革・歴史】1813年の薬種商から1921年のボラギノール誕生、2021年の転換点まで
天藤製薬の歴史を理解するうえで重要なのは、単に100年以上続く製薬会社というだけではない点です。薬種商として始まった家業が、痔疾用薬という専門分野に特化し、長い年月をかけてブランドを育ててきました。
1813年、京都で「天津屋藤助」が誕生
天藤製薬の公式沿革によると、ルーツは1813年(文化10年)に京都北部で創業した雑貨商「天津屋藤助」です。
創業当初は和漢薬や雑貨類を取り扱っていました。参拝客などの健康に関する相談に応じるなかで薬種の取り扱いを広げ、薬種商「天藤」へとつながっていきます。
この時代の商いが、後の製薬事業の基盤になりました。
1921年、ボラギノールの原型が完成
大きな転換点は1921年(大正10年)です。
当時、京都帝国大学医科大学附属医院の製煉室に勤務していた八代目・大槻欽三氏は、痔の治療薬が十分に存在しないことに着目しました。医師からの相談を受け、シコンエキスを研究し、ボラギノールの原型となる痔疾用新薬を完成させました。
同年10月11日には、ボラギノールの坐剤と軟膏を初出荷。この日が現在の創立記念日となっています。
公式沿革には、坐剤1,000本入りケース5個と軟膏10ポンド入り5缶を、大阪の武田長兵衞商店新薬部(現在の武田薬品工業につながる組織)へ出荷した記録が掲載されています。
1933年以降、剤形と使いやすさを改良
1933年にはクリーム状のボラギノールが登場しました。原材料の不足を背景に、従来とは異なる流動性のある製剤を考案したもので、現在の注入式軟膏につながる発想です。
1955年には坐剤の改良に着手。体温によって溶ける基剤を、現在の花王株式会社と共同開発しました。薬の成分だけでなく、患部への届け方や使用時の負担にも目を向けた取り組みです。
1992年には、プレドニゾロン酢酸エステル、リドカイン、アラントイン、ビタミンE酢酸エステルという4つの成分を軸とする製品改良を実施しました。
2021年、創立100周年とロート製薬グループ入り
2021年は天藤製薬にとって、創立100周年という記念すべき年でした。同時に、経営面でも大きな転換点を迎えます。
6月8日、ロート製薬は天藤製薬の株式を取得し、子会社化する方針を発表しました。その後、8月31日に株式譲渡が完了し、天藤製薬はロートグループの一員となりました。
このように、天藤製薬の沿革は、江戸時代の薬種商から始まり、1921年の専門薬開発、1950年の会社改組、2021年のグループ再編へと続いています。
天藤製薬の主な出来事・年代別年表
| 年代 | 主な出来事 | 企業・ブランドへの影響 |
|---|---|---|
| 1813年 | 京都で天津屋藤助を創業 | 天藤製薬の事業のルーツ |
| 1921年 | 天藤薬化学研究所を設立。ボラギノールを創製・初出荷 | 痔疾用薬メーカーとしての出発点 |
| 1933年 | クリーム状のボラギノールを開発 | 現在の注入式軟膏につながる製剤の発展 |
| 1950年 | 天藤製薬株式会社に改組 | 現在の社名へ変更 |
| 1955年 | 坐剤の開発を開始 | 剤形と使用性の改良 |
| 1992年 | 4つの有効成分を軸とした製品改良 | 現在のブランドの製品設計につながる |
| 2018年 | 兵庫県三田市に三田工場を新設 | 製造・品質管理体制の強化 |
| 2021年 | 8月31日にロート製薬による子会社化が完了 | ロートグループ入り |
| 2024年 | 自己株式の取得手続きが完了 | 主要株主がロート製薬のみとなる |
| 2025年 | ボラギノールPREMIUMシリーズを発売 | 外用薬の製品ラインを拡充 |
| 2026年 | 内服ボラギノールPROを発売 | 内服薬のラインアップを強化 |
この年表から見えてくるのは、天藤製薬が単一ブランドの知名度だけで存続してきた企業ではないということです。剤形の改良、成分の見直し、製造設備の更新、販売網の拡大を重ねながら、専門領域での競争力を維持してきました。
【資本関係】天藤製薬とロート製薬はどんな関係?子会社化の理由と現在
「天藤製薬はロート製薬に買収されたのか」「現在も独立した会社なのか」という疑問は、企業情報を検索する人が特に知りたいポイントです。
結論からいえば、天藤製薬は2021年にロート製薬の子会社となり、現在はロートグループの一員として事業を続けています。ただし、ロート製薬のブランド名に統合されて消滅したわけではなく、天藤製薬株式会社という法人とボラギノールブランドは存続しています。
2021年の株式取得は議決権の67.19%
ロート製薬の2021年6月8日付公式発表によると、同社は天藤製薬の株式860,000株を取得する契約を締結しました。
取得後の議決権所有割合は67.19%です。株式取得の目的として、ロート製薬はOTC医薬品領域の事業拡大を挙げています。
天藤製薬は、痔疾用薬の分野で長年培ってきた製品開発力やブランド力、医療用医薬品と一般用医薬品の両方で築いた事業基盤を持っていました。ロート製薬にとっては、こうした専門領域の強みを取り込むことが戦略上のメリットとなります。
2024年には主要株主がロート製薬のみへ
その後、2024年4月1日、天藤製薬は自己株式の取得手続きが完了したことを発表しました。
同社の発表では、この手続きに伴い、主要株主はロート製薬株式会社のみとなっています。
ここは2021年の買収発表と区別して理解する必要があります。2021年当初の取得割合は67.19%でしたが、2024年には自己株式取得に伴って主要株主の構成が変化しています。
なお、主要株主がロート製薬のみという発表は、必ずしもロート製薬が発行済み株式の100%を保有していることを意味しません。完全子会社化と同じ意味で使わないことが大切です。
ロート製薬グループ入りで期待されること
ロート製薬は、目薬やスキンケア製品、一般用医薬品、機能性食品などを幅広く手がける企業です。海外にも販売網を持ち、ヘルスケア分野で複数のブランドを展開しています。
一方、天藤製薬は痔疾用薬という専門カテゴリーに長年の実績を持っています。
両社の関係を事業戦略から見ると、ロート製薬の販売・マーケティング基盤と、天藤製薬の痔疾用薬に関する専門知識を組み合わせることが大きな狙いです。
実際、天藤製薬は2026年にも国内製品の拡充や海外EC販売に関する発表を続けています。グループ入りは、既存ブランドをなくすためではなく、ブランドの価値を次の市場へ広げるための経営上の転換だったと理解できます。
【事業内容・工場】三田工場と福知山工場、本社の所在地と役割
天藤製薬の事業は、一般用医薬品だけではありません。公式の事業領域では、国内医療用医薬品、国内OTC医薬品、海外OTC医薬品、化粧品、健康食品の5つの領域を確認できます。
医薬品事業:医療用と一般用の両方を展開
国内医療用事業では、医療機関向けの痔疾用医薬品を展開しています。一般用医薬品事業では、ドラッグストアや薬局などで購入できるボラギノールシリーズが中心です。
医療用と一般用の両方に関わることは、同社の専門性を考えるうえで重要です。一般消費者向けのブランド認知だけでなく、医療関係者との接点も持つ事業構造になっています。
海外事業:台湾・中国向けにも展開
海外OTC事業では、台湾向けの「保能痔(注入軟膏)」や、中国向けの越境ECを通じたボラギノールシリーズの展開が公式サイトに掲載されています。
さらに2026年7月29日には、タイのECサイト「Shopee」での販売開始を発表しました。国内ブランドを海外市場に広げる取り組みが続いていることが分かります。
化粧品・健康食品事業も展開
化粧品分野では、肛門周辺の肌をケアする「ボラソフト」シリーズを展開しています。健康食品分野では、快適な毎日のサポートを目的とする「ボラケア」シリーズを取り扱っています。
痔疾用薬の販売だけにとどまらず、日常的なスキンケアや健康維持へと事業を広げている点が特徴です。
天藤製薬の本社・製造拠点
天藤製薬の公式会社概要には、本社のほか、三田工場と福知山工場が事業所として掲載されています。
- 本社:大阪府豊中市新千里東町一丁目5番3号(千里朝日阪急ビル)
- 三田工場:兵庫県三田市テクノパーク36番地
- 福知山工場:京都府福知山市長田野町二丁目20番地の4
特に注目されるのが、2018年に新設された三田工場です。
天藤製薬の沿革によると、三田工場は高度化するグローバルGMPを踏まえて設計され、PIC/Sへの完全対応や自動生産を先取りする取り組みを進める施設として整備されました。
GMPとは、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準です。医薬品は有効成分だけでなく、製造工程の管理や品質の均一性も重要になります。製造設備への投資は、長期的なブランド信頼を維持するための基盤といえます。
なお、三田工場と福知山工場は公式に確認できる製造拠点ですが、製品ごとの製造工程や生産品目の割り当てがすべて公開されているわけではありません。特定の製品がどちらの工場で製造されているかは、所在地情報だけでは判断できません。
【ボラギノール製品一覧】種類・成分・効能・使用上の注意を比較
天藤製薬を代表するブランドが、痔疾用薬のボラギノールです。
長年のブランドである一方、製品は一種類ではありません。PREMIUM、A、Mという外用薬のシリーズに加え、内服薬も展開しています。成分や効能、剤形が異なるため、ブランド名だけで選ぶのではなく、製品ごとの特徴を確認することが大切です。
ボラギノールPREMIUM・A・Mの違い
外用薬の主要なシリーズは、PREMIUM、A、Mの3種類です。
ボラギノールPREMIUMシリーズは、ステロイド配合の第2類医薬品です。注入軟膏・坐剤・軟膏があり、製品によって5種類または6種類の有効成分を配合しています。
ボラギノールAシリーズもステロイド配合で、プレドニゾロン酢酸エステル、リドカイン、アラントイン、ビタミンE酢酸エステルという4つの有効成分を基本としています。
ボラギノールMシリーズはステロイド非配合です。リドカイン、グリチルレチン酸、アラントイン、ビタミンE酢酸エステルを配合し、いぼ痔・きれ痔の痛みやかゆみの緩和を目的としています。
主な有効成分と働き
- プレドニゾロン酢酸エステル:ステロイド性抗炎症成分。炎症を抑え、出血・はれ・かゆみを鎮める。
- リドカイン:局所麻酔成分。患部の痛みやかゆみを鎮める。
- グリチルレチン酸:炎症を和らげる。
- アラントイン:傷の治りを助け、組織の修復をサポートする。
- ビタミンE酢酸エステル:末梢の血液循環を改善し、うっ血の改善を助ける。
PREMIUMシリーズでは、製品によってイソプロピルメチルフェノールやクロルフェニラミンマレイン酸塩なども配合されています。成分数が多いからといって、すべての症状に対して一律に適しているわけではありません。
剤形によって使う場所が違う
ボラギノールの外用薬は、成分だけでなく剤形にも違いがあります。
- 坐剤:主に肛門の内側にできた痔に使用する。
- 軟膏:主に肛門の外側や肛門付近の痔に使用する。
- 注入軟膏:肛門の内側と外側の両方に対応する。
この使い分けは、ボラギノール公式ブランドサイトのFAQでも説明されています。症状が現れている場所に合わせて剤形を選ぶことが基本です。
内服ボラギノールシリーズのラインアップ
外用薬とは別に、天藤製薬は体の内側から痔の症状に働きかける内服薬も展開しています。
- 内服ボラギノールEP:痔核、きれ痔、痔出血などを対象とする内服薬。
- 内服ボラギノールEX:複数の生薬エキスを配合した錠剤タイプ。
- 内服ボラギノールPRO:メリロートエキスと乙字湯エキスを組み合わせた顆粒タイプ。
- 内服ボラギノール当帰建中湯:6種類の生薬を配合した漢方処方の内服薬。
2026年の新製品PROは、西洋生薬のメリロートエキスと東洋生薬の乙字湯エキスを組み合わせていることが特徴です。さらにビタミンE酢酸エステルを配合し、血液循環とうっ血へのアプローチを加えています。
ボラギノールを使用する際の注意点
ボラギノールシリーズは一般用医薬品ですが、使用方法や対象年齢には制限があります。
- 年齢制限:PREMIUM・A・Mの外用薬は、15歳未満の使用が認められていない。
- 使用部位:外用薬は肛門部にのみ使用する。
- 用法・用量:製品ごとの説明文書に記載された回数と使用量を守る。
- 改善しない場合:およそ10日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談する。
- 妊娠中・持病がある場合:製品によって使用上の注意が異なるため、事前に医師や薬剤師に確認する。
特に注意したいのは、ステロイド配合と非配合の違いです。Mシリーズはステロイドを含みませんが、A・PREMIUMシリーズとは成分や効能が異なります。ステロイドを避けたいという理由だけで自己判断せず、症状と使用上の注意を確認してください。
また、肛門からの出血には痔以外の原因が隠れている場合もあります。出血が続く場合や症状が強い場合は、市販薬だけで対処し続けず、医療機関で診察を受けることが大切です。
【2026年最新】新製品・自主回収・受賞から見る天藤製薬の現在
2026年の天藤製薬は、ボラギノールブランドの製品拡充と海外市場への展開を進めています。一方、品質管理に関する自主回収も発表されており、企業の最新動向を見る際には、販売拡大と安全性の両面を確認する必要があります。
8月27日「内服ボラギノールPRO」を発売
2026年8月25日、天藤製薬は新製品「内服ボラギノールPRO」の発売を発表しました。発売開始日は8月27日です。
第2類医薬品に分類される顆粒タイプで、12包入り。発売時の販売価格は税抜2,700円と発表されています。
特徴は、メリロートエキスと乙字湯エキスという2種類の生薬を組み合わせていることです。痔の痛み・出血・はれ・かゆみなどに加え、うっ血の緩和をサポートする設計となっています。
従来の内服ボラギノールシリーズを強化する新製品であり、外用薬だけではないブランドの成長を示す動きです。
2026年5月「ボラギノールM軟膏20g」の自主回収
2026年5月には、「ボラギノールM軟膏20g」の一部製造番号を対象とした自主回収が発表されました。
天藤製薬の2026年5月更新のお知らせによると、安定性モニタリングで有効成分のグリチルレチン酸の含量が規格値からごくわずかに外れたことが理由です。
対象となった製造番号は720、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813です。
同社は、含量の規格値からの逸脱はごくわずかであり、重篤な健康被害が発生するおそれはないと考えていると説明しました。また、同社のお知らせ掲載時点では、本件に起因すると考えられる健康被害の報告は受けていないとしています。
これはボラギノールMシリーズ全体や、すべてのボラギノール製品を対象とする回収ではありません。対象は特定の製造番号のM軟膏20gです。
該当する製品を持っている場合は、外箱の底面やチューブ尾部に記載された製造番号を確認し、天藤製薬の回収に関する最新案内に従ってください。
内服ボラギノールEXが2026年のヒット商品賞を受賞
2026年5月26日、天藤製薬は「内服ボラギノールEX」が第38回「ヒット商品賞」の医薬品・指定医薬部外品部門で優秀賞に選ばれたと発表しました。
表彰式は2026年4月22日に東京ガーデンパレスで開催され、主催は株式会社ドラッグマガジン・八千代会、後援は日本チェーンドラッグストア協会です。
この賞は、全国の有力ドラッグストアや薬局、ヘルスケア卸各社の投票によって選ばれるものです。少なくとも流通・販売の現場で、内服ボラギノールEXが一定の評価を得たことを示すニュースです。
ただし、これはすべての消費者を対象とした満足度調査や、医薬品としての治療効果を保証する認定とは異なります。賞の性質を理解したうえで評価する必要があります。
海外展開と周辺ブランドの拡充
2026年の発表には、ほかにも注目すべき動きがあります。
- 1月28日:フェムボラサプリメントの販売開始を発表。
- 5月14日:「F ボラ当帰建中湯」の販売開始を発表。
- 7月29日:タイのECサイトShopeeでの販売開始を発表。
- 8月27日:内服ボラギノールPROを発売。
- 10月1日:ロートグループのカスタマーハラスメント基本方針などを公表。
こうした動きから、天藤製薬はボラギノールを中心としながら、女性向けの健康関連商品や内服薬、海外ECなどへ事業の幅を広げていることが分かります。
天藤製薬の評判は?企業評価と製品評価を分けて考える
天藤製薬の評判を調べる際には、商品を使用した消費者の評価と、社員・元社員による職場環境の評価を分けることが重要です。
転職会議に掲載された情報では、天藤製薬の総合評価は3.00、口コミ件数は23件とされています。投稿データに基づく残業時間は月19.2時間、有給消化率は50%という数値も掲載されています。
ただし、これらは転職会議の利用者による投稿データから算出されたもので、全従業員を対象とした公式調査ではありません。投稿件数も限られており、部署や職種、在籍時期によって実態は異なる可能性があります。
一方、製品については、ボラギノールの長い販売実績や2026年のヒット商品賞受賞など、企業・流通側から確認できる評価材料があります。ただし、ブランドの知名度と個々の製品が自分の症状に合うかどうかは別問題です。
企業としての評判を判断するなら、公式の事業実績、品質に関する発表、製品開発、社員口コミを複数の視点から確認するのが適切です。
【プロの結論】天藤製薬の強みと今後の成長をどう見るべきか
天藤製薬の企業価値を考えるうえで、最も重要なのは、ボラギノールという知名度の高いブランドと、痔疾用薬に特化して積み重ねてきた専門性の組み合わせです。
強み1:100年以上にわたる専門領域の蓄積
1921年にボラギノールを創製・発売して以来、天藤製薬は痔疾用薬を中心に製品を改良してきました。
1933年のクリーム状製剤、1955年の坐剤開発、1992年の成分改良など、歴史を振り返ると、製剤技術や使いやすさの改善を重ねてきたことが分かります。
この蓄積は、単なるブランド認知とは異なる競争力です。特定の疾患領域に関する知識、製剤開発、医療関係者との接点、消費者向けの情報発信を一体で持つことが、専門メーカーとしての強みになっています。
強み2:ロート製薬の経営基盤と販売ネットワーク
ロート製薬グループ入りによって、天藤製薬はグループの海外ネットワークやマーケティングの知見を活用できる環境を得ました。
2026年のタイEC市場への進出や内服薬の拡充は、こうした成長戦略と方向性が一致しています。
ただし、グループ入りしたからといって、すべての製品が自動的に海外で成功するわけではありません。国ごとの医薬品規制、販売チャネル、消費者の使用習慣に合わせた展開が必要になります。
課題:品質管理とブランド信頼の維持
2026年5月のM軟膏の自主回収は、品質管理の重要性を改めて示しました。
医薬品メーカーにとって、製品の開発や販売拡大と同じくらい、製造後の安定性確認や規格への適合、問題発生時の情報公開が重要です。
今回の回収は対象ロットが限定されたものであり、全製品の品質に問題があることを意味しません。一方、長年のブランドへの信頼を守るには、対象製品の適切な回収と再発防止に向けた継続的な取り組みが欠かせません。
どんな人が天藤製薬の情報を確認すべきか
- 転職・就職を検討している人:会社の事業領域、ロート製薬との資本関係、勤務地、社員口コミを分けて確認する。
- ボラギノールを購入する人:PREMIUM・A・Mの成分や効能、剤形、使用上の注意を比較する。
- 企業研究をしている人:2021年の子会社化だけでなく、2024年の株主構成の変化や2026年の事業展開まで確認する。
- 医薬品の安全性が気になる人:自主回収の対象製品・製造番号と、公式の最新案内を確認する。
特に企業研究では、単純に「老舗だから安心」「大手グループだから問題ない」と判断しないことが大切です。歴史、経営基盤、製造品質、製品の実際の効能をそれぞれ別の評価軸として見ることが、正確な企業理解につながります。
【天藤製薬に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:天藤製薬は何を作っている会社ですか?
A1:痔疾用薬「ボラギノール」を代表製品とする医薬品メーカーです。医療用医薬品や一般用医薬品のほか、化粧品「ボラソフト」シリーズ、健康食品「ボラケア」シリーズなども展開しています。
Q2:天藤製薬はロート製薬の完全子会社ですか?
A2:2021年8月31日にロート製薬の子会社となりました。2024年4月には自己株式取得の完了に伴い、主要株主がロート製薬のみになったと天藤製薬が発表しています。ただし、主要株主が1社のみという発表と、株式を100%保有する完全子会社という表現は区別する必要があります。
Q3:天藤製薬の創業は何年ですか?
A3:事業のルーツは1813年の京都の薬種商「天津屋藤助」です。1921年10月11日に天藤薬化学研究所が設立され、ボラギノールが創製・初出荷されました。1950年1月6日に天藤製薬株式会社へ改組しています。
Q4:ボラギノールの製造元はどこですか?
A4:ボラギノールブランドを展開する会社は天藤製薬株式会社です。PREMIUM・A・Mなどの外用薬や内服薬を取り扱っています。ただし、製品によって製造販売元や製造元の表示が異なる場合があるため、個別商品の表示も確認してください。
Q5:天藤製薬の工場はどこにありますか?
A5:公式会社概要では、兵庫県三田市の三田工場と京都府福知山市の福知山工場が掲載されています。三田工場は2018年に新設され、GMPを踏まえた製造・品質管理体制の強化を目的としています。
Q6:ボラギノールAとMの違いは何ですか?
A6:Aシリーズはプレドニゾロン酢酸エステルを含むステロイド配合製品で、痛み・出血・はれ・かゆみの緩和を目的とします。Mシリーズはステロイド非配合で、痛み・かゆみの緩和を目的としています。成分と効能が異なるため、症状や使用上の注意を確認して選ぶことが大切です。
Q7:2026年に天藤製薬から新しいボラギノールは発売されましたか?
A7:はい。2026年8月27日に「内服ボラギノールPRO」が発売されました。メリロートエキスと乙字湯エキスを組み合わせた顆粒タイプの第2類医薬品で、12包入りです。
Q8:2026年のボラギノール自主回収は全商品が対象ですか?
A8:いいえ。2026年5月に発表された自主回収は、ボラギノールM軟膏20gのうち、製造番号720および800~813が対象です。すべてのボラギノール製品やMシリーズ全体が対象というわけではありません。
まとめ:天藤製薬は老舗の専門メーカーからロートグループの成長企業へ
天藤製薬は、1813年に京都で始まった薬種商をルーツに持ち、1921年のボラギノール創製・発売を経て発展してきた医薬品メーカーです。1950年に現在の社名へ改組し、2021年にはロート製薬グループの一員となりました。
現在はボラギノールを中心とする痔疾用医薬品だけでなく、医療用医薬品、海外OTC、化粧品、健康食品などへ事業を広げています。三田工場の新設やロート製薬の販売ネットワークとの連携も、企業としての成長を支える要素です。
2026年は内服ボラギノールPROの発売、内服ボラギノールEXのヒット商品賞受賞、タイEC市場への進出など、新たな動きが相次ぎました。一方で、M軟膏の一部製造番号の自主回収もあり、品質管理と情報公開が引き続き重要なテーマとなっています。
天藤製薬を理解する際の要点は、単に「ボラギノールを作っている会社」と捉えないことです。江戸時代から続く事業の歴史、100年以上の専門領域での蓄積、ロート製薬との資本関係、複数の事業領域、そして2026年の製品・品質関連の動向を総合して見ることで、現在の企業像がより明確になります。
今後注目したいのは、ロートグループの海外ネットワークを生かしたブランド展開、内服薬を含む製品ラインアップの強化、そして長年培ってきた品質への信頼をどのように維持していくかという点です。
主な情報確認先: 天藤製薬公式「会社概要」「天藤製薬の歩み」「事業領域」「製品情報」「2026年お知らせ」、ロート製薬の2021年株式取得発表、ボラギノール公式ブランドサイト、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、転職会議。