2026年10月31日現在、第85期(2026年度)A級順位戦は4回戦まで終了し、永瀬拓矢九段と豊島将之九段がともに4勝0敗で首位に並んでいます。3勝1敗の増田康宏八段が追いかけ、2勝2敗には近藤誠也八段、佐々木勇気八段、佐藤天彦九段、広瀬章人九段が続く展開です。
10月30日に行われた4回戦の最終局では、佐藤天彦九段が伊藤匠叡王を99手で破り、2勝2敗に復帰。一方、A級初参戦の伊藤匠叡王は開幕4連敗となりました。名人挑戦権をめぐる争いだけでなく、降級2枠をめぐる戦いも見逃せません。次の5回戦は11月16日から20日にかけて予定されています。
【10月30日終了時点】第85期A級順位戦の最新結果は永瀬・豊島が4連勝

第85期名人戦・順位戦A級は、2026年6月に開幕しました。10月30日の佐藤天彦九段対伊藤匠叡王戦をもって、全10人の4回戦が終了しています。
ここまで最も安定した成績を残しているのが、永瀬拓矢九段と豊島将之九段です。両者ともに開幕から負けなしの4連勝。名人挑戦権を争うトップグループを形成しています。
永瀬拓矢九段は近藤・伊藤・佐々木・広瀬を撃破
永瀬九段は1回戦で近藤誠也八段、2回戦で伊藤匠叡王、3回戦で佐々木勇気八段、4回戦で広瀬章人九段を破りました。
4回戦の広瀬九段戦は10月16日に行われ、これを制して4連勝を達成。対戦相手には実力者が並んでおり、開幕からの勝ち星には大きな意味があります。
前期順位は2位。現時点では豊島九段と同じ4勝0敗ですが、今後の対局には豊島九段との直接対決も残されています。
豊島将之九段も4連勝、増田康宏八段との全勝対決を制す
豊島九段は1回戦で佐藤天彦九段、2回戦で佐々木勇気八段、3回戦で糸谷哲郎九段を破り、開幕3連勝で4回戦に進みました。
10月13日の4回戦では、同じく開幕3連勝だった増田康宏八段と対戦。相掛かりの将棋となり、98手で豊島九段が勝利しました。
この直接対決によって豊島九段は4連勝を維持。増田八段は3勝1敗となり、単独首位を追う立場に変わりました。全勝同士の対決を制した豊島九段にとって、挑戦争いを左右する重要な白星です。
4連勝でも名人挑戦が決まったわけではない
4回戦終了時点で4勝0敗という成績は非常に有利ですが、名人挑戦者が確定したわけではありません。A級順位戦は全9回戦のリーグ戦で、各棋士にはまだ5局が残っています。
今後、永瀬九段と豊島九段がともに勝ち星を積み重ねるのか、増田八段や中位グループから追い上げる棋士が現れるのかが、シーズン後半の大きな見どころです。
【A級順位表・星取表】10人の最新勝敗と対戦結果を一覧で紹介
第85期A級順位戦の4回戦終了時点の成績をまとめました。以下は前期順位を併記した成績順の一覧です。各棋士の1~4回戦の勝敗と、次の5回戦の対戦相手も確認できます。
なお、同じ勝敗数の棋士同士は前期順位によって順位が決まります。そのため、勝ち星だけでなく、期首の順位も確認することが大切です。10月30日の佐藤九段対伊藤叡王の結果も反映しています。
| 成績順(前期順位) | 棋士名 | 勝敗 | 1~4回戦の星取 | 5回戦の対戦相手 |
|---|---|---|---|---|
| 1位(2位) | 永瀬拓矢九段 | 4勝0敗 | ○近藤、○伊藤、○佐々木、○広瀬 | 糸谷(11月16日) |
| 2位(3位) | 豊島将之九段 | 4勝0敗 | ○佐藤、○佐々木、○糸谷、○増田 | 広瀬(11月18日) |
| 3位(5位) | 増田康宏八段 | 3勝1敗 | ○千田、○広瀬、○佐藤、●豊島 | 伊藤(11月19日) |
| 4位(4位) | 近藤誠也八段 | 2勝2敗 | ●永瀬、○糸谷、○伊藤、●佐々木 | 佐藤(11月20日) |
| 5位(6位) | 佐々木勇気八段 | 2勝2敗 | ○伊藤、●豊島、●永瀬、○近藤 | 千田(11月17日) |
| 6位(8位) | 佐藤天彦九段 | 2勝2敗 | ●豊島、○千田、●増田、○伊藤 | 近藤(11月20日) |
| 7位(9位) | 広瀬章人九段 | 2勝2敗 | ○糸谷、●増田、○千田、●永瀬 | 豊島(11月18日) |
| 8位(1位) | 糸谷哲郎九段 | 1勝3敗 | ●広瀬、●近藤、●豊島、○千田 | 永瀬(11月16日) |
| 9位(7位) | 千田翔太八段 | 0勝4敗 | ●増田、●佐藤、●広瀬、●糸谷 | 佐々木(11月17日) |
| 10位(10位) | 伊藤匠叡王 | 0勝4敗 | ●佐々木、●永瀬、●近藤、●佐藤 | 増田(11月19日) |
※○は勝ち、●は負け。順位は前期順位による同成績者の序列を反映。勝敗は2026年10月30日の4回戦終了時点です。
星取表から見える3つの勢力図
現在のA級は、成績によって大きく3つのグループに分かれています。
第一グループは4勝0敗の永瀬・豊島両九段。どちらも無敗を維持しており、名人挑戦争いを先導しています。
第二グループは3勝1敗の増田八段と2勝2敗の4人。増田八段にはまだ首位に追いつく余地があり、2勝2敗の棋士も連勝すれば挑戦争いに加わる可能性があります。
第三グループは1勝3敗以下の3人。糸谷九段は1勝3敗、千田八段と伊藤叡王は0勝4敗です。残留を目指すうえで、次の5回戦は重要な局面になります。
特に注意したいのは、2勝2敗の4人が単純に同じ順位になるわけではない点です。順位戦では同じ勝敗数の場合、前期の順位が序列に反映されます。これは名人挑戦争いだけでなく、降級者の決定にも関係する仕組みです。
【4回戦の注目結果】増田康宏の黒星と佐藤天彦の勝利、伊藤匠の4連敗
4回戦は10月13日、15日、16日、30日に分かれて行われました。全5局の結果は、上位争いと残留争いの両方に影響する内容となっています。
10月13日:豊島将之九段が増田康宏八段との全勝対決に勝利
4回戦で最初に大きな注目を集めたのが、増田康宏八段と豊島将之九段の一戦です。
両者はともに3連勝で対局を迎えました。増田八段は1回戦で千田翔太八段、2回戦で広瀬章人九段、3回戦で佐藤天彦九段に勝利。一方の豊島九段も、佐藤九段、佐々木勇気八段、糸谷哲郎九段を破っていました。
結果は豊島九段が98手で勝利。豊島九段は4勝0敗とし、増田八段は3勝1敗になりました。
この結果は、増田八段が首位から離されたというだけではありません。豊島九段が直接対決を制して全勝を守ったことで、名人挑戦争いの主導権を維持した意味もあります。
10月15日:佐々木勇気八段が近藤誠也八段に勝利
10月15日の対局では、佐々木勇気八段が近藤誠也八段を91手で破りました。
佐々木八段はこれで2勝2敗。近藤八段も2勝2敗となり、両者は同じ成績で4回戦を終えています。
近藤八段は1回戦で永瀬九段に敗れた後、2回戦で糸谷九段、3回戦で伊藤叡王を破っていました。連勝を3に伸ばすことはできませんでしたが、まだ挑戦争いに加わる余地を残しています。
10月16日:糸谷哲郎九段と永瀬拓矢九段が勝利
10月16日は2局が行われました。
糸谷哲郎九段は千田翔太八段に勝利し、開幕から続いていた連敗を3で止めました。糸谷九段は1勝3敗となり、ようやく初白星を獲得しています。
もう一局では永瀬拓矢九段が広瀬章人九段に勝利。永瀬九段は4勝0敗を達成し、豊島九段と並ぶ首位グループに入りました。
この時点では佐藤九段対伊藤叡王の対局が残っており、4回戦の全日程が完了したのは10月30日です。
10月30日:佐藤天彦九段が99手で伊藤匠叡王を破る
4回戦の最終局となったのが、佐藤天彦九段と伊藤匠叡王の対戦です。東京・将棋会館で行われた一局は、佐藤九段が先手、伊藤叡王が後手で対局しました。
序盤は角換わりから伊藤叡王が右玉に構え、佐藤九段は居飛車穴熊を志向する展開に。双方が玉の位置や駒組みを工夫する、細かな駆け引きが続きました。
ABEMA TIMESが紹介した解説者の黒田尭之五段は、局面の変化について次のように振り返っています。
「68手目の桂跳ねのあたりからは比較的直線的な展開で先手が勝ちになっていったように思います」
最終的には佐藤九段が99手で勝利。これでリーグ成績を2勝2敗とし、五分の成績に戻しました。
一方、敗れた伊藤叡王は0勝4敗。A級初参戦で厳しいスタートとなりました。タイトルを獲得する実力を持つ棋士であっても、A級の総当たりリーグでは簡単に勝ち星を積み上げられないことを示す結果です。
【名人挑戦者の決定条件】A級プレーオフは何勝で必要になる?
A級順位戦の最大の目的は、名人戦七番勝負に出場する挑戦者を決めることです。A級で最高成績を収めた棋士が名人挑戦権を獲得します。
ただし、最高成績者が複数人になった場合にはプレーオフが実施されます。日本将棋連盟の順位戦規定では、同率首位となった棋士全員がプレーオフに参加する仕組みです。
名人挑戦者が決まる基本ルール
名人挑戦者の決定方法は、次のように整理できます。
- 単独首位の場合:リーグ終了時に最高成績を収めた棋士が名人挑戦者となる。
- 2人が同率首位の場合:2人によるプレーオフで挑戦者を決める。
- 3人以上が同率首位の場合:全員がプレーオフに進出し、順位下位の2人が1回戦を行うパラマス方式で決定する。
ここで押さえておきたいのは、単に4勝0敗の棋士がいるからといって、挑戦者が決まるわけではないことです。最終的な勝ち星と同率者の有無によって決まります。
永瀬拓矢九段と豊島将之九段の直接対決が重要
今期の名人挑戦争いで特に注目されるのが、永瀬九段と豊島九段の直接対決です。
両者の対戦は第9回戦に組まれており、対局予定日は2027年3月3日です。現在4連勝同士で並ぶ2人が、最終盤に直接対決を迎える日程になっています。
ただし、そこまでにどちらかが星を落とす可能性もあります。豊島九段には5回戦の広瀬章人九段戦、永瀬九段には糸谷哲郎九段戦が控えており、まずは目の前の一局を勝ち切ることが必要です。
また、増田康宏八段や2勝2敗の棋士が連勝を重ねれば、首位争いに加わる展開も考えられます。A級プレーオフの可能性は、まだ両者の直接対決だけで判断できる段階ではありません。
【A級順位戦の降級2名】千田翔太・伊藤匠・糸谷哲郎の残留争い
A級順位戦では、名人挑戦権と並んで重要なのが残留争いです。日本将棋連盟の規定では、原則として成績下位の2名が次期B級1組へ降級します。
4回戦終了時点では、千田翔太八段と伊藤匠叡王がともに0勝4敗。糸谷哲郎九段も1勝3敗となっており、下位グループの巻き返しが大きな課題です。
千田翔太八段は開幕4連敗からの巻き返しが必要
千田八段は1回戦で増田康宏八段、2回戦で佐藤天彦九段、3回戦で広瀬章人九段、4回戦で糸谷哲郎九段に敗れ、0勝4敗となりました。
次の5回戦では佐々木勇気八段と対戦します。佐々木八段は2勝2敗と勝ち越しを狙える位置にいるため、千田八段にとっては厳しい一局ですが、残留争いから抜け出すためにも勝利が大切です。
伊藤匠叡王はA級初参戦で苦戦
伊藤匠叡王も0勝4敗です。初参戦となったA級で、佐々木勇気八段、永瀬拓矢九段、近藤誠也八段、佐藤天彦九段に敗れています。
特に注目されるのは、次の5回戦が3勝1敗の増田康宏八段との対戦であることです。増田八段は4回戦で豊島九段に敗れたものの、開幕から3連勝した実績があります。
伊藤叡王にとっては、連敗を止めるだけでなく、上位グループにいる棋士から白星を挙げられるかが焦点です。
糸谷哲郎九段は4回戦で初勝利
糸谷九段は開幕3連敗の後、4回戦で千田八段を破り、1勝3敗としました。
前期順位は1位ですが、順位戦では前期順位が高いことだけで残留が保証されるわけではありません。最終的な成績が下位2名に該当すれば、降級の対象となります。
次の5回戦では永瀬九段と対戦します。4連勝中の首位棋士を相手に勝利できれば、リーグの流れを変えるきっかけになります。
同じ勝敗で並んだ場合、降級者はどう決まる?
降級争いで誤解されやすいのが、同じ勝敗数になった場合の扱いです。
日本将棋連盟の規定では、同じ成績の棋士の順位は前期順位によって決まります。降級者を決めるための残留決定戦は行われません。
そのため、仮に最終成績で複数の棋士が並んだ場合でも、前期順位を含めた序列によって降級対象が決まります。現時点で0勝4敗の千田八段と伊藤叡王が厳しい位置にいるのは確かですが、まだ5局を残しており、降級が確定したわけではありません。
【A級順位戦の仕組みと5回戦日程】次の対局は11月16日から20日
順位戦A級は、将棋界の最高峰である名人戦につながるリーグです。B級1組から昇級した棋士や、前期からA級に在籍する棋士など、10人が参加します。
A級順位戦の基本的な仕組み
日本将棋連盟が公表する順位戦の規定では、A級は原則として10人による総当たり戦です。各棋士が残りの9人と1局ずつ対戦し、合計9局を戦います。
持ち時間は各6時間。長時間の持ち時間を使って深く読み合うため、終局が深夜に及ぶこともある棋戦です。
また、A級の優勝者が名人戦七番勝負に進み、現名人の藤井聡太名人と対戦します。七番勝負は先に4勝した棋士が名人位を獲得する方式です。
第85期A級順位戦・5回戦の日程と対戦カード
次の5回戦は2026年11月16日から20日まで、5日間に分かれて行われる予定です。注目は、4連勝中の永瀬九段と豊島九段の対局、そして0勝4敗の千田八段と伊藤叡王の巻き返しです。
- 11月16日(月):糸谷哲郎九段 対 永瀬拓矢九段
- 11月17日(火):千田翔太八段 対 佐々木勇気八段
- 11月18日(水):豊島将之九段 対 広瀬章人九段
- 11月19日(木):伊藤匠叡王 対 増田康宏八段
- 11月20日(金):近藤誠也八段 対 佐藤天彦九段
いずれも順位戦の流れを左右するカードです。特に永瀬九段と豊島九段は、次の一局に勝てば5連勝となります。両者のどちらかが先に黒星を喫するのかも注目点です。
5回戦以降に注目したい3つの対局
永瀬拓矢九段対糸谷哲郎九段は、全勝を守りたい永瀬九段と、連勝で巻き返したい糸谷九段の対戦です。実績と現在の成績の両面で対照的な状況にある2人の一局になります。
豊島将之九段対広瀬章人九段も見逃せません。広瀬九段は2勝2敗で、ここから連勝できれば上位争いへの復帰を狙えます。豊島九段にとっても、無敗を維持するために落とせない対局です。
伊藤匠叡王対増田康宏八段は、残留争いと上位争いの両方に関係するカードです。伊藤叡王が初白星を挙げるのか、それとも増田八段が4勝目を獲得して首位との差を縮めるのか、結果が注目されます。
加えて、リーグ終盤には永瀬九段と豊島九段の直接対決も予定されています。第85期のA級順位戦は、前半戦から終盤戦まで目が離せない構図になっています。
【A級順位戦結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:第85期A級順位戦で現在トップにいる棋士は誰ですか?
A1:2026年10月30日の4回戦終了時点では、永瀬拓矢九段と豊島将之九段がともに4勝0敗で首位に並んでいます。3勝1敗の増田康宏八段が続いています。
Q2:A級順位戦の5回戦はいつ開催されますか?
A2:2026年11月16日から20日まで予定されています。16日に糸谷九段対永瀬九段、18日に豊島九段対広瀬九段、19日に伊藤叡王対増田八段など、注目カードが組まれています。
Q3:A級順位戦では何人が降級しますか?
A3:原則として成績下位の2人がB級1組に降級します。同じ勝敗数の場合は前期順位によって序列が決まり、残留決定戦は行われません。第85期は4回戦終了時点で千田翔太八段と伊藤匠叡王が0勝4敗となっていますが、まだ残り5局あります。
まとめ:第85期A級順位戦は永瀬・豊島の全勝対決と残留争いに注目
2026年10月30日に4回戦が終了した第85期A級順位戦は、永瀬拓矢九段と豊島将之九段が4勝0敗で並ぶ展開となりました。両者を追う増田康宏八段は3勝1敗。2勝2敗の近藤誠也八段、佐々木勇気八段、佐藤天彦九段、広瀬章人九段にも、上位へ浮上する可能性が残されています。
一方、残留争いでは千田翔太八段と伊藤匠叡王が0勝4敗、糸谷哲郎九段が1勝3敗と苦しい状況です。A級から降級するのは2人ですが、残り5局の結果によって順位は大きく変わります。
今後の注目要点は、次の3つです。
- 名人挑戦争い:永瀬九段と豊島九段が5連勝を達成するか。
- 追い上げの可能性:増田八段や2勝2敗の棋士が連勝できるか。
- 残留争い:千田八段、伊藤叡王、糸谷九段が巻き返せるか。
特に、最終9回戦に予定されている永瀬九段と豊島九段の直接対決は、今期の名人挑戦争いを占う大きな見どころです。
A級順位戦の結果を追う際は、単純な勝ち星だけでなく、前期順位による序列、プレーオフの条件、降級枠まで確認することが大切です。11月16日から始まる5回戦で、首位争いと残留争いがどのように動くのか注目しましょう。