大相撲でブルガリア出身力士といえば、元大関・琴欧洲と元関脇・碧山の2人が代表的な存在です。琴欧洲は2008年夏場所で幕内最高優勝を果たし、ヨーロッパ出身力士として初めて大関の地位に到達。碧山も関脇まで昇進し、幕内で71場所を務めるなど、長年にわたって土俵を盛り上げました。
2026年10月現在、2人はすでに現役を引退しています。琴欧洲は鳴戸親方として東京都墨田区の鳴戸部屋を率い、碧山は岩友親方として春日野部屋で後進の指導に携わっています。日本相撲協会の公式プロフィールに掲載された出身地、最高位、幕内成績、引退場所を基に、ブルガリア出身力士の歴史と2人の現在を整理します。
【歴代】ブルガリア出身力士といえば琴欧洲・碧山!2人の共通点

ブルガリアはヨーロッパ南東部に位置する国です。大相撲では、ブルガリア出身の琴欧洲が2000年代に大きな注目を集め、その後、後輩にあたる碧山も幕内上位で活躍しました。
2人に共通するのは、母国で培ったスポーツ経験や恵まれた体格を生かし、日本の相撲界で長期間にわたって結果を残したことです。一方、最高位や取り口、幕内での実績には違いがあります。
琴欧洲はヨーロッパ出身力士の先駆者
琴欧洲勝紀(ことおうしゅう・かつのり)は1983年2月19日生まれ。ブルガリアのベリコタロノボ出身で、本名はカロヤン・ステファノフ・マハリャノフです。
2002年11月場所に佐渡ヶ嶽部屋から初土俵を踏み、2004年9月場所で新入幕。恵まれた体格と右四つからの寄りを武器に番付を駆け上がりました。
2006年1月場所には大関へ昇進。ヨーロッパ出身力士として初めて大関の地位に到達したことは、琴欧洲のキャリアを語るうえで欠かせない記録です。
碧山は後輩としてブルガリア勢の存在感を継承
碧山亘右(あおいやま・こうすけ)は1986年6月19日生まれ。ブルガリアのヤンボル出身で、本名は古田亘右です。
2009年7月場所に初土俵を踏み、2011年11月場所で新入幕。2012年9月場所には新三役となり、最終的には関脇まで昇進しました。
母国の先輩である琴欧洲の紹介をきっかけに来日し、相撲界に入ったことも知られています。琴欧洲がヨーロッパ出身力士の道を切り開き、碧山がその後を追う形で幕内上位に定着した経緯は、ブルガリア勢の歴史を象徴しています。
【琴欧洲の経歴】大関時代の成績と幕内優勝、引退の経緯
琴欧洲の現役時代を象徴する出来事は、2008年5月の夏場所です。この場所で幕内最高優勝を達成し、ヨーロッパ出身力士として初めて賜杯を手にしました。
2008年夏場所で14勝1敗の初優勝
琴欧洲は2008年5月場所で好調な相撲を続け、14勝1敗の成績で幕内最高優勝を達成しました。
日本相撲協会の歴代大関プロフィールでは、幕内優勝1回、殊勲賞2回、敢闘賞3回という実績が記録されています。
この優勝の意義は、単に一人の力士が優勝したということだけではありません。当時、外国出身力士の活躍が大きな話題となっていた大相撲で、ヨーロッパ出身者が幕内最高優勝を果たしたことは、相撲界の国際化を象徴する出来事でした。
大関在位47場所という実績
琴欧洲の大関在位期間は、2006年1月場所から2013年11月場所までの47場所です。
日本相撲協会の公式記録による大関戦歴は、378勝264敗63休。幕内全体では466勝322敗63休(57場所)という成績を残しています。
大関在位47場所は、昇進直後の勢いだけでは達成できない数字です。長期間にわたって幕内上位で戦い続け、横綱を含む強豪力士と対戦してきたことが分かります。
2014年3月、度重なるけがと体力の限界で引退
琴欧洲は大関として長く活躍しましたが、現役後半はけがに苦しみました。
2013年九州場所では左肩の脱臼などの影響もあり、大関から陥落。2014年3月の春場所では西関脇として出場しましたが、10日目まで1勝9敗と苦戦し、左肩の状態も回復しなかったため、11日目から休場しました。
そして2014年3月20日、日本相撲協会に引退届を提出。引退会見では、精神面と体力面の限界を理由として挙げ、約12年間の力士生活を振り返りました。
引退の背景にあったのは、単なる成績不振ではありません。大関からの陥落、長年のけが、左肩の回復状況、そして土俵に立ち続けるための気力と体力。これらが重なったことが、現役生活に幕を下ろす決断につながりました。
なお、琴欧洲は2014年1月に日本国籍を取得しており、引退後も日本相撲協会に残って後進の指導にあたる道を選びました。
【碧山の経歴】関脇まで昇進した実力と2024年の引退理由
碧山は琴欧洲と比較すると、幕内最高優勝こそありませんでしたが、長期間にわたって幕内で活躍した実績が光ります。
幕内在位71場所、通算504勝の実績
碧山は2009年7月場所に初土俵を踏み、2011年11月場所で新入幕を果たしました。
191センチ、181キロという大きな体格を生かした力強い相撲が持ち味で、激しい突き押しを中心に幕内上位でも存在感を発揮しました。
2012年9月場所に新三役となり、最高位は関脇。幕内在位は71場所に及びました。
日本相撲協会の公式記録では、幕内戦歴は504勝528敗33休。敢闘賞4回、技能賞1回、金星1個という受賞歴も残しています。
幕内優勝はありませんが、幕内で504勝を挙げたことは、長年にわたって第一線で戦い続けた証しです。
2024年9月24日に引退、年寄「岩友」を襲名
碧山の引退が発表されたのは、2024年9月24日です。
引退直前の2024年秋場所では、東十両13枚目で5勝10敗。翌場所の幕下陥落が避けられない状況となり、現役生活に区切りをつけました。
引退の背景には、長年抱えていた左膝のけがに加え、2024年初場所での右膝の負傷もありました。スポーツ紙の報道によると、けがを抱えながら十両で土俵に立ち続けていたことも、引退を決断するまでの状況に影響していました。
同日、日本相撲協会は年寄「岩友」の襲名を承認。今後は岩友親方として、春日野部屋で後進の育成に携わることになりました。
岩友という名前に込められた背景
「岩友」は、かつて元前頭・木村山が名乗っていた年寄名跡です。
日刊スポーツの引退関連報道では、碧山が木村山を兄のように慕っていたことも伝えられています。木村山は2024年7月に42歳で亡くなっており、碧山が引退後に岩友を襲名したことには、相撲界の人間関係や先輩への思いも重なっています。
碧山は現役時代の四股名を離れ、岩友親方として新たな役割を担うことになりました。
【徹底比較】琴欧洲と碧山の出身地・最高位・幕内成績・引退時期
琴欧洲と碧山は、ともにブルガリア出身で日本相撲協会に所属した力士ですが、最高位や優勝実績、幕内での在位期間には違いがあります。
日本相撲協会の公式プロフィールに掲載されている数字を中心に比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 琴欧洲 | 碧山 |
|---|---|---|
| 出身地 | ブルガリア・ベリコタロノボ | ブルガリア・ヤンボル |
| 生年月日 | 1983年2月19日 | 1986年6月19日 |
| 初土俵 | 2002年11月場所 | 2009年7月場所 |
| 新入幕 | 2004年9月場所 | 2011年11月場所 |
| 最高位 | 大関 | 関脇 |
| 幕内在位 | 57場所 | 71場所 |
| 幕内成績 | 466勝322敗63休 | 504勝528敗33休 |
| 幕内優勝 | 1回 | 0回 |
| 大関成績 | 378勝264敗63休(47場所) | 該当なし |
| 主な受賞歴 | 殊勲賞2回・敢闘賞3回 | 敢闘賞4回・技能賞1回・金星1個 |
| 引退 | 2014年3月場所 | 2024年9月場所 |
| 引退後の年寄名 | 鳴戸 | 岩友 |
| 所属部屋 | 鳴戸部屋の師匠 | 春日野部屋所属 |
最高位と優勝実績なら琴欧洲
最高位で比較すると、琴欧洲が大関、碧山が関脇です。幕内優勝についても琴欧洲が1回達成しており、番付上の到達点では琴欧洲に軍配が上がります。
特に琴欧洲の大関在位47場所は、長期にわたって角界の上位を支えたことを示す重要な数字です。
幕内在位期間と勝利数なら碧山
一方、幕内での通算勝利数は碧山が504勝、琴欧洲が466勝です。碧山は幕内在位も71場所と、琴欧洲の57場所を上回っています。
この違いは、両者のキャリアの特徴をよく表しています。琴欧洲は大関として頂点に近い地位で活躍し、優勝という大きな実績を残しました。碧山は関脇まで昇進したうえで、幕内に長期間定着し、安定して取組を重ねた力士です。
つまり、琴欧洲は最高位と優勝実績、碧山は幕内での継続的な活躍という、それぞれ異なる強みを持っていたのです。
【2026年最新】鳴戸親方・岩友親方の現在とブルガリア出身の現役力士
2026年10月現在、琴欧洲と碧山は現役力士ではありません。2人とも日本相撲協会の年寄プロフィールに掲載され、指導者として相撲界に残っています。
鳴戸親方は鳴戸部屋の師匠として後進を育成
琴欧洲は引退後、年寄「鳴戸」を襲名しました。2017年4月1日には佐渡ヶ嶽部屋から独立し、東京都内に鳴戸部屋を創設しています。
ヨーロッパ出身者として初めて独立した相撲部屋の師匠となったことも、鳴戸親方の大きな功績です。
現在の鳴戸部屋は東京都墨田区向島にあり、師匠の鳴戸勝紀親方が弟子の育成に取り組んでいます。
鳴戸部屋の公式サイトでは、伝統的な稽古を大切にしながら、ブルガリア国立スポーツ大学や日本体育大学で学んだことも指導に生かす方針が紹介されています。
2026年6月には、鳴戸部屋が富山県射水市で合宿を実施。KNB NEWSの報道によると、地元の高校生らも稽古に参加し、地域との交流を深めました。
現役時代に大関まで上り詰めた経験を、次世代の力士に伝えることが、現在の鳴戸親方の重要な役割になっています。
岩友親方は春日野部屋で後進の指導
碧山は2024年9月の引退後、年寄「岩友」を襲名しました。日本相撲協会の年寄プロフィールでは、本名・古田亘右、出身地・ブルガリアのヤンボル、所属部屋・春日野と記載されています。
鳴戸親方との大きな違いは、部屋の運営形態です。鳴戸親方は独立した鳴戸部屋の師匠ですが、岩友親方は春日野部屋に所属する年寄です。
したがって、岩友親方が独立した岩友部屋を運営しているという理解は正確ではありません。春日野部屋で後進の育成に携わる立場です。
現役時代に幕内で71場所を経験した碧山は、長く第一線で戦ってきた実績を持っています。大柄な力士としての経験や、けがと向き合いながら土俵に立った経験は、後輩を指導するうえでも貴重な財産になるはずです。
2026年現在、ブルガリア出身の現役力士はいる?
琴欧洲と碧山については、日本相撲協会の公式プロフィールでともに引退扱いとなっています。2026年10月末時点で確認できる協会の公開情報では、現役のブルガリア出身力士として紹介できる人物は見当たりません。
なお、鳴戸部屋には欧勝馬などの現役力士が在籍しています。欧勝馬はモンゴル・トブ出身であり、四股名に「欧」の文字が含まれていてもブルガリア出身という意味ではありません。
このように、ブルガリア出身の力士と、ヨーロッパやモンゴルなど他地域の外国出身力士を区別して確認することが大切です。
ブルガリア勢の今後については、新たな入門者が現れるかどうかが注目点です。琴欧洲が鳴戸部屋の師匠として活動し、碧山が岩友親方として後進の育成に携わる現在、2人が築いた実績はブルガリアと日本の相撲界を結ぶ重要な足跡となっています。
【FAQ】ブルガリア出身力士に関するよくある質問
Q1:ブルガリア出身の歴代力士で最も有名なのは誰ですか?
A1:代表的な人物は元大関・琴欧洲です。2006年1月場所に大関へ昇進し、2008年5月場所には14勝1敗で幕内最高優勝を果たしました。後輩の元関脇・碧山も幕内で71場所を務めた著名なブルガリア出身力士です。
Q2:琴欧洲は現在、何をしていますか?
A2:現在は鳴戸勝紀親方として、東京都墨田区向島にある鳴戸部屋の師匠を務めています。2017年4月に佐渡ヶ嶽部屋から独立し、弟子の育成や指導に取り組んでいます。
Q3:碧山はいつ引退し、現在は何という親方ですか?
A3:碧山は2024年9月24日に現役引退を発表し、年寄「岩友」を襲名しました。2026年現在は春日野部屋に所属する岩友親方として、後進の指導に携わっています。
まとめ:ブルガリア出身力士が残した功績と2026年以降の展望
ブルガリア出身力士の歴史を語るうえで、琴欧洲と碧山は欠かせない存在です。
琴欧洲は大関在位47場所、幕内優勝1回という実績を残し、ヨーロッパ出身力士の可能性を大きく広げました。2014年3月の引退後は鳴戸親方となり、2017年に鳴戸部屋を創設しています。
一方の碧山は最高位関脇、幕内504勝、幕内在位71場所という実績を残しました。2024年9月に引退して岩友親方となり、春日野部屋で新たな役割を担っています。
2人を比較すると、琴欧洲は大関昇進と幕内優勝という到達点、碧山は長期にわたる幕内での活躍が際立ちます。異なる形で大相撲に足跡を残した2人が、現在はともに指導者として角界を支えている点も興味深いところです。
2026年以降、注目したいのは両親方の指導を受ける次世代の力士たちです。ブルガリア出身力士の新たなスターが誕生するかどうかも含め、琴欧洲と碧山が築いた歴史は、今後の大相撲を見守るうえで重要なテーマとなっています。
ブルガリア出身力士の情報を調べる際は、現役時代の四股名だけでなく、引退後の年寄名、所属部屋、日本相撲協会の公式プロフィールを照らし合わせると、2人の現在地を正確に把握できます。
主な事実確認資料
- 日本相撲協会:琴欧洲の歴代大関プロフィール、戦歴・受賞歴
- 日本相撲協会:鳴戸親方・鳴戸部屋の公式プロフィール
- 日本相撲協会:碧山・岩友親方の公式プロフィール
- 日刊スポーツ:琴欧洲の引退会見、2008年夏場所の優勝記録
- 日刊スポーツ・スポニチ:碧山の2024年引退と岩友襲名
- KNB NEWS:2026年6月の鳴戸部屋の富山県合宿