2026年の大谷翔平のフリー打撃を振り返ると、目を引くのは柵越えの本数だけではない。5月12日には52スイングで17本の柵越えを記録し、推定160メートルの特大弾も披露。一方、9月末には負傷者リストからの復帰を経てドジャースタジアムで屋外打撃を再開し、10月にはポストシーズンを見据えた実戦的な調整へと移行した。
特に注目されたのが、10月11日(日本時間)のフリー打撃だ。日刊スポーツは72スイングで柵越え6本と報道。5月の17本と比べると少なく見えるが、当日の練習には169.8キロの速球を投げるジェイコブ・ミジオロウスキー対策という明確な目的があった。加えて、9月の推定150メートル弾、山本由伸との紅白戦、アーロン・ベイツ打撃コーチの評価まで追うと、2026年の打撃調整の変化が見えてくる。
【2026年最新】大谷翔平のフリー打撃は5月から10月でどう変わった?

2026年の大谷の打撃練習には、大きく分けて3つの段階があった。5月は打撃不振からの立て直し、9月は故障からの復帰と実戦感覚の回復、10月はポストシーズンの強力投手への対応である。
5月12日:52スイングで柵越え17本、推定160メートル弾
5月11日(日本時間12日)、本拠地ドジャースタジアムで行われたジャイアンツ戦前の練習で、大谷は志願して屋外フリー打撃に参加した。
日刊スポーツによると、6セットで52スイング、17本の柵越え。右中間後方の屋根に当たり、場外へ消えた打球は推定160メートルと報じられた。
この練習が注目された理由は、単純なパワーの誇示ではない。大谷は開幕後の打撃が安定せず、当時は10試合連続で本塁打が出ていなかった。打率も低迷し、速球に対するタイミングの遅れが指摘されていた。
それまでの練習では右方向への打球が目立っていたが、この日はセンターから左方向にも強い打球を飛ばした。アーロン・ベイツ打撃コーチが評価したのも、この打球方向の変化だった。
ベイツコーチは、全方向に打ち分けられたことを復調の兆候として評価。大谷の打撃を判断するうえでは、柵越えの数だけでなく、打球がどの方向へ飛んでいるかも重要な材料になった。
9月30日:ドジャースタジアムで屋外フリー打撃を再開
9月は、5月とは異なる事情があった。大谷は右上腕二頭筋の炎症などで9月8日(日本時間9日)から負傷者リスト入り。15日間の離脱を経て、9月23日(同24日)にパドレス戦で復帰した。
その後、9月29日(同30日)にはドジャースタジアムで屋外フリー打撃を実施。球団公式SNSが練習動画を公開し、通常は室内ケージで打撃調整を行う大谷が、屋外でフルスイングする姿が話題になった。
デイリースポーツは、この練習について、ドジャースが非公開で行った全体練習の映像を球団が公開したものと報道。ロバーツ監督も屋外での打撃について前向きな姿勢を示していた。
10月2日付のデイリースポーツでは、9月29日のフリー打撃で推定150メートルの特大アーチを放っていたことも紹介された。右中間席の上に位置する電光掲示板付近まで届く打球だったという。
10月11日:72スイングで柵越え6本、目的は剛腕対策
10月10日(日本時間11日)、ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズを前に、大谷は敵地ミルウォーキーで屋外フリー打撃を行った。
日刊スポーツの報道では6セット、72スイングで柵越え6本。打球は長距離を狙った大きなアーチというより、センター方向を意識したコンパクトなライナー性の当たりが中心だった。
練習の目的は明確だった。翌日の第1戦で対戦するジェイコブ・ミジオロウスキーは、最速105.5マイル、約169.8キロの速球を投げる右腕。通常のフリー打撃とは異なり、速球への反応を鋭くするための工夫が取り入れられていた。
つまり、5月は打球の方向や長打力を取り戻すための調整、10月は強力な速球に対して振り遅れないための調整だった。同じフリー打撃でも、目的は大きく異なっていたのである。
【比較表】52スイング17本から72スイング6本までの重要記録
2026年の主な打撃練習を時系列で整理すると、単純な本数の比較では見えない変化が分かる。
| 時期(日本時間) | 練習内容・記録 | 調整の目的・注目点 |
|---|---|---|
| 5月12日 | 52スイング・柵越え17本 | 広角への打ち分け、打撃のタイミング修正。推定160メートル弾。 |
| 5月21日前後 | 4試合連続マルチ安打 | ロバーツ監督が復調傾向を評価。ただし完全復調とは判断せず。 |
| 9月16日 | ティー打撃再開 | 負傷者リスト入り後の段階的なリハビリ。 |
| 9月19日 | コーチの投球を打つ練習 | 実戦復帰に向けて打撃強度を引き上げる段階。 |
| 9月24日 | パドレス戦で実戦復帰 | 右上腕二頭筋の炎症による離脱から復帰。 |
| 9月30日 | ドジャースタジアムで屋外打撃 | 約4か月ぶりの屋外練習。推定150メートル弾も報道。 |
| 10月2日 | 山本由伸との紅白戦が判明 | 3打席ほど対戦。打撃コーチがスイングを高く評価。 |
| 10月11日 | 72スイング・柵越え6本 | ミジオロウスキー対策。コンパクトな打撃と反応速度を重視。 |
| 10月14日 | 15スイング・柵越え2本 | 4日連続の屋外練習。軽めの調整で打球の確認。 |
| 10月16日(現地時間) | ポストシーズン初本塁打 | ブルワーズ戦で約2か月ぶりの3ラン本塁打。 |
なお、10月11日のスイング数には報道上の違いがある。日刊スポーツは72スイング、共同通信は71スイングと伝えている。一方、柵越え6本という数字は共通している。したがって、この日の記録を比較するときは、スイング数の表記差も押さえておきたい。
また、推定飛距離は計測機器による公式な飛距離記録とは異なる。5月の160メートルと9月の150メートルは、それぞれ報道で紹介された推定値であり、同一条件で計測した数値として比較するものではない。
【打撃分析】アーロン・ベイツコーチとロバーツ監督が注目したポイント
大谷のフリー打撃を理解するうえで重要なのが、アーロン・ベイツ打撃コーチとデーブ・ロバーツ監督の分析だ。
なお、2026年のドジャース公式コーチ名簿では、打撃コーチの名前はAaron Batesと記載されている。一部報道では「アンディ・ベイツ」と表記されているが、球団公式表記と日刊スポーツの表記に合わせ、本記事ではアーロン・ベイツとする。
ベイツコーチが評価したのは飛距離よりも打球方向
5月12日の52スイング・17本の柵越えについて、ベイツコーチが評価したのはホームランの本数だけではなかった。
「間違いなくそう思う。今日のBP(打撃練習)は本当に良かった」
日刊スポーツが伝えたコーチの分析では、17本の柵越えの多くがセンターから左方向への打球だった。開幕当初に目立っていた右方向への偏りが改善し、全方向に打球を運べるようになった点を評価していた。
これは大谷の打撃メカニズムを考えるうえで重要だ。打球方向が一方向に偏る場合、タイミングやバットの軌道が安定していない可能性がある。逆に、センターを中心に左右へ強い打球を飛ばせる状態は、ボールを適切な位置で捉えられているかを判断する材料になる。
ロバーツ監督が指摘した速球への対応とタイミング
5月の不振について、ロバーツ監督は速球に対する振り遅れを指摘していた。ベルト付近の速球をセンター方向へ強く打ち返せず、打球が平凡なフライになっていたという分析だ。
その後、5月21日には4試合連続マルチ安打を記録。ロバーツ監督は復調について「完全に戻ったとは言わないが、戻りつつある」と慎重に評価した。
10月のミジオロウスキー対策でも、ロバーツ監督は長打を求めるのではなく、出塁と質の高い打席を重視する姿勢を示した。
「まずは出塁し、質の高い打席を作ることだ」
加えて、本塁打が理想でも四球を選ぶことも良い結果だという考えを示した。これは、短期決戦では一発を狙うことだけが得点への道ではないというチーム方針を反映している。
ミジオロウスキー対策で採用された至近距離の打撃練習
10月の調整で特に目を引いたのが、打撃マシンを通常より近い位置に設置した練習だ。
共同通信によると、マシンはマウンドの約5メートル手前に設置され、大谷は徐々に打席の前へ移動しながらスイング。通常より短い時間でボールに反応しなければならない環境を作っていた。
ベイツコーチが説明した狙いは、速球への反応を鋭くし、目から脳への情報伝達を活性化させること。ミジオロウスキーのような剛速球投手に対して、ボールの出どころを早く認識し、スイングの初動を速めるための調整だった。
この練習では柵越えの数が少なくても不思議ではない。むしろ、強く振ることよりも、速いボールに対応できる準備を整えることが優先されていた。
【ライブBP・山本由伸との紅白戦】9月の調整で何が起きていた?
9月の大谷の打撃練習を理解するには、屋外フリー打撃だけでなく、負傷からの復帰過程も見る必要がある。
右上腕二頭筋の炎症から段階的に打撃を再開
大谷は9月8日から右上腕二頭筋の炎症による負傷者リスト入りとなった。左膝の状態も含め、打撃と投球の両面でコンディションを整える必要があった。
MLB公式の報道によると、9月15日(日本時間16日)にはティー打撃を再開。その後、9月18日(同19日)にはコーチが投げる球を打つ段階へ進んだ。
ロバーツ監督は、実戦形式の打撃練習やTrajektを使用した調整はさらに先の段階だと説明していた。つまり、ティー打撃、コーチの投球、実戦に近い打撃という順番で負荷を上げていくリハビリ計画だった。
9月29日の屋外打撃動画が注目された理由
ドジャース公式SNSが9月29日(日本時間30日)に公開した練習動画には、屋外の打撃ケージでバットを振る大谷の姿が収められていた。
通常の大谷は、室内ケージや打撃マシンを使って感覚を整えることが多い。屋外で打つこと自体が珍しかったため、米メディアも普段のルーティンとは異なる動きとして注目した。
屋外練習では、実際の球場の視界や背景、打球の方向、飛び方を確認できる。室内練習で身につけた感覚を、実際の球場環境に結びつける意味があったと考えられる。
山本由伸との紅白戦は3打席ほど
10月2日付のデイリースポーツと日刊スポーツの報道では、大谷が9月30日の紅白戦で山本由伸と対戦していたことが明らかになった。
ベイツコーチによれば、対戦は2~3打席ほど。山本との対戦結果については詳細が明かされていないものの、打撃練習での打球の飛び方やスイングの動き出しは非常に良かったと評価していた。
特に、右翼のスコアボード付近まで打球を飛ばしていた点が紹介され、推定150メートル弾と合わせて、復帰後の打撃状態を判断する材料となった。
ただし、紅白戦での打席と通常のフリー打撃は別物だ。投手が実際に投げるボールに対して、球種やコースを判断しながら打つ経験は、打撃練習で遠くへ飛ばすこととは異なる価値がある。
【検証】フリー打撃で17本打っても試合で打てるとは限らない理由
2026年の大谷の調整を振り返ると、最も重要な論点は練習の好調さと公式戦の結果が必ずしも一致しなかったことだ。
52スイング17本と72スイング6本は単純比較できない
5月の52スイング17本は、広角に強い打球を飛ばすことが目立った練習だった。一方、10月の72スイング6本は、ミジオロウスキーの速球に対応するためのコンパクトなスイングが中心だった。
フリー打撃では、投手の球種を見極めたり、打席での配球を読んだりする必要がない。打者が自分のタイミングで振れるため、柵越えの本数がそのまま試合での本塁打能力を示すわけではない。
10月の練習では、あえて長打を狙わないことで、ボールへの反応やバットの出し方を確認していた。6本という数字だけで5月より状態が悪化したと判断するのは早計だ。
10月のポストシーズンでは打撃不振も続いた
一方で、試合結果を見ると課題が残っていたことも事実だ。
MLB公式の2026年レギュラーシーズン成績では、大谷は打率.275、30本塁打、81打点、OPS.889を記録した。しかし、ポストシーズンでは打撃が安定せず、短期間での調整が難しい状況が続いた。
MLB公式記事によると、10月16日までのポストシーズン成績は26打数5安打、打率.192、1本塁打、3打点、OPS.631だった。
特に注目されたのが、10月16日(現地時間)のブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦だ。
大谷はこの試合で、元チームメートのダスティン・メイから3ラン本塁打を放った。8月18日以来の一発であり、レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせた115打席連続本塁打なしという記録にも終止符を打った。
ただし、この一発だけで完全復調と判断することはできない。ポストシーズン全体では打率.192という結果であり、好調な練習内容を安定した試合成績へ結びつけることが最後まで課題となった。
復調を判断するには打球速度だけでは不十分
テレビ東京スポーツの報道では、大谷自身も長打が出ない原因について、身体の状態だけではなく、タイミングと打球を捉えるポイントにあるという考えを示していた。
「どちらかというと、タイミングとポイントの問題なのかなとは思ってます」
この発言からも、単純なスイングスピードや筋力だけでは打撃の状態を説明できないことが分かる。
バットが速く振れていても、ボールを捉える位置がずれていれば、強い打球は生まれにくい。逆に、フルスイングでなくても、適切なタイミングでボールを捉えれば鋭いライナーや長打につながる。
【プロの結論】大谷翔平のフリー打撃で復調を見極める5つの判断基準
2026年の記録から分かるのは、大谷のフリー打撃を評価するとき、柵越えの本数や飛距離だけに注目してはいけないということだ。
実際の試合で打撃が改善しているかを判断するには、次の5つのポイントを組み合わせて見る必要がある。
1. センター方向への強い打球が増えているか
5月のベイツコーチの評価でも、打球方向は重要な判断材料だった。引っ張る打球だけでなく、センター方向へ強い打球を飛ばせるかどうかは、タイミングとコンタクトの状態を確認するうえで役立つ。
2. 速球に振り遅れていないか
10月のミジオロウスキー対策が示すように、球速への対応は重要だ。速球に差し込まれず、ボールを前で捉えられるかが長打復活のポイントになる。
3. ボール球を見極められているか
ロバーツ監督が重視したのは出塁と質の高い打席だった。四球を選び、相手投手に余計な球数を投げさせられるかも、打撃の状態を判断する材料になる。
4. スイングの力みが取れているか
フルスイングで柵越えを連発することだけが理想ではない。コンパクトに振り、最後までバットの軌道を安定させられるかも重要だ。10月の至近距離マシン練習は、こうした反応や動作の調整を意識したものだった。
5. 実戦で練習の成果が出ているか
最終的な評価は公式戦で決まる。フリー打撃での好結果、紅白戦での感覚、ライブBPなどの実戦形式の練習を経て、実際の打席で安打や長打、出塁につながっているかを確認したい。
特に故障から復帰した選手の場合、身体の状態と打撃の感覚が同時に戻るとは限らない。練習の内容だけでなく、出場機会を通じてどのように変化したかを追うことが大切だ。
【大谷翔平のフリー打撃】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年5月の大谷翔平は何スイングで何本の柵越えを記録した?
A1:5月12日(日本時間)のジャイアンツ戦前に6セット、52スイングで17本の柵越えを記録した。推定160メートルの特大弾も報じられた。
Q2:2026年10月の72スイング・柵越え6本は何のための練習?
A2:ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキー対策が主な目的。約169.8キロの速球に対応するため、コンパクトなスイングや至近距離からのマシン打撃を取り入れていた。
Q3:大谷翔平の推定150メートル弾はいつ記録された?
A3:2026年9月29日(日本時間30日)のドジャースタジアムでの屋外フリー打撃について、10月2日付のデイリースポーツが推定150メートル弾を報じた。
Q4:大谷翔平は2026年に山本由伸と打撃練習で対戦した?
A4:対戦している。9月30日の紅白戦で2~3打席ほど対戦したとベイツ打撃コーチが明かした。詳しい対戦結果は公表されていない。
Q5:2026年のフリー打撃で最も注目すべき変化は?
A5:5月の広角への打ち分けから、9月の故障復帰後の実戦感覚の回復、10月の速球対策へと練習の目的が変わったこと。柵越えの本数だけではなく、打球方向やタイミング、試合での出塁・長打を合わせて判断する必要がある。
まとめ:2026年の大谷翔平は飛距離だけでなく打撃の質を追求した
2026年の大谷翔平のフリー打撃は、5月の52スイング・柵越え17本、9月の屋外練習再開、10月の72スイング・柵越え6本という流れで変化した。
5月は広角への打ち分けとタイミングの修正、9月は負傷からの復帰と実戦感覚の回復、10月はミジオロウスキーの剛速球に対応するための反応速度とコンタクトの調整。それぞれに異なる目的があった。
そして、10月16日のブルワーズ戦で放った約2か月ぶりの3ラン本塁打は、長く続いた本塁打不足を断ち切る一打となった。
大谷の打撃を評価する際に見るべきなのは、豪快なホームラン映像だけではない。打球方向、スイングのタイミング、ボールの見極め、身体の状態、そして試合での結果。この5つを総合してこそ、フリー打撃の本当の意味が見えてくる。
2026年の大谷の調整を象徴するのは、何本柵越えを打ったかではなく、何を改善するためにバットを振っていたかという点だ。今後も練習の数字と公式戦の結果を分けて見ることが、打撃状態を正確に理解するための判断基準になる。
主な根拠資料・報道: MLB公式、ドジャース公式コーチ名簿、日刊スポーツ、共同通信、デイリースポーツ、テレビ東京スポーツの2026年報道・記録。