2022年の北京五輪では、決勝でトリプルコークを成功させたのは平野歩夢選手だけだった。しかし、2026年のミラノ・コルティナ五輪では状況が大きく変わった。
複数のトップ選手がトリプルコークを競技に取り入れ、技の完成度や連続技の構成で争う時代に入っている。
2026年2月、戸塚優斗が連続トリプルコーク1440を成功
2026年2月13日に行われたミラノ・コルティナ五輪男子ハーフパイプ決勝で、最大のインパクトを残したのが戸塚優斗選手だった。
FISの公式レポートによると、戸塚選手は2本目の演技で次の大技を連続して成功させた。
- スイッチ・フロントサイド・トリプルコーク1440(ドランクドライバー)
- フロントサイド・トリプルコーク1440(トラックドライバー)
異なるスタンスとグラブを組み合わせた2連続のトリプルコーク1440だ。
その後も複数の高難度トリックをつなぎ、95.00点を獲得して金メダルを手にした。
単独の大技だけでなく、難度の高い技を連続して決め、演技全体を完成させた点が勝利の決め手となった。
2026年の主な成功者と競技実績
2026年までの競技記録から、トリプルコーク1440の代表的な成功例を整理すると次のとおりだ。
平野歩夢
2021年12月にハーフパイプの公式戦で世界初のトリプルコークを成功。北京五輪で金メダルを獲得し、その後も2024年のワールドカップでフロントサイド・トリプル1440を成功させている。
戸塚優斗
2026年ミラノ・コルティナ五輪で、2種類のトリプルコーク1440を連続成功。95.00点で男子ハーフパイプの金メダルを獲得した。
スコッティ・ジェームズ
オーストラリアのトップ選手。2026年五輪決勝では、スイッチ・フロントサイド・トリプルコーク1440を含む演技で93.50点を獲得し、銀メダルに輝いた。
この3選手は、公式大会の技構成やFISの競技レポートでトリプルコーク1440の実績を確認できる代表例だ。
2026年五輪で平野歩夢は7位。それでも技術的価値は変わらない
注目したいのは、北京五輪の金メダリストだった平野歩夢選手が、2026年大会では7位だったことだ。
FISの公式レポートによれば、平野選手はフロントサイド・ダブルコーク1620ダブルテールグラブを決めたものの、表彰台には届かなかった。
男子決勝の結果は次のとおり。
- 1位:戸塚優斗(日本)95.00点
- 2位:スコッティ・ジェームズ(オーストラリア)93.50点
- 3位:山田琉聖(日本)92.00点
- 4位:平野流佳(日本)91.00点
- 7位:平野歩夢(日本)86.50点
NBCオリンピックの大会総括によれば、決勝進出者12人のうち10人がトリプルコークに挑戦、または成功させた。北京五輪で平野選手だけが成功させた技が、わずか4年で競技の最前線に広がったことを示している。
これは平野選手の技術が色あせたという話ではない。ライバルたちが新しい技術を習得し、競技全体の基準が引き上げられた結果だ。
2025/26シーズンの年間王者も戸塚優斗
2026年3月28日、FISワールドカップのシーズン最終戦がスイスのシルヴァプラーナで開催された。
戸塚選手はこの大会でも優勝し、2025/26シーズンの男子ハーフパイプ個人総合とパーク&パイプ総合のクリスタルグローブを獲得した。
五輪での一発の成功だけではなく、年間を通じた競技力でもトップに立ったことになる。
2026年11月時点で見ると、男子ハーフパイプの勢力図は、平野歩夢選手を中心とした一強の時代から、戸塚優斗選手、スコッティ・ジェームズ選手らが技術と演技構成で競い合う時代へと移っている。
【プロの結論】トリプルコーク1440の成功を決める本当の理由

トリプルコーク1440の価値は、3回のコークと4回転という数字だけでは測れない。
本当に難しいのは、回転を成立させること、空中で身体をコントロールすること、そして次の動作につながる着地を実現することだ。
成功の理由は高さ・空中制御・着地の3要素
第一に、十分な高さを生み出すジャンプ能力が必要になる。空中で複雑な動きを完成させるには、ハーフパイプの壁を利用した大きなエアが重要だ。
第二に、回転軸をコントロールする能力が求められる。3回のコークと4回転を組み合わせるため、身体の向きとボードの位置を空中で正確に把握しなければならない。
第三に、着地後の滑走につなげる技術が必要だ。着地が乱れれば、その後のジャンプにも影響する。
2026年五輪の戸塚選手について、FISは本人が独創性とエアの高さを成功の要因として挙げたことを紹介している。
これは、単純に回転数を増やすだけでは勝てないという競技の本質を示している。
よくある3つの誤解を整理
誤解1:1440は縦方向に4回転するという意味?
違う。1440は横方向のスピンを4回転することを示す数字だ。縦方向の斜め軸回転は「トリプルコーク」の部分で表される。
誤解2:平野歩夢だけが成功できる技?
2022年北京五輪当時は、決勝でトリプルコークを成功させた選手として平野選手が突出していた。しかし、2026年には戸塚選手やスコッティ・ジェームズ選手もトリプルコーク1440を競技で成功させている。
誤解3:トリプルコーク1440を決めれば優勝できる?
必ずしもそうではない。難度だけでなく、高さ、完成度、多様性、進歩性なども採点される。実際に2026年五輪では、高難度技を成功させても表彰台に届かなかった選手がいた。
これから注目すべきポイント
2026年以降のハーフパイプを見るなら、単純な回転数だけで選手を比較するのではなく、次の点にも注目したい。
- トリプルコーク1440を何種類のスタンスや方向で成功させるか
- 連続した高難度トリックをどれだけ安定して決められるか
- ジャンプの高さと空中での姿勢がどれほど美しいか
- 着地後にスピードを維持し、次の技へつなげられるか
これらを意識すると、競技中継で選手の実力や技術的な違いをより深く理解できる。
【トリプルコーク1440】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:トリプルコーク1440は何回転する技ですか?
A1:横方向に1440度、つまり4回転する技です。加えて、斜め軸の縦方向の回転であるコークを3回組み合わせます。
Q2:トリプルコーク1440を世界で初めて成功させた選手は誰ですか?
A2:平野歩夢選手です。2021年12月にハーフパイプの公式戦でトリプルコークを世界で初めて成功させ、2022年北京五輪ではこの大技を組み込んだ演技で金メダルを獲得しました。
Q3:トリプルコーク1440は2026年現在、誰が成功させていますか?
A3:代表的な成功者には平野歩夢選手、戸塚優斗選手、スコッティ・ジェームズ選手がいます。特に2026年ミラノ・コルティナ五輪では、戸塚選手が2種類のトリプルコーク1440を連続成功させました。
Q4:フロントサイドとバックサイドの違いは何ですか?
A4:回転方向の違いです。フロントサイドは腹側を回転方向に向ける動き、バックサイドは背中側を回転方向に向ける動きです。
Q5:トリプルコーク1440はスノーボードのどの競技で使われますか?
A5:ハーフパイプ、ビッグエアなどのフリースタイル競技で見られる技です。平野歩夢選手が歴史的な成功を収めたのはハーフパイプです。
まとめ:トリプルコーク1440は2026年以降も進化する大技
トリプルコーク1440は、斜め軸のコークを3回、横方向のスピンを1440度、つまり4回転組み合わせる超高難度の技だ。
2021年12月に平野歩夢選手がハーフパイプの公式戦で世界初のトリプルコークを成功させ、2022年北京五輪で金メダルを獲得したことで、その名は世界中に知られるようになった。
そして2026年、戸塚優斗選手がミラノ・コルティナ五輪で2連続のトリプルコーク1440を成功させて金メダルを獲得。平野選手が切り開いた技術は、競技全体の進化につながっている。
トリプルコーク1440の本当の凄さは、回転数の多さではなく、極めて複雑な空中動作を完成度の高い演技として成立させることにある。
2026年以降も、回転数のさらなる進化だけでなく、技の独創性、連続技の完成度、着地の安定性に注目したい。スノーボードのハーフパイプは、今も新しい限界に挑み続けている。