東芝の上場廃止日は、2023年12月20日(水)です。日本を代表する総合電機メーカーだった東芝は、日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする投資ファンド陣営による株式公開買付け(TOB)が成立したことを受け、東京証券取引所プライム市場と名古屋証券取引所プレミア市場から姿を消しました。
上場廃止の背景には、2015年に発覚した不正会計問題、米国原子力事業をめぐる巨額損失、経営方針をめぐる株主との対立など、長年にわたる経営上の問題がありました。最終的には、1株4,620円のTOBと株式併合によるスクイーズアウトを経て、東芝は非上場企業として再出発しています。
2026年11月現在、東芝は非上場企業として事業を継続しています。2024年に発表した「東芝再興計画」では、2026年度の営業利益率(ROS)10%を目標に掲げており、収益構造の改革と成長分野への投資を進めています。
【結論】東芝の上場廃止日は2023年12月20日!6502が市場から消えた理由

東芝の株式は、2023年12月20日をもって上場廃止となりました。
対象となったのは、証券コード6502の株式会社東芝の普通株式です。上場廃止は東京証券取引所だけでなく、名古屋証券取引所でも実施されました。
具体的な日程は次のとおりです。
- 最終売買日:2023年12月19日
- 上場廃止日:2023年12月20日
- 株式併合の効力発生日:2023年12月22日
日本取引所グループ(JPX)は2023年11月22日、東芝株式を整理銘柄に指定するとともに、上場廃止日を正式に決定しました。
ここで重要なのは、東芝が上場廃止になった理由です。
今回の上場廃止は、東京証券取引所から経営不振を理由に強制的に排除されたものではありません。
JIP陣営によるTOBを通じて株式を取得し、最終的に少数株主を整理して非公開化するための上場廃止でした。
JPXが公表した正式な上場廃止理由も、特定の者以外の株主が保有する株式を1株未満の端数にする株式併合に該当したため、と説明されています。
【上場廃止の理由】なぜ東芝は非上場化を選択したのか?
東芝が非上場化を選んだ背景には、単純な業績悪化だけでは説明できない複数の経営課題がありました。
大きな要点は、不正会計問題による信用低下、米国原子力事業の損失、株主との経営方針をめぐる対立、そして長期的な経営改革の必要性です。
1.2015年の不正会計問題で経営への信頼が低下
東芝の経営問題を振り返るうえで避けて通れないのが、2015年に発覚した不正会計問題です。
日本取引所グループの公表資料によると、2009年3月期から2015年3月期第3四半期までの期間に、利益の過大計上などの不適切な会計処理が行われていました。
継続事業税引前利益は累計で2,248億円、当期純利益は累計で1,552億円、それぞれ過大に計上されていたことが明らかになっています。
問題の根底には、経営陣から事業部門に対する過度な利益改善要求がありました。
また、取締役会や監査委員会による監督機能が十分に働かず、内部統制にも重大な問題があったとJPXは指摘しています。
この問題を受け、東芝株は2015年9月に特設注意市場銘柄に指定されました。
2.米国原子力事業の巨額損失と財務危機
もう一つの大きな問題が、米国の原子力事業をめぐる損失です。
東芝傘下のウェスチングハウス(WEC)が関係する米国の原子力発電所建設事業で巨額の損失が発生し、2017年にはWECが米連邦破産法第11章の適用を申請しました。
その影響で東芝は深刻な財務危機に陥り、債務超過にも直面します。
2017年には約6,000億円の第三者割当増資などを通じて資本を確保し、最終的に債務超過を解消しました。
しかし、その過程で海外の投資ファンドを含むアクティビスト株主の影響力が強まり、経営陣と株主の関係は複雑になっていきました。
東芝の非公開化は、こうした長期的な経営問題の延長線上に位置しています。
3.物言う株主との対立と経営の意思決定の難しさ
東芝では、海外投資ファンドなどのアクティビスト株主が経営に対して積極的に意見を表明していました。
株主の意見を経営に反映させることは、上場企業のガバナンスにおいて重要な役割を果たします。
一方で、経営陣と株主の意見が対立すれば、事業再編や投資判断に時間がかかることもあります。
2021年から2022年にかけては、東芝の会社分割案や経営方針をめぐって株主との意見対立が表面化しました。
経営陣が描く将来像と株主が求める企業価値向上の方法が一致せず、会社の将来をめぐる議論が続いたのです。
4.非上場化によって長期的な経営改革を進める狙い
東芝が非上場化を選択した直接的な経営上の理由は、安定した経営基盤を構築し、中長期的な事業戦略を一貫して実行することでした。
東芝の公式FAQでは、非公開化によって株主から統一的な支援を得られる体制を構築し、事業変革を進めることが企業価値向上につながると説明しています。
また、TBJHによる提案は、約1年間にわたる競争的かつ公正な入札プロセスを通じて得られた唯一の完成した提案だったとされています。
つまり、非上場化は経営の失敗だけを意味するものではありません。
株式市場から離れ、短期的な株価変動や株主構成の不安定さに左右されにくい環境をつくり、事業再建を進めるための経営判断でもあったのです。
【TOBから上場廃止まで】4,620円の買付価格とJIPの関係を時系列で整理
東芝の非公開化を実現した中心的な存在が、日本産業パートナーズ(JIP)です。
JIPは日本企業の事業再編や経営再構築を支援するプライベートエクイティ投資会社です。
JIP陣営は東芝株式を取得するため、買収目的会社であるTBJHを通じてTOBを実施しました。
TOBの買付価格は1株4,620円
2023年8月8日に始まったTOBの買付価格は、東芝株1株につき4,620円でした。
買付期間は2023年9月20日までです。
TOBでは、応募株式数が買付予定数の下限に達することが成立条件の一つでした。
結果として、340,459,163株の応募があり、買付け後の議決権所有割合は78.65%となりました。
この結果、TOBは正式に成立し、2023年9月27日の決済開始をもってTBJH合同会社が東芝の親会社となりました。
東芝の上場廃止までの重要な関係者と出来事
今回の非公開化を理解するためには、JIP、TBJH、東芝、証券取引所の役割を整理することが大切です。
TBJH合同会社は現在どうなっている?
TBJHは、東芝の株式取得を目的として設立された買収主体です。
東芝の公式説明によると、設立当初は株式会社でしたが、2023年4月18日に合同会社へ組織変更し、同年9月26日に再び株式会社へ組織変更しています。
そのため、現在の名称はTBJH株式会社です。
また、TBJHの背後にはJIPの投資ファンドを中心とする出資構造があります。
JIPそのものとTBJHは同じ会社ではありません。JIPが投資を主導し、TBJHが実際のTOB主体として東芝株式を取得したという関係です。
【株主への影響】スクイーズアウトと株式併合で4,620円が交付された仕組み
東芝の上場廃止に際して、特に注目されたのが、TOBに応募しなかった一般株主の取り扱いです。
TOBが成立したからといって、応募しなかった株主がそのまま東芝株を持ち続けられるわけではありません。
最終的にはスクイーズアウトという手続きによって、少数株主の保有株式も整理されました。
スクイーズアウトとは何か?
スクイーズアウトとは、特定の株主が会社の株式を集約し、少数株主が保有する株式を強制的に整理する手続きです。
東芝の場合、TOBで78.65%の議決権を取得したTBJHが、残りの株式を整理するために株式併合を利用しました。
2023年11月22日の臨時株主総会で株式併合の議案が承認され、同年12月22日に効力が発生しています。
この株式併合では、9,300万株を1株に併合する仕組みが採用されました。
TBJH以外の株主が保有する株式は1株未満の端数となり、その端数に相当する株式を売却して現金化することで、株主への金銭交付が実施されました。
株主への金銭交付は2024年4月11日
TOBに応募しなかった株主に対する金銭交付は、2024年4月11日に行われました。
交付金額は、TOBの買付価格と同額の1株当たり4,620円です。
つまり、TOBに応募した株主だけでなく、最後まで応募しなかった株主も、最終的には同じ価格を基準とした金銭を受け取る仕組みになっていました。
ただし、実際の受取金額は保有株数や端数処理などによって決まります。
株主が知っておきたい手続き上の注意点
東芝の公式FAQでは、金銭交付に関する手続きについて次のように案内されています。
- 2024年1月25日:株式併合後の端数株処分代金の受取方法に関する書類を発送。
- 2024年3月1日:振込指定書の提出期限。
- 2024年4月10日:端数株処分代金に関する書類を発送。
- 2024年4月11日:金銭交付。
- 2024年5月31日:領収証による銀行窓口等での払渡期間終了。
なお、2026年時点で未受領の金銭がある場合、払渡期間が終了したからといって直ちに受取権が消滅するわけではありません。東芝は株主名簿管理人の三井住友信託銀行への問い合わせを案内しており、交付日から10年間受け取らなかった場合には時効によって権利が消滅すると説明しています。
また、税務上は上場廃止後のスクイーズアウトによる金銭交付が非上場株式の譲渡として扱われるため、取得価額と交付金額の差額によって確定申告が必要になる場合があります。
【2026年現在】東芝は非上場企業として何をしている?6502の株価はどうなった?
2026年11月現在、東芝は上場企業ではありませんが、会社そのものが消滅したわけではありません。
株式会社東芝として事業を継続しており、エネルギー、社会インフラ、デジタル、デバイスなどの事業を展開しています。
上場廃止後も公式IRページでは決算資料や経営計画が公開されており、2026年10月30日には「統合報告書2026」も発行されています。
東芝6502の株価は上場廃止後どうなった?
東芝の証券コード6502は、かつて東京証券取引所などで取引されていた株式の銘柄コードです。
しかし、2023年12月20日の上場廃止以降、東芝の普通株式は証券取引所で売買できません。
したがって、2026年現在、6502の株価として日々更新される通常の市場価格は存在しません。
ここで注意したいのが、4,620円という数字の意味です。
これは2023年のTOB買付価格であり、2026年現在の東芝の株価ではありません。また、東芝の企業価値が1株4,620円で固定されているという意味でもありません。
上場廃止後の東芝は、一般投資家が証券取引所で自由に売買できる上場株式ではなくなっています。
非上場化後も東芝の事業は継続している
非上場企業になった東芝は、上場時代とは異なる経営環境のもとで事業再建を進めています。
特に注目されるのが、データセンター需要を背景とした電力インフラ、送配電設備、HDD、防衛、鉄道、半導体製造装置などの事業です。
2026年5月15日に公表された2025年度決算では、売上高3兆7,091億円、営業損益3,008億円、売上高営業利益率8.1%となりました。
営業損益は前年度の1,985億円から約5割増加しています。
加えて、2026年8月7日公表の2026年度第1四半期決算では、売上高9,371億円、営業損益1,119億円、ROS11.9%を記録しました。
ただし、これは第1四半期だけの実績であり、2026年度通期の営業利益率10%達成を確定させる数字ではありません。
【東芝再興計画】2026年度の営業利益率10%は達成できるのか?
2026年の東芝を理解するうえで重要なのが、2024年5月16日に発表された「東芝再興計画」です。
これは2024年度から2026年度までの中期経営計画であり、非上場化後の東芝が本格的な収益改善と事業成長を目指すための戦略です。
最大の目標は、2026年度の全社営業利益率(ROS)10%です。
東芝再興計画の主要目標
東芝が公表した計画では、2026年度に向けて次の数値目標を掲げています。
| 項目 | 2026年度の目標 |
|---|---|
| 営業利益 | 3,800億円 |
| 営業利益率(ROS) | 10% |
| フリーキャッシュフロー | 2,000億円 |
| 固定費率 | 2023年度比5ポイント削減 |
1.固定費削減によって収益構造を改善
再興計画の中心施策の一つが、固定費の抜本的な削減です。
東芝は、過去の経営計画において、売上拡大を前提とした高い固定費構造が計画未達につながったと分析しています。
そこで、将来の成長に直接つながらないコストを見直し、損益分岐点を引き下げる方針を打ち出しました。
また、本社機能の再編や拠点集約、業務プロセスの効率化なども進めています。
2.エネルギー・インフラ事業を成長の柱にする
東芝が重視しているのは、従来から持つハードウェア技術とデジタル技術を組み合わせた事業展開です。
特にエネルギー・インフラ分野では、電力需要の拡大やデータセンターの増加などが追い風になっています。
具体的には、送配電設備、電力システム、社会インフラ関連事業などが重要な成長領域です。
また、半導体関連の製造装置やHDDなどのデバイス分野も、収益改善と事業拡大の対象となっています。
3.2026年度の営業利益率10%に向けた現在地
2026年5月の2025年度決算と、同年8月の2026年度第1四半期決算を比較すると、東芝の収益改善が進んでいることが分かります。
| 決算期間 | 営業損益 | ROS |
|---|---|---|
| 2024年度 | 1,985億円 | 5.6% |
| 2025年度 | 3,008億円 | 8.1% |
| 2026年度第1四半期 | 1,119億円 | 11.9% |
2025年度のROSは8.1%まで改善し、2026年度第1四半期には11.9%となりました。
一方で、四半期の営業利益率と年度全体の営業利益率は別の指標として見る必要があります。
また、2025年度の当期純損益は1兆9,673億円と過去最高でしたが、キオクシア株式の売却・評価益などが大きく寄与しています。純利益の大幅増加だけを見て、本業の収益力が同じ割合で伸びたと判断することはできません。
評価すべきなのは、営業損益とROSの改善が継続するかどうかです。
東芝再興計画の本当の成否は、2026年度の目標数値を一度達成することだけではなく、その収益力を2027年度以降も維持できる事業構造を築けるかにかかっています。
【東芝の上場廃止】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:東芝の上場廃止日はいつですか?
2023年12月20日(水)です。最終売買日は12月19日で、東京証券取引所プライム市場と名古屋証券取引所プレミア市場の両方から上場廃止となりました。
Q2:東芝のTOB価格はいくらでしたか?
1株当たり4,620円です。日本産業パートナーズ(JIP)陣営のTBJH合同会社が2023年8月8日から9月20日まで実施した公開買付けの価格です。
Q3:TOBに応募しなかった株主はどうなりましたか?
株式併合によるスクイーズアウトが実施され、2024年4月11日に1株当たり4,620円を基準とする金銭が交付されました。東芝株を継続して保有することはできなくなっています。
Q4:2026年現在、東芝の株価6502は確認できますか?
6502は上場廃止前の証券コードです。2023年12月20日以降、東芝の普通株式は証券取引所で取引されていないため、通常の市場株価はありません。
Q5:東芝は再上場する予定がありますか?
東芝の公式FAQでは、非公開化完了後の再上場についてはTBJHの経営方針次第であり、東芝として回答できる立場にないと説明されています。2026年11月現在、確定した再上場日程を示す公式発表は確認できません。
まとめ:東芝上場廃止の本質は経営再建と企業価値の再構築
東芝の上場廃止は、2023年12月20日に実施されました。
その背景には、2015年の不正会計問題、米国原子力事業の巨額損失、株主との経営方針をめぐる対立など、長年にわたる経営課題がありました。
最終的には、日本産業パートナーズ(JIP)主導のTOBが成立し、1株4,620円の買付価格で株式取得が進められました。TOBに応募しなかった株主についても、株式併合とスクイーズアウトによって金銭交付が完了しています。
2026年現在の東芝は、上場企業ではなく非上場企業として経営再建を続けています。
特に注目すべきなのは、2024年に発表された東芝再興計画です。2026年度の営業利益率10%という目標に向け、固定費削減、エネルギー・インフラ事業の強化、成長分野への投資を進めています。
東芝の上場廃止は、企業の終わりではなく、株式市場から離れて経営の立て直しに取り組むための転換点でした。
今後の評価を左右するのは、非上場化によって得た経営の自由度を、持続的な利益成長と企業価値の向上につなげられるかどうかです。2026年度のROS10%達成と、その先の成長戦略が、東芝再生の重要な判断材料になります。