熊保護団体は、クマを捕獲から守るだけの組織ではない。野生のクマが暮らす森林の保全、生態調査、人身被害を防ぐための対策、地域住民への啓発、行政への政策提言など、活動は多岐にわたる。日本では日本熊森協会、日本クマネットワーク、ヒグマの会、信州ツキノワグマ研究会、ピッキオなどが、それぞれ異なる専門性を生かしてクマと人間の共存に取り組んでいる。
2026年11月現在、クマによる人身被害と市街地への出没は、野生動物保護と地域の安全を両立させるうえで避けて通れない課題だ。環境省の速報値では、2025年度の人身被害者数は238人、うち死亡者は13人。さらに2026年度も9月末までに68人が被害を受け、6人が亡くなっている。こうした状況のなか、各団体はどのような活動を行い、寄付やボランティアを通じてどのように参加できるのか。
【熊保護団体とは】保護だけではない活動の目的と役割

熊保護団体とは、野生のクマの生息環境を守り、人間との不要な衝突を減らすことを目指して活動する団体の総称だ。法律上、すべての団体が同じ種類の組織として分類されているわけではなく、一般財団法人、NPO法人、NGO、研究者や市民による団体など、組織形態も異なる。
活動の基本は、大きく分けて「クマの保全」「人身被害の防止」「調査研究」「教育・啓発」「政策提言」の5分野に整理できる。
1. クマの生息地を守る森林保全
クマの生息には、食物や水が得られる広い森林環境が欠かせない。森林の分断や開発、人工林の管理不足などは、野生動物の生息環境を考えるうえで重要な問題となる。
森林保全を重視する団体では、奥山の天然林を守る活動、人工林の整備、水源の森の保全、地域の自然環境に関する調査などを実施している。クマだけを対象にするのではなく、多様な野生動物が暮らせる生態系全体を守る考え方が特徴だ。
2. 人間とクマの生活圏を分ける被害防止
クマによる人身被害を減らすには、クマが人間の生活圏に近づきにくい環境をつくることが重要になる。
具体的には、生ゴミや放置果樹などの誘引物の除去、電気柵の設置、藪の刈り払い、出没情報の共有、個体識別、追跡調査などが挙げられる。
クマの出没をすべて同じ問題として扱うのではなく、個体の行動や出没場所、過去の人間との接触状況を調べ、状況に応じた対策を選ぶことが求められる。
3. 科学的な調査と行政への提言
クマの生態や個体数、行動範囲、食性、出没傾向などを調査し、その結果を地域の対策に生かすことも重要な活動だ。
研究者や専門家が集まる団体では、調査結果を学会やシンポジウムで共有したり、自治体や国に対して管理方針の改善を提案したりする。
つまり、熊保護団体は単にクマを助けるだけではなく、科学的な情報を社会に届け、人間と野生動物が共存できる仕組みを整える役割も担っている。
【主要5団体を比較】日本熊森協会・日本クマネットワーク・ヒグマの会・ピッキオの違い
熊保護団体を選ぶ際に重要なのは、団体の知名度だけで判断しないことだ。森林を守りたいのか、クマの生態を研究したいのか、人身被害を減らす現場の取り組みを応援したいのかによって、適した支援先は変わる。
2026年11月時点の各団体の公式公開情報をもとに、主要5団体の特徴を整理した。
| 団体名 | 主な活動分野 | 対象地域・特徴 | 主な支援方法 |
|---|---|---|---|
| 日本熊森協会 | 森林保全、奥山再生、野生動物との共存、政策提言 | 全国的な自然保護活動 | 会員、寄付、ボランティア |
| 日本クマネットワーク | 調査研究、学術交流、被害防止、普及啓発 | 全国の研究者・行政・市民をつなぐNGO | 会員、クマ基金、オンライン寄付 |
| ヒグマの会 | ヒグマの調査、研究、情報発信、フォーラム | 北海道のヒグマ問題に特化 | 一般会員、学生会員、団体会員 |
| 信州ツキノワグマ研究会 | 生態調査、事故現場検証、教育・啓発 | 長野県を中心とするツキノワグマ研究 | 会員、寄付、教育活動への参加 |
| ピッキオ | 個体管理、学習放獣、ベアドッグ、誘引物対策 | 長野県軽井沢町を中心とする現場型の保護管理 | 単発寄付、月々会員、年会員、学生インターンシップ |
この比較から分かるのは、5団体が同じ活動をしているわけではないという点だ。特に、日本熊森協会と日本クマネットワークは活動範囲が広い一方、ピッキオは地域に密着した実践的なクマ管理を行っている。
また、ヒグマの会は北海道のヒグマ問題、信州ツキノワグマ研究会は長野県のツキノワグマ問題に専門性を持つ。対象となるクマの種類や地域にも注目したい。
【各団体の活動内容を詳しく解説】2026年の最新動向と実績
日本熊森協会|奥山の森林保全と野生動物との共存を重視
日本熊森協会は、クマをはじめとする野生動物が暮らせる豊かな森林環境を守ることを重視する自然保護団体だ。現在の法人形態は一般財団法人で、2010年12月28日に設立されている。
活動の柱は、森林保全、奥山の再生、野生動物との共存、環境教育、政策提言の5つだ。
同協会が重視しているのは、クマが人里に出てくる問題を、動物だけの問題として考えないことだ。山の食物環境や森林の状態、人間側の土地利用などにも目を向け、クマが本来の生息地で暮らせる環境を守ることを目指している。
公式の活動紹介では、人工林の間伐や奥山の天然林再生、野生動物との棲み分け、子ども向けの環境教育、行政への政策提言などが紹介されている。
また、誤って捕獲されたクマの保護・飼育や、野生動物の被害防除に関する活動も支援の対象となっている。
2026年の参加方法としては、本部や各支部でのボランティア活動がある。公式募集情報では、クマの保護飼育、生息地での被害防除、環境教育、事務作業など、複数の参加分野が案内されている。
会員制度は、応援会員が年1,000円から、正会員が年6,000円から。寄付はクレジットカードや銀行振込などで受け付けており、クマ保護基金への支援も可能だ。
森林保全を長期的に応援したい人や、地域の自然保護活動に直接参加したい人に適した団体といえる。
日本クマネットワーク|科学的な調査と全国的な情報共有を担う
日本クマネットワーク(JBN)は、日本における人間とクマ類の共存を目指すNGOだ。研究者だけでなく、自然保護活動家、行政関係者、学生、一般市民など、さまざまな立場の人が参加している。
特徴は、クマに関する専門的な情報を全国規模で共有できるネットワークを持っていることだ。
主な活動は、学術的な講演会やシンポジウム、全国的な調査研究プロジェクト、被害防止に関する情報発信、地域活動の支援など。会報誌「BEARS JAPAN」やプロジェクト報告書なども公開している。
2026年には、クマ問題に関する政策提言も活発化した。4月には環境省が実施した特定鳥獣保護・管理計画のガイドライン案に対して意見を提出。7月には「人の生活圏でのクマ類による人身事故をゼロに!」を掲げる活動が、2026~2028年度の3年間の地球環境基金助成事業に採択された。
また、8月にはクマ関連の被害対策用品や機材について、使用時の注意点などに関する意見を公表している。
支援方法は会員制度とオンライン寄付が中心だ。年会費は正会員3,000円、学生会員2,000円、賛助会員10,000円。寄付金は、クマ基金を通じた会員主体の調査研究や被害防止活動、教育普及活動などの支援にも活用される。
研究者や専門家の知見を重視したい人、全国的なクマ問題の情報共有や政策形成を応援したい人に向いている。
ヒグマの会|北海道のヒグマと人間の関係を考える専門団体
ヒグマの会は、北海道のヒグマと人間の関係について、研究者、狩猟者、農家、行政関係者、一般市民などが幅広く意見を交わす団体だ。
設立は1979年。単純にヒグマを保護する、あるいは排除するという一方向の考え方ではなく、ヒグマの生態や地域社会との関係を踏まえながら、共存のあり方を考えることを掲げている。
活動の中心は、ヒグマに関する情報発信、調査研究、提言、ニュースレターの発行、ヒグマフォーラムなどだ。
2026年の大きな活動として注目されるのが、10月31日に北海道占冠村の星野リゾート トマムで開催された「2026ヒグマフォーラム in しむかっぷ」だ。
公式発表によると、フォーラムには約200人が参加。翌11月1日には、リゾート内にクマが出没した状況を想定した対応訓練が行われ、約80人の会員が参加した。
こうした訓練は、ヒグマの生態を学ぶだけではなく、実際に出没した際の人間側の対応を考える機会にもなる。
2027年のフォーラムは札幌市での開催が予定されている。
入会に年齢や職業の制限はなく、年会費は一般会員3,000円、学生会員1,000円、団体会員10,000円。北海道のヒグマ問題に関心がある人や、専門家と市民が協力する活動を応援したい人に適している。
信州ツキノワグマ研究会|長野県の現場調査と教育活動に強み
信州ツキノワグマ研究会は、通称「信州クマ研」と呼ばれるNPO法人だ。1995年に設立され、長野県を中心にツキノワグマの生態調査や被害対策、普及啓発を続けている。
活動は大きく3つに分かれる。
第一は調査研究。ツキノワグマの生態や食性などを調べ、地域におけるクマの行動を把握する。第二は被害対策支援。クマの出没現場や人身事故が発生した現場の検証を行い、専門的な知識を生かした対策を提案する。第三は教育・啓発活動だ。
特に特徴的なのが、小学校や一般市民を対象とするクマ授業「ツキノワグマを知ろう」である。
授業では、ツキノワグマの毛皮や頭骨などの標本を使い、食べ物や生態、遭遇を避ける方法について学ぶ。絵本やかるた、ハンドブックなどの教材制作にも取り組んでいる。
2026年には、これまで無償配布してきた「信州版ツキノワグマハンドブック」などについて、4月18日をもって一般向けの無償配布を終了し、その後は有償販売に切り替えると発表した。一方、研究会が行うクマ講座やクマ授業、小学校などへの教材配布は引き続き実施するとしている。
会員は一般3,000円、学生2,000円、賛助・団体会員5,000円。家族会員は1人につき1,000円が加算される。活動の多くは会員のボランティアによって支えられており、会費や寄付は調査、教材制作、教育普及活動などに使われる。
長野県のクマ問題を学びたい人や、地域密着型の調査・教育活動を応援したい人に適した団体だ。
ピッキオ|ベアドッグと個体管理を活用した現場型のクマ保護管理
ピッキオは、長野県軽井沢町を中心に自然環境の保全や野生動物との共存に取り組むNPO法人だ。
クマ対策事業では、2000年から軽井沢町の委託を受け、人間とクマの軋轢を減らすための保護管理活動を行ってきた。
代表的な活動は、クマの個体識別、電波発信器による行動追跡、学習放獣、ベアドッグを活用した追い払い、誘引物の管理などだ。
ベアドッグとは、クマの追い払いなどを目的に訓練された犬のこと。人間の居住地域に近づいたクマを、スタッフの管理のもとで森の奥へ誘導する役割を担う。
ピッキオの取り組みで特徴的なのは、クマを一律に扱わず、個体ごとの行動を調べて対策を変えることだ。発信器による位置情報や過去の出没状況を分析し、人里への接近を防ぐための対応を実施している。
ただし、2026年度は運用基準に変更があった。軽井沢町では、森林と居住区の間にある緩衝エリアで捕獲された個体について、問題行動の有無にかかわらず、今年度に限り学習放獣を行わない措置が取られている。
これを受け、ピッキオは藪の刈り払い、誘引物の除去、森林エリアでのモニタリング、緩衝エリアに近づく兆候を捉えた段階での追い払いなどに力を入れている。
支援方法は、クマ保護管理活動への単発寄付やベアドッグ育成への寄付、月々会員、年会員など。月々会員は月500円、1,000円、2,000円の選択肢が公開されている。
また、ツキノワグマ保護管理事業では学生向けインターンシップの受け入れも実施している。2026年夏の募集は国内外で締め切られているため、次回の募集情報を確認する必要がある。
現場での科学的な個体管理や、クマと人間の生活圏を分ける実践的な対策を応援したい人に向いている。
【寄付・ボランティア募集】熊保護活動に参加する方法と費用
熊保護活動への参加方法は、団体によって異なる。寄付を受け付けている団体もあれば、会員として活動を支えたり、教育イベントや現場活動に参加したりできる団体もある。
寄付をする場合は使い道を確認する
寄付を検討するなら、まず資金が何に使われるのかを確認したい。
例えば、日本熊森協会では森林保全やクマ保護基金、誤捕獲されたクマの保護・飼育などが支援対象となっている。日本クマネットワークでは、クマ基金を通じて調査研究や被害防止、教育普及活動を支援できる。
ピッキオでは、クマ保護管理活動全般とベアドッグ育成を分けた寄付が可能だ。信州ツキノワグマ研究会では、調査や教材の増刷、教育普及活動などを支える寄付を募集している。
寄付額の大きさだけでなく、活動報告書や会計報告で使途を確認できるかも判断材料になる。
ボランティアに参加する場合
実際に活動に関わりたい人は、団体の公式募集情報を確認する必要がある。
日本熊森協会では、森林保全やクマの保護飼育、被害防除、環境教育、事務作業など幅広いボランティア活動が案内されている。
信州ツキノワグマ研究会では、会員ボランティアが調査や教育普及活動を支えている。会員になることで、教育活動などに参加する機会が得られる。
日本クマネットワークやヒグマの会は、会員制度やシンポジウム、情報交換などを通じて参加する方法がある。ピッキオについては、一般向けの随時ボランティア募集と学生向けインターンシップを区別して確認したい。
なお、クマの捕獲や放獣、発信器の装着、ベアドッグによる追い払いなどは、専門知識と安全管理が必要な業務だ。一般のボランティアが自由に参加できる活動ではない。
主要団体の会費・支援方法を確認
2026年11月時点で公式サイトに掲載されている主な会費・支援内容は次のとおりだ。
- 日本熊森協会:応援会員は年1,000円から。寄付やボランティア参加も可能。
- 日本クマネットワーク:正会員は年3,000円、学生会員は年2,000円、賛助会員は年10,000円。オンライン寄付にも対応。
- ヒグマの会:一般会員は年3,000円、学生会員は年1,000円、団体会員は年10,000円。
- 信州ツキノワグマ研究会:一般会員は年3,000円、学生会員は年2,000円、賛助・団体会員は年5,000円。
- ピッキオ:月々会員は月500円、1,000円、2,000円など。単発寄付も受け付けている。
日本熊森協会は、公式の寄付案内で寄付金が税額控除の対象にならない旨を公表している。税制上の優遇を重視する場合は、各団体の法人格や寄付制度、寄付先の条件を個別に確認したい。
【熊保護団体の評判と見分け方】信頼できる支援先を選ぶ6つの基準
熊保護団体の評判を調べると、クマの捕獲や駆除への考え方、森林保全の必要性、人身被害への対応など、さまざまな意見に触れることがある。
しかし、団体の評価は単純な人気投票では決められない。活動目的や対象地域、専門性が違うため、同じ基準だけで優劣をつけることは適切ではない。
支援先を選ぶ際には、次の6つのポイントを確認したい。
1. 団体の法人格と運営体制が明確か
団体の正式名称、所在地、代表者、役員、設立経緯などが公開されているかを確認する。一般財団法人やNPO法人など、法人格の種類も参考になる。
2. 会計報告や活動報告書を公開しているか
寄付を募るだけでなく、収入と支出、事業内容、活動結果を公開しているかが重要だ。
日本熊森協会は会計報告や事業報告書、日本クマネットワークはプロジェクト報告書、信州ツキノワグマ研究会は貸借対照表などを公式サイトで案内している。ピッキオも活動報告や支援者向けの報告を行っている。
3. 科学的な根拠に基づいて活動しているか
クマの生態や個体数、出没状況などについて、調査結果や専門家の知見を活用しているかを確認する。
調査データや現場検証の報告書がある団体は、活動の根拠を読者自身が確かめやすい。
4. 人間の安全を軽視していないか
クマの保全を掲げる団体であっても、人身被害を防ぐ取り組みは欠かせない。
地域住民の安全確保、農業被害の防止、誘引物の除去、危険な個体への対応などについて、具体的な考え方を公開しているかを確認したい。
5. 寄付金の使い道が具体的か
「自然を守るため」という抽象的な説明だけではなく、森林整備、調査研究、飼育費、教材制作、スタッフ育成など、資金の用途が示されているかが判断材料になる。
6. ボランティアの安全管理が整っているか
野生動物の調査や森林での作業には危険が伴う。参加条件、事前研修、活動範囲、保険、緊急時の対応などを確認することが大切だ。
特に、専門性が必要なクマの捕獲・放獣作業を、経験のない参加者に安易に任せるような募集には注意したい。
評判を判断する際の要点は、団体の理念に共感できるかだけではなく、その理念が実際の活動や成果に結び付いているかを確認することだ。
【2026年のクマ保護活動】人身被害防止と生息地保全は両立できるのか
2026年の熊保護活動を考えるうえで、避けて通れないのが人身被害の問題だ。
環境省が2026年10月に公開した速報資料によると、2025年度のクマによる人身被害は216件、被害者238人、死亡者13人だった。2026年度は9月末までに64件、被害者68人、死亡者6人が報告されている。
2026年度の数値は年度途中の速報値であり、今後変更される可能性がある。それでも、クマの保全だけでなく、住民の生命や生活を守る対策が必要であることは明らかだ。
クマの保護と駆除は単純な二択ではない
クマが人里に出没した場合、必ず保護すべきなのか、それとも駆除すべきなのかという議論が起きやすい。
しかし、実際のクマ管理では、出没した個体の行動や周辺環境、人間への危険性などを踏まえた対応が必要になる。
人間の生活圏に繰り返し現れ、人身被害を引き起こす危険が高い個体と、森林内を移動している個体を同じように扱うことはできない。
日本クマネットワークが2025年11月に公表した被害防止対策に関する提言でも、人命確保を最優先とし、問題個体への対応、被害防除、人間側の行動管理を継続しながら、中長期的な科学的対策を進める必要性が示されている。
2026年は国のクマ対策も強化されている
環境省は2026年3月27日にクマ被害対策ロードマップを公表した。国や自治体による対策支援、地域の管理体制、人身被害の防止などが重要な政策課題となっている。
また、2025年9月からは、一定の条件下で市街地などに出没したクマ等に対して緊急銃猟を実施できる制度の運用が始まった。環境省の2026年版環境白書では、2025年度末までに60件の実施が報告されている。
この制度の存在は、クマ保護団体の活動にも影響する。人間の安全を確保するための緊急対応と、森林環境の改善や出没予防などの長期的な対策をどう組み合わせるかが重要になる。
これからの熊保護活動に求められること
今後、特に重要になるのは次の4点だ。
- 生息地保全:クマが自然の中で生活できる森林環境を維持する。
- 誘引物管理:生ゴミや放置果樹など、人里にクマを引き寄せる原因を減らす。
- 科学的な個体管理:発信器やカメラなどを活用し、クマの行動を把握する。
- 地域との協力:行政、研究者、住民、農業関係者、自然保護団体が情報を共有する。
クマの生息地を守る活動と、人間の生活を守る活動は、本来対立するものではない。人間が生活する場所とクマが暮らす森林の境界を適切に管理し、不要な接触を減らすことが共存への現実的な道筋になる。
【熊保護団体に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本で最も有名な熊保護団体はどこですか?
A1:代表的な団体には、日本熊森協会、日本クマネットワーク、ヒグマの会、信州ツキノワグマ研究会、ピッキオなどがある。ただし、それぞれ活動分野や対象地域が異なるため、知名度だけで最適な支援先を決めることはできない。
Q2:熊保護団体に個人でも寄付やボランティア参加はできますか?
A2:可能だ。日本熊森協会や日本クマネットワーク、信州ツキノワグマ研究会、ピッキオなどは公式サイトで寄付や会員制度を案内している。日本熊森協会では幅広いボランティア活動も募集している。参加できる活動や募集時期は団体によって異なるため、最新の公式案内を確認したい。
Q3:熊保護団体はクマの駆除に反対しているのですか?
A3:一律にそうとはいえない。団体によって考え方は異なるが、クマの生息地保全や人身被害防止、個体管理などを組み合わせている団体もある。ピッキオのように自治体から委託を受け、地域の安全を守るための個体管理を実施する組織もある。団体ごとの提言や具体的な活動内容を確認することが大切だ。
まとめ:自分に合った熊保護団体を選び、持続可能な共存を支える
熊保護団体の活動は、森林保全から科学的な調査、人身被害防止、教育、政策提言まで幅広い。日本熊森協会は森林と野生動物の保全、日本クマネットワークは全国的な研究・情報共有、ヒグマの会は北海道のヒグマ問題、信州ツキノワグマ研究会は長野県の現場調査と教育、ピッキオは軽井沢での実践的なクマ管理に強みを持つ。
寄付やボランティアを考えるなら、まず自分が何を支援したいのかを明確にしたい。森林を守る活動に参加するのか、調査研究を応援するのか、人身被害を防ぐ現場の活動を支えるのかによって、適した団体は変わってくる。
そして、団体の理念だけでなく、活動実績、会計報告、寄付金の使途、安全管理、行政や専門家との連携状況を確認することも欠かせない。
2026年のクマ問題が示しているのは、野生動物を守ることと、人間の生命や暮らしを守ることの両方が必要だという現実だ。クマを単純に排除するのでも、無条件に保護するのでもなく、科学的な知見と地域の実情を踏まえた対策を継続することが求められている。
一人ひとりが信頼できる活動を知り、寄付や参加を通じて支えることも、人とクマが共存できる環境を未来につなぐ一歩になる。
主な参照資料: 環境省の2026年度人身被害速報・環境白書、日本熊森協会、日本クマネットワーク、ヒグマの会、信州ツキノワグマ研究会、ピッキオ、軽井沢町の公式公開資料。