2026年モデルを手がけたのは、日本のスポーツ用品メーカーであるアシックスです。JOC(日本オリンピック委員会)とJPC(日本パラリンピック委員会)に公式スポーツウェア、シューズ、バッグなどを提供しました。
アシックスが2025年10月29日に発表した公式プレスリリースによると、今回のウェアは「パフォーマンスとサステナビリティの両立」を開発コンセプトに掲げています。
着用する主な場面は、競技そのものではなく、表彰式や選手村などです。つまり、テレビ中継で選手が着ている公式ウェアと、競技中に着用する競技専用ウェアは区別する必要があります。
JOCとJPCが担う役割
TEAM JAPANは、オリンピックとパラリンピックの日本代表選手団を一つのチームとして捉える名称です。今回のウェアも、JOCとJPCの双方に提供される設計になっています。
特徴的なのは、両団体で基本デザインを共有しながら、選手の身体的特性や競技環境に応じてアイテムを調整している点です。
特にJPC向けには、車いすアスリートのニーズを考慮したアームカバーが用意されました。見た目の統一感だけでなく、実際の使いやすさまで含めてTEAM JAPANというチームを表現しています。
【全14アイテムを解説】ポディウムジャケットからシューズまで

2026年モデルは、合計14種類のアイテムで構成されています。中心となるのは、屋外用と屋内用に分けられたポディウムウェアです。
公式ウェア全14アイテム
アシックスの発表資料に記載されたラインアップは次のとおりです。
1. ポディウムジャケット(アウトドア)
2. ポディウムパンツ(アウトドア)
3. ポディウムジャケット(インドア)
4. ポディウムパンツ(インドア)
5. スウェットフーディ
6. スウェットパンツ
7. ソックス
8. Tシャツ(半袖)
9. ロングスリーブトップス
10. バックパック
11. グローブ
12. シューズ
13. アームカバー
14. ビーニー
ここで注意したいのが、14アイテムすべてがJOC・JPCの双方に同じ構成で提供されるわけではないことです。
ソックスとロングスリーブトップスはJOCのみ、アームカバーはJPCのみという提供区分になっています。それ以外の11アイテムは両団体に共通する構成です。
ポディウムジャケットは屋外用と屋内用で別設計
アウトドアモデル
防水・透湿性と保温性を重視
インドアモデル
適度な保温性と通気性を重視
アウトドア用は、雪や雨にさらされる環境を想定した仕様です。防水・透湿素材に加え、縫い目の内側にシームテープ加工を施し、防水性能を高めています。
加えて、身体の部位ごとの温度特性を考慮した保温材の配置を採用。フードと裾には一体型の調整システムが設けられ、手袋を着用した状態でも操作しやすい構造になっています。
一方、インドア用は、適度な保温性と通気性の両立が狙いです。屋外用とは異なるマルチレイヤー組織の素材を採用し、過去大会の製品より生地を厚くしながら、通気性も改善しています。
冬季大会では、屋外の寒冷環境と室内の競技環境を行き来する機会があります。2種類のポディウムウェアを用意した背景には、こうした温度差への対応があります。
【デザインの意味を分析】TEAM JAPAN REDとRYUSUIの秘密
今回のユニフォームで目を引くのは、赤を基調にしたグラデーションです。しかし、その色彩には単なる日本代表のイメージカラー以上の意味が込められています。
TEAM JAPAN REDとサンライズレッド
2026年モデルでは、TEAM JAPANを象徴する「TEAM JAPAN RED」と「サンライズレッド」を組み合わせています。
この2色をグラデーションにすることで、パリ2024からミラノ・コルティナ2026へと大会の感動や熱狂をつなぐ意図が表現されました。
赤という共通の色彩を維持しながら、次の大会へ向かう新しい表情を加えた点が特徴です。
RYUSUIグラフィックに込められた意味
アウトドア用ポディウムジャケットの象徴的なデザインが「RYUSUI(流水)」グラフィックです。
アシックスの公式説明では、絶えず流れる水のイメージを通じて、選手の芯の強さを表現しています。
水は形を変えながらも流れ続ける存在です。そのイメージを日本代表選手の粘り強さや、競技に向き合う姿勢と重ね合わせています。
また、同じ生地から複数のパーツを型取りする製法によって、一着ごとにグラフィックの見え方が異なります。全員が同じチームに所属しながら、個々の選手の個性も尊重するというデザイン上の狙いがあります。
インドアモデルにはイタリア・アルプスの文化を反映
もう一つの見どころは、インドア用ジャケットに使われたRYUSUIグラフィックテープです。
このテープは、開催地であるアルプス山脈東部地域の民族衣装に施されるチロルテープから着想を得ています。
日本代表の象徴的な赤をベースにしながら、開催地の文化的要素を取り込んでいる点が興味深いところです。単に日本らしさを前面に押し出すのではなく、開催国・地域への敬意もデザインに反映しています。
公式デザインの関係性を整理
今回のウェアを理解するうえで重要な要素を、関係性ごとに整理しました。
こうして見ると、2026年モデルは日本のチームカラー、選手の精神性、開催地の文化を組み合わせたデザインであることが分かります。
【サステナビリティの実態】リサイクル素材と環境配慮の技術
今回の公式ウェアは、デザインだけでなく環境負荷への配慮も大きなテーマになっています。
アシックスは開発にあたり、次の3つのテーマを設定しました。
- Conditioning(コンディショニング)
- Sustainability(サステナビリティ)
- Diversity(ダイバーシティ)
特に注目したいのは、素材の選定だけでなく、製造工程や製品の環境負荷を可視化する仕組みまで取り入れていることです。
採用された環境配慮技術
アシックスの2025年10月29日付発表によると、主な取り組みは次のとおりです。
- アウトドア用ポディウムジャケットにGRS認証を受けたリサイクルダウンを採用。
- アウトドア用ジャケット・パンツにPFASフリーのはっ水剤と防水ラミネート素材を採用。
- 提携サプライヤーの廃材を利用したファスナーの引き手パーツを採用。
- 主要アイテムに製品ライフサイクル全体のカーボンフットプリントを表示。
GRSは、リサイクル素材の含有量や管理などに関する国際的な認証基準です。また、PFASフリーの素材を採用することで、有機フッ素化合物に配慮した設計を実現しています。
シューズには約70足分の回収素材を活用
シューズにも興味深い取り組みがあります。
ベースとなったのは、アシックスのトレイルランニング用シューズ「GEL-Trabuco MT GTX」です。
そのシューズのベロ部分、いわゆるシュータンの裏材には、リサイクル素材が活用されています。
具体的には、約5カ月間使用された「NIMBUS MIRAI」約70足分を回収・リサイクルし、再生したポリエステル素材を使用しています。この素材はシュータン裏材の約5%を占め、無染色のきなり色に仕上げられました。
注目すべきなのは、リサイクル素材を使ったという事実だけではありません。過去に使用されたランニングシューズを回収し、別の製品の材料として活用する循環型の取り組みが、オリンピック公式ウェアの一部にも取り入れられていることです。
ただし、ここで誤解してはいけないのが、すべてのウェアが全面的にリサイクル素材で作られているわけではないという点です。環境配慮素材は対象となる製品やパーツごとに採用されています。
【価格・販売情報】オーセンティックモデルは最高13万4,200円
購入を検討している人にとって最も気になるのが価格でしょう。
アシックスの公式発表では、実際に選手が着用するモデルを再現したオーセンティックモデルは、全10品番、税込13,200円~134,200円の価格設定でした。
オーセンティックモデルの価格一覧
JOCモデルが6品番、JPCモデルが4品番です。基本的なポディウムウェアは共通の価格設定となっています。
JOCモデル
- ポディウムジャケット(アウトドア):134,200円
- ポディウムパンツ(アウトドア):60,500円
- ポディウムジャケット(インドア):77,000円
- ポディウムパンツ(インドア):55,000円
- グローブ:19,800円
- ビーニー:13,200円
JPCモデル
- ポディウムジャケット(アウトドア):134,200円
- ポディウムパンツ(アウトドア):60,500円
- ポディウムジャケット(インドア):77,000円
- ポディウムパンツ(インドア):55,000円
JOCとJPCで共通する4種類のポディウムウェアは同価格ですが、サイズ展開には違いがあります。JOCモデルは一部商品でXSから2XLまで、JPCモデルは主にSからXLまでの展開でした。
なお、オーセンティックモデル10品番は、14種類の公式アイテムすべてを商品化したものではありません。選手着用モデルのうち、一般向けに販売された対象商品を指します。
先行販売と通常販売のスケジュール
アシックスが2025年10月29日に発表した販売計画は次のとおりです。
- 先行販売:2025年10月30日~11月12日
- 先行販売場所:アシックスオンラインストア、アシックスフラッグシップ原宿
- 通常販売開始予定:2026年1月上旬
この先行販売は期間限定で実施されたものです。2026年11月現在は、当初の先行販売期間も通常販売開始予定日も過ぎています。過去の販売価格と、現在購入できる在庫の有無は分けて考える必要があります。
公式ライセンス商品は比較的手に取りやすい価格
選手と同じオーセンティックモデルは高価格帯ですが、応援目的なら公式ライセンス商品という選択肢もあります。
JOCが2026年2月9日に公開した販売案内では、次のような商品が紹介されていました。
- TEAM JAPAN応援Tシャツ(半袖・ビッグシルエット):8,800円
- TEAM JAPAN応援Tシャツ(長袖・ビッグシルエット):11,000円
- TEAM JAPAN応援フリースマフラー:5,500円
- TEAM JAPANベースボールシャツRED:6,600円
- TEAM JAPANブランケットRED:4,950円
- TEAM JAPANオフィシャルトレーディングカード:13,750円
販売先として案内されたのは、TEAM JAPANオフィシャルオンラインショップ、丸善丸の内店、丸善名古屋店、丸善博多店、MARUZEN&ジュンク堂梅田店、アスリートジャパンスクエアなどです。
羽田空港第1ターミナルのHANEDA Sportsに設けられたJOC特設ブースは、2026年1月27日から2月26日までの期間限定販売として案内されていました。
現在購入する場合は、公式オンラインショップや各店舗でミラノ・コルティナ2026関連商品の在庫、販売終了の有無、取り扱い状況を確認する必要があります。大会終了後もすべての商品が継続販売されるとは限りません。
購入時に間違えやすい3つのポイント
1. オーセンティックモデルと応援グッズは別商品
選手が実際に着用するモデルを再現したオーセンティックモデルと、TEAM JAPANのグラフィックを使った応援Tシャツなどは異なります。価格だけでなく、仕様や用途も確認しましょう。
2. JOCとJPCでは品番・サイズ展開が異なる
同じデザインに見えても、JOC用とJPC用では商品番号やサイズ展開が違います。購入時には品番を確認するのが確実です。
3. 公式ライセンス商品の表示を確認する
TEAM JAPANのロゴや大会グラフィックを使用していても、すべてが選手着用モデルではありません。公式ライセンス商品として販売されているか、どのモデルなのかを確認することが大切です。
【パリ2024・歴代モデルと比較】2026年ユニフォームは何が変わった?
2026年モデルを理解するには、直前のパリ2024大会との比較が欠かせません。
実は、両大会のユニフォームには共通するデザイン思想があります。それがTEAM JAPAN REDとサンライズレッドを組み合わせた赤のグラデーションです。
パリ2024とミラノ・コルティナ2026の違い
アシックスの2024年4月17日付発表によると、パリ2024モデルでは「パリの日の出」をイメージしたグラデーションが採用されました。
加えて、競技会場や選手村で着用するショートスリーブトップには、日本の伝統的な吉祥模様である「矢絣(やがすり)」を取り入れたYAGASURIグラフィックが使われています。
これに対して2026年モデルでは、流水を表すRYUSUIグラフィックが中心です。日本の伝統的な美意識を受け継ぎながら、開催地の自然や文化と結びつけた表現へと変化しています。
2大会のデザイン比較
パリ2024
カラー:TEAM JAPAN RED・サンライズレッド
主要グラフィック:YAGASURI
日の出の力強さと暖かさ、日本の伝統模様を表現。
ミラノ・コルティナ2026
カラー:TEAM JAPAN RED・サンライズレッド
主要グラフィック:RYUSUI
流水の強さ、アルプス地域の文化、夏季大会から冬季大会への継承を表現。
最も大きな違いは、デザインの中心となるモチーフです。
パリ2024が日本の伝統的な吉祥模様を前面に出したのに対し、ミラノ・コルティナ2026は流水のイメージと開催地域の民族衣装の要素を組み合わせています。
一方、赤のグラデーションを引き継いでいるため、別々の大会のユニフォームでありながら、TEAM JAPANとしての連続性が保たれています。
歴代比較で見落とせないポイント
オリンピックの公式ウェアは、開催地や季節、競技環境によって必要な機能が変わります。
夏季大会のパリ2024では、寒暖差を考慮した通気構造や衣服内のムレ対策が重視されました。冬季大会の2026年モデルでは、雪や雨への対応、保温性、屋内外の温度差への対応がより具体的な設計課題となっています。
つまり、単に前回大会のデザインを変更しただけではありません。共通のブランドカラーを残しつつ、季節と開催地に合わせて機能とデザインの両方を再構築した点に、2大会を比較する意味があります。
【よくある質問】日本オリンピックユニフォーム2026に関するFAQ
Q1:2026年の日本オリンピックユニフォームはどこのメーカーですか?
A1:アシックスです。JOCとJPCに提供され、表彰式や選手村などで使用されるTEAM JAPAN公式スポーツウェアを製作しました。
Q2:2026年モデルは全部で何種類ありますか?
A2:公式発表上は全14アイテムです。ポディウムジャケット、ポディウムパンツ、スウェット、Tシャツ、シューズ、バッグ、グローブなどで構成されています。
Q3:ポディウムジャケットの価格はいくらですか?
A3:オーセンティックモデルのメーカー希望小売価格は、アウトドア用が134,200円、インドア用が77,000円です。いずれも税込価格です。
Q4:RYUSUIグラフィックにはどんな意味がありますか?
A4:絶えず流れる水のイメージを通じて、選手の芯の強さを表現しています。インドアモデルには、アルプス山脈東部地域の民族衣装に使われるチロルテープから着想を得たデザインも採用されています。
Q5:2026年モデルはパリ2024と何が違いますか?
A5:赤のグラデーションという共通点を残しながら、主要グラフィックが変わりました。パリ2024では矢絣を取り入れたYAGASURI、ミラノ・コルティナ2026では流水を表現したRYUSUIが採用されています。
Q6:リサイクル素材はどこに使われていますか?
A6:アウトドア用ジャケットのリサイクルダウンや、シューズのシュータン裏材などです。シューズには、使用済みNIMBUS MIRAI約70足分を回収・再生したポリエステル素材が一部使用されています。
Q7:一般の人でも選手と同じ公式ユニフォームを購入できますか?
A7:オーセンティックモデルが一般向けに販売されました。2025年10月30日から11月12日まで先行販売が行われ、2026年1月上旬から通常販売する計画が発表されていました。ただし、2026年11月現在の在庫や販売継続状況は販売窓口での確認が必要です。
まとめ:2026年の日本オリンピックユニフォームは機能・伝統・環境配慮の融合
2026年の日本オリンピックユニフォームは、アシックスが製作したTEAM JAPAN公式スポーツウェアです。
今回のデザインを象徴するのは、TEAM JAPAN REDとサンライズレッドのグラデーション、そして流水から選手の芯の強さを表現したRYUSUIグラフィックです。
全14アイテムの構成には、屋外用と屋内用のポディウムウェアだけでなく、JPC向けのアームカバーなど、アスリートの多様なニーズに対応する工夫も盛り込まれました。
また、GRS認証リサイクルダウン、PFASフリー素材、使用済みランニングシューズ由来の再生ポリエステルなど、環境への配慮も具体化しています。
購入を考えるなら、選手着用モデルに近い仕様を求める人にはオーセンティックモデル、気軽に大会を応援したい人には公式ライセンス商品が選択肢になります。価格だけでなく、品番、モデルの違い、現在の販売状況を確認することが大切です。
パリ2024からミラノ・コルティナ2026へ。日本代表の象徴である赤を受け継ぎながら、流水やアルプスの文化を取り込んだTEAM JAPANのウェアは、スポーツとデザイン、そして環境への意識を一つに結びつけた大会の記録としても注目されます。