『学糾法廷』(がっきゅうほうてい)は、いじめや体罰、スクールカーストなどの学校問題を、子どもたち自身が裁判形式で解決する「学級法廷制度」を描いた推理漫画です。原作は榎伸晃、作画は『DEATH NOTE』『バクマン。』などで知られる小畑健。2015年に『週刊少年ジャンプ』で連載され、単行本は全3巻で完結しています。
物語の中心となるのは、弁護士資格を持つ少年・犬神暴狗と、事件の容疑者となった七星てんと。そして、作品の根幹に関わる「スズキ君バラバラ殺人事件」や「血の学級会」です。最終回は『少年ジャンプ+』で公開された完結編まで読むことで、物語に張り巡らされた謎の全貌が明らかになります。2026年現在の刊行状況、読切版の収録内容、連載終了までの経緯も含めて整理します。
【作品概要】学糾法廷とは?あらすじと学級法廷制度の仕組み

『学糾法廷』は、小学校を舞台にした推理・法廷漫画です。最大の特徴は、学校で発生したいじめやトラブルを、通常の学級会ではなく、裁判として解決する独自の世界観にあります。
いじめや体罰を子どもが裁く「学級法廷制度」
作品の世界では、教育現場で学級崩壊やいじめ、体罰などの問題が深刻化しています。その解決策として政府が導入したのが「学級法廷制度」です。
問題が起きたクラスに検事と弁護士が派遣され、児童たちの証言や証拠をもとに学級会で裁判を行います。検事と弁護士は資格を持つ小学生が担当し、裁判官は幼稚園児が務めるという、現実の司法制度とは大きく異なる仕組みです。
加えて、作品内では判決に法的拘束力があり、単なる話し合いでは済まされません。学校の教室が法廷へと変わり、児童たちが証言台に立つという大胆な設定が、作品の緊張感を生み出しています。
もちろん、これは漫画独自の架空制度です。実際の日本の学校に、子どもが裁判官や検事となって同級生を裁く制度が存在するわけではありません。
物語の発端となるスズキ君バラバラ殺人事件
物語の舞台は、向日葵市立天秤小学校6年3組です。
クラスで飼育していた魚のスズキ君が、何者かによってバラバラにされた状態で発見されます。最後にスズキ君を見た児童であり、持ち物のハサミに魚のうろこが付着していた七星てんとが、事件の容疑者として浮上します。
ここで注意したいのは、事件名に「殺人」とありますが、被害に遭ったのは人間ではなく、クラスで飼育されていた魚だという点です。作品特有の大げさな事件名と、実際の学校生活に近い題材の組み合わせが印象に残ります。
てんとを弁護するために転校してきたのが犬神暴狗。対する検事として現れるのが判月鳳梨です。二人の対決を通じて、事件の裏に隠された事情が少しずつ明らかになっていきます。
【登場人物】犬神暴狗・七星てんと・判月鳳梨の関係
『学糾法廷』の魅力は、奇抜な司法制度だけではありません。弁護士、検事、被告人という立場に置かれた小学生たちが、それぞれ異なる目的や過去を抱えている点も見どころです。
犬神暴狗(いぬがみ・あばく)
犬神暴狗は、天秤小学校6年3組に転校してくる少年で、物語の中心人物です。
小学生でありながら弁護士資格を持ち、法廷では相手の矛盾を徹底的に追及します。強気な性格で、論破を得意とする一方、その過去には「血の学級会」という重大な事件が関係しています。
当初の目的は、スズキ君バラバラ殺人事件で七星てんとを弁護すること。しかし、事件が解決した後も天秤小学校に残り、別の事件を調査しながら自身の目的を追い続けます。
七星てんと(ななほし・てんと)
七星てんとは、天秤小学校に通う気弱な少年です。クラスでは生き物係を務め、魚のスズキ君の世話を担当していました。
事件発生時に不利な状況証拠が重なり、最初の学級法廷で被告人となります。犬神暴狗が彼の弁護を引き受けることになりますが、てんとの存在には物語の根幹に関わる謎が隠されています。
単に事件に巻き込まれた児童というだけではなく、物語終盤の「血の学級会」の真相にも深く関係する重要人物です。
判月鳳梨(はんづき・ぱいん)
判月鳳梨は、犬神暴狗と対立する検事の少女です。
スズキ君バラバラ殺人事件では、七星てんとの罪を立証するために転校してきます。明るく社交的な雰囲気を持ちながら、法廷では強気な姿勢を崩しません。
暴狗とは立場も性格も異なり、二人の対立が物語のテンポを作っています。また、最初の事件が終わった後も、暴狗を倒すという目的から天秤小学校に残ります。
そのほかの主要人物
- 白鳥麗子:天秤小学校の児童。スズキ君バラバラ殺人事件の証人であり、後半の事件にも関わる。
- 魚澄泳介:てんとの友人。盗撮事件などで被告人や証人として学級法廷に登場する。
- 東出秀一:クラスの学級委員長で秀才。カンニング事件を通して意外な一面が明らかになる。
- 喜嶋ゆい:犬神暴狗や猿飛虎太郎の過去に関係する検事。「三舌」の一人として登場する。
- 猿飛虎太郎:暴狗と過去を共有する少年。後半の展開で重要な役割を担う。
特に犬神暴狗と七星てんとの関係は、最初の事件から最終回まで物語をつなぐ重要な軸になっています。
【全3巻の内容】各巻の事件とストーリー展開を解説
『学糾法廷』は全3巻で完結しています。各巻には複数の事件が収録されており、学校内の身近な問題から、作品全体を貫く大きな謎へと物語が展開していきます。
第1巻:スズキ君バラバラ殺人事件から始まる学級裁判
第1巻は、作品の世界観と主要人物を理解するための導入部分です。
最初の事件では、魚のスズキ君がバラバラにされたことをきっかけに、七星てんとが容疑者となります。犬神暴狗は弁護士として証拠や証言を検証し、事件の真相を追及します。
その後も、美少女アイドル小鳥遊愛莉の盗撮事件、東出秀一のカンニング事件、マジカルパウダーをめぐる事件などが描かれます。
単純な犯人探しではなく、児童たちの証言や人間関係、学校生活の中に隠された矛盾を解き明かしていく構成が特徴です。
第2巻:マジカルパウダーと暴狗の過去
第2巻では、マジカルパウダーを不法に売りさばく謎の仮面の男をめぐる事件が展開します。
子どもたちの間で人気となった粉をめぐり、学校内でさまざまな問題が発生。加えて、犬神暴狗の過去を知る人物も登場し、物語は単発事件の解決だけでは終わらない方向へ進みます。
収録されているのは、民事裁判編や「水深5mの悪霊」などです。第1巻よりも人物同士の因縁や過去の出来事に焦点が当たり、終盤へ向けて重要な伏線が配置されます。
第3巻:血の学級会と物語の完結
最終巻では、飼育小屋で白鳥麗子が血を流して発見される事件が発生します。容疑者として七星てんとが浮上し、再び学級法廷が開かれます。
加えて、「三舌」の最後の一人が犬神暴狗たちの前に現れ、過去に起きた「血の学級会」の謎が物語の中心に据えられます。
最終話のタイトルは「はじまりの学級会」。第1巻から続いてきた謎に決着をつけるエピソードであり、単行本第3巻には連載前の読切版も収録されています。
【作品の関係性と連載年表】榎伸晃・小畑健から最終回まで
『学糾法廷』を理解するうえでは、作品がどのように生まれ、どの媒体で完結したのかを整理することも大切です。
原作を担当する榎伸晃の作品を、小畑健が作画するという制作体制で連載化されました。もともと『ジャンプLIVE』に掲載された読切版があり、それを出発点として『週刊少年ジャンプ』での連載につながっています。
| 時期・人物 | 出来事・役割 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 榎伸晃 | 原作担当 | 読切版を手掛け、連載版ではストーリーを担当 |
| 小畑健 | 漫画・作画担当 | 連載版のビジュアルを担当 |
| ジャンプLIVE | 読切版掲載 | 連載化以前の作品が掲載された媒体 |
| 2015年1号 | 週刊少年ジャンプで連載開始 | 2014年12月1日発売号からスタート |
| 2015年5月1日 | コミックス第1巻発売 | スズキ君バラバラ殺人事件などを収録 |
| 2015年5月11日 | 週刊少年ジャンプ24号 | 本誌で最終回を迎える |
| 2015年5月末 | 少年ジャンプ+ | 完結編を公開 |
| 2015年7月3日 | コミックス第2巻発売 | マジカルパウダーや民事裁判編などを収録 |
| 2015年8月4日 | コミックス第3巻発売 | 最終話と読切版の前後編を収録 |
この年表から分かるのは、本誌の最終掲載と作品全体の完結が同じタイミングではなかったことです。
『週刊少年ジャンプ』での掲載が終わった後、完結編が『少年ジャンプ+』に掲載されました。そのため、本誌だけを読んでいた読者にとっては、最後の展開を追うために別媒体へ移る必要があった作品です。
また、原作と作画を別々の作家が担当している点も注目したいところです。榎伸晃の考案した独特の設定や推理要素に、小畑健の緻密な作画が組み合わさることで、学校を舞台にした作品でありながら、本格的な法廷劇を思わせる画面構成が生まれています。
【最終回ネタバレ】血の学級会の真相と連載終了の経緯
ここからは物語終盤のネタバレを含みます。特に「血の学級会」と赤鬼の正体は、作品を最後まで読むうえで要点です。
血の学級会とは何だったのか
犬神暴狗、猿飛虎太郎、喜嶋ゆいの過去に関係する「血の学級会」は、教師1人と児童35人が犠牲になった凄惨な事件です。
事件後、暴狗たちは犯人の一人と見なされ、鬼ヶ島小学校に送られた過去を持っています。3人はその後、独学で司法を学び、子ども司法試験に合格。弁護士や検事として活動するようになりました。
物語を通じて彼らが追い続けていたのが、事件に関わる「赤鬼」の存在です。
最終回で明かされる赤鬼の正体
2015年5月末に『少年ジャンプ+』で公開された完結編では、犬神暴狗が七星てんとを赤鬼ではないかと疑う展開から、事件の真相に迫ります。
当時の完結編を読んだ感想記録によると、明らかになるのは、赤鬼という人物が実在の犯人ではなかったという事実です。
「血の学級会」の実際の犯行は担任教師によるもので、教師は児童たちを殺害した後に自殺していました。暴狗たちが追い続けていた赤鬼は、大人たちが3人を事件のトラウマから立ち直らせるために用意した架空の存在だった、というのが完結編の大きな種明かしです。
つまり、物語を貫いてきた犯人探しは、単なる殺人事件の捜査ではなく、事件の生存者たちが過去と向き合うための長い過程でもありました。
この結末は、子どもたちが正義を追求するという作品の設定に対し、大人たちが隠していた真実という対照的なテーマを提示しています。
学糾法廷は打ち切りだったのか?
検索では「学糾法廷は打ち切りだったのか」という疑問も見られます。
事実として確認できるのは、2015年1号から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、同年24号で本誌掲載を終えたことです。その後、完結編が『少年ジャンプ+』で公開され、全3巻のコミックスとして物語がまとめられました。
連載期間が比較的短く、最後のエピソードが別媒体に移ったことから、打ち切りという印象を持つ読者がいるのは理解できます。
ただし、集英社から連載終了の具体的な理由や編集上の判断について、公式な説明が発表されたことを確認できる資料はありません。読者アンケートの結果や編集部の判断を終了理由として断定することはできません。
重要なのは、連載終了と作品の未完結を混同しないことです。『学糾法廷』は未完のまま放置された作品ではなく、『少年ジャンプ+』の完結編と第3巻によって物語を最後まで読むことができます。
【読切版と電子書籍】現在どこで読める?第3巻の収録内容も解説
『学糾法廷』をこれから読む人にとって、見逃せないのが連載前の読切版です。実は、現在刊行されている第3巻には、連載版とは別の読切作品も収録されています。
連載前の読切版は榎伸晃が作画も担当
連載版の原作を担当した榎伸晃は、連載化以前に『ジャンプLIVE』で読切版『学糾法廷』を発表しています。
連載版では小畑健が作画を担当していますが、読切版は榎伸晃自身が描いた作品です。そのため、同じ作品の原型と連載版を比較できるという意味でも興味深い収録内容になっています。
第3巻の巻末には、読切版の「前編<事件篇>」と「後編<法廷篇>」が収録されています。連載版だけを読んで作品を理解したつもりになっている人も、読切版を読むことで企画段階の雰囲気を確認できます。
なお、読切版の正式な作品名は『学糾法廷』です。「学級法廷」という表記は作中の制度名と混同しやすいため、検索時には区別しておくと見つけやすくなります。
2026年現在の電子書籍の刊行状況
2026年11月現在、集英社の公式書誌ページでは『学糾法廷』全3巻が確認でき、いずれもジャンプコミックスDIGITALとして登録されています。
各巻の発売日は次のとおりです。
- 第1巻:2015年5月1日発売
- 第2巻:2015年7月3日発売
- 第3巻:2015年8月4日発売
電子書籍で探す場合は、集英社の公式書誌情報を基準に、ゼブラックや少年ジャンプ+、その他の電子書籍ストアで作品名を検索する方法があります。
ただし、公式サイトに書誌情報が残っていることと、すべての電子書店で常時購入できることは同じではありません。実際の購入可否、価格、キャンペーン、配信地域などは各ストアの販売画面で確認する必要があります。
紙の単行本を探す場合も、発売から年数が経過しているため、新品の在庫だけでなく中古書店や通販の在庫状況も確認するとよいでしょう。
【よくある質問】学糾法廷に関するFAQ
Q1:学糾法廷は全部で何巻ありますか?
A1:全3巻で完結しています。第1巻から第3巻まで集英社のジャンプコミックスとして刊行され、第3巻には最終話と読切版の前後編が収録されています。
Q2:犬神暴狗と七星てんとの関係は?
A2:犬神暴狗は、スズキ君バラバラ殺人事件で容疑者となった七星てんとを弁護するために転校してきた少年です。物語の終盤では、てんとの存在が「血の学級会」の真相にも関わってきます。
Q3:学糾法廷の最終回はどこで読めますか?
A3:本誌での最終掲載後、完結編が『少年ジャンプ+』で公開されました。現在は完結編を収録したコミックス第3巻を読む方法もあります。
Q4:学糾法廷は打ち切りだったのでしょうか?
A4:2015年の週刊少年ジャンプ24号で本誌掲載を終え、少年ジャンプ+で完結編が公開されています。連載終了の具体的な理由は公式には公表されておらず、打ち切りの理由をアンケート結果などに結び付けて断定することはできません。
Q5:読切版の学糾法廷は何巻に収録されていますか?
A5:第3巻です。連載版の作画を担当した小畑健ではなく、原作者の榎伸晃が描いた読切版の前編「事件篇」と後編「法廷篇」が収録されています。
Q6:スズキ君バラバラ殺人事件の被害者は人間ですか?
A6:いいえ。被害に遭ったのはクラスで飼育していた魚のスズキ君です。事件名は物騒ですが、作品の最初の学級裁判を描いたエピソードです。
まとめ:学糾法廷は全3巻で最終回まで読める法廷ミステリー
『学糾法廷』は、榎伸晃の独創的な原作と小畑健の作画によって生まれた、学校と司法を組み合わせた異色の推理漫画です。
犬神暴狗と七星てんとを中心に、スズキ君バラバラ殺人事件、マジカルパウダーをめぐる事件、そして「血の学級会」の真相へと物語が展開します。
2015年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、本誌掲載終了後は『少年ジャンプ+』で完結編が公開されました。単行本は全3巻で、最後の巻には連載前の読切版まで収録されています。
特に注目したいのは、最終回で明らかになる赤鬼の真相です。子どもたちが正義を追求する物語でありながら、その背景には大人たちが隠していた過去や、事件を経験した子どもたちの心の問題が描かれています。
おすすめしたいのは、推理漫画が好きな人、小畑健の緻密な作画を楽しみたい人、そして連載作品の原型となった読切版と完成版を比較してみたい人です。一方、長期連載の壮大な伏線回収や、現実的な司法ドラマを期待する人には、独特の設定や短い連載期間が好みを分ける可能性があります。
2026年現在も、全3巻で物語を最初から最後まで追える作品です。読むなら第1巻から順番に進め、第3巻の読切版までチェックすると、『学糾法廷』という作品の出発点と完結までを一通り楽しめます。
主な参照資料: 集英社・少年ジャンプ公式作品情報、集英社の各巻書誌情報、MANTANWEBの連載開始・終了時の報道、マンガペディアの登場人物・作品設定資料、2015年の完結編に関する読後記録。