2026年現在も、漫画家・たつき諒氏の「予言」は、東日本大震災との一致や『私が見た未来 完全版』に記された2025年7月の大災難をめぐり、検索され続けている。特に話題になったのが、2025年7月5日午前4時18分に日本で巨大地震や津波が発生するという説だ。しかし、この日時には重要な誤解がある。本人が夢を見た日と、災難が起こると記した時期、さらにSNSで拡散された日時は、それぞれ異なる情報だからだ。
飛鳥新社の公式説明、たつき諒本人のインタビュー、2025年刊行の自伝『天使の遺言』、そして2026年の気象庁・日本地震学会の見解を照合すると、騒動の経緯が見えてくる。2025年7月5日には実際にトカラ列島近海で地震が発生したが、気象庁は予言との因果関係を否定している。ここでは、予言の原文に近い情報、本人の発言、実際の災害記録を分けて、その真相を整理する。
【まず結論】たつき諒予言は何を示していたのか?

たつき諒氏の予言として知られる情報は、大きく分けて2つある。1つは1999年に刊行された漫画『私が見た未来』の表紙に書かれた「大災害は2011年3月」という記述。もう1つは、2021年刊行の『私が見た未来 完全版』で紹介された、2025年7月に起こるとされた大災難の夢だ。
後者では、太平洋周辺の国々を巨大な津波が襲うという夢の内容が紹介されている。著書には、津波の規模が東日本大震災を上回るようなイメージも記されており、これが国内外で大きな関心を集めた。
ただし、ここで区別したいのは、夢の内容と発生日時の指定である。飛鳥新社が2025年4月19日に公表した公式説明によると、著者が記していたのは「その災難が起こるのは2025年7月」という内容だった。
つまり、2025年7月という月の記述と、2025年7月5日午前4時18分という具体的な日時は同じものではない。後者を本人が確定的に予言したという理解は、出版社の説明とも一致しない。
加えて、2025年7月4日に公開されたSmart FLASHの本人インタビューでは、たつき氏自身が次のように説明している。
「あの本は予言ではないし、予言漫画でもないのです」
本人は、完全版の帯に使われた「本当の大災難は2025年7月にやってくる」というコピーについても、自分が書いた文言ではなく、編集者によって付けられたものだと説明した。
この発言は、著者の意図と、書籍の販売時に強調されたメッセージとの間に距離があったことを示している。夢を記録した作品を読むことと、それを確定した未来予測として受け取ることは分けて考える必要がある。
【日付の真相】2021年7月5日の夢日記と午前4時18分の関係
「2025年7月5日午前4時18分」という日時が広まった背景には、2つの情報が重なったことがある。
夢を見た日時は2021年7月5日午前4時18分
『私が見た未来 完全版』に掲載された夢日記には、夢を見た日時として2021年7月5日午前4時18分と記録されている。
これは、2025年に災害が発生する日時ではない。あくまで夢を見た日時である。
ところが、2025年7月という災難の時期と、夢日記に記録された7月5日という日付が組み合わさったことで、「2025年7月5日に何かが起きるのではないか」という解釈が広がった。
2025年7月5日説には、あとがきの条件付き記述も関係している
もう一つの背景が、完全版のあとがきにある記述だ。
Smart FLASHの2025年7月4日の記事によれば、あとがきには、夢を見た日が現実化する日だと仮定した場合、次の大災難の日は2025年7月5日になる、という趣旨の記述がある。
この条件付きの説明がSNSなどで切り取られ、次第に「2025年7月5日に災害が起きる」という断定的な情報へ変化していった。
映画タイトルも午前4時18分説を広げた要因
2025年には『2025年7月5日午前4時18分』という映画タイトルも話題になった。具体的な日時を含むタイトルだったため、原作と著者の予言が直接結び付けられるケースも生じた。
これに対して飛鳥新社は2025年4月19日、公式サイトで明確な説明を発表している。
同社によれば、映画の製作・宣伝などに出版社も著者も関与しておらず、映画関係者から著作物や著者名の使用許諾を求められた事実もなかった。
加えて、出版社は、著者が2025年7月5日午前4時18分に大災害が起こると述べた事実はないと説明した。
したがって、映画のタイトル、夢日記の時刻、災難が起こるとされた時期を一つの予言として扱うのは正確ではない。
【年表で整理】たつき諒の経歴と作品・本人発言・公式発表
たつき諒氏は、予言だけで知られる人物ではない。少女漫画家として活動した経歴があり、夢日記を題材にした作品や自伝も発表している。
飛鳥新社の著者紹介と文芸社の刊行資料をもとに、作品と騒動の転換点を整理した。
| 時期 | 出来事・作品 | 確認できる内容・意味 |
|---|---|---|
| 1954年12月2日 | たつき諒氏誕生 | 神奈川県出身。後に横浜を拠点に活動。 |
| 1975年 | 漫画家デビュー | 秋田書店の『月刊プリンセス』でデビュー。 |
| 1994~1998年 | 漫画作品の掲載 | 『ほんとにあった怖い話』『恐怖体験』などに作品を掲載。 |
| 1999年 | 『私が見た未来』刊行 | 「大災害は2011年3月」と表紙に記載。漫画家を引退。 |
| 2011年3月11日 | 東日本大震災 | 表紙の年月と大震災の発生時期が一致し、作品が再注目される。 |
| 2021年7月5日 | 夢日記の記録日時 | 午前4時18分。2025年の災害発生日ではなく、夢を見た日時。 |
| 2021年10月1日 | 『私が見た未来 完全版』刊行 | 旧作に加え、夢日記や2025年7月の夢に関する解説を収録。 |
| 2025年4月19日 | 飛鳥新社が公式説明 | 映画との関係および7月5日午前4時18分説について説明。 |
| 2025年6月15日 | 『天使の遺言』刊行 | 竜樹諒名義の自伝。本人の生い立ちや作品の背景を紹介。 |
| 2025年7月5日 | トカラ列島近海で地震 | M5.4、最大震度5強。津波の心配はないと気象庁が発表。 |
| 2026年 | 気象庁・日本地震学会の情報 | 日付を指定する地震予測の科学的根拠について改めて説明。 |
2026年現在、注目したい新しい著作『天使の遺言』
2025年6月15日には、文芸社から『天使の遺言』が刊行された。著者名は竜樹諒(たつき諒)。『私が見た未来』の作者が、自身の半生や漫画家としての経験、夢日記について書いた自伝である。
本書では、少女時代の経験、漫画家を目指した経緯、インドでの体験、ボランティア活動などが取り上げられている。
特に注目したいのは、『私が見た未来 完全版』が世間で話題になった背景や、本人の知らないところでなりすましが現れた問題、完全版の出版に至る経緯についても触れている点だ。
文芸社が掲載した刊行案内には、本人の言葉として、防災意識を高めて日常的に備えることの大切さも紹介されている。
そのため、2026年にたつき諒氏の考え方や作品の背景を知りたい読者にとって、『天使の遺言』は予言の噂だけでは見えない本人の視点を理解するための資料になる。
【2011年と富士山】東日本大震災との一致、巨大津波・噴火説の真相
「大災害は2011年3月」と東日本大震災
たつき諒氏の名前が広く知られるきっかけとなったのは、1999年刊行の『私が見た未来』の表紙に記された「大災害は2011年3月」という言葉だった。
実際に2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した。気象庁の記録では、地震の規模はモーメントマグニチュード9.0、最大震度は7。東北地方を中心に甚大な被害をもたらし、広範囲で津波が観測された。
書籍の表紙に記された年月と、実際の大災害が発生した年月が一致したことは、作品が注目を集めた大きな理由である。
一方で、ここには見落とされがちなポイントがある。
飛鳥新社の『私が見た未来 完全版』の公式紹介には、「漫画に描かれた大津波は2011年3月のことではない」という説明が掲載されている。
つまり、表紙に記された2011年3月という年月の一致と、漫画内の津波描写を、すべて同じ出来事の予言として解釈することはできない。
年月の一致は作品を語るうえで重要な事実だが、それだけで震源地、発生時刻、マグニチュード、津波の規模まで事前に正確に予測していたことにはならない。
巨大津波の予知夢は2025年7月の夢とどう関係する?
『私が見た未来 完全版』では、過去の漫画作品だけでなく、夢日記をもとにした新しい夢の内容も解説されている。
そこで語られるのが、太平洋周辺を巨大な津波が襲うというイメージだ。東日本大震災の津波を超えるほどの規模として描写されているため、読者の不安を強く刺激した。
ただし、作品に記された夢の内容は、科学的な津波予測や地震発生予測とは性質が異なる。夢の情景に、観測データによる発生確率や具体的な津波高の予測が付随しているわけではない。
2025年7月という時期を過ぎた現在、巨大津波の夢を実際の災害記録と照らし合わせることが、予言の評価には欠かせない。
富士山噴火の予言は本当?なりすましによる情報拡散
たつき諒氏をめぐっては、富士山噴火の予言も長く語られてきた。
この問題については、2025年刊行の『天使の遺言』に掲載された本人の説明が参考になる。
本人によれば、2021年に旧作の復刊が予告された際、単行本のカバーに描かれた噴火した富士山のイラストについて、なりすましの人物が「富士山は8月に噴火する」と虚偽の情報を広めていたという。
本人は、その情報が世間を騒がせていたことを知り、出版社に連絡した経緯を説明している。
したがって、ネット上で見かける「たつき諒本人が富士山の8月噴火を予言した」という情報は、本人の説明と食い違う。イラストと、本人が発信した具体的な噴火予測を同一視してはいけない。
富士山は実際に監視が必要な活火山だが、噴火への備えは気象庁の火山情報や自治体のハザードマップを基準に考えるべきだ。
【2025年7月5日を過ぎた現在】予言は当たったのか?実際の地震記録を検証
2025年7月5日はすでに過ぎている。では、当日に何が起きたのか。
実際には、同日午前6時29分、鹿児島県のトカラ列島近海でマグニチュード5.4の地震が発生した。気象庁の発表によると、鹿児島県十島村で最大震度5強を観測している。
ただし、この地震について気象庁は津波の心配はないと発表した。太平洋周辺を巨大津波が襲うという夢の内容に合致する災害が発生したわけではない。
午前4時18分を過ぎた後、何が起きた?
2025年7月5日午前4時18分を迎えた際、SNSでは予言の時刻を過ぎたことに関する反応が広がった。日刊スポーツも同日、予言の時間が過ぎた後のネット上の反応を報じている。
一方、実際のトカラ列島近海の地震は午前6時29分に発生した。震度5強という強い揺れが観測されたことは事実だが、気象庁は7月5日という日付と地震の発生に因果関係はないと説明した。
千葉日報が共同通信配信の記事で伝えた気象庁担当者の説明も、「全くの偶然。因果関係はない」というものだった。
重要なのは、実際に地震が起きたという事実と、予言が的中したという評価を分けることだ。日本では日常的に地震が発生しており、特定の日に地震が起きたというだけでは、事前予測が正しかった証明にはならない。
2026年の気象庁資料が示した予言騒動の影響
2026年に公開された気象庁の年次資料『気象業務はいま 2026』では、2025年7月に日本で大災難が起きるという風説が国内外で広がったことが取り上げられている。
気象庁は、この風説が国民の不安をあおっただけでなく、一部地域で訪日観光客が減少するなど、地域経済にも悪影響を及ぼしたと記録している。
つまり、2025年7月5日の騒動は、単なるオカルト情報の流行にとどまらなかった。海外にも情報が広がり、旅行や地域経済にまで影響した社会的な出来事だった。
2026年現在の評価としては、巨大津波を伴う大災難が予言どおりに発生したとは確認できない。7月5日に地震が発生した事実はあるものの、気象庁が予言との因果関係を否定している以上、それを的中と評価する根拠にはならない。
【科学的根拠を検証】気象庁と日本地震学会は地震予知をどう説明している?
たつき諒氏の夢や作品に対する評価とは別に、地震予知には科学的な基準がある。
気象庁が説明する地震予知とは、地震の発生時期、発生場所、地震の大きさという3つの要素を精度よく限定して予測することを指す。
例えば「日本のどこかで近いうちに大きな地震が起きる」という情報では、予測としての精度を評価できない。場所や規模、期間が曖昧だからだ。
地震の発生日をピンポイントで当てることはできる?
気象庁の地震予知に関するFAQでは、現在の科学的知見から、日時・場所・規模を高い精度で限定した地震予測は難しいと説明されている。
加えて、日本地震学会が2026年6月に更新したFAQでも、「何月何日」と日付を指定した科学的根拠に基づく地震予測は不可能と説明されている。
地震学では、地殻変動や地震活動、プレートの動きなどを観測・解析し、地震発生の可能性を評価する研究が進められている。しかし、そうした研究と、特定の日の午前4時18分に巨大地震が起きると断定することは全く別の話だ。
長期的な地震リスクの評価と予言は違う
ここで誤解してはいけないのが、地震予知が難しいことと、地震の危険性を評価できないことは同じではないという点だ。
例えば、南海トラフ地震や主要活断層については、過去の地震活動や地質調査、プレートの状況などをもとに長期評価が行われている。
これは、一定期間内に地震が発生する確率や、想定される地震の規模を評価するもので、特定の日付を断定するものではない。
2026年の気象庁資料でも、日時と場所を指定する地震予知は現在の科学技術では不可能であると改めて説明している。災害情報を判断するときには、夢やSNSの情報ではなく、観測に基づく公的な発表を優先することが大切だ。
【プロの結論】たつき諒予言を正しく理解するための判断基準
たつき諒氏の作品をめぐる騒動から分かるのは、情報が拡散する過程で、著者の記録、編集者の表現、第三者による解釈が混ざり合ってしまうことだ。
特に今回の問題では、次の5つを区別すると情報の真偽を判断しやすくなる。
1. 夢を見た日時と災害が起こる日時を分ける
2021年7月5日午前4時18分は夢日記に記録された日時である。2025年7月5日午前4時18分の発災予告と混同しないことが基本だ。
2. 本人の発言と出版社の販売コピーを分ける
『私が見た未来 完全版』の帯には強い表現が使われているが、本人はその文言を自分が書いたものではないと説明している。著者の発言を確認する場合は、本人のインタビューや自伝を優先したい。
3. 公式発表の有無を確かめる
飛鳥新社の公式説明は、映画との関係や具体的な日時に関する誤解を解くうえで重要な一次資料だ。映画タイトルやSNSの投稿だけを根拠に、著者が特定日時の災害を予言したと判断するのは適切ではない。
4. 実際の災害記録と予言の内容を照合する
地震が起きたという事実だけでなく、発生場所、規模、津波の有無、被害の範囲まで確認する必要がある。2025年7月5日のトカラ列島近海の地震と、巨大津波の夢を同じ出来事として扱うことはできない。
5. 防災行動は科学的な情報を基準にする
予言を信じるかどうかにかかわらず、日本で地震や津波に備える必要があることは変わらない。家具の固定、飲料水や非常食の備蓄、避難場所の確認、家族との連絡方法の共有など、実際に役立つ対策を進めたい。
たつき諒氏自身も2025年のインタビューで、災害への備えには占いや予言ではなく、客観的な情報を参考にしていると語っている。この姿勢こそ、作品をめぐる騒動から読み取るべき要点だ。
【たつき諒予言】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:たつき諒の2025年7月5日予言は当たったのですか?
A1:巨大津波を伴う大災難が発生したという意味では、予言どおりの出来事は確認されていない。7月5日にはトカラ列島近海で最大震度5強の地震が起きたが、津波の心配はなく、気象庁は予言との因果関係を否定している。
Q2:7月5日午前4時18分は何を意味しているのですか?
A2:2021年7月5日午前4時18分という、たつき諒氏が夢を見た日時を指している。2025年7月5日午前4時18分に災害が発生すると本人が断定したわけではない。
Q3:たつき諒は富士山噴火も予言していたのですか?
A3:富士山が噴火したイラストは旧作のカバーに描かれている。しかし、本人は『天使の遺言』で、なりすましの人物が富士山の8月噴火という虚偽情報を広めた経緯を説明している。本人がその日時の噴火を予告したという理解は正確ではない。
Q4:たつき諒の2026年最新情報は何ですか?
A4:本人の近年の活動を知る資料として、2025年6月15日刊行の自伝『天使の遺言』がある。また、2026年には気象庁の年次資料や日本地震学会のFAQで、2025年7月の予言騒動や地震予知の科学的限界が改めて説明されている。
Q5:たつき諒の予言を信じて防災対策をするべきですか?
A5:防災対策は必要だが、その根拠を予言に置く必要はない。気象庁の地震情報、自治体のハザードマップ、避難計画など、科学的な観測や公的な防災情報を基準に備えることが大切だ。
まとめ:2026年は予言よりも事実と防災情報を重視する
たつき諒氏の予言が話題になった背景には、1999年の『私が見た未来』の表紙に記された2011年3月という年月と、東日本大震災の発生時期が一致したことがある。その後、『私が見た未来 完全版』で2025年7月の大災難の夢が紹介され、2025年7月5日説が広く拡散した。
しかし、2021年7月5日午前4時18分は夢を見た日時であり、2025年7月5日午前4時18分の災害を本人が確定的に予言したという情報は、飛鳥新社の公式説明と一致しない。本人もインタビューで、日付を特定していないと説明している。
2025年7月5日にはトカラ列島近海で実際に地震が起きたものの、巨大津波は発生していない。2026年の気象庁資料も、日付や場所を指定した地震予知には科学的根拠がないという立場を示している。
作品としての『私が見た未来』には、夢や災害への関心を喚起する側面がある。一方で、夢の記録を科学的な災害予測と同じように扱うことはできない。
2026年以降も、日本で地震や津波への備えが必要であることは変わらない。たつき諒氏の作品を読む際も、本人の発言、出版社の公式説明、実際の災害記録、気象庁の科学的見解を照らし合わせることが、情報に振り回されず自分や大切な人の命を守るための最も確かな判断基準となる。